休憩室:全部で四部屋ある。
スペクター:修道服を着た綺麗なお姉さん。
フィリオプシス:無表情系の少女。冗談を偶にいう。
クルース:ここだよ姉貴。
ライン生命:ロドスのように鉱石病の治療や研究をしている機関。ロドスとは協力関係にある。
休憩室にてコーヒー缶を片手に長椅子に座り一休みしていた時のことだった。
「天にまします我らが慈悲深き天使たちよ……願わくば我が眠りに忍び寄る忌まわしき者から、我が心を守りたまえ……」
「ディープスリープモード継続中……Zzzzz……電源管理の設定を、更新しています……Zzzzz……」
『こーこーだーよ~』
ちょっとよくわからない状況になっている。
まず俺の右隣に座る黒の修道服を着た銀髪赤目の女性、ロドスのオペレーターの一人であるスペクターが祈りを捧げるように何かを呟きだした。祈りなのかもしれない。元々スペクターは修道女であったと聞く。いまも別に修道女であることを止めたわけではないのだから、純粋な祈りを捧げているのかもしれない。
しかしまあ、敬虔であるというか、俺が部屋に入って30分以上同じような言葉をずっとループ再生するかのように呟き続けているのである。
スペクターがオペレーターの中でも特殊であることは聞いていた。何でもロドスに来る前に心神喪失状態にあったのだとか。鉱石病の影響かそれともそれ以前に何かあったのか、精神疾患を患うスペクターの経歴は依然として不明のままらしい。
ロドスで経歴がしっかりしている人間の方が少ないかもしれないが。
ロドスに集まる人々は皆ままならない理由でロドスに頼るしかなくなったというケースが多い。
着の身着のまま逃げてきたような人もいる。
五体満足でロドスに来たスペクターはこの世界の中では幸せな方なのかもしれない。
それはそれとして、スペクターは修道服とも相まって大人っぽい理知的な美人である。にも拘わらず俺が休憩室に入ると何故か右隣に近寄ってきて、碌な会話をすることもなく祈り続けているのだ。
スペクターの神秘的な美しさも合わさって儀式めいた一種の狂気を感じる。
はっきりと言えば怖い。
美女に対して怖いなどという言葉は使うべきではないが、それでも怖いものは怖い。
具体的にはサイレントヒルのような超常的恐怖がある。バブルヘッドナースが何故か思い浮かんだ。
或いはブラッドボーンか。啓蒙が開きそうだ。
スペクターが右隣りで何故か俺の右手を両手で握りながら祈るせいでコーヒーが全く飲めない。偶に離してくれるときにちょっとずつ飲むのだが、飲み終わった瞬間に直ぐつかまれるという状況でだんだんと右腕が痺れてきている。
誰か助けて。
「Zzzzz……」
そして俺の左隣に凭れ掛かるようにして寝ている、銀髪のフクロウじみた髪形をしている少女はフィリオプシス。灰色のコートに白いワンピース、胸元にはオレンジの色付きグラスのゴーグル、近くの椅子に三日月のような杖が置かれており、ライン生命の腕章が右腕につけられている。
フィリオプシスはロドスと契約しているライン生命という医療機関(或いは研究機関か)の元社員であり、彼女も鉱石病にかかりライン生命の方でも治療や研究をされていた。特に彼女は過眠のきらいがあるらしく、会話中でも睡魔に襲われると寝てしまうほどらしい。というか今の現状がその症状が現れた結果だった。
フィリオプシスの過眠の話自体は聞いていたし、ドクターやケルシーから目の前で眠ったときは休憩室に運んでくれと言われていたりもする。鉱石病によりさまざまな症状を抱えている人がロドスには多数在籍しているが、フィリオプシスほど制御の効かない症状はそう多くない。
フィリオプシスも医療オペレーターとして作戦に加わることもあるため、ある程度の睡眠の我慢はできるみたいだが、完ぺきではないから病気であり、彼女を襲う睡魔はロドス内部で突然フィリオプシス本人を倒れさせるほどには強力なものであるらしい。
そのあたりのことはドクターからよく言われた。倒れた前例があるから注意してほしいと。前に睡魔に負けて頭を強く打った時があるらしく、それ以来ロドス内部で警戒されているようだ。
三大欲求の睡眠にまで影響を与える鉱石病は恐ろしさすら覚える。食欲減衰や味覚障害、或いは生殖機能の低下などよりはマシなのか。……それは発症している本人の捉え方によるか。俺が言えるのは飯は美味い方がいい。それだけ。
フィリオプシスは俺がスペクターに絡まれているときに休憩室に入ってきた。俺とスペクターを見てあの独特な機械のような喋り方で話しかけてきた直後、倒れるようにこちらに凭れ掛かってきた。どうやら突発的に睡魔に襲われたらしい。突然だったので倒れないようにスペクターに絡まれていない左腕で抱きかかえようとしたところ、その左腕にしがみつかれてそのまま寝てしまった。
何とか長椅子には座らせることができ、そのまま凭れ掛からせたが先ほどから一瞬意識を取り戻したかと思えば、目を見開き機械的に何かを喋り、すぐにまた睡眠に移行する。
