こんな話読みたいと別作品を書きながらできてしまったので供養を兼ねて投下致します。
アルベドは愛おしい御方の執務室に呼ばれていた。体はできる限り清めていた。二人の逢瀬を阻むものは存在しないのだ。
すでに、この世界を支配することに成功してアインズ・ウール・ゴウン魔道国は……。愛するお方の名声は世界中に響き渡っており、仁君として世界中に響き渡っている。
尤も幾つかの国は存在すら許されなかったが、それは脇に置いておく。
分かっていることは、宝石箱を手に入れたいと言っていた主の願いは叶い、愛する方が急ぎでしなければならないことも無くなっている。付随するかのようにアルベドたち女性守護者たちも同様だ。
いや実際には、NPCたちの場合は仕事はある。支配している国々の細々とした案件を片づけたり、ナザリック内部での業務もある。守護者統括役であるアルベドは特に顕著であり、本来なら暇な時間は寸刻もなかったであろう。
しかし、今アルベドは守護者統括の役目の多くをデミウルゴスたちに預けている。全てはアルベドに暇な時間を持たせるためにだ。
同じようにアウラやシャルティア、女性の階層守護者の仕事が減らすようにデミウルゴスたちは動いているみたいだ。……二人は仕事の波に押しつぶされればいいのにと、心から思っているのは内緒である。
では何故、デミウルゴスたちがわざわざ極一部のNPCたちの仕事を減らそうとしているのか?
……デミウルゴスは、いや多くのNPCたちが彼女たちに直接的か間接的にかの違いはあるが、催促している。「早く、アインズ様の御子息にもお仕えしたい」と。顕著なのはコキュートスである。勿論コキュートスだけでなく全NPCが望んでいることであるが。
与えらていた仕事をほぼ無理やりのように奪われたアルベドは怒りをあらわにしたが、デミウルゴスたちの要請を受けて、時間を作ってくれたことに感謝しながら、アルベドはサキュパスらしく動いた。
正妃にしてくれと押し倒したのだ。尤も、アウラやシャルティアにに阻止されたり、アルベドと同じような行動をシャルティアがして妨害したり……そのせいで愛する方が正妻を誰にするかを決定するのを遠ざけるようになり、二人きりになるのを避けようとしているのは痛恨の極みである。
そんな状態ではあるが、時間に余裕ができているのだ。最近はほぼ毎日のように、誰が正妃になるか3人で口論するのが日常の風景になっていた。
2人ではなく、3人なのが肝心である。最近ではアウラが本気で正妻候補に名乗りを上げているのだ。元々、片鱗は存在していた。それが強くなったのは、確かエ・ランテルに国家を創りあげ、アウラたちがダンジョンを作成始めたあたりであっただろうか?
具体的には、膝の上にアルベドの目の前で座っていたあたりだろう。
アルベドは焦った。正直言ってシャルティアには負けない自信が心からあった。何しろ、彼女は頭がそれほど強くないからだ。
だからこそ丸め込むこともできると思っていた。というよりオークションの時に一度丸め込めた。添い寝権は得れなかったが上手くいっていた。次の機会が来ても上手くできるはずだった。シャルティアとなら。
しかし、アウラは別だ。何よりも苦しかったのは、今まで味方してくれていた、プレアデスたちがアウラに靡いたことだろう。
プレアデスは誰を正妻にさせるかという点では二つの派閥に分かれていた。シャルティア派かアルベド派である。
アルベド派の筆頭はユリ・アルファ。そして彼女のおかげで、シャルティアと趣味嗜好が合う一部の者たちを除いて、こちらの派閥に引き込めていた。
