二人の神風紡ぎし不世出の叙事譚   作:エリム

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なろうに上げたからこっちにも上げるけど、こんな時間に読む人いるんだろうか・・・
どうぞ


第六話

 なんだかんだ色々あった昨日から一夜明け、現在時刻は8時10分。

 仁徳学園は8時50分からホームルームで、寮からは教室まで10分ほどなのでまだまだ余裕がある。

 朝食を食べ終えて本当ならちょっとしたダラダラタイムなんだけど、今朝はやることがあるので結構バタバタしている。

 

 「R1番からR22番まで問題なくオンラインだぜ!」

 「じゃあ、学園の警備システムの掌握お願い。あ、霊機の位置情報管理システムの傍受もできればお願い。勿論優先順位は対象、リスト者の順ね。コードは学園が5番、霊機が2番」

 「任された。そっちはまだかかりそうなのか?」

 「ううん。後はナマコ型のちょっとした調整と監視ネットワークと同期して繋げるだけだから、あと5分もあれば終わるよ」

 

 予め調査部が設置していた監視機器と新たに追加する機器の状況確認。それと学園や行政の防犯システムに侵入してなにをやっているのかと言えば護衛対象を中心とした監視ネットワークの構築。

 いくらなんでも、僕たちが護衛対象に四六時中張り付いておくのは現実的じゃない。

 対象に僕たちのことは伝わっていない以上、こちらに配慮した行動をとるなんてありえないしこっちも突発的な事象がないとも限らない、ついでに僕たちも私的な時間は欲しい。

 ならどうするか。対象を中心に監視ネットワークを構築して、なにかあればすぐに察知できるようにすればいい。

 とはいえ昨日の時点で対象の部屋に関しては完成していて、今朝やっているのは偽装監視ドローンの設置と極薄シール型発信機の調整、そして各種システムをつなぎ合わせることで学園島とその周辺をカバーする監視警戒網の設定だ。

 調査部が事前にパッケージングしてくれているので、僕たちはマニュアルに沿って弄るだけでいいからとても楽。調査部の皆さん、技術研究部の皆さん、いつもありがとうございます。

 

 「・・・T1からT8、K1からK36、S1からS128、N1からN36・・・よし、全部オンライン!終わったー!さあ、君たちの持ち場へ行くのだー」

 

 きちんと全部オンラインになっているのを確認して、弄っていた偽装ドローンを解き放つべくベランダの戸を全開にする。仕方ないのはわかってるけど雀型の数多すぎるんだよぉ。

 

 「おう、お疲れ!」

 

 ベランダから雀やトンビ、くちばしの中にナマコが入っているカモメが徐々に飛び立っていくのを見ていると、天音がオロCを渡してきた。

 

 「ん、ありがとう」

 

 ん~っ炭酸が効くなぁ

 

 「これで終わりだっけか」

 「うん。通学路配置のやつがきちんとついたのを確認したら出ようか」

 「了解」

 

 んーっと伸びをして時計を見れば8時17分。これなら25分には遅くともでられるかな。

 

 「さて、今日も一日頑張りますか」

 「ああ」

 

 

 「「おはよー(ございます)(さん)」」

 

 それから無事にドローンの配置が完了したのを確認して登校すると、既にくらすの三分の二は教室にいた。対象もすでに登校していて、近くの男子と話していた。

 みんな早いなあ。

 

 「おはよう!天音ちゃん!ユキちゃん!」

 「おはよう。天音、ユキ」

 「おう、おはようさん。風師、香織」

 「おはよう。風師さん、香織さん」

 

 席に着くと、すでに登校していた二人に挨拶をされた。天音と香織さんは席が隣な上僕も天音の右後ろなので席が近い。結果、まだ二日目でも仲良しグループとしてあいさつを交わしあっても不思議な光景ではない。

 

