一夜明け。ユリアシティを出立し、一行を乗せたアルビオールはセントビナー周辺を飛んでいた。
「あ、あれです!」
唯一場所を知るイオンの案内を受け、アルビオール番にとノエルは残り、シュレーの丘へ足を踏み入れる。
周囲の自然とはわずかに違和感を覚える、こんもりと盛り上がった丘を前に、ルークはきょろきょろと辺りを見回していた。
彼の気持ちはわかる。何しろ、見る限りパッセージリングへ続くあの特徴的な扉はどこにも見受けられないのだから。
「なあイオン、どこに入り口があるんだ?」
一行を代表してルークが尋ねれば、彼は遠くに見える赤い石碑を指した。
「普段は譜術によって入り口が隠されているはずです。確か……三つの赤い譜石と
あれがそのひとつです、とイオンが指した石碑を、スィンは丘に整備された道を使わず、ショートカットして接近している。
「三つの赤い譜石……?
そんなルークの呟きを受けて指先に
結晶の中で赤々と燃える炎を見つめ、おかしな既視感を覚える。
『これで、完璧ね。よっぽどのことがなきゃ、そんじょそこらの人間にはわかんないわ』
このようなことを自分が言うわけがないし、ここへ来るのも初めてのはずなのだが、こんな台詞が頭から離れない。
奇妙に盛り上がった丘を戻り、一行のもとへと戻る。譜石を探していくうちに、思ったよりも広大な敷地内にして同じような風景に早くもアニスが飽き始めた。
「ん~~。にしても、ここの空ってすごく気が滅入るよね」
「確かに……なんか青空が恋しくなるなあ」
アニスの言葉に、ガイが賛同する。言葉にこそ出さないが、それは皆同じ気持ちだった。
「そうだ大佐。何か面白い話してくださいよぅ」
「そうですねぇ……。では、この丘が『シュレーの丘』と呼ばれる由縁でも話しておきましょうか」
アニスの言葉を受け、ジェイドは関連のありそうな小話をピックアップしたらしい。
「へえ、それは興味があるな」
「わたくしも聞きたいですわね」
ガイ、ナタリアの賛同を受け、彼は「ではお話しましょうか」と語り始めた。
「……昔も今も、この辺りは国境線を巡って戦争が繰り返し行われてきました。七百年ほど前にも、この辺りで大きな戦があり、その時の死者は積み上げると山ほどの大きさになったと言います」
「まあ……なんて酷い……」
大昔の惨劇を想像し、ナタリアは手で口を覆っている。が、スィンは半眼になって話の腰を折った。
「大佐、それ聞いたことある」
「そうですか? でもせっかくですから、最後まで聞いてくださいね。当時高名であった
ひょい、と意味ありげに地面を、そして目の前にそびえる丘を見る。
その意味を悟り、スィンを除いた一行が震え上がった。
「ちょっ、ちょちょちょちょ、ちょっと待って下さい! それって、じゃあ……この辺りはもともと……」
嘘ですよね? と言いたげなアニスに、ジェイドは何も言わずただにたり、と笑う。
戦慄が走った。
「…………!!!!」
直後、全員が全員悲鳴を上げて離散してしまっている。散々たる情景を目の当たりにして、スィンは軽くため息をついた。
「まだ、話のオチまで辿り着いていませんが…………おや、どうしました、ティア?」
「……」
一人静かにたたずんでいるティアを覗き込み、ジェイドはふっ、と笑み交じりの呼気を吐いている。
「……この程度で気を失うなんて、まったく……兵士として失格ですねえ」
「は!?」
ジェイドの反対側に回り、同じようにティアの様子を確認した。確かに、顔の前で手を振っても反応がない。
「ティ、ティア? ティア、大丈夫?」
肩を揺すって覚醒を促せば、幸いなことに彼女はすぐ我を取り戻している。
「こ、怖かった……!」
とりあえず目の前にいたスィンの腕を掴むティアに、そしてティアの異常を知って戻ってきた面々に、ジェイドに目を向けてからスィンは真相を語り始めた。
