the abyss of despair   作:佐谷莢

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第九十八唱——国家権力なんて……汚い

 

 

 

 がしゃり。

 冷たい鉄輪が、空蝉の両手を拘束する。

 

「……シア・ブリュンヒルドさん。あなたを、マルクト軍属詐称の容疑で拘束します」

 

 そう言って、アスラン・フリングス少将は己の任務を果たそうとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 外見退行を起こしたスィンの状態異常を治癒する暇もないまま。

 一行はマルクト首都、グランコクマへたどり着いていた。

 

「ま、あんな洟垂れの作品が永続するとも思えません。長くても一ヶ月くらいで自然治癒できるでしょう」

「……だからって、解析くらい手伝ってくれてもいいじゃないですか……」

 

 ぶちぶち言いながら、空蝉の隣を歩くプチスィンがボヤく。

 丸っこくなった瞳の下にはべったりとクマが張り付いていた。

 毎日毎日限界まで空蝉を具現化させ、狭い機内で空蝉の戦闘のみではない体捌き操作の訓練、更に自分の身に起こった多大なる変化の検査など、多忙な刻を過ごした結果である。

 

「気持ちはわかりますが、被験者の血液だけでわかることなど微々たることですよ。被った分は洗い流してしまったのでしょう?」

「そりゃそーですけどね、有事に備えて自分のできる最善のことはしときたいんですよ」

 

 薬を浴びて以降、特に目立ってこれといった変化はなかった。

 それは身長や体重だけでなく、外見や精神的なことにまで観察の対象に及んでいる。

 服用して一日ずつ、決まった単位で縮んでいくとか、反対に少しずつ効き目が切れて成長するとか、それらを想定していたのだが今のところその傾向は見られない。

 やはり解毒剤を摂取して、初めて効果は消えるのだろうか。

 そうなると、ディストに直接会って締め上げる必要があるのだが……

 グランコクマのメインストリートを歩きつつ、スィンは一行の背中を見やって小さく欠伸をした。

 和平条約締結の旨は、イオンやナタリアが話すことである。スィンのするべきことといえば、これから初めて皇帝と謁見するであろうガイを見守るくらいだ。

 スィンは皇帝と面識はあるが、まさか紹介する形にはなるまい。双方、非公式なのだから。

 問題は、子連れの姿たるスィンが皇帝の、重臣たちの目にどのように映るかだが……いっそ空蝉は連れて行かないほうがいいだろうか。

 いや、そもそもスィンは同席しない方がいいかもしれない。

 ただ黙々と歩く隣の空蝉を見やる。

 当初は歩かせるだけでも精神的に消耗していたが、今では咄嗟に人間らしい反応をさせるくらいのことはできるようになった。

 今や、彼女の視点に切り替えて操作に集中しなければならないのは、専ら戦闘に関することだ。でなければさせたことのない動作か、あるいは声を出す訓練か。

 声帯に異常はないはずだが、これまで空蝉が肉声を発したことはない。

 空蝉をここまで自在に操れること自体僥倖であるために、自分への負担を悪戯に増やさないようあまり気にかけはしないことにしていたが……

 ふと、前を歩いていた彼らが足を止める。見れば、そこには兵士数名が敬礼をしているところだった。

 彼らの視線は、もちろんジェイドに向けられている。

 

「カーティス大佐! 伝書鳩が届いております、至急宮殿へ」

「ご苦労。これから向かうところだ。陛下に謁見の許可を」

「はっ!」

 

 パタパタと兵士らが駆け去るも、三人ほどの兵士はその場に留まったままだ。

 

「どうした?」

 

 不審がるジェイドに、彼らはどこか言いにくそうに口を開いている。

 

「大佐……その、シア・ブリュンヒルドという女を引き渡していただけますか?」

 

 ──来た。

 ぐぐっ、と拳を握りこみ、空蝉を見やる。

 一方、ジェイドは髪の毛一筋ほども表情を変えず、尋ね返していた。

 

「それは何者を指している?」

「……は?」

「連れに対し誰を指して、引き渡せと言っている? 誰より出された命令で、引き渡す理由を列挙しろ」

 

 聴き慣れないジェイドの、軍人としての口調。部下に敬語はやっぱりよくないのだろうか、それにしても耳に慣れない。まるで別人を見ているかのようだった。

 それはさておき。

 これまで、ジェイドはスィンのもうひとつの名である『シア・ブリュンヒルド』を耳にしているはずだ。

 スムーズに進むだろうと予想していたこの地で、突然のその言葉に動揺しているのだろうか。はたまた──スィンを護ろうとしてくれているのかもしれない。

 ガイを初めとした一行はといえば、ジェイドの意図を測りかねてはいるもののアニスによってシアが誰なのか、確認はなされている。

 皆、不用意に口を開かずただ成り行きを見守っていた。

 兵士たちは該当者を連れて来い、との伝言しか受けていないらしく、困ったように目配せをしている。

 話にならないとばかりにジェイドが鼻を鳴らし、それ以上彼らに取り合うことなく先を進もうとした矢先。

 

