東亜連邦召喚※この作品は未完のまま更新停止しました 作:東亜連邦
ーーー中央歴1639年7月26日 クワ・トイネ公国 政治部会ーーー
軍務卿の要請により、クワ・トイネ公国では政治部会が開催されていた。
軍幹部が前に出てきて説明を始める。
「それでは、これからエジェイ西で発生したロウリア軍との戦闘について解説します」
議題は当然、対ロウリア戦についてである。
「先日、城塞都市エジェイの西5kmに、ロウリア軍が布陣いたしました。規模は2万人と、エジェイに駐留する我が軍よりも少なかったため、先遣隊と思われました」
「兵力は多くはなかったものの、敵は昼夜問わず小規模の騎馬隊による威嚇を仕掛けてきたため、我が軍の兵が疲弊してきました。
ここで、東亜連邦がロウリア軍の対する攻撃の許可を求めてきました。これが今朝のことです」
「ノウ将軍はこれを許可、その後東亜連邦はロウリア軍に対し撤退を勧告する内容の警告を発令。しかしロウリア軍は撤退せず、逆に陣形を整え始めました」
幹部は軽く深呼吸して続ける。
「この後…えー信じていただけないかもしれませんが、お聞きください。その後、東亜連邦のものと思われる超高速の飛行物体が4機、ロウリア軍に接近。その4機が何かを投下した直後、ロウリア軍が全滅いたしました」
会場が静まり返る。
出席していた貴族のうちの一人が質問する。
「その言い方では我々には被害がなく、ロウリア軍が一瞬で殲滅されたかのように聞こえるのだが…私の聞き間違いかな?」
幹部が答える。
「その認識で間違いありません」
会場が騒然となる。
誰もが信じられないという顔をしている。まあ当たり前だが。現代でも、2個空母機動部隊が一撃ですべて撃沈された、などと言われて信じる者はいないだろう。
嘘のような話だが、この政治部会の場で正式に報告されるということは、事実確認も取れているということだ。出席している者たちもそれを理解し始め、会場はだんだんと静まっていった。
「これから配る資料を見てくれ」
会場が静まったのを見計らって、カナタが言った。
『ロウリア王国首都鎮圧計画』
「!」
「首都鎮圧…だと…」
数人の貴族が息を呑む。
「東亜連邦はまずギムに駐留しているロウリア軍を鉄竜で攻撃、その後ロウリア王国首都ジン・ハークまで部隊を派遣し、国王ハーク・ロウリア34世を捕縛したいと言ってきている」
「可能なのか?そんなことが…」
驚く貴族たち。
「この作戦が成功した場合、我が国も軍を派遣し、ギムを奪還しようと考えている。なお、この作戦のために、一時的に東亜連邦軍の領内通行を許可する予定だ」
「領内通行か…」
「だが成功すれば戦争終結、失敗しても我々に損失はほとんどない」
「まさにローリスク、ハイリターンだな…」
思案する貴族たち。
結局、この首都鎮圧計画案はその日のうちに可決された。
---翌日 中央歴1639年7月27日 ギム ロウリア軍陣地ーーー
「戦場の確認はどうなっている!」
「まもなく飛竜部隊が到達します!」
怒号が飛び交う。
ギムのロウリア軍陣地では、混乱が発生していた。
昨日、エジェイ付近で威力偵察を行っていたはずの先遣隊との通信が、突如途絶えたのである。
先遣隊とはいえ2万もの兵。クワ・トイネごときに連絡をする暇もなく全滅するなど考えられない。
ともかくまずは確認が先決だ。
ーーーロウリア竜騎士団 東方征伐軍第三飛竜小隊 竜騎士ムーラーーー
竜騎士ムーラは、先遣隊が消息を絶ったはずのエジェイ西5㎞の地点に向かっていた。
第三飛竜小隊の12機は周辺で散開して偵察に当たっており、ムーラは、直接先遣隊がいた地点の偵察を命じられている。
そろそろ目的の地点が見えてくるはずだ。
ーーーーーー
高空を、この世界にはない飛行物体が飛翔する。
『CP、こちらナイト1。未確認の飛行物体12機を発見した。攻撃の可否を問う。送れ』
『CPよりナイト1へ、攻撃を許可する』
『こちらナイト1、了解。攻撃を開始する。ナイト2からナイト3はミサイル発射準備、送れ』
『ナイト2、了解。準備よし』
『ナイト3、了解。準備よし』
『ナイト1からナイト3、ミサイル発射」
シュウゥゥゥ……
音を立てて、3機から6発のミサイルが発射された。
ーーーロウリア軍竜騎士 ムーラーーー
「!」
竜騎士は、人間としては抜群の視力を持つ。何か、鎧のようなものを見た気がしたムーラは、低空飛行で近づいた。
「こ…これは!」
そこには、大量の鎧と人だった物の破片が転がっていた。
「そんな…ぜ、全滅?」
思わず目を背けるムーラ。だが任務はこなさなければならない。
減速して目標地点のすぐ上空を旋回する。ロウリア軍の旗が見えた。やはり東方征伐軍先遣隊のようだ。
ギムの本部に通信しようと魔信を手に取るムーラ。
「?」
非常に嫌な予感を感じたムーラ。
彼は思わず上空を見上げた。
次の瞬間。
遠くを飛行していた第三飛竜小隊の6騎が煙に包まれる。
「なっ……!」
驚きを隠せないムーラ。
ードォーン……
一瞬遅れて、爆音が聞こえた。
「くそっ!」
本能的に危険を感じたムーラは愛騎を駆って低空飛行に移り、回避機動を行う。
だが、マッハ5で飛翔するミサイルから逃れられるわけも無い。
ーダアァァァン!!!
