東亜連邦召喚※この作品は未完のまま更新停止しました   作:東亜連邦

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東亜連邦の兵器「何がしたかったのかはわかるが、そこ
までする必要があったのか?」


エジェイの戦い 

 ーーー中央歴1639年4月30日 クワ・トイネ公国 政治部会ーーー

 

 国のトップが集まる政治部会。そこでは、観戦武官ブルーアイがロデニウス沖大海戦の戦果報告を行っていた。

 

「ーーー以上が、ロデニウス沖大海戦の戦果報告です」

 

 政治部会の面々の手元には報告書が配られている。

 

 

 ーーロデニウス沖大海戦に関する報告書ーー

 

 作成 公国海軍第二艦隊作戦参謀 ブルーアイ

 

1. 結果

 

 参加兵力

 公国海軍第二艦隊 50隻

 東亜連邦統合軍クワ・トイネ派遣艦隊 9隻

 

 ロウリア王国海軍 4400隻

 

 被害

 公国海軍第二艦隊 0

 東亜連邦統合軍クワ・トイネ派遣艦隊 0

 

 ロウリア王国海軍 4400隻(全滅) 

 

 …

 

 

 誰もが、信じられないという目でブルーアイを見ている。

 

 外務卿のリンスイが頭を抱えて発言した。

 

「では、東亜連邦はたった9隻でロウリア王国の軍船4400隻を全滅させ、我が海軍は戦闘に参加すらできなかったと?しかもワイバーン250騎を10秒余りで全滅させたなど…君を疑うわけではないのだが、荒唐無稽すぎて信じられんのだよ、ブルーアイ君」

 

 それは、この場にいる誰もの心の声を代弁するものだった。

 

「しかも、一撃で軍船を破壊したとあるが、いったいどのような攻撃を行なったのだ?」

 

「東亜連邦の武官に聞くと、『カンポウ』で攻撃を行ったとのことです。何でもかんでも火薬の爆発力で弾を飛ばし、当たった弾は爆発するという兵器だそうで…」

 

 技術部長の貴族が口を開く。

 

「それは…我が国が東亜連邦より輸入し、研究を行なっている『大砲』という兵器に原理が酷似していますな。聞いた話によると、東亜連邦は彼の国が元いた世界の基準では、我が国よりも1000年ほど進んでいるようです。遥かに発展していても不自然ではないのかもしれません」 

 

 一段落したところでカナタが口を開く。

 

「いずれにせよこの戦いでロウリア海軍は壊滅した。海上からのこれ以上の侵攻は不可能だろう。それで軍務卿、陸の方はどうなっている?」

 

「はい。現在ロウリア軍はギムに陣地を構築しており、守りを固めてから再び進撃する模様です」

 

「うむ。ああ、そうだ軍務卿。東亜連邦の動きはどうだ?」

 

「えー、む…東亜連邦が現在エジェイの東5kmの地点に3km四方の土地の貸し出しを求めています」

 

 軍務卿が、申請書をカナタに回す。

 

「陣地でも構築するつもりなのか?いいだろう。貸し出しを許可せよ」

 

 多少の反発はあったものの、東亜連邦による土地の貸し出しは許可された。この後、東亜連邦は同地に基地の建設を始める。

 

 

 ーーー中央暦1639年 7月22日 ロウリア王国 東方征伐軍東部諸侯団司令部ーーー

 

 ロウリア王国東方征伐軍東部諸侯団は、クワ・トイネ公国の城塞都市エジェイの西5kmに布陣していた。

 

「何か嫌な予感がするな…」

 

 東方征伐軍東部諸侯団団長のジューンフィルア伯爵は、考え込んでいた。

 

 東方征伐軍本隊からは『東部諸侯団はエジェイの西3kmに布陣せよ』との指令が来ていたものの、嫌な予感を感じるジューンフィルアは、東部諸侯団をエジェイの西5kmに展開させていたのだった。

 

 先日の会議では、魔導師のワッシューナが、マイハークに侵攻する為に出撃したはずの東方征伐海軍の軍船4400隻とワイバーン250騎が帰還していない、という噂が魔導師の間で流れていると言っていた。

 

 どう考えてもクワ・トイネにそんな力は無いだろうが、ワッシューナは、魔導師の間では最近参戦してきた「東亜連邦」という国の仕業では無いか、と言われているのだという。

 

