アイドルになるためのチート貰ったのに劣等生の世界だった   作:シルバーは吸血鬼の弱点なんやで

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第4話

 

 

「940ms(ミリ秒)。達也さん、クリアです!」

「やれやれ、3回目でようやくクリアか」

 

基礎単一系魔法を制限時間内に発動する。基礎単一系ならば優秀と言われる魔法師では500msより早いことが普通だ。今回の設定制限時間は1,000ms。だいぶ遅めだ。一科生ならばある程度本気でやれば1発で通る課題でも、二科生にとってこの課題は厳しいこともある。

 

達也はとある事情により普通の魔法では良くて二流、普通に考えれば三流にしかなれないが、その話はまた追追に。

 

結局、授業時間を終えて、達也の友人である千葉エリカと西城レオンハルトの2人はクリア出来ず、お昼休みも居残りとなっていた。

 

 

 

 

 

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以前も話したが、ユリカは人前で食事を摂らない。吸血鬼に食事は必要ないからだ。トマトジュースとローズティー以外は一切口にしない、それが()()()()()()()()()()に必要な行為だ。

()にとって、かの世界のユリカ様の姿をしている以上、できる限り妥協はしたくない。地味に彼とユリカ様は似たもの同士だったのかもしれない。

 

学校にいる時のいつものメンバー…深雪、ほのか、雫と食堂にいると、やはり視線を集める。あえて深雪と共にいる時はアイドルのオーラを強めにしているが、それでも深雪に注がれる視線も少ない訳では無い。ユリカの方が多いから仕事はしているが。

 

「それにしても…やっぱりユリカって四葉家なんだね」

 

雫のセリフは今日の最初の授業での実技の事だった。高い魔法力を持つ深雪を超える発動速度だったのだ。

深雪とユリカの能力比だが、キャパシティは深雪が、干渉力と演算速度ではユリカが優れている。また、エリアへの干渉は深雪の方が、1点への干渉はユリカの方が勝っている。

 

「ま、このユリカ様は600年の時を生きる吸血鬼の末裔だもの。これくらい当然よ」

「………お腹空かないの?」

 

雫たちが食堂で昼食を摂る中、ユリカは持参していたローズティーしか口にしていない。

 

「吸血鬼に食事は不要よ。…血を吸う以外はね。そこまで言うなら雫、あなたが吸わせてくれるのかしら?」

「はい!私が…ムゴッ!?」

「ハイハイ、ほのかは落ち着いてから話しましょう?」

 

深雪が間一髪ほのかの口を押さえる。本当に吸ってくれっ!って言われても困るし。

 

「あら?」

「どうしたの?」

「お兄様からお使いを頼まれたの。クラスメイトが実技で目標達成出来ていなくて、それに付き合うから軽く食べれるものを買ってきて欲しいみたい。3人分みたいね」

「私も手伝うよ!」

「私も付き合うよ。ユリカはどうする?」

「まぁ、付き合ってあげないこともなくもなくもなくってよ?」

「結局どっち…?」

「付き合ってあげるってことですよね!ユリカ様、一緒に行きましょう!」

 

3人とは仲良くなったとは思うのだが、ほのかだけはいつでも敬語と様付けなのがほのかの気持ちを代弁している。

 

4人は立ち上がって購買へ歩き出した。ユリカはちゃんとティーセットも回収済みな当たり手慣れている。

 

「ま、まぁ、ローズティーくらいなら振舞ってあげなくもないわ」

「本当ですか!?とっても嬉しいです!」

 

 

 

 

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実習室に入り、達也さんの後ろにつけた時に、深雪が遠慮がちに声をかけた。

 

「お兄様、お邪魔してもよろしいですか?」

「深雪…と、光井さんに北山さんに…これはまた大物を連れてきたね、深雪」

「ダメでしたか?」

「いいや、問題ないよ。人もいないしね。はじめまして、司波達也だ。よろしく」

「ふぅん…あなたが…深雪から話は聞いてるわよ。とっても慕われてるみたいね」

 

ユリカは内心ヒヤヒヤしながら言葉を選ぶ。達也も、真夜に近い存在ということもあり内心警戒しながら会話を進める。

 

「あそこでまだチャレンジしてるのが千葉エリカと西城レオンハルト。こっちが…」

「……柴田美月です。本物のユリカ様にお会い出来るとは、感無量です!」

 

思わず目線がその胸に行きかける。

だがそんなことより、柴田美月のその立ち振る舞いにどこか既視感があるのがどうも拭えない。

 