 「昨日はご馳走様!けど、ほんと天音ちゃんの食べっぷりは凄かったよね」

 「まだ言ってんのか。あれぐらい魔導師なら普通だってーの。そのうち香織もあれぐらい食べるようになるんだよ」

 「えー!嘘だあ」

 「魔導師は燃費が悪いから、普通の量じゃその内足りなくなってくるよ?学食にも大盛系のメニューが多かったでしょ?あれもそういう理由からだよ」

 「良かったじゃない香織。これからはダイエットを気にせずに食べられるわよ」

 「あ、そっか!燃費が悪いってことは、すぐにカロリーが消費されるってことだもんね!じゃあケーキとかいっぱい食べても平気なんだ!」

 「カロリーはそうだけど、きちんと管理しないと糖尿病や虫歯になるからスイーツ系はほどほどにね」

 「ついでに言えばきちんとマッサージなんかで育乳しねえと、俺みてえにまっ平らになるぞ?俺と同じで胸なんて邪魔だと思ってるなら別にいいだろうけどな」

 「流石霧谷さんや渡辺さんの忠告を無視し続けたAAカップ。重みが違う」

 「そんじょそこらと比べてもらっちゃ困るぜ!はっはっはっ!」

 「・・・さーちゃん、おっぱいが大きくなるマッサージって知ってる?」

 「・・・女性雑誌に載っているものぐらいなら・・・ね。諦めずに頑張りましょう・・・」

 「うん・・・」

 

 そんな感じの雑談をしつつ、対象の方を何度か確認するけど接触できそうなタイミングがない。

 こりゃ、朝は無理そうかな。

 

 

  キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

 

 「全員席に着け。これより朝のSHRを始める」

 

 チャイムと同時に教室に入ってくる荒木先生。

 絶対に少し前からスタンバってたでしょ。

 教壇の上に立ち、教室を軽く見渡した荒木先生は満足そうに口を開いた。

 

 「よし、全員出席しているな。二日目から無断欠席する者はいないとは思っていたが、実際に確認するとやはりホッとするものがあるな」

 

 それは最早なぜ入学したのレベルではないでしょうか。いや、僕が言えた義理じゃないけれども。

 

 「では、本日の予定から伝える。とは言ってもそんなに複雑なわけではないが。まず、このあと教室でガイダンスを行う。その後八校交流戦の当校に関する説明を行い、後はクラス長なんかの各種決め事が終われば本日は解散だ。もっとも、午後からは生徒会と部活連合会による部活動説明会がある。強制ではないが、まあ行っておいた方が無難だろうな。ここまでで何か質問はあるか?」

 

 別に疑問を覚えるほど深い内容がある訳でもないしまだ二日目。ここで質問なんて目立つ真似する人間がいるはz「はい」え?いるの?

 

 「ほう?私もそこまで教員生活が長いわけではないが、ここで質問されるのは初めてだな。なんだ?明嵐」

 

 荒木先生から指名されて立ち上がる明嵐さん。

 一体何を聞くんだろ。

 

 「いやまあ、素朴な疑問なんですが、普通ガイダンスなんて講堂や体育館なんかで行うイメージがあるのでなんでなのかと思いまして」

 

 そうなのか?

 

 「ふむ。確かに以前はそのようにしていたこともあったらしいが、今は生徒が質問しやすくして理解を深めてもらうことや、あとは単純にこちらも手間だということから教室で行っているらしいな。ちなみに蛇足だが、生徒会と一部のボランティア生徒以外の在校生は今日が一学期初日だ。これから体育館では始業式が行われる。これでいいか?明嵐」

 「はい。ありがとうございます」

 

 納得したようで着席する明嵐さん。

 へー、在校生は今日が始業式なのか。

 そういえば昨日は部活動なんかを見かけなかったけど、もう授業が始まっていたわけではなくて単純にやっていなかっただけか。

 

 「いや、少し驚いたが疑問に思ったこと、わからないことを質問するのは良いことだ。他の者も明嵐を見習うように。こちらも答えられるものには答えよう。他に何かある者は?」

 

 再び荒木先生が尋ねるが、今度は誰もいない。

 

 「無いようならば、これでSHRを終了する。ガイダンスは9時から始めるので遅刻しないように。では解散」

 

 その言葉とともに、それなりの生徒が明嵐さんのところへ向かって行く。

 聞こえてくるのは「勇気あるな!明嵐!」や「俺、小賀野っていうんだ。よろしくな!」など、どうやら交友関係を持ちに行ったらしい。

 

 「人気だね。明嵐さん」

 「ああ、ありゃこれで一つのヤマ張るだろうぜ」

 

 と言っても僕たちのように交友関係を広めるつもりのない人間もいるわけで、天音と香織さんのところに僕と風師さんは集まる。

 

 「すごいね、明嵐君。あっという間に人気者だよ」

 「言われてみれば、確かに疑問にはなるけれども普通はそういうものだと流すものよ。それをまだ二日目で皆緊張している中で尋ねるんだもの。注目を集めるなんて言うまでもないのにできるなんて、彼、よっぽどメンタルが強いのね。」

 「意識せずにやったんなら、天然か生来のムードメーカー。意識してやったんなら大した腕前だ」

 「まあ、明嵐工業の創業者一族の人だしどっちでも納得はできるよね」

 

 と、対象の周りに人がいなくなった。チャンス!

