アイドルになるためのチート貰ったのに劣等生の世界だった   作:シルバーは吸血鬼の弱点なんやで

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アイドル感なしなお話です。


第6話

 

 

 

 

 

その日、ユリカは午後から学校の予定だったが、撮影が押して放課後になってしまった。それでも学校に向かうのは真夜から緊急の通信が入り、ブランシュが動いたと言われたからだ。このままでは司波兄妹が活躍してしまうだろう。

今日は琴音もマネージャーとして同行しているのでこれ幸いと、装甲リムジンを戦闘モードに移行させる。

天井上と車両後部にはRWSのM27重機関銃(一世紀以上前のM2重機関銃を20mm口径に大型化したもの)がそれぞれ1基づつ、走行装置はキャタピラへ。窓ガラスはカメラ越しの映像を重ねることで被弾してクモの巣が張っても走行し続けられる。さらに1度四葉家の拠点に立ち寄ると、リアクティブアーマーを装着し、藤堂家の黒服たちがいっせいに乗り込む。それぞれの手には小火器とCAD。

 

「行くわよ!」

「おっす!お嬢!」

 

ユリカの下知に黒服たちは声を揃える。

 

「お嬢!前方にブランシュの車列を確認!」

「民間人の避難は?」

「黒羽が完了したと!」

 

ユリカはゆっくりと頷き、手を前に伸ばす。

 

「攻撃開始!」

 

 

いくら銃やらアンティナイトやらで武装していても、装甲車は手に入れられなかったようで、ブランシュの車はトラックのようだった。一高の敷地に入った瞬間に横から飛び出した装甲リムジンが割って入り、トラックとリムジンでくさびのように入口を塞ぐ。そして、天井と車両後部のRWSをバーストで撃ちつつ黒服3人とブランシュの銃撃戦が始まった。

 

ブランシュの車列後方はそれを察知し別方向からの侵入に切り替えた。搬入口へ車両を突っ込ませて強引に侵入。こちらでは職員たちとの戦闘が開始された。

 

そして、ほぼ同時に空挺降下によって侵入したブランシュ工作員によって公開討論会の会場にもガス弾が撃ち込まれた。

 

 

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

精神干渉系魔法「ヴァンパイア・ガールズ」

霧となることの出来る吸血鬼…という設定のユリカの固有魔法の効果から、このような名前がつけられた。

ヴァンパイア・ガールズの特性は言わば座標位置への直接魔法や間接攻撃魔法などをすり抜ける魔法だ。各人の認識位置をズラすことで魔法を避けるのだ。それが霧となって攻撃を避けるように見えるためそう名付けられた。

姿を変えられないこと以外は九島家の仮装行列(パレード)と似ているが、あちらは魔法によって実態などがあるため、カメラ越しでも通用するがこちらは精神干渉系魔法1本のためカメラ越しなどでは通用しない。だが、この魔法の強さは他人…つまり味方数人も含めて運用可能というもので、例えばユリカと同行する琴音と黒服数人は位置情報がズレて認識してしまうため、ブランシュの構成員は適当な方向に銃を乱射する。対象も被対象も複数人にすることができることからヴァンパイア・ガールズのガールズは複数形である。

 

「琴音!」

「はい」

 

阿吽の呼吸でユリカの指示を理解すると、CADを操作して衝撃波を放つ。単発の孤立波であることからパルス砲というあだ名の付けられているその魔法をループキャストで敵3人を一気に吹き飛ばす。

 

「あなたたちは空挺降下したブランシュ工作員を叩いて。私たちはエガリテメンバーを制圧するわ。ブランシュメンバーは一高生である司甲以外は殺害を許可。エガリテメンバーは後遺症の残らないように注意すること!」

 

エガリテメンバーは二科生とはいえ日本の魔法師の卵。失うのは国力低下を意味する。

 

「はい、お嬢!」

「琴音!部活棟方面に行くわよ!あっちは部活中の生徒が多い上に生徒会や風紀委員がいないから戦力として厳しいわ!」

「はい」

 

琴音はユリカをお姫様抱っこすると、衝撃波パルス推進で高速移動を開始する。

 

「ユリカ様をお、お姫様抱っこするなんて、300年に1度しか許さないんだからね!」

「昔は良くしていましたが…?」

 

琴音は部活棟前に群がる空挺降下したブランシュ工作員を認めると、フォノンメーザーでそれぞれの脳幹を的確に撃ち抜く。それを後詰め兼処理班の黒羽家の部隊が死体やその痕跡を掃除していく。

 

「…あっちの演習場に逃げ遅れた一高生がいるようです。装備は…部活用CAD。足音から考えて女子5~6人。話し声から部長…恐らく3年生もいます」

 

琴音はその耳をパッシブソナーのように使うことで一定領域内のことならば何が起こっているのかが分かる。

 

「琴音!」

「はい」

 

だからこそ、阿吽の呼吸でユリカの声に含まれる指示が分かる。

 

「生徒の集団にブランシュ戦闘員が近づいています。迎撃は?」

「さすがに一高生の前で公的に殺しは良くないわ。衝撃波パルス砲で。もちろん私たちと敵の三方が目視距離になってからよ」

 

誤射防止のためだ。もちろん琴音の手の内をなるべく晒さないためでもあるが。

 

少し開けたところで鉢合わせた三方だが、有無を言わさずブランシュの戦闘員を吹き飛ばす。

 

「ほのかに雫…ここは危ないわ。すぐに講堂の方に向かいなさい」

「ユリカ様!」

「ユリカ…お姫様抱っこ…?」

「こ、こうの方が速いだけよ」

 

少し顔を赤らめてそっぽを向くユリカに、ほのかは鼻血を出して親指を立てる。

 

「かわいい…我が生涯に一片の悔い無し!」

「と、とりあえず私たちは他のところの応援に行くわ。あなたたちはすぐに避難しなさい!琴音!」

「はい」

 

取り残された雫はふと、お姫様抱っこをしていた女の子を思い出した。

 

「体格的には逆だと思うけど…というかなんで小学生がここにいるの?」

 

落ち着いた空気が外見年齢よりも上に見せるが、そもそも17歳には見えない体格と童顔の琴音に、今更ながら疑問を持つ雫だった。

 

 

 

 

 

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

「全クローバー部隊へ。離脱せよ。繰り返す。全クローバー部隊へ。離脱せよ。一高側が盛り返してきている。これ以上は隠蔽出来ない。総員撤退せよ」

 

黒羽部隊のトップである()()から撤退指示が出る。

 

「ヤミ、お疲れ様。私と琴音は一高に残るから、藤堂の部隊もそっちについていかせてくれるかしら?ダメって言うなら血を吸うわよ?」

「それって強制じゃないですか。了解です」

 

通信機をoffにして、琴音に渡す。琴音は自分の分も手に取ると、2個とも放出系魔法で地面の栄養に変えてしまった。

 

雲散霧消(ミスト・ディスパージョン)以外では、究極の隠蔽方法ね」

「あれは比較になりませんね。物的証拠の破壊には最高です」

 

少々考え方が物騒なアイドルもいたものである。

 

 

 

こうして、ブランシュ一高侵攻事件は一旦の平穏と化した。

 

 

 

 

 





ユリカ様が感想が欲しいって言ってるのよ?
そんなことも出来ない人は血を吸うわよ?
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