「カーティス大佐。お騒がせして申し訳ありません」

 

 どこか緊張した面持ちで、フリングス少将が現れた。

 彼、というか将校クラスを寄越したということは……皇帝は、謁見の間でスィンと顔を合わせる気がないらしい。

 事情説明を求めるジェイドをいなし、彼はまっすぐにスィンへ──正確には空蝉へ歩み寄ってくる。

 その歩みに、何ら戸惑いはない。

 

「雪色の髪、緋の瞳……お嬢さん、失礼ですがお名前は?」

 

 空蝉はそれに答えず、無言で真後ろを見た。

 しんがりに立っていたせいで、誰もいない。強いて言えば、心なしか無表情のプチスィンが静かに佇んでいるくらいか。

 

「んー、おしい。前者二つは該当しますけど、お嬢さんじゃあないんでアウトです」

 

 朗らかに人違いを揶揄するも、フリングス将軍の表情は揺らがなかった。

 外したか、と考えた矢先。

 

「あの、あなたは以前、陛下とお会いしたシアさんで間違いありませんか?」

「……肯定しときます」

 

 と、答え、尋ねた瞬間。

 冒頭へと至る。

 

「どういうことです、陛下は……」

「カーティス大佐。上意です、介入は控えてください」

 

 わずかとはいえ、驚愕を隠しきれていないジェイドをフリングスは鋭く制した。

 その様子に、ガイがカースロットによって倒れ、親身になってくれた心優しき将軍の面影はない。

 実力はともかく、彼は少将、階級上ジェイドの上司だ。大佐であるジェイドに、彼への抑止力はない。

 階級上では。

 

「……ふむ。すべては陛下にある、と考えてよろしいですか?」

「──ジェイド・カーティス大佐。この件に関しての介入を禁ずる。貴公の用事に戻られよ」

「しかし……」

「お芝居はもういいですよー」

 

 それまで興味深そうにジェイドとフリングスのやりとりを眺めていたスィンは、わざとらしく欠伸を零した。

 

「想像はついています。弁解の余地あらば、あなたの主の御許でいたしましょう。だから早めに済ませてください。こんな茶番に付き合うほど暇をもてあましていません」

 

 そう言って、スィンはあっさりと連行された。その後ろには、当然のようにプチスィンが付き添っている。

 ガイに荷袋は渡してもロケットを置いていかなかったということは、それほど大したことはないだろうと予測しているのだろうか。

 プチスィンがついてきたことを、兵士は軽くいぶかしがっていたが、フリングスが気に留めず、さっさと連行を促した時点で黙認されている。

 

「ど、どういうことですか? スィンが、軍属詐称とは……」

「……スィンは以前、マルクトの軍服をまとったまま陛下と会ったことがあるんです。事情を話してはおいたのですが……お咎めなしにはできなかったようですね」

 

 狼狽するティアに対し、早くも平静を取り戻したジェイドが、ずれてもいない眼鏡のブリッジをくい、と持ち上げた。

 

「……旦那。スィンは、どうなる?」

「ご安心を、ガイ。元凶と思われる陛下をシメ……もとい陛下に直談判をして、悪くても書類送検で済ませてもらいます。拘留なぞされた日には、著しい戦力低下が見込まれるのでね」

 

 それだけではない。

 このまま彼女を放っておいたら、ケセドニアにて交わした約束を放り出したことになる。口約束とはいえ、ただでさえ薄い信頼を損ねるようなことは避けたかった。

 よほど急がせているのか、二人を囲むように連行していく兵士たちの背中はひどく遠い。

 突然の出来事に戸惑いを隠さない一同をせかすように、ジェイドもまた歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、空蝉と共に連行されるスィンは、歩きながらこの後の展開を考えられるだけシミュレートしている。

 問答無用で牢屋に放り込まれるかもしれない。

 まさか軍属詐称でいきなり処刑されることはないと思うが、相手は母の仇を知ったばかりで殺る気満々のスィンを知る皇帝なのだ。

 第三師団師団長暗殺容疑で尋問、あるいは拷問にかけられるかもしれないし、いきなり何かの刑罰を課せられるかもしれない。

 逃げようと思えば、それは可能だった。

 手錠をかけられているのは空蝉なのだから、空蝉を放棄すればそれでいい。とにかく逃げるだけだったら、たとえ皇帝の眼前でも自信はある。

 だが、ガイの手前、ただ逃げるだけでは駄目だ。ちゃんと身の潔白を証明してから、胸を張って皆の、ガイの元に戻るのが一番いいに決まっている。

 だからこそ、スィンはこの連行に応じた。どうせ何を聞いたって、ロクな返事はないだろう。

 虎穴に入らずんば虎子を得ず。あえて危険に身を投じるも、また選択肢のひとつだ。

 白と青を基調とした宮殿前を通過して、マルクト軍本部へと誘われる。と、ここで初めてフリングス少将は足を止めた。

 