「すまないが、もう少しだけ待ってくれ。次で終わりだから」

 

達也の言葉に未だに合格出来ていないふたりは肩をピクリも仲良く震わせる。ユリカは少しでも頑張ってもらおうと、アイドルオーラ全開でキメる。

 

「次で終わらせなければ、血を吸うわよ!」

 

 

 

 

 

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「終わったー!」

「ふぅ…ダンケ、達也」

 

レオの謝辞に達也は片手をあげて応える。

 

「ふたりともお疲れ様。お兄様、仰った通りに揃えて参りましたが…足りないのではないでしょうか?」

 

食べ盛りの15歳男子であり体格のいいレオ、いくら女子とはいえ体育会系のエリカ、その2人を含む量としては少なめと言えた。

 

体育会系の高校生はガッツリ食べるのは当たり前という常識は薄れてはいるが未だにその傾向があるのはもちろんである。身体は動かせば動かすだけエネルギーを消耗するし、魔法は脳を過度に使うため糖分を消費する。

 

「いや、もうあまり時間もないからね。これくらいが適量だろう。深雪、ご苦労さま。光井さんと北山さんも藤堂さんもありがとう、手伝わせて悪かったね」

「いえ、全然問題ないですよ!」

「大丈夫、私はこれでも力持ち」

「吸血鬼の私には、これくらい軽いわ」

 

達也は受け取った食料をクラスメイトに渡していく。

 

「なぁに?」

「サンドイッチか?ダンケ!」

「食堂で食べると午後の授業に間に合わなくなるかもしれないからな」

「ありがと~。もうお腹ぺこぺこだったのよ!」

「ありがとうございます…でも、いいんですか?実習室での飲食は禁止なんじゃ?」

「飲食禁止は情報端末を置いてあるエリアと実習用CADのエリアだけだよ。校則でも特に禁止していないしね」

「えっ、そうなんですか?」

「そうなんだよ。俺も禁止されているものだとばかり思い込んでいたから、少し意外だった」

 

さすがに、ユリカもこの人数分のティーセットは持っていないため、紙コップでだがローズティーを淹れる。

 

「これって…」

「秘密にしときなさいよ?」

 

そう、ユリカは持ってきた使い捨てボトルから水を各紙コップに注ぐと、振動系魔法で加熱し、吸収・収束複合魔法で茶葉からお茶の本来の美味しい成分だけを抽出したのだ。

 

「ほう、こんな使い方があるのか」

「真夜様の執事から教えて貰ったのよ」

 

葉山の技術である。

達也は内心苦笑する。確かにあの人のコーヒーは美味かった。

 

 

談笑しながら食事をとる。まぁ一科生組は先に食べていたからお茶だけだが。その中で、いつの間にか名前呼びが普通になっていた。まぁユリカはユリカ様呼びがほとんどだったが。そんな時、ふと美月が疑問を投げかけた。

 

「深雪さんたちのクラスでも実習が始まってるのよね?どんな事をやっているんですか?」

 

一科と二科の違いというのは意外と知らないのだ。

 

「美月たちと変わらないわよ。ノロマな機械をあてがわれて、テスト以外では役に立ちそうもないつまらない練習をさせられているところ」

「一科も二科もカリキュラムは同じだよ」

「やっぱりユリカ様が1番早かったですけどね!」

「まぁ、これくらい当然よ」

 

それを聞いたエリカがニヤリと笑いながら問いかける。

 

「ってことはこれと同じCADなのよね?」

「ええ」

「参考までに、どのくらいのタイムかやってみてくれない?ユリカ様」

「そうね…まあいいわよ」

 

据え置き型のCADに手を乗せて、サイオンを流し込む。

余剰サイオン光が微かに閃いた後、計測器の前に立っていた美月が覗き込む。そして、その顔が強ばる。

 

「に、215ms…!」

「はっや!?」

「あれそれって…」

「ああ、人間の反射速度の限界にほぼニアリーイコールだ」

 

二科生組のこの反応、既に一科生組で体験しているためそこまで驚かないし、深雪だって235msの記録を出しているため、さほど違いはない。だが、このレベルになるとこの20msは大きいのだ。

 

「これが十師族…」

 

雫の一言が、この記録をみた人達の実感を言い表していた。

 

 

 

 

 




それじゃあ、行くわよ!私のしもべ達が待つ、黒ミサへ!

感想くれないの?
く、くれるならもらってあげないこともなくもないこともなくってよ!
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