「ちなみに今の話、あそこの石碑みたいに真っ赤な嘘、だからね?」
「へ?」
主の間の抜けた声による疑問を感じ取り、更なる詳細を語る。
「七百年前は、まだマルクトとキムラスカが平和協定を継続中で穏やかな時代だったから戦なんて起こってませんよ。ここがシュレーの丘と呼ばれるのはそういう名前の薬草が採れたからとか、シュレーという人の古墳だとか、諸説は多々ありますがまだ正式な理由は見つかっていないと思いましたが」
ジェイドに意見を求めれば、彼はわざとらしく拍手をしていた。
「正解です。士官学校なら満点がもらえるでしょうね。なにかご褒美でも差し上げましょうか?」
「……結構です」
両腕を広げてニコニコしているジェイドにげんなりとした視線を向け、見つけた最後の石碑めがけて圧縮した
石碑が赤く輝いたとき、どこかで何かが変化する振動を、一行はしっかり感じ取った。
変化が起こった場所を探す中でも、ジェイドは実に惜しそうに呟いている。
「いやしかし残念です。せっかく整備されている道があるにもかかわらず、丘をぐしぐし踏んづけて行ったあなたには是非とも怖がっていただきたかったのですが」
「うんうん。残念でしたねえ」
イヤミスイッチの入っている彼とまともに話すつもりはなく、スィンはなるべく顔を合わせないように彼との対話に応じた。
が、次の瞬間限界が訪れる。
「声真似だけじゃなかったんですね」
──ふぅ。
『アニス。ジェイドを潰してくれませんか?』
「爽やかにイオン様の声真似してもだめですぅ!」
寸分違わない声を耳にし、アニスは思わず敬語を使っていた。ちぇ、とスィンが元の声に戻って呟いたとき、変化の場所にたどり着く。
丘へ入ったちょうど正面、今まで丘を扮していた場所が綺麗にえぐられ、正面からくぼんでいた。
「ここです。間違いありません」
「扉が開いてるですの」
ミュウの言葉通り、ダアト式封咒で封印されているという扉はなく、ただぽっかりと窯のような空洞があるだけである。
他ならぬイオンが開けた、というのだから当たり前ではあるが。
「奥へ進んでみよう」
ルークの言葉で、一行は連れ立って歩みだした。一歩踏み入っただけで世界が違うように感じられる。譜術で封印されていたからか、どこか静謐で荘厳な空気は瘴気混じりのものではない。
雰囲気に呑まれがちな面々を、一応この空気を知るルークとイオンが引率するような形で進み始めた。
通路の奥は巨大な広間となっており、中央がくりぬかれた床に巨大な黄金の音叉を模した音機関が浮いている。
中央には譜石が輝き、ひどく明るかった。
「ただの音機関じゃないな。どうすりゃいいのかさっぱりだ」
一目見るなり、ガイは首をひねってそう呻いている。音機関好きであるがゆえに興味は尽きないが、今まで聞いたことすらないような形状だ。手をつけることすらためらっているようにも見える。
「
途方に暮れたような声音で呟いたルークの隣に立ち、イオンはしばらく音機関を見つめていたがやがて「……おかしい」と呟いた。
「これはユリア式封咒が解呪されていません」
偽ることを知らない彼の弁を聞き、驚いたのがジェイドだった。
「どういうことでしょう。グランツ謡将はこれを操作したのでは……」
「え~、ここまで来て無駄足ってことですかぁ?」
アニスは早々に諦めてしまっている感があるものの、その意見に賛同することは出来ない。
「何か方法がある筈ですわ。調べてみましょう」
ナタリアの提案に従い、音叉の周囲を見回ってみれば、音叉の向こう側の床にあるそれをルークが発見した。
「なんだ……? 譜陣が三つ……」
「これは……」
ルークの声を受け、ジェイドが床に描かれた三つの譜陣をじっと観察している。
「……この三つの譜陣によって、パッセージリングの制御を封じているのだと思います……」
