インゴベルトは席を立ち、ナタリアは壇上から降りてきて仲間たちの祝福を受けている。
「よかったな、ナタリア」
「よかったねー」
「よかったですの~」
ルーク、アニス、ミュウは素直に祝福し、ティアは珍しくルークの言葉を借りていた。
「十数年も同じときを過ごしたんですもの……もう、血の繋がりなんて関係ないはずよ」
「ありがとう。認めてもらうことがこれほど嬉しいだなんて、わたくし初めて知りましたわ」
これまで自分がしたことを、功績を認めてもらうのが当たり前だったナタリアに、今回の謁見はひどい重責だったのだろう。ようやく緊張が解け、少し赤くなっている目は嬉しさに満ちている。
が、しかし。珍しくガイが、その祝福ムードに水を差した。無論、嫌味などではなく真実を突く形で。
「いーや、まだまだこれからだぜ。もう一回、親子のやり直しをするんだからな」
「……そうですわね。何も知らなかった頃には、戻れませんもの」
嬉しさに緩んでいた目が、わずかだが引き締まる。その真面目さに、ガイはフォローをするように笑顔になった。
「これから、陛下と改めてその認識を深めていけばいいよ」
「そうだな。伯父上、ナタリアを受け入れてくれてから、戦争が起こる前の人柄に戻ったような気がしたよ」
「そうですわね。でも、事実を知ってしまった以上、あの頃と同じように接することは出来ないと思います。先ほどのガイの話の通り、わたくしたちはこれからが重要なのですわ」
どこか楽天的なルークとは違い、ナタリアは油断はできないとばかり決意も新たに語っている。ガイの一言が大きく影響しているように思われた。
ルークと同じく、いい傾向である。
「もう、大詠師が王様に、変なこと吹き込む隙もなくなったしね」
「そうね。キムラスカはもう安心だと思うわ」
──それなら、いいんだけど。
「そうだと、いいんだがな……」
アニス、ティアの言葉に、思いと同じ呟きが聞こえてぎょっとする。ふと見やれば、ガイがうつむき加減でその言葉を零していた。
自分の呟きでなかったことに安堵する間もなく、ルークの耳が呟きを断片的に拾い上げている。
「ん? ガイ、なんて?」
「いやー、なんでもないよ」
幸い、彼は挙動不審に陥ることなくきちんと切り返していた。
「次はマルクトなんだろ、グランコクマに行こうぜ」
「ああ、モースが横やりを入れないうちに、話をまとめようぜ」
城門をくぐり、まだ騒然としている周囲を他所に進んでいく。
ファブレ公爵邸前に差し掛かったところで、これまで黙りこくっていたスィンは「あの」と声を出した。
「ん? どした?」
「ガイラルディア様。僕……僕、ちょっとおじいちゃんに会ってきますね」
すぐに戻りますので、と言い残し、そそくさとファブレ公爵邸へ赴こうとする。
そんなスィンの背中を見、ガイはふと瞳を細めた。そして何を思ったのか、彼はこんなことを言い出している。
「なあ、ルーク。おまえはいいか? 奥様に挨拶」
「あ? ああ、じゃあ俺も挨拶していこうかな」
背中を向けていたのだから、引きつったスィンの顔などわかるわけがないのに。
何かを悟ったらしいジェイドが、それでは私たちもと、一同を誘って結局全員で屋敷へ赴くことになる。
(これは……どうしよう)
彼らが来るとなれば、必然的にペールを紹介することになるかもしれない。それでは、彼と一対一で話すことが、できない。
一瞬、どうしようかとあせったスィンであったが、屋敷に一歩足を踏み入れるなり、焦りは無駄に終わった。
何故なら。
「ルーク様、おかえりなさ……あーっ!」
「みんな! ガイが戻ってきたわよ!」
「「きゃ~!」」
「うわぁあぁああ~!」
集まってきたメイド達に囲まれ、彼はその場から動けなくなってしまったのである。
「うはぁ、ガイってばモテモテ」
「う、うう嬉しくない~! 助けてくれ~!」
「だ、そうですよ。スィ……」
ジェイドの言葉が終わる前に。スィンは集結するメイドらの間をすり抜けるように、向かいの廊下へと去っていった。
