「――カズマさん、カズマさん。皆で写真を撮りましょう!」
「またかよ。毎度言ってるけど、この世界のカメラってレンタルするだけでもすげー高いんだぞ。そんな物、ホイホイ借りれるか」
「いいじゃない別に、カズマさんは最早この国有数の資産家なんだから! いっその事買っちゃいましょうよ」
「……ま、ここまで来たらそれもありかもな」
俺の言葉に、アクアが嬉しそうにコクコク頷く。
「そうしましょう、そうしましょう! それじゃあ、今すぐ探しに行くわよ。一枚でも多く、この記念すべき特別な日を写真に収めておきたいのよ!」
ほろ酔い状態のアクアはそう言って、見慣れた連中がいる方に手を広げた。
俺達の視線に気が付いたらしく、そいつらがこちらに手を振ってくる。
「慌てんなよ、流石にこの場に俺達がいなくなんのは不味いだろ。だって、ほら。今日は、その……」
「あら、カズマさんってば照れてるの? 照れてるんですか?」
「ぐっ、ほっとけ」
ツンツンと俺の頬を突いてくるにくらしいアクアに、俺がせめてもの抵抗と睨みつけていると。
「会場は私達が回しておくから、二人は行ってくると良い」
「ええ、今日は二人が主役なんですから。好きに動いて下さい」
後ろからにこやかに歩み寄り、そんな提案をしてくれるダクネスとめぐみん。
「はあー。……任せた」
「やった! さっすがカズマさん、チョロさに掛けては右に出る者がいないわね!」
「喧嘩売ってんのか?」
思わず言い返したが、にへらっと機嫌良さげに笑うアクアに怒る気にもなれず、俺は苦笑を浮かべた――
結局新しいカメラを購入してしまい、どうせならと初めの一枚はこの場にいる全員で撮る流れになった。
「それじゃあ撮るぞー。お前ら、一か所に集まってくれ」
「何を言っているのですか、カズマが入らないで誰が入るんですか!」
「こういう時に写真を撮られるのってあんまり好きじゃないんだよ。後から見返して死にたくなるから」
「後から死にたくなるような写真とは、お、お前は一体、私達にどんな写真を撮らせようというのだ⁉」
「お前が考えてるようなものじゃないって事は確かだから安心しろ」
コイツとも長い付き合いだが、本当に会った当初から変わらないな。
「ごちゃごちゃ言ってないでほら、カメラは係りのお姉さんにでも渡してあなたも早くこっちに来なさいな。カズマさんの場所はここね、アクアさんの隣を指定するわ」
「俺の言い分は通らないのかよ」
逃げ場がないと早々に悟った俺は、二人に誘導されるがままにアクアの隣に立つ。
皆が思い思いの場所に立ったのを見計らい、お姉さんがカメラを構えた。
「皆さん準備は良いですか? では、3,2,1で撮りますね」
それを合図に皆がカメラに視線を向ける。
お姉さんのカウントが始まってもガヤガヤと周りの連中が騒がしい中で。
「カズマさん、カズマさん!」
不意の呼びかけに隣を見ると、アクアは悪戯を思い付いた子供みたいな顔でふわっと距離を縮め――
「っ⁉」
――カシャッ!
アクアの不意打ちに身体が硬直してしまい、
「お、おまっ!」
文句を言ってやりたくても、頭が正常に稼働してくれない。
そんな俺を取り巻いて、めぐみんが騒ぎ、ダクネスが赤面し、周りが囃し立てる。
そんな中、アクアは幸せそうに屈託のない満面の笑みを浮かべて――
「ありがとうね!」
この時撮った写真を、果たしてアクアは次の世界へと引き継いだのか。
それが分かるのは、また別のお話。
読了ありがとうございます。
カズめぐに対抗し、カズアクのよさを広めようと夏休みを贄に創作しましたが、皆様の期待には応えられましたでしょうか?
今日は『紅伝説』の舞台挨拶で、カズマパーティー全員が集まった記念すべき日!
楽しかった夏を懐古するこの良い日に、なんとか投稿が間に合いました。(そう言えばダストが誕生日なんでしたね笑)
ハーメルンとpixivで今後も執筆は続けようと思いますので、その時はまた是非遊びに来てください。(今作を気に入って下さった方は、『この暗澹たる世界に終焉を!』も読んで頂けたら嬉しいです笑)
また、何か読みたいもの等ございましたら、お気軽にご連絡ください。今後のネタに使わせて頂く可能性がございます。
感想・批評(ついでに評価も笑)お待ちしております。
P.S.
アクアが経験した、カズマ達が全滅した世界線の話も投稿したので、興味がございましたら合わせて読んでやってください。
『この凄惨な現実に追憶を!』 : https://syosetu.org/novel/264892/
この素晴らしい読者様に祝福を!