「あの……失礼ですが、こちらの少女はあなたのお子さんですか?」

「答える義理はありません。この子のことならお気になさらず」

 

 空蝉にツンケンと、そう答えさせ、自分はその空蝉の足元にきゅっ、としがみつく。

 ついでに上目遣いでフリングスを含む兵士たちを見上げれば、彼らは文句を言う気も殺がれたように二人を軍本部へと入らせた。

 もしかしたら、スィンの言うことにいちいち構うなという注意がされていたのかもしれない。

 彼らのあっけなさに、スィンは肩透かしを感じつつ、そんな推測をしていた。

 以前は半ば迷いつつ彷徨ったマルクト軍本部を、豪華な案内の元、すいすい進む。

 途中、フリングスは連れていた兵士を仕事に戻るように、と言付け、最終的にはフリングス、空蝉、スィンという寂しい隊列となった。

 これまでスィンたちが暴れなかったことを鑑みて、マルクト軍本部内なら護送は将軍一人で足りる、との判断に至ったのだろうか? 

 兵士数人で足りる、と考えなかった辺り用心深いのか真面目なのか、はたまた責任感が強いのだろうか。

 これでぐんと逃げやすくなった、というのが実の感想だが、人質が取れなくなった分、成功させにくくもなった

 まさかとは思うが、わざと逃げるよう仕組んで罪を重くさせるつもりなのだろうか。

 とめどなく溢れる不運な未来像に内心顔を曇らせていた矢先。沈黙に耐えかねたのかフリングスが口を開いた。

 

「……何も、聞かないんですね」

「聞いたら何か教えてくれるんですか」

 

 会話終了。これで何か続けろと言っても、それは酷な話である。

 それほどまでに、彼女の口調は凍っていた。

 スィンの心情がそのまま表れた空蝉の言葉では、当たり前だったが。

 

「いきなり軍に連行されて、不安はないのですか?」

「不安に思うよりも、考えるのが先なんで。これから先に何が待つのかを想定し、その都度対策を練るほうが利口だと思います」

 

 嘘ではないが……真実は言わなかった。

 不安はないのか? もちろんあるに決まっている。

 だからといってそれを表に出しても、相手の思う壺ではないか。ならば平静を装って、平静になりきった方が実りある結果を出せる。

 多分。

 取り付く島もない空蝉に、フリングスは本人に気づかれまいとしてか、実に小さなため息をついている。流石に罪悪感が湧いてきた。

 だが、不安と緊張で余裕が出せないのは事実だ。そろそろ仕掛けたほうがいいだろうか? 

 

「……沈黙は、お嫌いですか? 罪人の機嫌を取る意味などないでしょうに、そんなに嫌なら、部下に押しつければいい話じゃないですか」

 

 空蝉ではなく、スィン本人の口で話しかける。

 初めて口をきいたプチスィンに、彼は驚いたように彼女を見下ろした。

 ここ数日で、舌足らずな話し方はどうにか改めてある。

 

「……聡明なお嬢さんですね。この間お会いしたときにはいなかったように思いますが……」

「いなかったんだから当たり前じゃないですか」

 

 一刀両断に近い、鼻先でぴしゃりと締め出されたような感じすら覚える言い草だった。

 当然のことながら、フリングスは気圧されたように沈黙してしまっている。

 ……そろそろいいか。

 

「ところで、あなたは僕の特徴をどこで入手されました?」

 

 これまでとは、打って変わった人間味溢れる口調である。

 事務的な感は拭えないものの、今までの永久凍土にも似た響きと比べれば春を迎えたような暖かさ、否温かさがあった。

 フリングスは喜んで質問に応じてくれている。

 

「失礼ですが、グランコクマに入られたそのときに確認させていただきました。事前に雪色の髪をした女性が来たら連絡しろとの通達がありましたので。緋色の眼、更に片側を眼帯で覆っていると陛下に報告したところ、あなたをカーティス大佐一行より隔離せよと」

「で、これですか。この後僕らはどうなります?」

「……すみません。ここから先は私も知らされていないんです」

「へえ。少将クラスにも内緒で、しかも使い走りさせたのですか。公私混同にも程があると思いませんか?」

「いえ、その……あなたには更に違う容疑もかけられている、と聞き及びました。詳細はわかりませんが、おそらくそちらが関与していると思われますが」

 

