アークナイツ知らない人向け用語辞典
クオーラ:やきうのお姉さん。元気。
ヴィグナ:ギターを弾ける。
ミッドナイト:ホスト。マジ恋系。
スポット:モフモフ
カタパルト:巨乳。
ドーベルマン:教官。鞭の扱いに長けている。
ロドス屋外にてコーヒー缶を片手に空を見上げていた時のことである。
グワラゴワガキーン!!
おおー、見事なホームラン。
一番サード、クオーラのプレイボールホームランが青空に豪快な音を響き渡らせる。
ピッチャーのジェシカが涙目になっている。
初球から悪球を投げるから……。
ロドスの屋外には広場があり、こうして野球やサッカーなどで遊ぶものがいる。
訓練や仕事ばかりでは息がつまるのでケルシ―も特に何か言うことはない。
クオーラは無類の野球好きで、よく一人で壁当てしたり、誰かを誘ってキャッチボールなんかをしている。
今回はそれなりに人数が集まったようで試合をすることができたようだ。
ジェシカ、マトイマル、ショウ、スポットにミッドナイト、カタパルトなどなど。
人数が少し足りていないところはランセット-2やキャッスル-3が守備についたりしている。
お、二番打者はヴィグナか。
どうやらヘルメットはショウがいつも被っている龍門消防局のヘルメットをみんなで使っているようだ。
あ、夜叉の構え。
爪先立ち、からの回りだした。
あれは、秘打『白鳥の湖』!!
ガキィ!!
と鈍い音を立ててボールはふらふらと飛んでいく。
ヴィグナも目を回したのかフラフラと千鳥足で一塁に進み途中で倒れる。
平和だな。
最近安定しているというか、穏やかだ。
暫く慌ただしかった反動のように、静かな日々が続いている。
今朝、髭をそるときに頬に違和感を覚えた。
よく確認すると結晶が生えていた。
鉱石病の症状である。
なので今日の仕事はキャンセルしてケルシ―先生の所へ行ってメディカルチェックを受けてきた。
今はその診断待ちで、暇だからこうしてプラプラと出歩いている。
俺の鉱石病の浸食率は高い。
まあ、もともとスラムで泥水をすするような生活をしていたので仕方ないことだ。
それに俺の使うアーツが鉱石病を悪化させやすいらしい。
アーツを使うと病状が悪化していくことは知っていたが俺のアーツは特に顕著だそうだ。
ケルシ―先生からは暫くアーツを使わないようにと厳命された。
前線に行くのも減らして基地の仕事をするようにと。
逆らう気はないので大人しくしていよう。
これだけ平和ならば前線に出る必要もないだろう。
この世界に生まれ落ちてから生きているのか死んでいるのかよく分からない生活をしてきた。
死んだと思ったことは何度もあるし、死ぬことについての恐怖はあんまりない。
しかし、こうして平和だと死にたくなくなる。
もうちっとこの平和を満喫していたくなる。
コーヒー缶片手にぼんやりする日々が続けばいいのにと思える。
オペレーターとしてロドスに席を置いている以上、死は隣りあわせだ。
気が付いたら死んでいるなんてことはよくあることだ。
自分も或いは他人も。
どうせ二度目の命なので、自分以外の誰かのために使いたいものだけど。
パリーン。
ブァッカモーン!!
あ、ヴィグナの打った球がロドスの建物の窓を割ってしまった。
ヴィグナはそれを見て顔を青くして、クオーラやジェシカは慌てふためいている。
やっちまったなあ、という苦笑をミッドナイトとスポットが浮かべる。
少しもせずにドーベルマン教官がやってきて、それを見たカタパルトが一目散逃げ出すがドーベルマン教官が振るった鞭がその足に絡みつき転ばされる。ほどなくしてカタパルトは捕まり、亀甲縛りによってその場に転がされる。
カタパルトは仕事サボって遊んでたみたいだな。
ミッドナイトやスポットは有休をとっていたのか、地面で悶え――藻掻くカタパルトを見てやれやれって顔をしている。
ヴィグナとクオーラ等野球をしていたメンバーが教官に謝っている。
教官は怒ってはないようだがなにやら指示を出している。
割れた窓ガラスの片づけと、新しい窓ガラスをはめるようにでも言っているのだろう。
野球は一時中断となり、皆は基地内に入っていく。
カタパルトは教官が連れて行った。
……教官は何処であんな縛り方を覚えたのだろうか。
趣味かな。
触れないでおこう。
『わーお!ジェェェットコースターーー!』、とポケット内の端末が鳴る。
どうやら健診の結果が出たみたいだ。
鬼が出るか蛇が出るか。
出るのどうせ鉱石だろうけど。
前世は大した病気にも罹らずぬくぬくと過ごしていたわけだが、闘病生活というものはしんどいものだ。
飯や運動は制限がかかるし、医者に定期的にいかねばならんし。
薬の量が増える程度で済めばいいが、どうなることやら。
しばらく入院とかになったら嫌だなあ。
コーヒー飲めなくなるだろうし。
ドクターが泣きそうな顔で謝ってきそうだし、アーミヤがまた病んじゃいそうだし、ケルシ―も寂しそうな顔をすることだろう。
このロドスは優しすぎるんだよなあ。もう少し下っ端の命は軽く扱えばいいのにさ。前世の企業は下っ端のことなんて考えてなかったぜ。