実際にシャルティアよりも聡明なアルベドの方が正妃に相応しいとも思ってくれていたのだろう。しかしそれ以上に、ユリ・アルファがシャルティアを苦手にしていたことが大きいのだろう。だからこそ、アルベドに協力してくれていたのだろう。
そうだとしても、他に適任者が、正妃になる適任者がいなければ問題はなかったのだろう。
例えば、アルベドには劣る物の、シャルティアよりははるかに賢い者がいたりしなければ。
例えば、アルベドやシャルティアと比べ、性に関して奥手で御淑やかな者がいなければ。
例えば、アルベドやシャルティア同様に至高の存在に創造された者がいなければ。
……残念なことに、アウラは全てに該当してしまうのだ。
つまり結論を言えば、ユリ・アルファは仲が良いアウラに加担することにしたようだ。それで、プレアデスの多くもアウラの味方になってしまい、アルベドの敵に回ってしまった。
そう、今まではアルベドが一番正妻に向いていると愛する方に遠回しながらも進言してくれていたのが、アウラが正妻に向いていると進言始めたのだ。しかも遠回しではなく、声高々に。
――なお、最大の理由はアルベドの今までの行動から、正妻に相応しくないと思われてしまったせいである。アインズに対して逆レイプを仕掛けたこと然り、ユリ・アルファから見てはしたないような行動をアインズに求められた訳でもなくしていたせいである。
いくら政務の能力が高くとも、暴走があるのであれば、妃に相応しくないと思われても、仕方がないのだろう――
さらにアルベドのとって悲惨だったのは、全ての一般メイドたちをまとめる立場にある、メイド長までもがアウラの味方に回ってしまったせいだ。さらにメイド長に同調した一般メイドたち……。数は力だ。
もっとも、一般メイドやメイド長は表立ってではない。否、だからこそアルベドは多くの女性NPCを敵に回しながらも戦えていた。
(……ほんと、シャルティアが羨ましかったわ)
なお、シャルティアはアウラが参戦したことに危機感を持っていなかった。彼女を応援していたプレアデスたちが、勝ちの目がない事に達観していることにも気づいていなかった。
最近になってようやく脅威に気付いたようだが……。まだ対等だとでも思っているようだ……。
事実上ではあるがナザリック内においての正妻戦争は、アルベド対アウラの模様を呈してきていた。
はっきり言って、この世界に転移した直後からアウラが正妻の座を望んていたのであれば、アルベドの勝ち目は薄かったかもしれない。
それを思うと、2年近くアウラが参戦していなかった間のアドバンテージは大きかった。
もっとも、愛する方の鶴の一声でいくらでも覆る可能性はあるが。
一番押されているシャルティアでさえもだ。主が決定したのならば、異を唱えることなんて、できる訳がないのだ。そう、誰にも等しく勝ち目はあるのだ。あったのだ。
そんな状況の中、愛する方がアルベドだけを呼んだ。世共にシャルティアやアウラも傍にいたにもかかわらず、アルベドだけを呼んだのだ。誰が正妻になるか争っているところということも知っているはずであり……普段から醜いと言われても否定できない争いをしているのもしられているのだろう。妃について決定したことを述べると告げて。期待するのも無理はない。いや期待しかできない。
あのアウラたちの悔しそうな表情が目に浮かぶと胸がすくような気持になり、安堵の気持ちも出てくる。
(くふふ。残念だったわね、アウラ。この勝負、私が貰ったわ!)