主が困っているのに助けないのは、不忠義なのかもしれない。しかし、メイドたちは彼を刺し殺すような真似はしないし、女性恐怖症を克服するいい修行だ、とスィンは思っている。助けるのは、ハイハイしている赤ん坊を無理やり歩行器の中へ放り込むようなものだ。
とにかく今は、一行の目をすり抜けて、祖父だと信じていたペールに会いたかった。
広い廊下を抜け、メイド部屋と隣り合う使用人部屋へとたどり着く。折り悪く庭園をいじっているかもしれない、と思ったが──部屋の中には気配があった。
誰のものかはわからなくても、訪ねるだけの価値はある。意を決して、スィンはひとつの深呼吸の後に扉を叩いた。
「誰かな?」
「……おじい、ちゃん。約束どおり、戻ってきたよ」
聞き覚えのある声。ためらいながら、長年口にしてきた『祖父』を呼ぶ。バタバタッ、と部屋の中で物音がした後で、唐突に扉は開かれた。
変わらぬ祖父の姿。だが、彼の眼は驚きに丸まり、更にわずかにだが──潤んで、いる。
「おお、スィン! よくぞ戻ってきた!」
素直に無事を喜んでくれている。
今まで通り彼女を孫として接してくれるその温かさに、スィンもまた視界をぼやけさせ、頷いた。
立ち話もなんだから、と部屋に通される。やはり変わらぬガイとペール共用の私室が広がっていた。使っている寝台はひとつのはずだが、両方の寝台はきちんと手入れがされている。
ペールのスペースにある本棚はわずかばかり種類が増えているような気がした。ガイのスペースには埃どころか、塵ひとつない状態で様々な音機関、譜業の類が整列している。きっとペールが毎日手入れしていたに違いない。
こぽこぽ、と心地のいい音と共に懐かしい香りが鼻腔をくすぐった。
ほれ、と差し出されたのは祖父特製の焙じ茶である。
「いただきます」
祖父が独自の伝手で手に入れてくる濃い緑色の茶葉を炒って淹れた茶はすがすがしく、幼い頃から親しんだものだ。
保管しておいた茶葉の風味が悪くなってきたときにしか淹れてもらえないこの茶だが、祖父は大体風味が悪くなる前に茶葉を使い切る。
振舞われる機会の少なさゆえに、スィンは一度意図的に茶葉を隠して「飲みたいなら申告しろ」と怒られたことがあった。
茶器が取っ手や受け皿のない特殊なものであることや、通常の緑茶と異なり熱湯を注いでいるために行儀悪くすすって飲まなれければならないのも、たまらない。
そのまま口に入れれば確実に火傷するほど熱い茶を、香りを堪能してからずずず、とすする。
美味しい。
「ふいーっ……」
変わらぬその味に、なつかしい美味さに、思わず吐息が零れた。
「して、その後の経過はどうじゃ」
「んーとねー」
茶をすすりすすり、事の顛末を手短に話していく。要らないところは大分省いたその説明が終わったとき、スィンはすでに茶を飲み干していた。
「まだ少しあるぞ。飲むか?」
「ううん、いい。それよか、今度は僕がお祖父ちゃんに聞く番」
ことり、と音を立てて湯呑みをテーブルへ置く。彼女の声音が大きく変化したのがわかったのか、彼もまた神妙な顔つきとなって湯呑みを手放している。
神妙な、真剣な、祖父の顔。
幼い頃は怖いと思っていたのに、今はどこか、そう思わせるものがない。それどころかこの人は、どうしてこんなにも心細そうな、不安そうな顔をしているのだろう。
「……何が聞きたい?」
「僕に関するあなたが知ること、すべて」
ユリア再誕計画のことを、悪戯に知ってほしいわけではない。
それを悟らせないためにもまず、如何にして彼が「スィンが実の孫でないこと」を知っているのかを尋ねにかかった。
「……フェンデ家の嫁が出産して、しばらくしてからか。旦那様がお前を抱えてご帰宅された。『家の前に置き去りにされていた』と」
それは間違いようもなく捨て子として認識されるしかない状況である。スィンがガルディオス家の血を引くなど、彼が知っている理由にはならない。