 予想通りだが、嬉しくない。

 最早意味もなくなってしまった眼帯は外して、再び黙り込む。

 フリングスはフリングスで、要らないことを口走ったでも考えたのか、それ以上何も尋ねてこなかった。

 ある意味では、その通りだが。

 やがて、彼は軍本部の奥まった一角にて立ち止まった。

 牢獄──ではないだろう。辺りの雰囲気が明るすぎる。同じ理由で拷問部屋も却下だ。

 もしも該当するなら腐臭、異臭の類があってもいいはず。

 完全防音設備なら聞いたことはあるが、完全消臭設備など聞いたことがない。せいぜい、香水をばら撒く程度だろう。

 ここには、そんな強烈な香りもない。無臭ではないが、これといって際立つ香りもないのだ。だから医務室とか、そんなオチもないだろう。

 周囲の雰囲気からして、研究室か何かではないかという推測が一番近いような気がする。

 しかし、調べられるようなことなど──ふと、スィンはある可能性を思い浮かべていた。

 

 もしも、スィンの抱える瘴気触害(インテルナルオーガン)が、皇帝の耳に入っていたとしたら? 

 

 今この場で調べられて、治療等を理由に一行から──ガイから、ジェイドから引き離されるかもしれない。

 それを考えて、スィンはいやいやと首を振った。

 そんな馬鹿な。自分の病状の詳細を知るのは、ベルケンドにいる医師なのだ。平常時はともかく、今のこの状況でマルクト軍の諜報員が、わざわざ調べることか? 

 もしかしたらジェイドが提出した報告書に疾患のことが載せられていて、それをピオニーが読み、興味を抱いて今まさに調べようとしているのかもしれない。

 しかし、音機関の発達がキムラスカよりは著しいマルクトの医療音機関なら、誤魔化すことは可能だ。調べられている最中、ちょっと第三音素(サードフォニム)を発生させれば、繊細な音機関はあっという間にショートする。

 それではキムラスカもマルクトも差異はない、という突っ込みは置いといて。

 まさか検査中、猿轡をされるということはなかろう。

 音機関がショートする程度の電流なら、身振り等動作は要らない。検査なら、たやすく免れることが可能だ。

 問題があるとするなら、それ以外の事態である。

 得られた情報が皆無に等しいこの状況、この先で何が待っているのか、または起こるのか、想像だけで未来を予想するには限度があった。

 フリングスの手が上げられ、規則正しいノックがきっかり三回、なされる。

 

「フリングスなら入れ。他は後にしてくれ」

 

 そんな応対が、閉ざされた扉の向こうでなされた。

 

「失礼します」

 

 一言断って、フリングスが扉を開く。そのまま続こうとして、足を止めた。

 彼はそのまま入っていこうとはせず、半分扉を開けた状態で中の人間に話しかけていたからだ。

 

「ん? どうした」

「──その、子供を連れています。離しましょうか?」

「子供? ……いや、かまわない」

 

 どこかで聞いたことがあるような声、それも女性の声が部屋の中から聞こえてくる。

 マルクト軍に知り合いなど、ジェイドやフリングスくらいしかいないものと思っていたのだが。

 誰の部屋なのか、プレートを探したが、それらしいものは見当たらない。

 しかし、相手は少なくともフリングスに偉そうな口を叩いている輩だ。少なからず少将と同じか上の位の人間が、この中にいる。

 そうこうしている内に、スィンは空蝉と共に部屋へ招かれた。

 空蝉には至って颯爽と歩かせ、当のスィンは用心しいしい足を踏み入れる。

 眼に入るのは対面式のテーブルに椅子二客と内装はシンプルなもので、どうも誰かの執務室とかそういった部屋ではないらしい。

 部屋の主は、書類サイズの紙束を流し読みしながら何かを嗜んでいる。

 手にしているのは、麦茶か何かか。懐かしくて香ばしい香りが漂う。

 

「シア・ブリュンヒルドを連れてまいりました」

「御苦労さん。陛下によろしく」

 

 短いやり取りで、フリングスは立ち去って行った。その際、まるでついでのように空蝉の手錠を外していく。

 足音が遠ざかる音を聞いてか聞かずか、部屋の主はスィンを見やったようだ。

 

「さて……あたしのこと、覚えてるかい」

 

 言われて、空蝉の視点に切り替える。

 幸か不幸か、スィンは質素な椅子にふんぞり返る行儀の悪いその人物に覚えがあった。

 

「……カンタビレ」

「久しぶりだね。『ヴァンの情婦』」

 

 黒眼帯に、きりっと締まった顔立ちの、男装の麗人。

 かつてまとっていた神託の盾(オラクル)騎士団の師団長制服ではなく、マルクトの軍服に身を包んだ彼女は、そう言ってにや、と笑った。

 沈黙が漂う。

 カンタビレは椅子に座ったまま、スィンも空蝉も立ちすくんだまま。

 やがてカンタビレが口を開いた。

 