 東亜連邦がどのような国なのかは見当もつかない。

 

 もしそれが本当のことなのだとしたら、その「東亜連邦」という国は一体どれだけの力を持っているのだというのか。まるで古の魔法帝国の伝説のようだ。そんなことができる国があるはずがない。

 

 それに、問題はまだある。指令には『エジェイに威力偵察を実施せよ』とある。エジェイは城塞都市だ。ただの街であるギムとは防御力の格が違う。

 

 威力偵察で十分な成果を得られなかったと判断されたり、大きな損害を被ったりすれば、責任を取らされ、死亡率の高い突撃隊に配置される可能性もある。

 

 いずれにせよ、割りを食うのは東部諸侯団の諸侯達だ。諸侯達は胃を痛めて作戦に備えていた。

 

 

 ーーー城塞都市 エジェイーーー

 

 ロウリア王国との緊張が高まりつつあった頃、クワ・トイネ公国は侵攻に備えて城塞都市エジェイを建設した。

 

 エジェイには、高く堅固な城壁、城壁を突破されても容易には攻められない街の作り、豊富な兵糧、多数の兵を駐屯させられる施設がある。

 

 まさに鉄壁。これだけの設備と兵力を誇るエジェイなら如何なる攻撃も跳ね返せるだろう。

 

「ノウ将軍、東亜連邦統合軍の方々がいらっしゃいました」

 

「来たか」

 

 政府の指示で協力しているが、ノウは東亜連邦に対して良い印象を持っていなかった。超巨大船という圧倒的な兵器を見せつけながら接触してきた。これでは圧力外交ではないかと思っていたのである。

 

 ロデニウス沖大海戦ではロウリアの軍船4400隻とワイバーン250騎を全滅させたなどと言っているようだが、いくらなんでも脚色しすぎだろう。

 

 そんな時、ロウリア軍およそ2万がエジェイへ向かっているとの情報を耳にした。陸戦は数で決まる。だというのに東亜連邦はたったの1万人しか派遣していない。勝つ気があるのならせめて4万は送れとノウは内心思ったものだ。

 

 東亜連邦軍はエジェイの東5kmの地点に基地を作って駐屯しているようだ。彼らも1万人程度では前線に出るのは厳しいと理解しているのだろう。

 

 いずれにせよ、ロウリア軍を退けるのは我々だ。彼らの出番はないだろう。と、ノウは考えていた。

 

 応接室の扉がノックされる。

 

「どうぞお座りください」

 

 ノウは入室を促し、東亜連邦の兵達を迎える。

 

「失礼いたします」

 

 東亜連邦軍の3人が、一礼して入ってきた。

 

「東亜連邦統合軍、第45師隊長の孫・烈文(ソン・リェウェン)上校です。よろしくお願いします」

 

 彼らは3人とも緑を基調とした斑模様の服を着ている。腰には刀を佩用しているが、ノウの宝石を散りばめた気品ある服とは大違いだ。

 

 こんな奴らが東亜連邦の将だというのが、ノウには信じられなかった。

 

「これはこれは、よくおいでくださいました。私はクワ・トイネ公国西部方面師団の将軍、ノウと言います。この度の援軍、感謝いたします」

 

 ノウは続ける。

 

「孫殿、ロウリア軍は既にギムを落とし、ここエジェイの西5kmに布陣しています。しかし、ご覧の通り、エジェイは鉄壁の城塞都市。ここが抜かれることはないでしょう」

 

「我らの誇りにかけて、ロウリア軍は我々が退けます。東亜連邦の方々は基地から出ずに安心して後方支援をしていただきたい」

 

 ノウはほぼ直接『お前らは引っ込んでいろ』と言っている。

 

 孫もそれは理解した。そして、にやりと笑って続ける。

 

「わかりました。後方支援…では、我々は兵を…()()基地から出さなければ良いのですかな?」

 

「?…ええ、そうです」

 

「ああ、あと一点、お願いがあるのですが…貴方方との連絡の為に兵を数人、ここに置かせて頂きたいのですが、いかがでしょうか?」

 

「良いでしょう」

 

 必要最低限の内容の会談が終了した。

 

 