非常に業腹ではあるが、この世界に転移した最初の2年間で愛する方に自分の有用さをこれでもかと、見せつけていなければこの勝利も別の誰かが手にしていたかもしれない。
それほどまでにアウラは強敵だったのだ。
(本当に、アウラが子どもだったのが助かったわ……)
その点もアルベドの味方だった。今は何とか、アウラは小さい子供であり正妃には相応しくない。その点を声高々に指摘することによって、時間稼ぎをしていたのだから。
もし、アウラが子どもで押し倒すのを躊躇っておらずに、ここ最近のアルベドやシャルティアのようにことあるごとに押し倒そうとしていたなら……。もしかしたらすでに決着はついていたかもしれない。もっともその場合、アウラの派閥の切り崩しを図っていただろうから、争いはより混迷を招いたかもしれないが。
……愛する方は、アウラに優しかった。アルベドやシャルティアに対してよりも……。最初は嫉妬の炎で怒り狂ったが、よく見てみればアウラは嬉しそうな表情に影を作っていたのが印象に残ったのだ。
それでよくよく観察してみて気が付いたのだ。アウラに優しいのは女としてではなく、単に子どもとして扱っているからだと。
思わず恨んでいるはずの一人である、ぶくぶく茶釜に対して感謝の気持ちを述べていた。アウラを子どもで創造してくれて本当にありがとう、と。
……しかし、時間はアウラの味方だったのかもしれない。年月が経過し、アウラが大人にまで成長すればまた話も変わったのだろう。
だが、今日で決着をつける。時間に余裕は与えずに、アルベドの勝利で。それでようやくナザリック全体を巻き込んだ、一つの争いに終止符が打たれるのだ。
アルベドの大勝利で。
明るい未来に思いを馳せながら、アウラとついでにシャルティアの悔しそうな顔を思い出すと、胸がすくような気持になるものだ。もちろん思考能力は浮かれているが一つも衰えていない。アルベドの優秀な頭脳は次の手を考え出していた。
(……そうね、私が正妻になったら第二妃にはシャルティアを推薦しましょう)
アルベドは別に他のNPCたちがお手付きになり、側室になっても構わないと思う程度には、優しかった。ただ自分が一番愛されたいだけなのだ。
だからこそ、アルベドが一番愛されるとう未来を脅かす存在でになりうる、アウラは側室選びから除け者にすると決めた。
仮にアウラが側室にでもなった場合……下手をすれば、アルベドが正妻になれたとしても、引きずり降ろされる可能性がある。そう考えられる程度には、アルベドはアウラを警戒していた。
(シャルティアはおバカだから、エサを上げれば容易に懐柔できるでしょうし)
そんな先のことを考えながら、遂にアルベドは愛する方と自分を遮る無粋なドアの前に到着した。
先程から心臓はバクバクであり、下着は意味をなさい程に愛する方を受け入れる準備は出来ていた。否、それだけではない、もう歩くだけの振動で何度も達していた。
きっとアルベドの表情はこれでもかというほどに上気して、真っ赤になっているだろう。
何よりもう一人で慰める日も終わりを迎えるのだ。ずっとずっと待ち望んでいたお情けを遂に貰える日が来たのだ。
頭の中は既に桃色である。先程から未来のことを考えていたのも、何とか自身を抑えるためだった。しかしそれも限界だ。もう、理性を以て抑えるのも限界に近い。
(ああ。愛おしいモモンガ様。どうかこのアルベドをお慰めください。その美しい御体で、アルベドを弄ってくださいまし! ○○○○を〇〇〇ください、〇〇〇ください! どうからアルベドの大切な〇〇〇を偉大な御体で貫いてください!)
想像するだけでさらに息が荒くなる。その状態のままドアをノックして、ドア越しに声をかける。
「モモンガ様! お呼びに従い参上いたしました! どうか入室の御許可を!」
「……入れ」
声がかかった。それだけでアルベドははしたなく達し、足から力が抜けて座り込み、悶える。
(はぁはぁ。もうダメ。動けないわ……)
「どうした、アルベド? 入室の許可は出しているぞ。早く入ってこい」
(立つのよアルベド、この先には天国があるわ……ッ!)
力が入らない自身に叱咤激励し立ち上がり、その勢いのまま扉を開ける。
「お呼びに従い、参りましたアインズ様!」
飛び掛かるように近づくが、途中で声を出され止められた。それに視線視線が可笑しい事に気付いた。何か、申し訳ないような視線が見えるのだ。
「アルベド、一応確認しておきたい。お前は私の妻になる事を望んでいるのだな?」
「もちろんでございます!」
「……そうか」
なぜか分からないが難しそうな顔をして黙り込まれる。……何か違和感を感じる。
「エイトエッジアサシン。外に出ていろ」
どうやら、違和感は勘違いだったようだ。人払いがなされた。これはつまり……。
(くふー!!)