「用向きの前に……その子供は? また拾ってきたのかい。あのアッシュって坊やみたいに」

「拾ってはいない」

「ま、そうだよね。世界広しといえども、こんなにあんたそっくりの他人はいないよ。じゃあ、主席総長との子かい? 父親の面影が全然ないみたいだけど、いつから無性生殖なんてできるようになったんだね」

 

 それも否定すれば、彼女は心底どうでもよさげに、そうかい、と席を立った。

 湯呑みを持って部屋の隅、茶器やら何やら細々としたものがまとめられたスペースで手を動かしている。

 

「座んな。予備の椅子はないから、その子供はあんたの膝でいいだろ」

 

 促されて、椅子を引く。空蝉の視線で何も仕込まれていないことを確認してから腰かけた。その膝に、スィンが乗り込む。

 戻ってきたカンタビレは、その手に盆を携えていた。盆の上には、三つの湯呑みが乗せられている。

 無言でふたつの湯呑みが空蝉の傍に置かれて、スィンは思わず「ありがとうございます」と言っていた。

 

「へえ。ちゃんと礼儀だけは仕込んでるんだ」

「あの……」

「あたしにとってあんたが誰かはどうでもいいから、黙って座ってな。あんたの母ちゃんと大切な話があるんだ」

 

 どうしよう、話しにくい。あまり手の内をさらしたくないから好都合ではあるのだが。

 出された麦茶を小さな手で包み込むように持つ。

 薬物の混入も考えたが、今のスィンは小さな子供。それらしく振る舞うよう心がけた。

 ──懐かしい味。しかしなんだか妙に甘い。スィンは思わず眼を細めた。

 

「言っとくけど薬なんか入ってないよ」

「そうみたいだね」

 

 言いながら空蝉には、スィンが手をつけた麦茶に手を伸ばす。

 空蝉に飲み食いはできない。

 それでも彼女の手前、口をつけてみせた空蝉に対してもちろんカンタビレは眉をひそめていた。

 

「なんにも入れてないって言ってるじゃないか」

「それならさっき聞いたよ」

「子供の分奪うことないだろ」

「僕の勝手だよ」

「ちなみにそれ、何かわかるかい?」

「なあに、利き茶? 麦茶でしょ。多分エンゲーブ産とセントビナー産とちょっと砂糖混ぜてる。お子ちゃま舌なんだね」

「そ、それは子供用に調整したから」

「しかもこれは、本当は水出し用のやつ。水で淹れれば時間がかかるし、あなたは冷たいもの苦手だから仕方ないね。氷食べるとお腹下しちゃうんだっけ」

「な」

 

 のらりくらりと屁理屈といやみをこねて、湯呑みを元に戻した。

 カンタビレは納得していないようだが、この際彼女の機嫌などどうでもいい。

 憤慨したように何かを言いかけるその瞬間に、空蝉に口を開かせる。

 

「ロニール雪山で、危うく全滅するところだった」

 

 この一言で、カンタビレは開こうとした口を噤んだ。痛いところを突かれた、という顔に見える。

 スィン自身でその表情をつぶさに観察しながら、空蝉には言葉を続けさせた。

 幸いカンタビレは空蝉の顔を見ていて、スィンの方には頓着していない。

 

「その噂を最後に見なくなったと思ったら、還俗していたんだね。今度はマルクト軍に所属した。今の地位にいるのは、神託の盾(オラクル)騎士団に居た頃の地位を考えて、なのかな」

「……そんなもんさね。いくつか事情込みだけど、大筋は間違っちゃいないよ」

「とうとう大詠師にスッ飛ばされたか」

「あんたにそんなこと話す義理はないよ。『ヴァンの情婦』」

 

 眦をわずかに吊り上げて、カンタビレが空蝉を睨む。

 もうクビになっちゃいました、とお道化て返せば、茶化すんじゃないと怒声が返ってきた。

 スィンの伝え聞くカンタビレその人の像にあまり変化は見られない。

 いわく、戦場では勇猛果敢にして大胆な戦法を好む女傑だが、組織内では何とも不器用な性質(タチ)の女性上司。良くも悪くも言動は素直でトラブルを起こしがち、主だった原因が歯に衣着せないその物言い。

 着せる気がないのか着せる知恵もないのか、故に上の人間から──主席総長たるヴァン、大詠師モースからは相当疎まれている。

 疎まれた末の、この結果かと思われた。

 

「あのさ……」

「ヴァンの情婦、なんて陰口が横行してたくらいだ。主席総長が何をしようとしてるのか、知らなかったとは言わせないよ」

 

 そして、現在の世界情勢についてカンタビレは語り始めた。

 大体がスィンも把握している事態だが、つまるところ彼女は、近しい人間であったスィンがヴァンを野放しにしたことを怒っているらしい。

 