「当然しかるべき施設に届けようとしたが……時期図らずして丁度、わしの息子夫婦が子を流していての。生きていればこのくらいかと、意気消沈していた二人は乳飲み子のお前を亡くした我が子に重ねてな」
別の用事で伯爵邸に居合わせていた彼の息子夫婦──スィンが父親と母親と認識していた彼らは、施設に届けず自分達で育てようと提案したらしい。
伯爵はそれに反対することなく、「これが添えられていた」と二人に手渡したのだという。現在もスィンが肌身離さず持ち歩くお守り──当時は何をしても開くことがなかったロケットを。
手紙などは特になく、本当の両親の手がかりはそのロケットペンダントしかないと、彼は申し訳なさそうに話した。
が、そのことならばすでにスィンは知っている。彼が謝らなければならないことなど何もない。
話を続けてもらうために、黙して話の先を促した。
「それから数年経ってからのことじゃ。珍しく旦那様が酒精とお戯れでな。奥様も呆れて、寝室へ下がってしまった頃。いきなりわしを相手に懺悔されたのじゃよ」
酒精と戯れ……飲んだくれていたということだろうか。
その懺悔を耳にして、ペールは度肝を抜かされたのだという。
「詳細は話せないが、わしの息子夫婦が引き取った赤子は自分の子だと。間違いなく自分の血を引いているのだと。瞳の色は自分そっくりなのに、そのせいで言われなき雑言を吐かれるあの子を庇ってもやれない。父親失格だと」
……そりゃ吃驚するしかなかろうと、スィンは当時のペールに同情した。
そのまま伯爵は酔いつぶれてしまい、以降ペールに懺悔したことを覚えている様子はなかったという。
どこまで事実を知っていたのかはわからないが──そんな良心の呵責じみたことを、彼が悩む必要などなかったのに。
そんな風に思われていたとは露知らなかった。
何せスィン自身、伯爵と顔を合わせるどころかお目にかかる機会など、数えて事足りる程度だったから。
言われなき雑言、とはおそらくこの色違いの眼を揶揄して言われた事柄だろう。
詳細は思い出せない。それを覚えておく必要がなかったから。何かしらあったことは間違いないが。
自分の心を守るための働きなのか、あるいはそれよりも衝撃的なこと──主にユリアに関連した記憶──が色濃いためか、両方か。
そんなことはどうでもいい。
とにかくこれで、ペールの事情はわかった。彼はほぼ、何も知らないに等しいということも。小さく息をついて、スィンは自分が知っていたことを話し始めた。
無論のこと、ユリア再誕計画については除外する。
「捨て子かあ。そっちは全然考えてなかったよ。てっきり連れ子か、事情あっての貰われっ子だとばかり」
「……今、なんと」
「この眼のことを知ってたらお前なんか引き取らなかったって。そう言ってたから」
いつの頃からか覚えていない、目を開けた頃からだっただろうか。
世間的には母親である女性の声はいつだって荒い怒鳴り声ばかりで、世間的には父親である男性の声はそれをただ聞き流すか、あるいは弱々しく宥めようとして、怒鳴るその声に油を注いでいたように思う。
それが普通だと思っていた。
『母親』は自分を毛嫌いして、『父親』は自分を見ようともしない。祖母だけが、自分を気にかけてくれる。
今思い起こせばそれも、愛情ではなくて同情でしかなかったかもしれないが、彼女がいたから今のスィンがいる。
それは、間違いない。
「あやつは、お主にそんなことを言ったのか!」
「おじいちゃん、あの頃家にいなかったもんねえ。お祖母ちゃんもそういうこと、告げ口みたいに言う人じゃなかったし」
スィンを引き取ったのは、心神耗弱中で気の迷いか何かだったのだろう。少なくとも、スィンは彼らに育てられたなどとは思っていない。彼らもきっと、スィンを育てたなどとは思っていないだろう。
二人が育てたかったのは亡くした我が子で、スィンはただの代替。
虹彩異色症もそうだが、成長するにつれて自分達の遺伝子などまったく引き継がないスィンを見て、気が狂わんばかりになってしまったのかもしれない。