内心では先程以上にお祭り騒ぎである。もう我慢がきかず、いつものように飛び込む。
「モモンガ様ー! どうか私をユニコーンに乗れない体にしてくださいまし!」
「――アルベド、止まれ。今から大切な話をするのだ。それができないのであれば、私はお前を妻にはしない」
ピタっと、アルベドは停止して、発情している思考を一旦脇に置き、守護者統括として相応しい状態に変化する。愛する方の重々しい雰囲気に。何かがある。杞憂と思っていたが、何かがあると理解した。
「アルベドよ。今までの働き見事であった。故にお前が望むのであれば妻として迎えよう」
「はい、望んでおりま――」
「――話は最後まで聞くものだぞ、アルベドよ。私の妻になるにあたって、一つだけ留意事項がある」
留意事項……。それが何であれアルベドには構わない。妻になる。一番になる。それこそがアルベドの望みなのだ。
「私はお前を友人の娘として愛している。しかし……妻として愛せない」
アルベドに衝撃が走った。そしてそれ以上に困惑した。何を言いたいのかが分からないのだ。
「私はな、ロリコンなのだよ」
「………………はい?」
ありえない言葉が聞こえた。小さい子ども。蕾、貧乳、ツルペッタン、パ〇〇〇、性犯罪、お巡りさんこっちです……アルベドの頭にロリコンと聞いて浮かぶ単語が走馬灯のように流れ出していた。
混乱は留まることを知らない。しかし呆然と疑問を呟いていた。
「で、では何故私を妻になどと? アウラやシャルティアではなく?」
「ふむ……では順番にアルベドの疑問を解決していくとしよう。まず、何故アルベドにこの話をしたかだが、それはお前への褒章だ」
「褒章?」
「そうだ、アルベドの今までの働き、功績を考えれば望む物を与えるのが一番良いと判断した。とはいえ、私は女性として愛せないから、本当に立場だけだがな」
……思考が停止した。
「私もな……お前たちの献身的な思いも知っているから、改善しようといろいろ考えてみたのだが、やはり無理なようだ」
「……で、では、なぜ、アウラやシャルティアには話さずに私に話すのですか? ふ、二人ならよ、よろこんだと思うのですが……」
現実逃避をするかのように、固まった思考で震えながら問いかける。だが、それはさらに深淵へと誘いの始まりだった。
「簡単だ。まずシャルティアは……確かにロリな体形はしている。だがシャルティアは大人だろう? ペロロンチーノさんは合法ロリだと喜んでいたかもしれんが……喜んで創造したんだろうが、私の好みではないな。私は正真正銘の嘘偽りのない、
愛する方は神々しい程の動作や、
一体、この御方は何を言っているのだろうかと。
「で、では、アウラはどうなのでしょう? 彼女は体形、年齢共に子どもで成長していると思うのですが……」
自失呆然としている思考の中、反射のように疑問を呈した。確かアウラは今年で80歳ぐらいだっただろうか。十分子どものはずだ。そういえば最近は胸が少しづつではあるが成長しているような気がするのが気のせいだろうか。それも考慮の一つになるのだろうか。
ロリコンなら貧乳のほうが良いのだろうか。それとも逆に巨乳が良いのだろうか。業が深い。さすがは至高の御方である。当然現実逃避である。
「なるほど、確かにダークエルフとしては子どもだろう。まぁ、私から言わせてもらえば、アウラはロリではない、
「……えっ?」
「私が言っている
「」
つまり遠巻きではあるが、アルベドもシャルティアもアウラも他のNPCも……ナザリックにいる存在全てが恋愛対象ではなく年増だと言っているのだ。
今度こそ、アルベドは停止した。
「……それを思うとカルネ村のネム・エモット。あの少女がもう少し若ければな……惜しい事をした」
ネム・エモットのことは覚えている。最初にあった時も、今でも優しかった気がする。……それが理由なのだろうか。
……宝と言ってくれたのは嘘だったのだろうか。我々NPC全ては宝であると仰られたのは……。
