アイドルになるためのチート貰ったのに劣等生の世界だった 作:シルバーは吸血鬼の弱点なんやで
7月14日。
旧中山道を辿るという旅番組の収録を終えてついでに四葉邸に寄った。サイコロも振らないし、飲食店も見つけないこの番組は30分の歴史を辿る番組だ。
本当に最近は色んな番組に引っ張りだこで忙しい。このままなら上半期の大手放送局出演番組本数が男女含めて最大になりかねない勢いである。
閑話休題。
ユリカの得意な系統の系統魔法は収束系だ。そして、それに加えて琴音との訓練もあり振動系も割と得意だ。ただし、音波振動系に限るが。
そして固有魔法もあり、実は最も向いているのはモノリス・コードだったりする。ヴァンパイア・ガールズで相手からの攻撃を一切受け付けずにモノリスを開けられるからだ。
まあそんな話はともかく、ユリカの出場するスピード・シューティングの使用する魔法について考えていた。
「やっぱりオーソドックスかなぁ…でも十七夜栞が出てきたら…」
ユリカのチートに魔法能力は含まれていないため、四葉真夜の娘としての能力しかない。いや、十分高いが。それでも相性次第では負ける。真夜と達也が戦えば達也が勝つだろうというように。しかもルールの決められている競技ではなおさらだ。
十七夜栞の力はスピード・シューティングにおいて強力無比だ。故に雑誌やテレビでの下馬評では女子選手での最有力候補とされている。
次いで四葉家のユリカとゴールディ家との繋がりがある明智英美が数えられる。
1年生において、下馬評はあまり当てにならないが、それはあくまでそれまでの魔法競技での成績や家系などで判断されるからだ。
例えば雫は魔法競技には参加していなかったため、下馬評には家系的な鳴瀬の振動系…つまりアイス・ピラーズ・ブレイクにおいて有力候補とされている。逆に深雪は家系も魔法競技も表向き何も無いため下馬評にすら入っていない。だが、2人がアイス・ピラーズ・ブレイクを戦えば十中八九深雪が勝つだろう。
というように1年生にはあまり当てにならないが、参考程度にはなる。
その参考情報でさえ十師族のネームバリューよりも上と判断したのが十七夜栞という存在なのだ。
だが、十師族的には負けてはいけないのだろう。ユリカや四葉からすればどうでもいいところだが、そもそもそれくらいで負けるようなら四葉の直系とは言えまい。だからこそ、ユリカは選択する魔法を考える。
「ユリカ」
そんな時、後ろから声をかけられる。妖艶な声に振り向くと、やはり真夜だった。
「いいところに来てたわね。夏フェス用と九校戦用に作ったドレスがそれぞれ出来たから試着して欲しいのよ」
「あ、はい!」
どこに使用人がいるか分からない本邸の談話室にいるため、真夜は当主モードだ。対してユリカは四葉の村の中ではいまさらであるため素のメガネユリカに戻っている。
例の洋館に入ると、真夜がいつものに戻る。
「ユリカー!」
ユリカをがっしりと抱えてアトリエに駆け込む。
「着て!見せて!」
既に想像だけで鼻血を垂らしている変態おばさんは放置して、まずは夏フェス用のドレスに袖を通す。
どこぞの巫女や電子の歌姫のような胴着と袖が分離しており、ゴスロリ感を残しつつも涼し気な夏のドレスに仕上がっている。スカートはあえてパニエが露出するミニ丈で、空色をしているパニエがスカートより少し長くふわふわしたその姿を晒している。
「意外と涼しいし動きやすい…」
「肩の可動範囲を広くすることにもその独立した袖は貢献してるし、華やかさと涼し気を両立させてるんだよ!」
真夜がその大きめな胸を張ってどやっ☆という顔をするが、☆が付きそうなのが歳を考えろと言いたい。
「確かに、パニエを晒すのは黒地に黒とかならともかくLoli GoThiCではあまりやってませんでしたね…ある意味新鮮で夏フェスには良いかも」
「………ねえ、ユリカ。もっと母娘になろうよ!」
「い、いきなりなんです!?」
いつもいつもベタベタしてきて十分母娘してる…いや、恋人かと言いたくなるほどだとユリカは思うが、真夜からするとまだ
「ほら、敬語と真夜様呼び辞めてよ!」
「え!?しゃ、じゃあなんて呼べば…!?」
「んー、お母様とかどう?」
「でも…」
「それなら莉子と被らないでしょう?」
「はい……ん?」
ユリカは今、違和感を感じた。
恐る恐る、正体を突き止める。
「も、もしかして…知ってるんですか…?」
「え?……ああ、素のユリカが莉子のこと『ママ』って呼んでること?」
藤堂莉子はユリカを産んだ代理母にして、一般家庭出身ながら真夜の高校以来の親友にして、元A級魔法師にして、条件付き戦略級魔法師にして、四葉家の自由に動かせる最高戦力である。まぁ達也は色んな方面から自由に動かせないからそのランキングには含まれていないのだが。
「――――――!!!?!」
声にならない悲鳴と共にユリカはその場にあったクッションに顔を埋める。恐らく真っ赤にした顔がかわいらしいことになっているだろう。
「あら、ユリカのことならなんでも知ってるわよ?」
「いいからやめて!」
「これからお母様って呼ぶのと、敬語を使わないこと。外でも、人がいる時もね。それが出来なかった瞬間に、ユリカのあんなことやこんなことを暴露するから、誰かに聞かれたくなければ言うことを聞きなさい?」
「……くっ、分かったわよ!ユリカ様にそのくらい出来ないことなんてないわ!」
ヤケになって吸血鬼キャラに被ったように見えるが、ボロを出さないために手っ取り早い方法を選んだだけである。
「お母様って呼んでみなさい?」
「お、お母様……」
怒りと恥ずかしさでプシューと音がしそうなほど顔を真っ赤にして小声で言ったユリカに、真夜は最近定期となった鼻血&失神を起こすのだった。
更新について
バイト・学業・ゆるキャン△を読みたいを両立させるため、少し更新が不安定になります。この一週間は稼ぎ時やで!
藤堂莉子
45歳、女性、156cm
晴天・太陽入射角約50°以上の限定付き戦略級魔法師。太陽光の収束増幅放射により入射角60°、晴天条件で半径3kmをソーラーレーザーでマグマの海に変える。入射角50°条件でも灼熱の海となる。規模を下げ半径1kmにした場合30°条件でも廃墟に出来る。
また、さらに範囲を絞ることで地下対核シェルターでさえ火の海とすることも可能である。ただし、精密照準が苦手なため当たるかは分からない。
さらに、対人戦においても照準の苦手が災いし、攻撃が当てられないため領域魔法による殲滅以外戦力とはならない。
若い頃に卵巣ガンとなり、摘出している関係で結婚せずに親友だった真夜の下に身を寄せる。
真夜とはそういう仲の1歩手前な関係だったが、ユリカを産むために子宮を提供して以来恋仲となっている。四葉家の所有する別荘に2人で出かけることも少なくないとか。なお、ユリカは知ってはいるが、わざわざ母親同士の恋愛に挟まれたくはないとなるべく2人でいる時は避けている。
現在の話が完結後、次にユリカが行く世界 ※やるかどうかはまだ分からないのと、参考にするだけなのはご了承ください
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