幼子であった彼女がそう思う程度に母親は荒れていて、父親は自分をいないものとして扱っていた。
「──」
「おじいちゃん、覚えてる? 僕、七歳の時に家出したよね」
「う、うむ。まさかホドを飛び出してケテルブルクにいるとは思わなんだ」
「あれねえ、本当のお母さんのことがわかったからなんだ」
七歳当時、両親との折り合いは相変わらず最悪。祖母は体調を崩して家を離れ療養中、祖父は家業の関係でいつも留守。
スィンの主な支えは主従となったマリィベルやガイ、修行を通じたフェンデ家との関わりくらいで、家に帰りたくない症候群を患っていた頃。
唐突にロケットペンダントを開けることができた。
大きめの胡桃ほどと、小さくもないが大きくもないロケットの中に入っていたのは女性の肖像画と、小さく小さく折りたたまれた手紙。
『お父さんとお母さんがだいすきなら、ひらかないで二人にみせて』
そんな一文を見て、スィンは迷いなく手紙を開いた。
初めまして、と折り目正しく始まったその文章を食い入るように読み進めて、途中から読めなくなったことも、覚えている。
これを開けることができるということは、多少なりとも
自分のしたことはとても許されることではない、謝ることしかできない、と。
できることなら顔を見て謝りたい。恨みを言いに、でもいい。雪の国にいる、逃げも隠れもしない。
文末には彼女──ゲルダ・ネビリムの名が。彼女から贈られたスィンのもうひとつの名に向けて、しめくくられていた。
彼女の名は、ユリア再誕計画の報告書作成名と同一である。
何かしらあって、彼女はスィンを死亡したと見せかけ、ホドのガルディオス伯爵邸前へと運んだ。あるいはガルディオス伯爵に直接託した、と思われた。
実際に何があったのか、もはや知る手立てはない。
「本当の母親、じゃと!?」
「もういなかったけどね」
正確には死んでいた、か。
いてもたってもいられず、まるで今の環境から逃げるようにしてホドを飛び出したスィンは密航を繰り返して雪国──ケテルブルクへとどうにかたどり着いた。
そこで。彼女はもういないという事実どころか、この世の地獄に突き落とされたわけだが。
「どういうことじゃ?」
「『不幸な事故』でお亡くなりになった、って。後に
実際に、それを教えてくれた人間はいない。彼女の名を出して聞くだに、誰もが目をそらして詳しいことを話す者はいなかった。
自分の色が違う瞳を見て、目をそらす人間など珍しくもなんともない。
この頃にはすでに傷つくという概念を棄てていたスィンは気づかなかったのだが、それだけが理由ではなかったようだ。
彼女がすでにこの世のものでないこと、元凶の正体を、そして元凶に近しい者たちを捕まえたところで、初めての家出は終焉を迎える。
スィンの足跡を辿ってきたペールに捕まり、あえなく御用となったため、だ。
初めての家出後、理由を聞かれても頑として答えることがなかった真相を今更告げられて、彼は目を白黒させている。
そんなペールの様子を見ながらも、スィンは笑ってみせた。
父たる伯爵がほんの僅かでも自分に気をかけていてくれたことは掛け値なく嬉しいこと。それが過去のことであっても、父は自分を疎んじていなかった。この事実は大きい。
「ありがと、教えてくれて」
「隠してきたことは互いだと言わせてもらう。じゃが……自棄は起こすなよ。言いたくないなら聞かんが、完璧に癒えたわけではなかろう?」
確認するまでもない。スィンの、病のことだ。
「うーん……まあ、ね。でも最近は調子いいよ。小康状態ってところかな」
──ユニセロスのニルダがスィンに施した治癒によって、
しかし、いかにユニセロスの力を持ってしても、長年住み着いた病巣の完全治癒は叶っていない。
急激な進行はなくとも、そろそろ息を吹き返した病巣は改めて侵蝕を開始するだろう。
だが、今のスィンの心は大いに晴れやかであった。