ロドスもブラックだが、トップがあれだけ頑張っているんじゃあ下っ端も付き従うしかねえよなあ。
ま、給料は悪くないから踏ん張りますかね。
コーヒーを飲み干して、一息つく。
思ったよりも軽々しい自分の溜息に驚きもしない。
コーヒー飲めなくなるのかねえ。
そう考えるともう一缶飲んでおこうかと欲が出てくる。
遅れたらケルシ―先生に怒られるんだろうけど。
……止めとこう。
あの
具体的にはあの脊髄にいったい何を飼っているのやら。
……まあ、体に何かを飼っているのは俺も同じか。
冷静に考えればこの曲者ぞろいのロドスを纏められるのは怪物じみてなきゃおかしいからなあ。
はあ。
…………。
怖え。
歯医者にかかることを嫌がる子供の様な気分だ。
死ぬことの恐怖はないけど、死にたいわけじゃあない。
いや、死ぬことはどうでもいいんだが、どうせ死ぬならスパッと死にたいもんだ。
鉱石病で死んだ人間は何人も見てきた。
自分もいつかはそうなるだろうと思ってはいたけど。
はあ。
せめてハイビスカスの飯だけは勘弁してもらうようにケルシ―先生にお願いしておこう。
「およ、マガツじゃん」
「……ドクター」
「どしたん。カルテを全焼させたことをケルシ―先生に謝りに行くかどうかで悩み抜いて執務室でソファに泣きわめきながらかじりつくイフリータみたいな顔して」
「そんなことがあったのか」
「うん。ソファと私のお気に入りのティーセットもついでに全焼した。解せぬ」
ゆっくりと屍人のように歩いてきたドクターに話しかけられる。
遠い目をして足元もおぼつかない。
また理性が飛んでいる。
正直ドクターの仕事量は狂気の沙汰である。
作戦指示や人事、基地内の管理にオペレーターのメンタルケア(恐らくケルシ―先生が苦手としているためドクターに一任という名の押し付けをしている)までしている。
ロドス謹製の気力回復材と数名の医療オペレーターが看護しているからといっても、過労であることには間違いない。
「……ドクターの方がFXで有り金全部溶かした人のような顔をしているが?」
「大丈夫。私は給料こそ出ないけど女の子のオペレーターと合法的に触れ合えるという報酬があるから。イフリータの太ももは最高でした」
「駄目だコイツ」
「マガツでもイけるから安心して私に身をゆだねて」
「誰かいい転職先を知りませんか!?」
ワキワキと手を動かしながら
やめろこっちくんなさわるなずぼんをおろそうとするなはないきあらげるな――
と、俺のズボンが半脱げ状態まで下ろされたあたりでドクターの動きが止まる。
こちらの顔をじっと見つめている。
先ほどの気の抜けた様相はそこになく、真剣な表情で見てくる。
「石、顔にも表れたんだ」
「…………。」
「いつから?」
「今朝だ」
「診断は?」
「受けている最中。これから結果を聞きに行く」
「そう……諦めないでね」
「諦めるって、何を?」
「うーん、色々。生きる事とか、或いは笑うこととか、或いは楽しむこと。こんな世界だけど、こんな世界だからこそ諦めちゃ駄目だよ」
……ドクターは偶にこうして俺を見透かしたかのようなことを言ってくる。
流石はオペレーターをカウンセリングしているだけのことはある。
俺以上に俺のことをよくわかっているんじゃないかと思えてくる。
「わかった。……ドクターがそう言うなら従うよ。雇用主には従うさ」
「はあ、マガツはそう言って関係を深めないようにしてくるよね。ま、そのうち深い関係になるからそんな心の障壁は意味ないけど」
「真面目な顔でパンツを脱がそうとするな」
結局、セクハラをするドクターともみくちゃしていると、俺が来るの待ちかねたケルシ―先生がよくわからない鎮静剤らしきものを俺とドクターに注入して連行された。
一週間コーヒーは禁止された。
解せぬ。
筋肉痛なうえに二日酔い。陰キャがパリピの真似をしては駄目ですね。
意味のない用語解説
グワラゴワガキーン!:悪球打ち。ど真ん中を打つとキーンという音がする。
秘打『白鳥の湖』:実際の野球でやると反則。
亀甲縛り:菱縄縛りという亀甲縛りに似た縛り方がある。教官はどちらもこなせる。
イフリータ:お迎えできてない。
ケルシ―先生:ケルシ―先生が実は裸エプロンに近い格好をしていると知って電流が走った。
ドクター:バイ。まあ、結婚するなら男にするだろうけど。
マガツ:カフェイン中毒。
出して欲しいオペレーターは?
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皆が持ってる初期キャラ中心で
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かわいくて強い高レアリティだ!!
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漢!!!!
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作者の好きなように
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オペレーターではないキャラを出して欲しい