東亜連邦召喚※この作品は未完のまま更新停止しました   作:東亜連邦

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ジン・ハーク攻略 中篇

 ーーー中央歴1639年9月1日早朝 ロウリア王国 王都ジン・ハークーーー

 

 監視兵マルパネウスは、最も外側の第1城壁北東部にある第17監視塔で、見張りの任務についていた。

 

「あ〜眠いなぁ〜」

 

 先程起きたばかりのマルパネウス。

 

 今日はやけに霧が多い。見張りが面倒だな、とマルパネウスは周囲を見渡す。

 

 その中に、かすかな違和感を覚えたマルパネウス。違和感を感じた北東の平野を注視する。

 

 僅かに、緑色の異質な物体が確認できる。

 

「まっ…まさか!」

 

 マルパネウスは急いで魔信を手に取って叫んだ。

 

「緊急!緊急!第17監視塔より王都防衛本部!第1城壁北東部4kmに正体不明の物体をを複数確認!繰り返す、北東部にーー」

 

 報告を受けた王都防衛本部の本部要員達は眠い頭を一瞬で醒まし、兵舎全域に緊急出動準備命令を発令した。

 

 

 ーーージン・ハーク北東4km 東亜連邦統合軍第22師隊ーーー

 

 第22師隊は、砲兵2個大隊を除いてジン・ハーク北東4kmの地点に展開していた。

 

 ※参考までに第22師隊の編成をば。

 1個師隊 約1万人、9個大隊 指揮官:上校(=上級大佐、准将)

・師隊本部

・5個歩兵大隊(大)

・2個砲兵大隊(大)

・2個戦車大隊(大)

・支援部隊

 

「近いな…」

 

 戦車大隊長の少校(=少佐)がぼやく。

 

 現代の戦場で4kmは、結構近い方である。

 

 戦力が集中しているであろう敵陣地から余裕で砲撃が届く4kmの位置に布陣するというのは、現代戦ではかなり相手を舐め腐った戦い方だと言えるだろう。

 

 もう直戦いが始まる。

 

 作戦としてはこうだ。まず、砲兵大隊の砲撃により、3重になっている敵城壁のうち外側の2枚を破壊。これにより敵戦力を誘引し、敵兵力をある程度削減させる。

 

 夕暮れ頃に第22軍所属の特殊部隊、第31旅隊(の内1個小隊)と国境警備隊第040大隊(の内一個分隊)をヘリコプターで城内に突入させ、ロウリア王国国王ハーク・ ロウリア34世を逮捕するというものだ。

 

 敵を引き付けられなかった場合は、危険だが敵城近くに戦車を接近させ威嚇・攻撃を行う手筈となっている。

 

『砲兵大隊、砲撃用意…撃てっ!』

 

 戦闘が始まる。この戦争を終わらせる戦闘が。

 

 

ーーー王都ジン・ハーク 緊急会議室ーーー

 

 話は数分戻る。

 

 パタジンは会議室で緊急会議を開催していた。

 

 昨晩、国境の部隊から敵の大部隊が越境中との報告を受けたためである。

 

 正確に言うと、昨晩会議を開催したものの、何も決まらなかったため、今朝になって再び会議を開いているのである。

 

 敵はビーズルなどの町は無視して王都に直行してくるようだ。まだ時間はあるとはいえ、パタジンは対策を考えていた。

 

 そんなパタジンのもとへ凶報が舞い込む。

 

 ダッダッダッ…

 

 足音が聞こえる。随分慌てた様子だ。

 

「何かあったか?」

 

 バンッ!