 

 「ごめん、ちょっとお手洗い行ってくる」

 

 天音に「決行」とアイコンタクトで伝えると

 

 「おう。行ってらー」

 

 「了解」と返ってきた。

 ポケットのハンカチを確かめるようにして手に仕込むのは、今朝準備した極薄シール型発信機。

 普通に教室を出ようとして、対象の前で突然足がもたついたようにずっこける!うっ・・・顔痛い・・・

 

 「おい!大丈夫か!って君は確か・・・」

 

 作戦第一段階成功。

 こうすれば正義感の強い性格の彼なら、まず間違いなく駆け寄ってくる。

 別に周りに誰かいる状況でもいいんだけど、それだと彼が一番最初に駆け寄ってくるかは微妙なところ。

 なのでできるだけ対象一人の時が良かったんだけど・・・これも人を集めてくれた明嵐さんのおかげかな?明嵐さんグッジョブ!

 

 「イテテ・・・ありがとう。新しいスリッパだからまだ履きなれてなくて・・・」

 

 そして差し出された右手の手首を掴む!

 結果、掌に仕込んだ発信機は対象の手首に張り付き作戦成功。

 あとは「あ、ごめん」と手を掴みなおして普通に起こしてもらう。

 うん。きちんと掌からはがれてるね。

 

 「えーと、天城さん・・・でいいよね?寮でお隣の」

 「ああ、天城 快人。義妹と被るから快人でいいぜ。君は紫乃宮君・・・であってるよな?」

 「うん。紫乃宮 悠希。寮の部屋も隣だし、これも何かの縁だね。よろしく。・・・あ、ごめん。トイレに行くところだったんだ!このお礼はまた今度!」

 「あ、ああ。気をつけろよ」

 

 少し強引に会話を打ち切って、トイレに向かって小走り。

 トイレに着いたら個室に入って、きちんと起動しているか確認する・・・うん!ちゃんと位置情報が届いてる。

 今回、対象()に着けた発信機は技術研究部謹製で皮膚の表面に張り付けば、ほぼ違和感を感じさせない。耐水性も粘着性も高くて普通に生活していれば二年ほどは引っ付いていて、更に監視ネットワークが完成したこの学園島内なら三次元的に居場所がわかる優れもの。

 これで学園島内なら何処にいても、なにかあれば駆け付けられる。やったね!

 一番いいいのは首筋だけど、今は難しいので次善の手首に着けることにした。

 違和感なく接触できるのはやっぱり相手の掌だったけど、違和感が生じやすいし剥がれやすくもあるからダメなんだよね。

 水を流して手を洗い、教室に戻ると天音が

 

 「おう、お帰り。どうだった?」

 

 と聞いてきた。

 

 「うん。スッキリした」

 「さよけ」

 

 これは単純な符号で、お互い「成否は?」「成功」の意を持っている。

 ちなみに失敗だと「キレが悪かった」だったりした。

 

 「ユキちゃん、結構思いっ切り転んでたけど大丈夫?」

 「顔面から行ってたし、鼻骨とか折れてないかしら?」

 「トイレでこっそり『身体走査』使って診てみたけど大丈夫だった。まあ、少し痛いけどね」

 「そう。ならいいけれど」

 「便利だよねー」

 「本当はダメなんだけどね」

 

 そんな感じでいると、何やら荷物を持って「ガイダンスを始める。席に着け」と荒木先生が戻ってきた。

 その言葉で僕たちは解散し、明嵐さんのところも各自の席に戻っていった。

 

 「それではガイダンスを始める。まずは資料を配るので前から後ろに回すように」

 

 そう言って配られたのは『2080年度ガイダンス』と印刷されたA4サイズのプリント6枚からなる小冊子だった。

 

 「今時紙の資料と思う者もいるかもしれないが、教育現場ではプリントというのは生徒がきちんと見ているかを確認するうえで有用なんだ。終われば捨てるなりスキャンして端末に取り込むなり好きにしていいが、今はこれを見ろ」

 