「ああ。勘違いするなよ。私はロリコンで恋愛対象は9歳以下だが、それ以外の愛情も持ち合わせている。私の感性から言えば、アルベドもシャルティアもアウラも恋愛対象にはなりえないが、お前たちは親友の娘たちだからな、恋愛対象としての子どもではなく、本来の意味での子供として愛しているし、そういう意味では紛れもなく宝だ」
表情を読んで、フォローしてくれたのだろうか……。ただし、厳然と変わらずアルベドの表情は絶望を映し出している。
「……私はお前の設定を、誤って書き換えたと言ったな。その罪悪感はあった。だから一時は私の性癖のことは隠して妻にしても良いとも考えた。だが、それはお前に失礼だろう? 何より夫婦になるのであれば、私的なことに関しては対等だ。故に、私の考えを述べさせてもらった」
聞きたくなかった。できれば夢を見させてほしかった。一番になったという夢を。
正妻になりたいわけではないのだ。ただ一番になりたいのだ。正妻になる事が、一番になる事だと思っていたから正妻の座を望んでいた。これでは、意味がない。
意味がない。意味がない。意味がない。そんな理由で正妃になっても意味がない。
「恐らくアルベドが妻になる事を選べば、私はお前を愛せなくなるだろう。その時点でお前は友人の娘というカテゴリーから外れるからだ。だから、ここで選んでほしい。私に友人の子どもとして扱われて愛され続けるか、それとも妃になるという褒章と共に私の愛情を失うか。もちろん、妃に見合うだけの権力は与えよう」
違う。違う。違う……っ!それでは駄目なのだ。アルベドは一番になりたいのだ。女として一番に愛されたいのだ。だが、このままではどうやっても手に入らない。愛する方が9歳以下しか性的対象とみなさないロリコン性癖の持ち主だとしたら、アルベドにはどうしようもない。
(……何か、何かないの? 考えなさいアルベド!!!! 勝利は目前だったはずよ。きっと、何かいいアイディアがあるわ! キット!!! 私がモモンガ様に愛される手立てが!?)
そして―――――。
「――タブラ・スマラディグナ……。どうして! どうして私を幼女で創造しなかった!!!! オノレ―!!!! ユルサンゾ!!」
★ ★ ★
百面相をしていたアルベドが、絶望的な表情を浮かべながら出て行くのを見届ける。部屋の中はとても静かであり、ただ時計の音だけが部屋中に響いている。
あとの騒音とすれば、外から聞こえるアルベドの叫び声だけだ。
まるで、その全てがモモンガを非難するかのように。今回のことが友人たちに知られれば、間違いなくモモンガは軽蔑されるだろう。真実であれば。
もちろんアルベドに語ったことは全て嘘である。真実だったら、たっち・みーの活躍待ったなしであるが。嘘なので、モモンガが逮捕されることも無い。きっと。
(もっとも、偽証罪とかで十分逮捕されそうな気もするが……)
モモンガはロリコンではない。これが真実であり、どちらかといえばアルベドの体みたいに母性にあふれた女性が好きだと思う。(アルベドに母性があるとは言ってない)
だが、これから先モモンガはナザリックの者たちから……最悪の場合支配している臣民たちからも、ロリコンと扱われる覚悟を決めていた。というより場合によっては大々的に公表してアルベドたちの魔の手から逃れようと考えていた。
こちらの世界に転移してかなりの年月が過ぎているため、モモンガの頭の中から支配者として相応しく振舞っていなければ、裏切られるかもしれないという考えは、忘却の彼方であったことも決断を後押しさせた。
友人の娘たちと結婚するのが嫌だったのだのだ。
しかし何よりもこんなバカげたことをすることを後押ししたのは……。
もう、疲れたのだ。女性陣の相手をするのに。
特にアルベドとシャルティアには恐怖を覚え、トラウマにもなりつつあった。アンデッドで精神抑制があるのに。
正直なところアルベドに対しては罪悪感はあった。元はといえば、アインズの設定変更のせいなのだから。もし過去に罪悪感を突かれていれば、受け入れていた可能性もある。
シャルティアは定められた性癖故に、アンデッドである自分を愛するのは分かる。こちらもシャルティアが上手く、過去にモモンガに迫っていれば受け入れていた可能性もあるかもしれない。