 

 音を立てて勢いよく扉が開けられた。

 

「ぱっパタジン様!」

 

「どうした?」

 

「敵です!敵が王都付近に展開しています!位置は…」

 

 駆け込んできた防衛本部の連絡員の話を遮ってパタジンが喋りだす。

 

「馬鹿な!そんなわけ無いだろう!昨晩敵が越境したと報告があったばかりではないか!見間違いではないのか!」

 

「見間違いではありません!本当に敵g…」

 

 ドオオォォォン!!!……

 

 突如、城内に爆発音と轟音が鳴り響く。

 

「何だ!何が起こった!」

 

 叫ぶパタジン。すぐに別の連絡員が走ってきた。

 

「パタジン様!城壁が…第1、第2城壁が破壊されました!」

 

「………」

 

 一瞬広がる沈黙。何が起きたのか、すぐに理解できた者は一人としていなかった。

 

 数秒後。

 

「なっ…馬鹿なあっ!!!」

 

 この城は鉄壁だと思っていた。相手が列強であろうと防げるであろうと。

 

 しかし。無情にも。絶対的な信頼を置いていた城壁は、あっさりと破壊される。

 

「敵は一体…どれほどの強さだというのか…」

 

 城壁がたった一枚となった今では、城の防御効果は絶望的だ。

 

 敵に対して攻撃が通用するのかどうかもわからない。

 

 だが、何もしない訳にはいかない。まずは偵察だ。

 

「すぐに出せる部隊は?」

 

「騎兵400騎が今すぐに出せます」

 

  部下が答える。

 

「敵の強さを知りたい。威力偵察だ。ある程度撹乱させたら引き上げるように指示せよ!司令部は全員壁上に上がって敵の弱点を探れ!」

 

「はっ!」

 

ーーー城門付近ーーー

 

 王都防衛騎士団400騎か出撃する。

 

 機動力を持ち味とし、偵察や撹乱に威力を発揮する騎兵。騎士団長ヒージが部隊に活を入れる。

 

「我ら第32騎士団は、光栄にも敵へ初撃を与える任務を命じられた。敵を撹乱したら引き上げるぞ!全騎出撃!」

 

 第3城壁の北東の門から騎兵400騎が出撃する。敵との距離は約4km。5,6分で敵陣に到達するだろう。

 

 ヒージは城壁を破壊した大規模攻撃を警戒し、ある程度の散開とジグザグの前進を命じた。

 

 

ーーー第22師隊陣地 戦車大隊展開位置ーーー

 

『こちらCP、敵が城壁を出た。第1戦車大隊全車、砲撃開始』

 

『第1中隊、了解』

 

『第2中隊、了解』

 

『第3中隊了解。射撃を開始する。』

 

「第4中隊、了解』

 

 ウイィィン…

 

 機械音を立てて12式戦車の砲塔が回転する。

 

 ダァン!

 

 12式戦車64両の120mm滑腔砲から放たれた砲弾が、ロウリア騎兵に向かっていった。

 

ーーーロウリア王国 第32王都防衛騎士団ーーー

 

 速度を上げて敵に接近しようとする騎兵たち。ヒージは部隊全体に弓を構えさせた。

 

 遠くに敵と思しき角張った物体が見える。

 

「あれが敵だな…ん?」

 

 約3.5km先の角張った物体から、何かが超高速で打ち出された。

 

 120mm砲弾64発が迫る。

 

 ダダダアァン!!!

 

 敵の攻撃が、走行中の第32騎士団の付近に一斉に着弾する。

 

「なっ!!」

 

 第32騎士団がいたあたりが土煙と爆炎に包まれた。

 

 煙を抜けて出てきたのは約200騎。

 

 一度に100騎もの兵が失われるという、前代未聞の攻撃。

 

 更に、間を置かずに再び敵の攻撃が放たれる。

 

 城壁を破壊したとき程ではないものの、高威力の攻撃は一瞬にして再び100騎の騎兵と馬の命を奪う。

 

 僅か5秒ほどで半数もの兵を失った第32騎士団は、退却を命じられる間もなく総崩れとなってジン・ハークに撤退した。

 

 

ーーー第3城壁 壁上ーーー

 

 一瞬で壊滅する第32騎士団を見て絶句するパタジン達。

 

「なんという威力…」

 

「まるで神竜のブレスだ…」

 

「攻撃範囲に到達すらできないとは…っ」

 

「速射性も高いようだ、あれでは近づけん」

 

「遠くてよく見えんが、しかもあれは100はあるぞ」

 

 参謀たちが議論を始める。

 

「そういえば、ビーズルの部隊は無事なのか?」

 

 本部に戻っていたパタジン達。パタジンは通信兵に聞いた。

 

「はい、全隊無事との報告が来ています」

 