「どう責任取る気なんだい!」

「責任の所在なら主席総長にある。僕に責任を取ることはできない」

 

 なぜならそれはヴァンの罪で、スィンの罪ではないから。

 殊更淡々と語る空蝉の様子が気に食わないのか、カンタビレは知らず声量を跳ね上げた。

 

「あいつを止められなかった時点で同罪に決まってるだろ!」

「現在鋭意対応中だよ。あなたはヴァンやモースの思想を毛嫌いしていたから、心強い味方になってくれると思っていたけど。ここにいるのではどうにもならないね」

 

 このまま彼女の好きに話をさせていたら、いつまで経っても終わらない。

 そう判断して、スィンはまずこの話を収めるべく言葉を探した。

 

「どういう意味だい」

「まあでも、こっちの協力者になったら間違いなく周りに被害が出るだろうから、やっぱり何も頼めなかったかな」

 

 その辺りを考えると、なぜアニスの両親が未だ無事なのか、少し不思議な話である。

 彼女の両親に手を出せば間違いなく導師イオンの知ることとなるから、少なからず大詠師は自重しているのでは、というのがスィンの見解であった。

 カンタビレは、周り、という単語に対してわずかに動揺している。

 ここで空蝉は、意図的ににっこりと笑みを浮かべて見せた。

 

「もともと体の弱いお父さん、家族を養うために体を壊しちゃったお母さん、生まれつき眼の見えない弟……あなたは家族が大事なんだよね。彼らはあなたの気持ちより選ぶべきもので、基本猪突猛進なあなたが、何よりも優先している人たちだものね」

 

 先ほどの勢いはどこへやら。家族のことを取り沙汰されただけで、カンタビレはあっけなく怯んだ。

 虚勢を張っているのがよくわかる様子で、動揺をあらわにした瞳が空蝉を睨む。

 

「な、なんだってあんたが、それを知ってるんだい!」

「なんでって。当時は主席総長の子飼で、特務師団なんて胡散臭いところに所属していた僕が、なんだってそんなことすら知らないと思っていたのさ」

 

 発足したばかりの特務師団に任されたのは、神託の盾(オラクル)騎士団内における内部調査が主だった。組織内における反乱分子の芽を早期に発見し、摘み取ることも任務の一環だったことは確かである。

 派閥争いを疎んじ、実力でその地位にいたカンタビレもまた、教団内の異分子として調査対象ではあった。

 その過程で彼女がどんな人間かも、何を背負っているのかも、把握はしている。

 

「ね、カンタビレ」

「な、なんだい。それで脅かしてるつもりかい」

「こんな話をするために、連行してきたわけじゃないでしょう」

 

 カンタビレは元の目的を思い出したようで、コホンとひとつ咳をした。

 それまでの話などなかったかのように、書類に眼をやって空蝉を見据える。

 ──どうやら、やっと本題へと入るらしい。

 

「陛下から大体のことは聞いたよ。あんた、死霊使い(ネクロマンサー)を殺そうとしてるんだって?」

「ううん」

 

 この場でそう問われて「はい、そのとおりです」と答える人間はごくわずかだろう。空蝉は首を振って即答した。

 その言葉はもちろん間違っていない。しかし、スィンは少なくとも彼を殺そうとしているわけではない。

 

「殺そうとはしてないし、僕が殺したかったのは死霊使い(ネクロマンサー)じゃなくて、バルフォアさんの方。理由なら、陛下から聞いてるでしょ?」

「同じことさ。そいつはカーティス大佐の旧名だろ。あんたを軍属詐称で引っ張ってきたのは、建前さ。カーティス大佐の傍にあんたがいることは非常に都合が悪いんだよ」

 

 彼女の言葉は単純明快で、いちいち言葉の裏を図らなくてすむのはありがたかった。

 もしかしたらカンタビレのそういった性格を見越した上で、その裏に何か仕込んでいるのかもしれないが。今のところはそれを疑うくらいしかできない。

 空蝉に相槌を打たせる。

 

「うん、そうだろうね」

「じゃあ話は簡単だ。あんたはちょっとばかし、頭を冷やしな。後は大佐と、あんたのお仲間にがんばってもらうってことで」

「それは無理。大佐の方を隔離させれば話はもっと簡単に済む」

 

 本来は大将の務まる実力者であっても、どんなに悪名高かろうと、彼の地位は大佐でしかない。今のようなフィールドワークから軍へ呼び戻すこと自体は可能であるはずだ。

 それをしない理由を尋ねるも、カンタビレは答えようとしなかった。

 知らないのか。知っていて話すことができないのか。単なる嫌がらせか。

 

「そいつをあんたに話す義理はないよ。こっちにだって色々あるんだ」

「──カンタビレ、陛下から聞いてるかな? 僕ももう還俗していて、今は本業に従事してるんだよ」

「本業?」

 