「まったく、彼らにはプライドはないのか?」

 

「ここから5kmも離れていては、後方支援のしようがありませんよね。それにしても…なんとなく含みのある言い方でしたね」

 

「まあ、何にしろ、エジェイは鉄壁だ。ロウリア軍はかならず撃退できるであろうよ」

 

 ノウたちは東亜連邦のことなど気にもせず、目の前の敵を見据えるのであった。

 

 

 ーーー中央歴1639年7月26日 エジェイーーー

 

 ノウは頭を痛めていた。ロウリア軍が、エジェイの西5kmに展開しているのだ。ロウリア軍は2万ほどで。エジェイの兵力3万をもってすれば今から打って出れば勝つことはできるだろうが、それで戦力をすり減らして、後にやってくるであろうロウリア本隊に負けてしまっては元も子もない。

 

 相手が攻めてくるまで待てばいいのだが、問題は夜な夜な少数の敵兵がエジェイに近づいてきて威嚇をしてくることだ。また威嚇だろうと油断すれば本格的な攻撃に気づかないかもしれない。そこで、毎晩兵達を警戒に当たらせているのだが、この威嚇のために十分な睡眠がとれず、兵達の士気が下がっているのだ。

 

 虎の子のワイバーンを動かすという手も無くはないが、相手がワイバーンを保有していれば着陸時を狙われた時に攻撃され、大きな被害を受ける可能性もある。よって、ワイバーンも簡単には動かせない。

 

 …などと言っているが、要は、クワ・トイネは平和ボケしているのだ。実戦経験も大して無く、十分に訓練をしていた訳でも無いので、交代制で兵を警戒に当たらせる、ワイバーンを2隊にわけ着陸時は一方がもう一方を援護する、といった方法さえ思いつかない。

 

 こんな様子でロウリア軍が攻めてきたときに十分対応できるのか、甚だ疑問である。

 

 東亜連邦の連絡士官が口を開く。

 

「ノウ将軍、これより我々、東亜連邦はエジェイ西5kmにいるロウリア軍に対し、攻撃を行います。付近に友軍はいませんか?」

 

「いないが…あなた方は人を基地から出さないと言っていたのでは無かったかね?」

 

 と、ノウは少し棘のある口調で答える。

 

「ご安心ください。基地から『人』を出すことは絶対にありません。」

 

「は?ではどうやって攻撃を…?」

 

 屋上までの階段を上りながら会話を進める。

 

「それは今にわかりますよ」

 

 屋上に着いた。

 

「ああ、来ます。あちらを」

 

 連絡士官に言われてノウは東の空を見た。

 

「な…何だ!?あれは!」

 

 そこには、東亜連邦の誇る最新型低~中高度用無人機、27式無人攻撃機が一機飛んでいた。

 

「は…速い!」

 

 27式無人攻撃機が、ノウたちの頭上を通り過ぎてゆく。

 

 27式無人攻撃機、略して27式無攻は、2027年に採用された遠隔操縦・自律操縦が可能な無人攻撃機である。見た目は、RQ-1やMQ-9、中国の「翼竜」をイメージするといいだろう。

 

 ノウとの約束は、「兵隊」を基地外に出さないことである。無人機は兵器であり、兵隊ではない。別に、ノウとの約束を違えているわけではないのだ。

 

 27式無人攻撃機は、ロウリア軍の上空に到達すると、旋回しながら何かを撒き始めた。どうやら降伏を勧告するビラを撒いているらしい。

 

(東亜連邦は一体何をしたいんだ?)

 

 と、ノウは考えていた。攻撃というのは、奇襲してこそ、最も高い効果を出すことができる。あんなことをしてはまるで利敵行為では無いか。

 

ノウがその理由を知る時はまだ来ない。

 

 

 ーーーエジェイ西 ロウリア軍陣地ーーー

 

 突然、謎の飛行物体が東から高速でやってきて、攻撃を加えるでも無く謎のものを投下して帰っていた。

 

 どうやらそれは紙のようだ。大陸共通語で何か書いてある。

 

『これより貴軍に攻撃を行う。直ちに降伏、もしくは撤退せよ』

 

「わざわざ攻撃を知らせてくるとは…異な事をする。まあいい。全隊!戦闘隊形!攻撃が来るぞ!」

 