爆音とともに、ムーラは意識を手放した。
ーーーーーー
『CP、こちらナイト1。12機全機の撃墜を確認。間もなく目標地点へ到達する。送れ』
『CPよりナイト1へ、了解。健闘を祈る』
ーーーギム ロウリア軍陣地ーーー
そろそろ飛竜部隊から連絡が来るはずだが、一向にその様子はない。魔信兵は飛竜部隊へ魔信を送る。
『司令部より第三飛竜小隊へ、送れ』
『………』
『繰り返す、司令部より第三飛竜小隊へ、送れ』
『………』
何度やっても通信が来ない。あまりに不審な状況。
「とりあえず報告しよう…」
通信兵は上官に報告するために席を立った。
ーーーギム ロウリア軍陣地 本部ーーー
「第三飛竜小隊が消息を絶っただと!?」
ギムのロウリア軍陣地は再び混乱に陥っていた。昨日の先遣隊通信途絶事件に続いて、偵察中の飛竜部隊が突然消息を絶ったのだから当然である。
将軍パンドールは対策のために緊急の会議を開いていた。
ーーーーーー
「現状は」
パンドールが作戦参謀に質問する。
「昨日の先遣隊に続き偵察中の第三飛竜小隊が通信途絶いたしました。詳しい調査のため、第五飛竜小隊を偵察に向かわせています」
二日連続の部隊の通信途絶という、ロデニウス史前代未聞の異常事態に、パンドールは頭を悩ませる。
作戦参謀は続けた。
「普通では考えられないことでありますが、先遣隊、そして第三飛竜小隊がクワ・トイネもしくは東亜連邦に殲滅された、という可能性がもはや無視できないものとなっています」
「確かにそうだな。現状の防衛体制は?」
「全部隊を警戒態勢に当たらせ、第一飛竜小隊と消息を絶った第三飛竜小隊、偵察中の第五飛竜小隊を除いた第一・第二飛竜
「60騎もか?多く…は無いか」
2万人もの部隊と12騎ものワイバーンを連絡をする暇もなく殲滅した可能性のある敵だ。最大限の警戒をせねばならない。
パンドールは気を引き締めた。
その時。
ダッダッダッダッ…
誰かが走ってくる。
「将軍!第五飛竜小隊との通信が途絶しました!」
「何だと!」
三度目の異常事態。
明らかに敵が近づいてきている。
一瞬の狼狽の後、敵の強さをおおよそ把握したパンドールは、警戒中のワイバーン隊に指令を出す。
「ワイバーン全騎発進!第一第二飛竜中隊は戦闘態勢!西へ展開せy」
ダァァァン!!!
突如、上空のワイバーンが爆散する。その数10。
「なっ!一体何が…」
ドォォォン!!!
さらに18騎。
ダァァァン!!!
続けて22騎。
キィィィン…
不気味な音が上空に鳴り響いた。
空に溶け込むような灰色をした、鏃の様な飛行物体が12機、後部から2本の炎を出しながらギム上空を通り過ぎる。
東亜連邦の主力ステルス戦闘機、27式戦闘機である。
その飛行物体は、離れたところで旋回し、煙を吐く光の矢を放ってくる。
回避行動を取るワイバーン。しかし、敵が放った光の矢は、一発も外れることなく10騎のワイバーンに命中、全てを撃墜した。
ロウリアの誇るワイバーン60騎が、あっという間に全て撃墜される。地上の兵達は一瞬で恐慌状態に陥った。
続いて、同じような形状だが、より尖った印象を受ける飛行物体が36機、飛来する。
あまりの恐怖に、ついに逃げ出し始める兵たち。
だが、「それ」は、逃げる時間を与えてはくれなかった。
猛烈な速度で飛来するそれらの飛行物体が、なにかを多数投下する。
「っ!総員退避ー!」
指令を出すパンドール。だがもう間に合わない。
敵が投下したそれらは、容赦なく地上に到達する。
閃光。
そして轟音。
周囲に猛烈な爆音が多数鳴り響く。
爆発が終わった時、そこに残るのは、多数の地面が抉られた跡と何かの残骸だけだった。
この日、ギムに駐留していたロウリア王国東方征伐軍本隊は、僅かな生き残りを除いて全滅した。
27式戦闘機はF22みたいな見た目だと思って下さい。