 皇帝には話したのだが、聞き流されたか意図的に話していないのか。反応からして何も知らないように見える。

 この辺りを疑っていても仕方がないと、スィンは勘ぐるのをやめた。

 

「そ、本業。そっちが忙しいから、カーティス大佐を殺してる暇なんて……」

「まさか、仲間を裏切って主席総長の間諜(スパイ)やってんじゃないだろうね!」

 

 莫迦じゃなかろうか。空蝉にがっくりと肩を落とさせて、呆れたように本音を話させた。

 

「仮にそうだったとしても、あなたに事実を話すわけもない。どうやってその考えに至った?」

「あんた、情婦から伴侶にランクアップしてるだろ」

「なんだ知ってたの。あんなに情婦情婦連呼してたのに」

「怒らせようと思ってのわざとに決まってるじゃないか」

 

 それを暴露してしまったら意味がないのだが、カンタビレはもう情婦呼ばわりで挑発する気がないのだろう。

 ジェイドの件などそっちのけで、彼女は鼻息荒く質問を連ねた。

 

「鼻にも引っ掛けないなら答えてもらうよ。まだ主席総長と繋がっているのかい?」

「離縁を申し込んだら、死別しか認めないらしくて、殺されかけた」

「大馬鹿だよ、あんたは。あの主席総長に真っ向からそんなこと言うなんて、まんま殺されに行くようなもんさね」

 

 おおまかな事実のみを述べれば、カンタビレは呆れたように鼻で笑っている。そのまま死んじまえばよかったのに、と言いかけ、プチスィンを見て気まずそうに口を閉ざした。

 もともと戦うつもりなど微塵にもなくて、交戦になったとしても一応策あってのことでと、言いたいことはたくさんある。

 しかしそれをカンタビレに語って納得させたところで、何もなりはしない。

 スィンは甘んじてその罵りを受けた。

 

「……否定はしない。事実死にかけたことだし」

「あんたは神託の盾(オラクル)騎士団に入ったときからそうだったよね。幼馴染だかなんだか知らないけど、演習場で総長殴り倒すは、いきなり子供連れてくるわ、それに乗じて孤児院の子供まで引き取ってくるわ……」

 

 前者は確かにスィンのしでかしたことだが、子供を連れてきた関連を責められても正直困る。

 孤児院の子供達とは、当時言いつけられた『使い捨ての駒の育成』をするにあたって必要な人材達だった。

 連れてきた子供とはきっとアッシュのこと。

 アッシュのことが目立たないよう孤児院から見込みのある人材を引っ張ってくるよう言いつけられたのか、使い捨ての駒は実際必要だったのか、真相は藪の中だが。

 

「アニスのことだってそうさ。タトリンさんのところから引っ張ってきたと思ったら、よりにもよってモースのところなんかに売るなんて!」

「孤児院の子供達に護身術教えてるって聞きつけたパメラさんが是非にと言うんだもの。アニスはどう見ても譜術寄りだったから、ちゃんと基礎から学ばせたほうがいいと持ちかけたけど、士官学校に通わせることはできないって言うし。だったら、こっちにできるのは『敬虔な信者の、才能ある子に支援できないか』って上の人に持ちかけるくらいだよ。それ以上の関与はない……モースに目をつけられたのは、不幸だったね、としか」

 

 実際の理由は「いくら才能があっても両親のいる子供を使い捨ての駒に仕立てることはできない」という判断からだが。それを彼女に言ったところでどうにもならないし、それを口外できない正当な理由もある。

 殴り倒した件については、軍属になった途端「腕が錆びていないか確認する」と演習場に連れてこられたときのことだろう。

 当時まだヴァンの立ち居地をきちんと把握していなかったスィンは、それでも入りたての新人が好き勝手してはまずいかなと手心を加えた。

 具体的に言えば、剣戟についていけない振りをしてさっさと勝負をつけようと──劣勢を装って場外に下りようとしたのである。

 しかし、それを見抜いたヴァンが「見え見えの手抜きをするな!」と怒髪天を突く勢いで怒り出したため、なら遠慮なくと怒っている彼の隙をついて一撃入れたというエピソードだ。

 主席総長も愛人には本気になれないとか、影で情婦呼ばわりされるようになったのも、その一件が発端でもある。

 

「どうなんだい!? 何か申し開くことはあるかい」

「退役軍人は在籍中の行い一切の隠匿を義務付けられてる。あなたに話すことは何もない」

 

 すっかり本題からそれてしまった現状を厭うて、スィンは軽く頬をかいた。

 兎にも角にも、まず彼女の真意を──スィンがここへ連れてこられた目的を聞き出さねば。

 一切合切を拒絶されたカンタビレはといえば、二の句が告げられないらしく押し黙っている。

 