自信なさげに聞こえるが、考えてみればジェイドもこれらを眼にするのは初めてなのだ。自信がなくて当たり前だった。
「じゃあ、この譜陣を何とかすれば良いのか?」
「恐らくは……」
床にぼんやりと浮かぶ譜陣が、妙にスィンの心を騒がせる。
くしゃみが出かかって、止まってしまったような。のどに骨がひっかかったような、気にならないようで気になるもやもやとしたものが、脳裏にわだかまっている。
何の気なしに手を伸ばせば、手のひらは譜陣の中央へと招かれた。
「……!?」
吸い付かれるように張り付いた手が、床のものとは違う別の譜陣を起動させる。
通常譜術とは明らかに異なる意匠のそれは、万華鏡のような不規則さでありながら、歯車のような正確さを見せて紋様を変化させると、床の譜陣に張り付いて消滅した。
連鎖するように残りふたつの譜陣が消えていく。床の譜陣が完全に消滅した直後、スィンは頭を抱えて呻いた。
「スィン!?」
「っ、痛い……!」
普段戦闘において怪我をしても、顔をしかめるにとどめて治癒を願い出る彼女が、歯を食いしばって苦痛をあらわとしている。並みの痛みではない、ということだけは一行に伝わった。
「おい、大丈夫か!」
心配そうなルークの声すらわずらわしい、と思いながら、歪む視界を矯正せんと目をつむる。
まぶたの裏で、見えるわけがない映像が駆け巡った。
「……え?」
『──苦節何年だったかしら。ようやく完成したわ』
『名前? そんなの適当でいいわよ、んー……パッセージリング。これがいいわ』
『そのまんま、ですって? そうよ、安直で悪かったわね!』
何人かの人間に囲まれ、映像の中の自分はころころと変わる表情の最中でこんなことを話していた。
否、自分じゃない。
譜石に映った自分の顔。否、両目は、透明感のあるサファイヤをはめ込んだような──
「スィン!」
──がばっ
「は、はい! なんでしょうか、ガイラルディア様」
仕えるべき主の声を耳にして、スィンはたゆたいつつあった意識を無理やり引き上げた。
彼は彼で、仲間たちと同じくそんな彼女に戸惑いを隠していない。
「なんでしょうか、って……大丈夫なのか?」
「はい、今は平気です」
きびきびと答えながらも、今流れた映像を細かく思い出し、分析していく。
感覚としては知らないものではない。ただ、久しぶりすぎて、こらえることもできなかった。
「ユリア式封咒が、解除されている……」
イオンの呟きを受け、ジェイドが視線をスィンに向ける。
「──何をしたんですか?」
「譜陣の中心に手をかざしただけ。といっても、信じやしないだろうけど」
ぽりぽりと頬をかきながら、パッセージリングを見やった。封咒が消えたにもかかわらず、何かの変化は見られない。
当然だった。あとは──
「彼女の記憶さえあれば、ローレライの鍵の所在はおろか、パッセージリングの作成も可能かもしれない」
その言葉を聞いて、スィンはぎょっとしたようにジェイドを見た。
が、すぐに唇を歪めて低い声で揶揄する。
「──盗み聞きとは、ホントいい趣味していらっしゃる」
「おや、とぼけないんですか?」
「それを言われちゃった以上、もう無意味でしょう」
二人だけで進む会話がどうにも理解できず、おずおずとナタリアが尋ねた。
「あの、どういうことですの? 話が見えませんわ」
「ユリアシティでの自由行動中、スィンを呼び出した市長が彼女に言ったものですよ。他にも気になる言葉を聞かせていただきましたが──どういうことなんです?」
一同の視線が集中する。
思いのほかひどい居心地の悪さにスィンは目を伏せたあとで、ひとつ息を吐いた。
「確かなことは何も。不確かなことならいくらでも。彼女の記憶というのは、何のことだとお思いで?」
