東亜連邦召喚※この作品は未完のまま更新停止しました   作:東亜連邦

11 / 12
本小説の更新は無期限停止されています。

遅れました。


間章
戦争の後は…


ーーー第三文明圏外 シオス王国ーーー

 

「王様!大変です!」

 

 シオス王国は、ロウリア王国の北北西にある、北海道ほどの大きさの島国である。そのシオス王国の王の謁見室に、外交担当の文官が走り込んでくる。

 

「ん?何事じゃ?」

 

 通常の謁見の手順を経ず、直接謁見室に入ってきた文官を見て、シオス王は何事かあったのだろうと判断する。

 

「ロウリア王国が、クワ・トイネ王国及びクイラ王国と戦争をしていた件についてですが…」

 

 

「うむ…ついにロウリア王国がロデニウス大陸を統一したか…」

 

 難しげな顔で頷くシオス王。三国ともシオス王国にとっては重要な貿易相手であり、ロウリア王国がロデニウス大陸を統一したことによってシオス王国にも影響が出るだろう。そんなことを考えていたシオス王だったが、文官は激しく首を横に振る。

 

「違います、王様!ロウリア王国が、あのロウリア王国が敗れたのです!」

 

「…え?」

 

 シオス王は、何を言っているのか理解できないという顔をする。

 

「ですから、ロウリア王国が戦争に負けたのです!」

 

 一瞬の沈黙の後、シオス王の顔が驚きの表情に変わる。

 

「バカな!そんな訳がないだろう!ロウリア王国の苦戦すら考え難い戦力差だったんだぞ!」

 

 ここ数年では、シオス王国もロウリア王国の動向に注目していた。ロウリア王国の軍事力はクワ・トイネ、クイラ両国を圧倒しており、文明圏内国家の中の何処かの支援があるのだろうとシオス王国でも予想されていた。

 

「それが、 東亜連邦という国の参戦によってロウリア王国は敗退を繰り返したようです。まだ確証はありませんが、4400隻の艦隊を9隻で破ったとか、250騎のワイバーンを航空戦力なしで全滅させたとかの情報も上がっています」

 

「まさか!」

 

 到底信じられない話だ。だが、あのロウリア王国を敗北に追い込んだのは事実。その東亜連邦という国がロウリア以上の強さを持つのは明らかだ。それに、東亜連邦について分かっているのは国名と強さぐらいしかない。まずは情報を集めなければならない。

 

「すぐに東亜連邦についての情報を集めよ。東亜連邦がどんな国なのか、それが分からない限りは何もできん」

 

「承知しました。」

 

 ロウリアが落ち、それ以上の力を持つと思われる国が突如出現した。この事実は、第三文明圏外、そして第三文明圏に大きな波乱を巻き起こす可能性がある。シオス王は今後の情勢を注視することに決めた。

 

 

ーーーパーパルディア皇国 某所ーーー

 

 暗い部屋に微かに炎が揺らめき、二人の男を映し出す。パーパルディア国家戦略局の二人である。

 

「ーロウリア王は捕らえられ、ロウリア王国は降伏した模様です。なお、王が捕らえられたことで、各地の諸侯で独立の機運が高まっているようです」

 

 男が、上司と思しきもう一人の男に報告を行う。

 

「ちっ…あれだけの支援をしたというのになぜ敗れた?皇帝陛下に無断で文明圏外国家への支援を行い、しかも失敗したとなってはクビどころでは済まんぞ」

 

「申し訳ございません」

 

 上司の男は酷く苛立った様子だ。

 

「これが成功すれば我が国のロデニウス大陸での権益を大きく拡大できる筈だったが…それにしても敗因は何だ?列強である我々が支援していたのだ。そう簡単に負ける筈がない。敵の戦力などは分かっていないのか?」

 

「それが…報告は上がってきてはいるものの、どれも荒唐無稽なものばかりで…」

 

「荒唐無稽だと?一体どんな報告なんだ」

 

「例えば、ワイバーンの数倍の速さの、回避しても避けられない光の矢を放つ鉄竜ですとか、数万の兵を薙ぎ払う光弾の嵐ですとか…」

 

「ハッ、そんなわけがない。きっと諜報員も過酷な文明圏外勤務で頭がおかしくなってしまったんだろう。諜報員たちには休暇を出しておけ」

 

「はい。では、書類等は全て廃棄処分ということでよろしいでしょうか?」

 

「勿論だ」

 

 こうして、パーパルディア皇国国家戦略局によるロウリア王国支援の記録は、全て隠蔽されることになった。

 

 

ーーークワ・トイネ公国 政治部会ーーー

 

「…その後、ハーク・ロウリア34世が東亜連邦に捕らえられたことで、戦争は終結しました。ロウリア王国では各地で独立の兆しが見られており、反乱を抑えるためか我が国での占領地を放棄して撤退しています」

 

 そう、武官が説明する。

 

「再侵攻の可能性は無いのか?」

 

「はい。陸軍は国内の反乱を抑えるのに手一杯の様ですし、海軍、竜騎士団は東亜連邦の攻撃によりほぼ壊滅状態となっています」

 

 出席者に安堵の表情が広がった。さらに、技術部の貴族が手を挙げて発言する。

 

「先日の東亜連邦側の担当者との協議で、我が国への技術供与の制限を大幅緩和するとの話がありまして…実現すれば、我が国は各分野で大きく成長できると思われます」

 

「おお…」

 

「何と…」

 

 技術部長の発言に、東亜連邦の力を知る面々から驚きの声が上がる。

 