流石に容体が心配だし誰かを呼びたいのだが、現在両腕がふさがれているため動くに動けない。
せめてスペクターさんが放してくれれば携帯端末を取り出せるのだが、
「…………ウフフフ……アハハハ……ハハハハハハ……」
何故かこちらを見て嗤うスペクターさん。
……やヴぁい。
こっちの精神が持たない。
「……治療モード、適用します」
「(ビクッ!!)」
いきなりフィリオプシスがカッとフクロウのような金色の瞳を見開いて話、またすぐに目を瞑り睡眠に抗する。
心臓に悪い。
なまじ二人とも美人であるから特に心臓に悪い。
『うんうん。聴いてるよ~』
そして先ほどから目の前で行動予備隊A1の狙撃手クルースを模しているぬいぐるみ型の目覚まし時計が、クルースの録音ボイスを流し続けている。
なんだかんだでこれが一番精神に来る。
両手に花形の爆弾を抱えながら目の前で気の抜けた妖精にささやかれているようなものだ。
ほんわかしているイメージではない。
放送中止になったSIRENのCMのような狂気がある。
「……お聴きなさい、深淵から響く、万物の主の、ささやきを……」
「……警告。システムは重篤なエラーから回復しました」
『はいは~い。クルースですよぉ~』
「…………。」
きっっっつ!!
タイプの違う精神攻撃を味わっている気がする。
変な扉を開きそうになるほどには状況が狂気である。
こんなことならばいつも使わない最下層の休憩室に行くべきだった。
あそこは快適とはいいがたいが、利用する人が少なくて最低限の自販機があるので、独りでいたいときにはもってこいの場所だった。
ロドスの可愛い女性オペレーターに出会えないかなとか考えてこの部屋に入ったのは間違いだった。
ガッデム。
いや、神なんて信仰してないけど。
「ウフッ、なぜ私と目を合わせてくださらないの?そんなことしても無駄ですわ。あなたが何を欲しているのか……私にはすべて分かっておりますもの」
「スペクターさんは俺に何をしたいのですか?」
「ウフフフフ」
意味深な笑顔で返された。
『ここにいたのねぇ』
やめろ。意味深な言葉をつなげるな。
宇宙の心は彼になりそうだからやめろ。
くそっ!!
誰か助けてくれ。
誰かこの状況を打破してくれ!!
誰でもいい、誰か、俺に救いを……!!
「待たせたな!!」
俺の視界に映る休憩室の天井があるはずもない星空を映し出した時、
バアン!!
と休憩室の扉を勢いよく開いて黒いフード付きのコートを着たやつが現れた。
ていうか、ドクター(変態)だった。
いつもなら苦い顔をしているところだが、ここでは地獄に蜘蛛の糸ようなありがたさがあった。
俺は希望を見つけたような目でドクターのことを見ていたことだろう。
ドクターは俺を見つめるとまるで聖母のような眼差し(マスクで隠れて見えていないので幻覚である)で口を開く。
「この世の真理とはO、P、P、A、I――すなわちおっぱい。小さいも大きいもない、そこに胸があることが何よりも大切だ。――そして、ビーグルの胸は意外と大きい」
「狙って~!」
「亡霊だってお前を救えないさ」
「緊急治療を!」
「ごめんなさい…ごめんなさい……」
「あなたの考えは、お見通しですよ」
何やら騒がしい音とともに、ドクターはどこからともなく発射されたクロスボウの矢とアーツ弾によって打ちのめされ床に突っ伏した。
その後、精神的な疲労ゆえか、いつの間にか俺も休憩室で倒れたらしい。
たまたまその場にいたハイビスカスが俺やドクターのことを介抱してくれた。
それにしても最近部屋の天井に見えないはずの星空と、深海が見えるようになった。
鉱石病の症状だろうか。
あとでケルシー先生にでも見てもらうことにしよう。
意味のない用語解説
バブルヘッドナース:静岡のクリーチャーの一体。クリーチャーとしての完成度が素晴らしい。
ブラッドボーン:Bloodborne。宇宙は空にある。
SIRENのCM:お母さん、開けてよ。ねえ、お母さん!!
宇宙の心は彼:カトる。
行動予備隊A1:愉快な仲間が多い。
クルースのぬいぐるみ型の目覚まし時計:ほしい。ほしくない?
ドクター(変態):今日も理性が足りない。でも真理は見つけた。
出して欲しいオペレーターは?
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皆が持ってる初期キャラ中心で
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かわいくて強い高レアリティだ!!
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漢!!!!
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作者の好きなように
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オペレーターではないキャラを出して欲しい