「……ローレライの鍵の所在、パッセージリングの作成。これらを記憶する人間がいるのだとしたら、それは一人しかいません」
「じゃ、その人の記憶ってことでいいんじゃないでしょうか」
秘め事を暴かれたせいなのか、スィンは非常に投げやりな調子で対応している。
それが隠匿を企むものとしてジェイドから非難を浴びせられるも、特に動揺した気配はない。
「この期に及んで何を隠しているのです」
「この件に関する事柄なら、わからないものは答えようがありません。今の事象をご説明するなら『体が勝手に動きました』としか」
どこまでも本題に入ろうとしないスィン、食い下がるジェイド。
一向に引かない両者の仲裁に入ったのは、二国間の調停役をも果たしていたイオンだった。
とはいえ、声量だけは静かに言い争う二人をただ宥めにかかったわけではない。それどころか、彼の口からは思いもよらない一言が飛び出した。
「スィンは、ユリア再誕計画をご存知でしょうか」
ユリア再誕計画。
ルークたちはおろか、教団に属しその名と縁あるはずのティアやアニスも聞いたことはないという。
ところがスィンは、わずかながら眉をしかめながらも肯定した。
「よくご存知でしたね。あなたどころか、僕が生まれる以前のお話なのに」
「前導師が遺した手記に計画の概要がありました。教団が秘密裏に行った研究成果としてユリアの振動数が判明したため、彼女と同じ肉体を持つ人間を造ろうとした、と」
「人間を造るって、フォミクリーでか!?」
そもそもフォミクリーは
イオンは首を振ってルークの言葉を否定している。
その表情は、知ってしまったことを後悔すらしているような、そんな面持ちだった。
「いいえ、フォミクリーではないんです。それどころか、マルクトにもキムラスカにも内密の計画であったため……」
「譜術も音機関も、技術提供はなかったということでしょうか?」
ティアの言葉にひとつ頷いて、イオンは話を続けた。スィンはと言えば、むっつりと押し黙ったままだ。
何かを自発的に話そうともしなければ、話を妨害しようともしない。
「じゃあ一体どうやって」
「──非常に原始的な方法を用いた、と手記にはありました」
アニスの問いに口ごもりながらも、柔らかな表現でお茶を濁している。
しかしジェイドは、そのずばりの推測を突きつけた。
「人間の女性を使ったということですか」
「真偽は不明ですが、通常の方法ではあまりに時間がかかり過ぎます。何かしら特殊な手段を用いたことは間違いないと思いますが」
とにかくイオンが知るのは、その昔各国には内密の研究『ユリア再誕計画』があったということだけだという。
それを知って、スィンは落胆を隠す様子もなくがっくりとうなだれた。
「……なんにも知らないふりをするべきでした」
「ちょっと遅かったな。それで、お前はどこまで知ってるんだ?」
主にそれを尋ねられて、拒絶するわけにはいかない。
スィンは肩をすくめてずいぶん前に見た資料の数々を記憶からすくいあげた。
「とは言っても、ダアトに所属している間に図書室とか資料室とか、総ざらいしただけなんですけどね?」
「いや、それだけやれば十分だろ。十分すぎるくらいわかるはずだろ」
それでも、判明したのはわずかにして断片的な事柄である。
それを前置きして、スィンは続けた。
「ユリア再誕計画の概要と、それに伴って誕生したサンプルの記録。それから、切れ切れだけど研究に関する中途報告書」
「サンプル?」
「──生み出された嬰児のこと。ユリアの振動数と照合した適合率と、廃棄にいたる経過が記されていたよ」
廃棄と言う言葉を聞きつけて、その言い草はあんまりだとナタリアは憤慨している。
それもそうかと考え直して、ついでのようにスィンは言い換えた。
「僕が見つけた例は十三件程度ですが、誕生したその瞬間から健康状態は良好でなくて。記されている限りではすべて死亡が確認されています」