だが、二人ともことあるごとにモモンガを押し倒そうとしてくるのだ。特に世界を手中に収めた後。怖いのだ。あの、獲物を捕食するような表情が、視線が。
それでも耐えて何とか逃げ切ろうと思っていた。だが、ある出来事がアインズに最低最悪の嘘の性癖を暴露させることを決断させていた。
…………最近、アウラまでも二人に似てきているのだ。まだ決定的なことは二人とは違いしていない。だが、時間の問題なのだろう。何しろあの二人をお手本にしているようなのだから。
それにアルベドたちが積極的になった時期ぐらいから、コキュートスを筆頭にしたNPCたちから子どもにも使えたいとの無意識の圧力を受けている。
(そう考えると……NPCたちも成長しているんだな)
最初の頃であればモモンガにこんなことで圧力をかけてくるはずがなかった。別の意味での意味で重圧はかかっていたがこんなことで、圧力をかけてくることは無かったはずだ。そう思うと、お互いに信頼関係を結べたとは思う。それは良い事である。
しかし、充分耐えてきたと思う。それにそろそろ、アルベドたちに無理やり
猶予はない。通常の方法ではモモンガに逃げ道は無い……。だからこそ、ロリコンと偽ったのだ。そうすれば、アルベドとシャルティア、ついでにアウラがモモンガを押し倒そうとして来ても、明確に完全に否定できる。私はロリコンだから、大人は勘弁してくれと。
ではなぜ9歳以下を恋愛対象と偽ったのか? これも簡単だ。アルベドは賢い。だからこそ、思考停止をして虚偽であると見破れないようにするのと、どんな方法を持ってしても、モモンガの偽の性癖に順応させないためだ。
アルベドなら下手の嘘をつけば間違いなく順応してくる。手に取るようにわかる。怖い。
9歳以下という年齢を一つのフィルターにすればNPCたちは絶対にモモンガの妃にはなれない。何せ、子どもであるアウラでさえ100歳近いのだ。
アルベドたちの明確な年齢は知らないが、こうしておけば彼女たちが暴走しようとする考えを抑制できるはずだ。白眼視されるかもしれないが、問題ない。
コキュートスたちにもそうだ。私の妻を選ぶのであれば、幼女にしてくれと。このことの最大のメリットは彼NPCたちは妃にナザリックの者を選ぼうとしている。そしてモモンガの嘘の性癖に合致する存在はナザリックにはいない。これで逃げられる。はずだ。
だが、それでも時間の問題かもしれない。アルベドはいつかは立ち直り何らかの策を弄してくる可能性もある。若しくは
だから、今すぐに妃を選ぼうと思う。名目上の。
(次はシャルティアを呼んで同じことを話して、名目上の妃になる事を断らせて、最終的にはアウラにも同じことをして妃になる事を断らせよう)
その後NPCではなく、シモベの間から名目上の妃を選ぼう。そうすれば、デミウルゴスたちから妃がいた方が政治的にも良いという、そっち方面での圧力もかわせるはずだ。
もしかしたら、9歳以下しか恋愛対象と認めないという偽装結婚でも構わないと言ってくる可能性もあるが……。その時はその時。アルベドに言ったように権力だけ与えて別居状態にして遠ざければいい。
(そういえば、孤児たちを集めて、孤児院を作るのを許可していたな……)
最初はエ・ランテルの寡婦たちへの仕事の斡旋と、アインズ・ウール・ゴウンの名声を高めるための物であった。視察という形でアルベドたちと見に行き、小さな女の子が入れば、アルベドたちの目の前で必要以上に優しくして見るのもいいかもしれない。
不都合な面も出てくるかもしれないが。
仕方がない。モモンガは友人の娘に手を出したくないのだから。……後怖いし。だからモモンガは何も悪くないのだ! ここにモモンガの理論武装は完了したのだ! だからこそ恋する少女たちに残酷な真似ができるのだ!
なお、その後シャルティアとアウラにも同じことを話すと、アルベドと同じように絶望して、暫く泣き続けたようである。
――その後、モモンガがどうなったかは誰も知らない――
この後どうなるかは皆さんのご想像にお任せいたします。
実際、どうなるんでしょうね(困惑)
Nice boatかな(他人事)