真実を知ることができたのだ。目的が達成された。それ以上の嬉しさがある。それはペールに無事会えた喜びかもしれないし、知りえた本当の父からの愛情に起因するかもしれない。
どこか気の抜けたスィンは、ふう、と息をついて寝台に座り込んだ。
その様を見て、ペールもまたはあ、とため息をついている。
「……気を抜きすぎじゃ。仮装が解けておるぞ」
「え? ……あっ」
風にたなびく髪が視界を横切る。真白の、雪の色をした髪。
半開きの窓に映った顔は、本来のスィンのものだった。術式固定はしなかったとはいえ、確かに気を抜きすぎている。
駄目だなあ、と胸中で呟きつつ、そのまま寝転ぼうとして。
「!」
視線を、感じた。首は動かさず、周囲を探る。
誰かが扉の外から覗いているのではない、では、どこから──
「ここかっ!」
手にした棒手裏剣を投げつける。
ドッ、と突き刺さったのは、庭園とは反対方向にある窓の外、連立した木立であった。
半開きだった窓が、棒手裏剣の通過によってきぃ、と揺れる。揺れたカーテンの向こうに、スィンは不敵な笑みを見つけた。
「どうした!?」
投げつけた直後に窓へ駆け寄ったスィンに、ただごとでない雰囲気を読んだペールが身構える。その頃、スィンは窓から身を乗り出して外を凝視していた。
「──流石、だね。気配は消してたのに」
木立の中、季節にそぐわぬ深い翠の葉が紛れている。白い何かが見えたかと思うと、小柄な姿が現れた。
柔らかそうな髪は本人を現すかのようにつんつんと尖り、顔の部位において唯一見える口元は、表情を連想させるような酷薄な笑みが浮いている。小柄だが引き締まった体躯を大振りの枝に乗せているその姿は、六神将『烈風のシンク』その人に他ならなかった。
どんな人選なんだと突っ込みたくなるが、
現六神将において一番手の内が知れない相手を前に、スィンはとりあえず対話を試みた。
「……こんにちわ、烈風のシンク。こんな場所で、午睡でも? 優雅だねえ」
「御託はいいよ。アンタに話があるんだ。顔、貸してもらえないかな」
コミュニケーションを取ろうとして失敗、あっさりと要求が突きつけられる。背後でペールがそっと動いたのを確認し、再度時間稼ぎを試みた。
「……話だけなら、ここで聞く」
「他人に聞かれちゃ困るんだよ。総長からアンタに向けての伝言なんだけど」
「今は、僕たちだけしか聞いてないよ」
「そんな屁理屈、通用するとでも思ってるの?」
やはり、ペールの動きは感づかれていたか。彼の位置からペールの姿はわからないはずだったが。
「まあ、聞きたくないならそれでもいいけどね。飛行機関の操縦士がどうなってもいいなら、さ」
──また、ノエルを人質に!?
「どこまでオリジナリティに欠ければ気が済むんだ。恥ずかしくないのか? よりによってディストと同じことするなんて!」
「……こんなところでお説教なんか聞きたくないよ。文句があるなら、僕を捕まえてからにしなよね」
「あ、ちょっ……」
がさがさっ、と音を立てて、彼は猫のように姿を消した。
纏う衣装は保護色でもなんでもないのに、その姿がすぐ周囲へと溶け込んでしまう。迷っている暇はなかった。
追おうとして、窓枠に血桜がひっかかる。スィンは罵声と共に外界へと続く窓枠から身を乗り出した。
「待ちやがれこのクソガキ! せめて……!」
コーヒーは80℃前後、紅茶は出来るだけ熱湯が望ましい。
緑茶は50℃程度、ほうじ茶は80~100℃。ついでに烏龍茶も80℃~100℃。
ポットやカップをあっためたり何だり手順はありますが、理想の湯温は上記だそうで。
お茶の旨みは50℃から溶け出すらしいですね。
お茶のカテキン、カフェインは80℃から溶け出すので、煎れる温度が高い方が、香り高いとか。
低温で淹れるときは味わい重視で、高温で淹れるときは香りや渋み重視ということになります。
ほうじ茶や烏龍茶は香りや渋みを楽しむお茶なので、80℃~100℃という高温が望ましいそうです。