「今すぐここに向かわせろ。この距離なら3日もあれはつくだろう」

 

「はっ!」

 

 通信兵が持ち場に戻っていく。

 

「総力戦か…」

 

 呟くパタジン。

 

 自分の指揮で国の運命が左右される。その重圧に、パタジンは圧し潰されそうだった。

 

 

ーーー城門付近ーーー

 

「進めえーーーーっっ!!」

 

 ジン・ハークの北と東の城門から、多数の兵が飛び出してゆく。

 

 歩兵、弓兵、騎兵…。多種多様な兵科が混じっている。

 

 彼らは城門を出ると散開し、敵に向かっていく。強烈な爆裂攻撃を放ってくる敵に対しては、密集隊形は危険と考えてのことだ。

 

 圧倒的な強さの敵を前にして、作戦などは役に立たない。そう考えたパタジンたちは、散開してひたすら敵に向かう…すなわち、人海戦術をとった。

 

 その数、3万を超える。

 

 平原を埋め尽くすように進撃するロウリア軍。そこに、先ほどの爆裂攻撃が襲い掛かる。だんだんと兵力を削られていくロウリア軍。しかし、その数、そして散開していることもあって、先程までのようには被害を受けていない。

 

 ロウリア軍の兵士たちは、なおも進んでいった。

 

 

ーーー東亜連邦第22師隊陣地ーーー

 

 次から次へと敵が押し寄せてくる。敵はまだ遠く、今のところ戦車砲のみで対応しているが、どう考えても足りないだろう。

 

「第一戦車大隊、及び第一から三歩兵大隊は陣地にて防衛。第二戦車大隊及び第四、第五歩兵大隊は敵の右側面に回って攻撃せよ」

 

『了解』

 

 部隊が行動を開始する。

 

 

ーーージン・ハーク城壁上ーーー

 

 再び城壁に戻ってきていたパタジン達。

 

 眼下を数多の兵が進撃する。

 

 すると、敵陣地から土煙が上がった。

 

「何?」

 

 先程の角ばった物体よりは小さいが、同じように角ばった物体が多数、敵陣地を出た。

 

「どこへ行く…?」

 

 凄まじい速度で移動する敵部隊。あっという間に進撃する部隊の側面に回り込む。

 

「まずいな…」

 

 拳を握りしめるパタジン。ロウリア軍の横に回った敵部隊は、正面の敵と共に凄まじい光弾の嵐を吐き出してきた。

 

 車載機関銃の12.7×100mm弾がロウリア軍部隊に次々と着弾する。

 

 

ーーーロウリア軍前線部隊ーーー

 

 進んでいくロウリア軍。敵の一部が、騎兵かと思うような速度で進んで横に回り込む。

 

 敵から吐き出されるは猛烈な光弾のブレス。歩兵や騎兵たちは敵の攻撃に構わず進み、重装歩兵たちは敵の攻撃に備えて盾を構える。個々の兵がそれぞれ防御態勢をとる。

 

 だが、全て無力だった。敵の光弾は歩兵も馬も一撃で引き裂き、死に至らせる。高い防御力を誇る重装歩兵でさえ、盾ごと貫通され、バタバタと倒れていった。

 

 悲鳴や怒号、断末魔の声が戦場に響く。敵の攻撃に対して彼らはあまりにも無力。しかし、やはりロウリア軍の数は多い。被害をあげながらも兵士たちは着実に敵に近づいていった。

 

「あと1kmか…」

 

 呟くパタジン。しかし、その希望は一瞬にして砕かれる。

 

 ドォン!ドドォン!!!

 

 突如、兵士たちがいる地面やその真上で広範囲に爆発が起こる。

 

 155mm自走榴弾砲部隊の砲撃が開始されたのだ。一瞬にして広範囲の兵士達が薙ぎ払われ、倒れて行く。

 

 あっという間に減っていく兵士たち。

 

「バカな!」

 

 パタジンがそう叫ぶ間にも兵士たちが次々と倒れていく。

 

「クソっ!撤退だ!残りの友軍を全て引き上げさせろ!全隊撤退!」

 

 凄まじい損害を目にしたパタジンは、撤退を指示した。

 

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