 それにしても、先ほどの謎の飛行物体はずいぶん速かった。ひょっとして敵は我々よりも強いのではないか…そんな考えが一瞬ジューンフィルアの頭をよぎるが、すぐにそんなはずは無いと思い出す。

 

 ロウリアは、ロデニウス大陸に存在するロウリア、クワ・トイネ、クイラの中で最も兵数が多いだけではなく、第三文明圏の最強国家であるパーパルディア皇国からの支援を受けて、兵の質自体も劇的に向上している。

 

 世界的には、文明圏外国家ではあるが、小規模の文明国ならば勝てるだろうとの高い評価を受けている。

 

 そんなロウリア王国が、文明圏外国家しかいないような辺境の国に劣るはずがないのだ。

 

 だが、彼らは知らなかった。彼らが今戦おうとしている相手、東亜連邦は転移国家であるということを。

 

 彼らは知らなかった。東亜連邦は前世界、地球ではアメリカと鎬を削り、世界最先進国を自負する超大国であったということを。(当たり前だが)

 

 

 ーーー2時間後ーーー

 

 キーーン……

 

 何やら不気味な音がする。ジューンフィルアは音のする東の空を見上げた。

 

「!!」

 

 何かが4つ東の空から飛んでくる。先程やってきた飛行よりもずっと早く、見る見るうちに近づいてくる。

 

「総員、戦闘用意!」

 

 危険を感じたジューンフィルアは兵たちに指令を出した。兵たちは素早く動くが、以上に速い「それ」はもうすぐそこまで迫っている。

 

 よく見ると「それ」は矢じりのようなとがった形をしている。いや、どちらかというと凧型か?

 

 --何か落としたぞ!!

 

 兵の一人が声を上げる。

 

 「それ」は、太い矢のようなものを4機全部で8つこちらに向かって放ってきた。

 

 不意に、時間の進みがひどく遅く感じられるようになった。

 

 証拠は無いのに、確かな死の予感がする。

 

 飛んできた8つの物体が開いた。

 

 小さなものが中から大量に放出される。

 

 それらが地上に到達する、

 

 そう思われた瞬間ーー

 

 ーーバババババババッ!!

 

 放出された大量の子弾。

 

 それらは兵士達の体を粉砕した。

 

 ロウリア軍がいた場所からの、全ての(人間の)生命反応が、一瞬にして消失する。

 

 飛行物体が通り過ぎた後、そこに立っている人間は一人もいなかった。

 

 東亜連邦エジェイ基地から出撃した29式無人戦闘機4機は、8発のクラスター爆弾を投下。ロウリア王国軍 東方征伐軍先遣隊 東部諸侯団2万人を殲滅した。

 

 

 ーーーエジェイーーー

 

「………………」

 

 ノウは、一体何が起こったのか理解できていなかった。

 

 超高速の飛行物体が4つ上空を通り過ぎ、何かを落としたと思ったら、眼下に堂々と布陣していたロウリア軍が、一瞬にして殲滅された。一瞬。()()である。

 

 彼は言葉も出ない。反撃、いや反応する暇さえ与えず、まさに一瞬のうちに敵を殲滅する冷酷無残な攻撃。

 

 ロウリアの動きの素早さは、その練度の高さを示していた。彼らにも大切な家族がいたであろう。守りたいものがあっただろう。

 

 そんな敵が、彼らの人生をかけて体を鍛え上げてきた強敵が、その技を力を発揮することなく、ただ効率的に、瞬間的に殺処分される。

 

「これが………東亜連邦の………力………」

 

 ノウを含め、その場にいた全員が悟った。東亜連邦と自国との絶望的なまでの戦力差を。雲泥の差と形容するにも足りないほどの力の差を。

 

 防衛に成功したというのに、彼らの胸にあるのは無力感と謎の敗北感だけだった。




師隊は誤字ではありません。
1個師隊で約1万人、9個大隊です。

参考:
1個旅隊 約5千人、4個大隊 指揮官:大校(=大佐)
1個師隊 約1万人、9個大隊 指揮官:上校(=上級大佐)
1個旅団 約1万5千人、5個連隊 指揮官:少将
1個師団 約2万人、 5個連隊 指揮官:中将

1個軍 約10万人
1個軍集団 4個軍
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