「十三人も!?」
「記録日も間隔はまちまちですが、女性のお腹で自然に……という方法だけではなかったと僕も考えています」
肝心の、スィン自身との関連を尋ねる。しかし、彼女はあっさりとそれらは希薄だと言ってのけた。
「その十三件の中に僕がいなかったのですから、仕方ないじゃないですか」
「しかし……」
とにかく自分は見つけたサンプル達の誰とも該当しないと、スィンはきっぱり言ってのけた。何の証拠があってと返しかけて、はた、とジェイドが気づく。
「ちょっと待ってください。あなたは何を理由に自分が該当しないと言っているのですか」
「誕生年月日。それと、髪の色眼の色。あとは身体的特徴」
「赤んぼの頃にあった特徴なんて、関係あるのか?」
ルークの言葉にも、スィンは迷いなく頷いた。その理由を尋ねられ、軽く眼を伏せている。
発見した報告書そのままを口にするわけにはいかない。スィンは思い出しただけで、気分が悪くなっているのだから。
「……ユリアの再来かもしれない赤ん坊達には、総じて変わったところがあったから」
「変わった、ところ?」
「双子が、部分的にくっついて生まれてきた例がほとんどだった。頭が二つだったり、足が四本だったり、そうじゃないのは……眼が、沢山あるとか、その眼の色、全部違う色、とか」
「!?」
「僕の特徴考えれば、まったく関係ない話じゃなくなるから困っているわけですが」
実際──見つけた資料がただの悪ふざけで、ユリア再誕計画も誰かのむちゃくちゃな妄想だったらどんなに良かったことかと、思わずにはいられない。
しかしイオンはその存在を前導師の書記で認識している。少なくとも、このトンデモ計画は存在したのだ。
「──計画の話は、さておき。思い出す、とは?」
「そのまんまですよ。正確には幻覚で、既視感です。特定の行動を行うと見えるはずもないものが見えて、聞こえるはずもない音が聞こえる。共通するのはユリア・ジュエに関する事柄だけだということ」
確か、初めにこの感覚を覚えたのは絵本を読んでもらったときだったと思う。
始祖ユリアの逸話を子供向けに描かれたそれを読み聞かせられただけで、子供には理解できない光景が目の前で流れて聞こえて。わけもわからず大号泣した覚えがあった。
もっともそれは、序章に過ぎなかったわけだが。
「振動数が似たようなものだとしても、見知らぬ他人の記憶を垣間見るなんて、ありえるんですかね?」
「通常ならそれは、記憶を垣間見ているのではなく脳が捏造した記憶じみたもの、になるのですが……」
それにしては、現象が限定的過ぎる。スィンとて、この現象の原因が何なのかを徹底的に探った時期があった。
脳が異常を起こす前触れとか、ただの気のせいとか、諸説はいくつもあったがいずれも該当する症例はなかったと記憶している。
なにせ、ユリアに関する事柄に触れれば、彼女のものらしい記憶が幻覚として現れるのだ。
そのことに関しては、イオンからこんな推測を聞くことができた。
「ユリア・ジュエと契約した第七音素意識集合体ローレライが関与しているのかもしれません。
「……ローレライが、僕をユリアと勘違いして、すべてを思い出してもらおうと記憶を……?」
あくまで推測、なぜどうしてどうやって、という疑問を解消できるものではない。
とにかくこのことに関して、もはや答えることは何もないと、スィンは締めくくった。
「僕の頭がオカシイんだ、ってことでまとめてくださってもかまいませんよ」
「そんな……」
「原因がはっきりしない以上は、それも考慮するべきですが。実際にパッセージリングを操ることができるなら、脳の異常ではなくユリアの記憶であることを証明できますね」
そう言って。ジェイドはパッセージリングを視線で示した。