「……こンの、女狐……!」

「ねえカンタビレ。結局僕どうなるの? この警告を聞いても聞かなくても牢屋行き? だったらその前に、みんなに挨拶しときたいんだけど」

 

 どうにかこうにか口を開いたところで、スィン扮する空蝉は話を本題へ持っていこうとした。

 もしもそうであるならば、主の了解を得てさっくり逃げ出す魂胆である。幸い彼女は空蝉をスィンと思い込んでいるのだ。方法はどうとでもできる。

 しかしカンタビレは、首を横に振った。

 

「その前に、なんだいその、ちっちゃい男の子みたいな話し方は! あの嫌味ったらしい敬語はどこいったのさ?」

「嫌味ったらしい敬語は、僕が知る中でもっとも『みんなにきらわれるもの』を参考にしたもの。こっちが僕の素」

「きらわれもの……? ディストの奴か」

「ニアピンー」

 

 同じケテルブルクの天才と称され、死霊使い(ネクロマンサー)と呼ばれ畏れられる彼の人間性を参考にしたものである。

 バチカルを追放処分となった当時、それほど長くダアトに属するつもりがなかったスィンは周囲と一線引くために、意図して『きらわれもの』になろうとシアを演じていた。

 死霊使い(ネクロマンサー)についての情報こそ、ディストからの伝聞ではあったが。それでもそこそこ目的は叶ったものと思っている。

 事実、眼前のカンタビレはスィンのことを、ヴァンの子飼いであったことも加えて嫌っていたはずだ。

 

「どうでもいいけど気色悪いよ。取り繕いな」

「カンタビレは素直だねえ。そんなに嫌がられると、ますます直したくなくなっちゃうよ。どうでもいいなら、ほっときなって」

 

 にやにやと、空蝉に嫌気のさす笑みを浮かばせながら、疑念を形とする。

 先程からか、始めからか。彼女の話にはまとまりがない。

 それが意味するもの。

 思いついたことを片っ端から尋ねているようにも見えるし、スィンにはわからないよう外部と連絡を取り合って、尋ねるよう指示されたことをその場その場で口にしているようにも見える。

 ただそれには少なくともこの光景を監視していなければならないが、室内を見回しても該当する音機関は見当たらなかった。

 となると、監視ではなく盗聴か。

 テーブル上に集音器らしいものは見当たらないが、カンタビレの耳に直接声を届けられそうな代物は──あった。

 軍人として、たとえ響律符(キャパシティコア)であろうと見えるところに装飾類をつけるなど言語道断だ、と公言して憚らなかった彼女の耳には、貝殻を象った飾りがしがみついている。

 

「なんだい」

「素敵な耳飾りだなって。お洒落する概念が身に付いたことは、あなたの人間性がちょっと柔軟になった、ってことでいいことなんじゃないかな」

 

 思わず視線を張りつけてしまったことを誤魔化すべく、慣れないおべっかを使う。

 予想通り、カンタビレは慌てだした。

 

「そ、そんな物欲しそうな目で見てもあげないよ!」

「うん、見てないしいらない。それで、何の時間稼ぎをしているの」

 

 びくり、と彼女の肩が跳ね上がった。

 それを見逃してやるスィンではない。

 

「時間稼ぎなんだね。人を問答無用で連行してきて、牢獄に放り込む準備でもしているの?」

 

 ぷい、と横を向いてしまった彼女の顔をじっと見つめる。

 初めて訪れた沈黙。スィン自身も同じように見つめ続けると、何かに耐えかねたのか。カンタビレはゆっくりと視線をこちらへ寄越してきた。

 どっちが尋問官なのかわかりゃしない。

 

「……牢屋行き、にはならないさ。今の時勢が時勢だからね。営倉も隙間なんかないよ」

「僕ここの軍人じゃないから、営倉なんて入れようもないと思うけど」

「カーティス大佐の副官とか自称してたろ? 絶対に不可能ってわけじゃないさ。やらないけど」

 

 自称した覚えはないが、そういうことになっているのだろう。

 いちいち訂正したところで、彼女が聞き入れるかもわからない。

 

「あんたには特別罰則を受けてもらう。今はその準備中なのさ。結構手間取ってるみたいさね」

「……特別、罰則」

 

 内容が非常に気になるところである。

 罰金で解決できるものなら、スィンは持ち金を駆使してそれを甘んじて受けていただろう。仲間内の誰かに借金することも厭わなかったはずだ。

 牢獄に放り込まれるものならば、主の認可が受けられ次第、脱獄する気満々だった。

 この単語だけでは、何をするのかされるのかも、よくわからない。

 

「何させるの? 何するの、でもいいけど」

「人殺し、だよ」

 

 戸惑いを露とするスィンを前に、当初の余裕をどうにか取り戻したか。

 カンタビレはそう言って、にやりと笑った。

 

 

 

 

 

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