 義務教育のほとんどを情報庁の家庭教師で済ませた僕と天音は普通の小中学校をほとんど知らないけど、今の時代ペーパーレス化が進み授業の資料などはデータで生徒の教育端末に送ることがほとんどらしい。実際、この学校の生徒手帳も端末にダークウェブにあるこの学校の専用サイトからアプリをダウンロードするシステムで、渡されるのはIDと初期パスワード、サイトのURLだけだった。

 そんなご時世に紙の資料は確かに珍しい。情報庁じゃ機密の関係上、手書きの紙資料なんかもあったけど。

 

 「改めて入学おめでとう諸君。我々仁徳学園教職員一同は君たちの入学を心から歓迎する。さて、ガイダンスの前に確認だが、全員生徒アプリはインストールしたな?まだの者は時間をやるから今すぐインストールしろ」

 

 ここで言葉を切り、教室を見渡す荒木先生。

 僕は前の方の席だからあまりクラスのことは見えないけど、見た限りではそんな操作をし始める者はいない。

 

 「全員インストールしているな?ではインストールしていることを前提にここから話す。資料の一ページを開け」

 

 言われた通り開いてみると、そこには生徒アプリの様々な機能が説明されていた。

 だから確認か。

 

 「そこに書いてある通り、生徒アプリは生徒手帳、連絡網、成績簿、学内における財布などを兼ねたアプリだ。そのためなりすましなどを防ぐために一度ログインすれば端末のSSIDとも紐づけされるから、端末を変える際は必ず学校に申告するように。生徒間のSNS機能もあるが、基本的に学校側も確認することができるから、学校にバレたくない話は別のものでするように。過去にこれでカンニングをしようとしてバレた馬鹿がいてな?学校としては非常に助かるが、諸君としては嫌だろう。無論、カンニング行為は発覚した時点で未遂だろうと厳罰対象だ。もしやるなら覚悟を持ってするように」

 

 するなとは言わないあたり荒木先生、過去にやったことがありそうだな。

 

 「次に任務ポイントについてだ。二ページ目を見ろ」

 

 二ページ目に書かれているのは魔導高校独自のシステム。任務(クエスト)についてだ。

 

 「これに関しては八校交流戦と同じくらい有名なものだから、諸君らも退屈に感じるかもしれないが大切なことなのできちんと確認するように」

 

 これも過去にやらかした人がいたのかな?

 

 「まず任務に関してだが、基本的に小隊で受注し行っていくことになる。そして、その任務に応じたポイントが小隊任務ポイントとして加算され、一定のポイントで次のランクへの昇格試験の挑戦資格が与えられそれに合格すれば上のランクへ昇格できる。ランクについてはEから順に上がっていき、最高はSランクとなる、上のランクになればなるほど、正直個人としてはあまり賛同できないが危険な任務が多い。代わりに上のランクであればあるほど、卒業時の評価としては外部からも高く評価されるため、その後の人生で有利に働くだろうし学校としても様々な優遇措置も受けられる。」

 

 実際今まで死者こそ出たことはないが、重傷者はそれなりの人数が出ている。世間の評価も賛否両論で、中には廃止にすべきだとの声もある。それでも生徒側から非難の声が出ないのは、嫌なら受けなければいいということが一つ。もう一つは・・・

 

 「次は諸君が気になる個人ポイントの話だな」

 

 これがあるからだ。

 

 「個人ポイントは小隊任務ポイントとは別に個人に与えられるポイントで、校内であればⅠポイント一円として学食や売店で使用できる。また、結構な量のポイントが必要だが赤点などの成績の穴埋めにも使えないことはない。もっとも、赤点をこのシステムで補填したものなど私は今まで二人しか見たことがないがな」

 

 魔導高校の売店というのは、品ぞろえは普通の学校の売店とあまり変わらないけれど注文すれば結構いろいろなものが買える。むろん手数料は発生するけど。

 そのため、それなりのものを買って転売することで現金化して一財産築くものもいる。

 確か過去には卒業時に三百万ほど貯金していた者もいたらしい。

 

 「改めて言っておくが、小隊任務ポイントと個人ポイントは別のものだ。混合しないように。小隊に関しては四人一組(フォーマンセル・ワンユニット)であれば基本的に問題ないが、いくつか例外事項があるので何かあれば相談するように。まあ、他学年と組むことなどほぼほぼないだろうが、一応組めなくはないと言っておく」

 