 凄まじい技術力を持つ東亜連邦。技術供与を受ければ、国が発展する。それは、誰にとっても嬉しいことだった。

 

「今後が楽しみだな。では、これにて政治部会を終了とする」

 

 カナタの声で、政治部会は終了となった。

 

 

ーーーグラ・バルカス帝国 情報局ーーー

 

 ピピーピーピピーピーピーピピーピピピピピピピピー

 

 小さな部屋に連続してモールス信号の様な電子音が鳴り響く。

 

「部長、ロデニウス大陸での戦争についての結果が届きました」

 

 黒い制服を着た男が上司へ報告する。

 

「ふむ。結果は?」

 

「はい。ロウリア王国は、東亜連邦の参戦によりクイラ王国・クワ・トイネ公国との戦争に敗北。国内は分裂状態に陥りました」

 

「何だと?」

 

 部下の報告を聞き、上司の男は驚く。

 

「我々の予想ではロウリア王国がロデニウス大陸を統一する筈だったが…東亜連邦、一体どんな国なんだ?」

 

 上司の呟きを受けて、部下は詳細な報告をする。

 

「詳しいことは分かっていませんが、ロウリア王国と戦った際には4000隻以上の艦隊と多数のワイバーンを全滅させている様です」

 

「ふむ」

 

「装備に関しては、1万t級巡洋艦や空母、250m級の艦を保有している様です。しかしながら、どの艦も15cm級の砲を4〜6門程度しか搭載していません」

 

「随分と不可解な装備だな…もっと詳細な情報は得られなかったのか?」

 

「申し訳ございません。ジン・ハーク攻撃時、担当職員は次の戦場と予想されたビーズルに居た為、ジン・ハークでの情報収集は戦後となってしまいました」

 

「まあいい。詳しいことは技術部に回そう。そういえば、海軍がレイフォルを攻略する予定だったな」

 

「はい。既にレイフォル艦隊を捕捉している様ですが、提督は空母を使わずグレードアトラスター1隻のみを向かわせるそうです」

 

「新鋭戦艦を随分と贅沢な使い方をするものだ。まあ、戦場伝説を作るには丁度いいだろう」

 

 

ーーー東亜連邦 北京 首相官邸 閣議室ーーー

 

 北京の首相官邸にある閣議室で、閣議が行われている。

 

「ー次に、新世界情勢の動向についてです。国防大臣、お願いします」

 

 官房長官が促し、国防大臣が発言する。

 

「まず、新世界における情報局の情報収集についてお話しします。情報局ではクワ・トイネ公国との国交締結以来、内閣補助室第四課及びクワ・トイネ公国の諜報機関と協力して情報収集を行っています」

 

「現在情報収集を行っている我が国西方の国家群は、主に第一、第二、第三文明圏と文明圏外に分類されており、各文明圏はそれぞれ一つの大陸で構成されています」

 

「我が国は現状文明圏外とされる位置にあり、外交上不利になることも予想されます。今後、いかに我が国の地位を向上させられるかが重要となってくるでしょう」

 

「我が国が文明圏外とはな…」

 

 誰かがそう呟く。

 

「また、列強という呼称が存在し、現在五カ国がそう呼称されているようです。これらの国は…魔法を考慮して18〜20世紀程度の技術力を有している様であり、攻撃的な性格のものもあることから、注意が必要です」

 

 国防大臣は発言を終え、着席した。

 

「次に、文部科学大臣、お願いします」

 

 文部科学大臣が立ち上がり、口を開く。

 

「新世界における宇宙環境、宇宙開発についてお話しします。新惑星は地球に比して大きく、宇宙開発の難易度は地球に比べて大きく上がると考えられていました」

 

 文科大臣は続ける。

 

「しかし、実験的に計測装置を取り付けたロケットを打ち上げたところ、一定高度から重力加速度が減少。原因は未だ判明していませんが、検討の結果、従来の打ち上げロケットでも補強によって比較的容易に打ち上げが可能となることが分かりました。この結果を踏まえて、現在ロケットと衛星の打ち上げに関する研究を進めています」

 

 カーナビゲーション、天気予報、衛星通信、発電、偵察…東亜連邦に限らず地球では人工衛星などの宇宙事業が非常に重要になっており、それらが使えないというのは、社会に大きな影響をもたらす。クワ・トイネでの活動だけを見れば影響はあまり無い様にも思えるが、実際は大変な苦労があるのだ。

 

 閑話休題。

 

「次に、経済産業大臣、お願いします」

 

 経産大臣が話し話し始める。

 

「クワ・トイネ公国及びクイラ王国に対する技術供与についてお話しします。現状我が国は食糧と資源の多くをこの両国に頼っており、両国は我が国にとって生命線とも言える存在です」

 

「しかしながら、先のロデニウス戦役で示されたように、両国は非常に脆弱です。また、東にある『列強』パーパルディア皇国は19世紀程度の技術力を持ち、非常に攻撃的であることが分かっています」

 

「我が軍は基本的に他国への駐留は想定されていませんし、海上優勢を確保すればある程度の防衛は可能ですが、我が国の海岸線が大きく広がったこともあり、艦艇を常時派遣するわけにもいきません」

 

「万全を期すため、将来的には少なくとも軍事面では第一次世界大戦級の技術を供与する予定です。その他のものでは基本的に我が国に準じたものとしますが、構造が簡単で技術を抑えた劣化版とします」

 

 経産大臣が着席した。

 

「次はー」

 

 その後、いくつかの議題が話し合われた後、閣議は終了した。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。