ガルディオス家左の騎士たるナイマッハの一員として、主を護る
有事の際は剣を抜き、その身を盾とし、主を守護せよ。
物心ついた頃から言われ続け、否応もなく正しいと信じた言葉。
来る日も来る日も血まみれになりながら、励み続けた修行時代。
耐え続けた、否、それができたのは、自分と同じ境遇の少年がいたから。
同じ日に生まれた幼馴染にありがとう、と告げれば、『俺もお前がいたから耐えられたんだ』と笑顔を向けられた。
『大好きだよ! あいしてる、ってやつ!』
勢いで自分の思いを告げれば、彼は顔を真っ赤に染めて嬉しい、と呟いたのを、お互いの体を抱きしめ合い、拙いくちづけを交わしたことも、昨日のことのように覚えている。
護るべき主人が新たにご誕生される。
伝えられた朗報に、二人で顔を見合わせて事態を見守った。
奥方のご出産。待望の世継ぎ──長男の誕生。
彼と対面したのは、数日経ってからのことだった。
『お前たちが新たに御護りするのは、こちらの 様だ』
幼い赤ん坊が、母親の腕の中ですやすやと眠っている。
鮮やかな金髪の、可愛らしい赤ん坊だった。
『抱いて御覧なさい』
奥方じきじきに言われては断ることもできず、嬰児を両の手に抱く。
赤子が目を開いた。澄んだサファイアの瞳が彼女の顔を映す。
母親の手から離れたにもかかわらず、きゃっきゃっとはしゃぐ幼い主を見て、隣で興味津々といった様子の彼にこっそり微笑みかけた。
彼とともに生涯、この嬰児を護っていくのだろう。
いつかは自分もこのように子を産み、ガルディオス家を永遠に守護してゆくのだろう。
──そう信じて、疑わなかった。
あの惨劇が起こるまでは。
──夢を見ていた。幼い頃の。
何も知らず、何も気づかず、ただただ幸せではなかったけど、ただ前だけを見ていた日々。
前だけを見ていれば、望まれた成長を遂げて、教え込まれた役目を果たす努力をしていれば、許された日々。
もう二度とは戻れない、ガラクタさえ残らず、崩落の一途を辿った故郷の夢。
壊した連中は、まだ生きている。死んだ奴もいるが、生きている奴もいる。
今なら、殺せるのに。殺すだけなら、できるのに。
殺したところで何も戻りはしない。やり返すことは虚しい。
恨みを抱いた者がそのことを忘れ、幸せになることこそが、最大の復讐だと
──そんなものは幻想だ。それがわかっていて尚、復讐なんかしないほうが利口なのだろうと自分に言い聞かせる。
心の奥底にある、小さな熾火。いつかこれに燃料が足されて、火柱となって、自身を呑み込んでいく日が来る。
懐かしい夢を見たせいで感傷的になっている心に喝を入れるように、シーツを蹴って飛び起きた。
次回からゲーム本編が始まります。