 その後は履修教科やシラバス、授業の心得、定期考査に長期休暇などでの外泊許可の取り方、学校施設の紹介などらしいものが続いていった。

 

 「では、次に八校交流戦について説明する。これが終われば一旦休憩にするのでもう少し頑張るように」

 

 八校交流戦。

 僕と天音以外にとっては、注目のイベントの一つだろう。いや、僕たちにとっても別の意味で注目のイベントなんだけど。

 

 「八校交流戦とは毎年夏の長期休暇中に開催される全国八つの魔導高校、我が仁徳学園、義徳学園、礼徳学園、智徳学園、忠徳学園、信徳学園、孝徳学園、悌徳学園の代表生徒各五名の計四十人でトーナメント戦を行い、優勝者には八行王の称号が授与される。八行王の称号は名誉だけでなく、その生徒の評価に大きく加算されるので毎年激しい戦いが繰り広げられるな。無論、優勝できずとも本線トーナメントに出場した。ベスト4だったなどでも評価されるがな。ただし、よく勘違いされるが()()()加算であって()()()加算ではないのでそこは間違えないように」

 

 あくまで評定的な加算であって、学業成績には一切反映しないということですね。

 

 「代表生徒の選出方法は各魔導高校によって多少異なるが、我が校では希望生徒全員による総当たり戦を行い上位五名を代表生徒とすることになっている。・・・この運営は毎年大変でな。正直適当に五つのグループに分けてバトルロイヤルでもさせて、その勝者5名でいいんじゃないかと個人的には思うんだが諸君はどう思う?」

 

 この荒木先生のセリフにはどこか悲壮感が漂っていて、クラスの多くが苦笑いを浮かべたんじゃないかな?僕は浮かべた。

 

 「・・・話を戻そう。この希望に関しては仁徳学園の生徒であれば一切の差別はしない。総当たり戦に関してもだ。正直、夏という時期に本戦がある以上、校内予選に関しては圧倒的に新入生が不利だ。しかし、だからといって参加しなければ絶対に本戦には出ることなどできず、また参加した者との経験の差というものが大きく開いてしまう。なので諸君らにはこれも経験の一つとして参加することを、私は強く薦める。無論、何らかの理由により参加できないという者もいるだろうから強制はせんし、運営する側としては数が減ってくれた方がありがたいのだが」

 

 なんか教師としての顔と組織の人間としての悲哀が混ざったはなしになってる・・・

 まあ、僕と天音は面倒なのと、下手に戦って何か感付かれるとうっとうしいから参加しない選択肢しかないけどね。

 

 「ルールについては本戦、予選ともに標準的な一対一での術戦闘技(マギクス・アーツ)だ。参加希望生徒は4月14日までに生徒アプリから希望の意を表明するように。期日が短いが、こうでもせんと毎年ほぼ全校生徒が参加するせいで日程が追い付かんのだ」

 

 確かにほぼ全校生徒で総当たりをするとなると、ただでさえ莫大な日数がかかる上に定期考査や各学年のイベント・・・僕たち一年生なら宿泊研修という名の生徒の親睦を深めるための二泊三日のイベントがある。

 できるだけ早くから始めなければ絶対に間に合わないだろうね。コレ。

 

 「では、ここまでで何か質問んおある者は?なければこのまま一時休憩とするが」

 「ハイ」

 

 それに答えるように・・・おそらく最初から聞こうと思っていたんだろう声が上がった。

 

 「水流」

 「ハイ。交流戦に関してですが、霊機は学園の貸し出しのみでしょうか?それとも個人所有の霊機を使ってもよいのでしょうか?」

 「どちらでも構わん。どうせ学生レベルの、それも限定霊機のみでの戦いだ。完全霊機ならともかく貸し出しだろうと専用機だろうと誤差のレベルでしか変わらん」

 「わかりました。ありがとうございます」

 「他に何かある者は?」

 

 今度は誰も声も手も上げない。

 

 「まあ、何か気になることが見つかったらあとで個人的にでも質問に来い。ではこれより一旦休憩とする。再開はそうだな。この時計で10時30分からの13分間とする。では解散」

 

 こうしてガイダンスは終わった。

 けれど、この後の係り決めでちょっとした騒動があることは、この時誰も知らなかった。




途中で寝落ちしたけど、こんな時間まで画面見てると眠い。
これから軽くご飯食べて、筋トレして寝ます。
とりあえず、次回は係り決めとそれにまつわる騒動というこの手の作品の定番も予定です。

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