アンセル:アンセル医師。ゲームでは見習いなのか医者なのかよくわからない形で書かれている。この小説ではちゃんと医者ということで。
クロージャ:購買部のお姉さん。
プラチナ:暗殺者のお姉さん。体重のデータは紛失したらしい。
ハイビスカス:疲れている人がぐっすり休めるような食事を作る少女。姉妹であり姉の方。
ガヴィル:看護師ではなく治療のプロ。看護師ではなく治療のプロ。大切なことなので二回言いました。
「コーヒーが飲みたい」
「駄目ですよ。コーヒーは刺激物ですから。消化器官が治るまでは刺激の少ない胃に優しいものを口にしてください」
「はーい」
コーヒーの飲めない日々を送っていた。
別に毎日飲みたいほどコーヒーは好きじゃないが、好きなときに飲めないと辛いものがある。
つらみである。
ツライさんになりそう。
「マガツさんはカフェイン中毒のきらいがありますからね。人の嗜好にまでとやかく言うつもりありませんが、過剰摂取は体に有害ですしましてや一昨日まで固形物を食べられなかったマガツさんに飲む許可は出せません」
白い手袋を嵌めた細い手を伸ばし人差し指を立てて、メッとでも言いそうなポーズをとるこの医者はアンセル。
ロドスの医療オペレーターの一人で、行動予備隊A4のメンバー。桃色の髪をしたコータスであり、同じコータスのアーミヤと違って長い耳は下方向に垂れ下がっている。
いつもはオペレーターらしい丈夫な医療服を着ているが、今日は医者ということで白衣を着てカルテを抱えている。
赤い目に白い肌、コータスらしい容姿をしていて、体つきも華奢で儚い印象がある。
ナース服を着せれば立派な看護婦の完成だろう。
看護婦の姿となったアンセルに見とれる人も少なくないだろうという程には可憐である。
「だが、男だ」
「がっかりして、ため息を吐かないでください。ケルシ―先生がつきっきりで診る予定だったらしいんですが、龍門の上役との会合が急遽決まったようで暫くロドスを留守にするらしいです。あの人も忙しいですからね。マガツさんの容態は安定してきたとはいえ予断を許さない状況だったので、幾人もの医療オペレーターが配属する手はずになりました。ただ、基本的に同じ男性でストレスも少ないだろうとのことで私が担当することになりました。私の時間が空いてないときにはまた別の――サイレンスさんとかが担当すると思いますよ」
「はあ、できれば見た目麗しいナースに看護されたかったけどねえ」
ロドスの女性比率は高いのだが、アンセルは男である。
見た目も和やかでかわいらしい。
だが男だ。
所作も上品で丁寧である。
だが男だ。
声変りがなかったのか声も高い。
だが男だ。
ていうかロドスにいる多くの女性オペレーターより立ち振る舞いが女の子らしい。
だが男だ。
たまには女装をしてほしい。
だが男だ。
そろそろお腹が減ってきた。
だが男だ。
包帯が蒸れて痒い。
だが男だ。
俺は倒れてから、一週間ほど意識不明だったそうだ。
怪我自体は作戦行動中に一緒にいたガヴィルによって治療され一命はとりとめたが、多量の出血とアーツの使い過ぎによる鉱石病の症状の悪化で生死の間を彷徨ったらしい。
刺された部位が内臓に刺さっており、ロドスに運び込まれた後ケルシ―先生などによる緊急手術が施された。医療オペレーターが何人も動員されててんやわんやの俺の手術は7時間くらいかかり、それでも俺の体力が持つかどうか、五分五分の状況だったとか。三回は心臓が止まったって。よく生きてたな俺。
目が覚めたときにはいろんな奴に泣きつかれたものだ。
庇ったサベージやその場にいたクオーラ、ジェシカ。ヘイズやマトイマルも隈を作りながら病室に待機していた。ドーベルマン教官はお見舞いの花を買ってきてくれたりした。
ドクターやアーミヤも心配そうな顔で駆けつけてきてくれたし、ケルシ―先生は寂しそうな顔をして病室の端で見守っていた。
他にもいろんなオペレーターやクロージャなどのロドス職員、ランセットなどのロボットたちまで来るのだから大分賑やかだった。
病室で泣きじゃくったり、元気づけようと笑い話をしたり、病室なのに騒ぐなと言いたいけど、ロドスらしくて楽しかった。
漸く体も回復してきて食事もちゃんとしたものになってきた。
運動ができないことや、出歩くのも誰かと付き添いでなければならないという不自由さがあるのを除けば、病室も悪くない。暫くはのんびりさせてもらおう。働きづめはよくないってばっちゃが言ってた。
ばっちゃは今世では物心つく前に他界しているが。
「なあ、アンセル。男のお前に頼みがあるんだが」
「はい、何でしょうか?」
「下種な話で申し訳ないんだが、性欲処理ってどうしたらいい?」
「……は、い?」
アンセルは一瞬表情を失った。
ぱちくりと瞬きをして、言葉の意味を考えるような素振りをしてから元に戻る。
「ああ、そうですね。戦場に行って帰ってくると本能が働くのか、そうなる人が多いとは聞きます。マガツさんの場合は生死の間を彷徨いましたし、決しておかしいことではありませんね。けれど体に負担がかかるので自慰行為は止めてください。夢精した場合は私にそれとなく言っていただければ下着を交換しますので」
「ええ……」
「大丈夫です。マガツさんが意識を失っている間に何度か交換しましたから」
「…………。」
おむつを交換すること自体は入院中では普通にあることで、これもそれとさして変わらないことなのだろうが、精神的に来るダメージが数倍うえだ。
エリック上田ではない。
いや、くだらないことしか考えられないのか俺の頭は。
何ていうか、親戚の綺麗なお姉さんに隠していたエロ本を熟読されるくらいショックがでかい。
そんな経験も親戚の綺麗なお姉さんもなかったが。
「――話は聞かせてもらった!!」
隣のベッドと視界を遮るカーテンが突然開き、黒いフード付きパーカーを着た病人が姿を現した。
「ドクター!?」
「……ドクターか」
「ならば私がその性欲処理をしてあげようではないか!!」
「ドクター、何故ここに!?」
「過労と睡眠不足による事故でプラチナのお尻を触ったらここにいた。よく覚えてないけどエッチな話が聞こえたから復活できた」
「今日は休め」
プラチナもかわいそうに。
これでもロドスのトップだからぶっ倒れたまま執務室に放置しておくわけにもいかないだろうからなあ。
「で、今から長い入院生活でムラムラしてアンセルくんに今にも襲い掛かりそうなマガツを私の百戦錬磨(自称)のテクニックで癒してあげようかと。エロ同人みたいに!!エロ同人みたいに!!」
「止めてください」
「あ、もしかして初々しい感じの方がよかった?……私、その、こういうこと初めてだから……上手にできるかわからないけど」
「幼馴染に怪我をさせてしまった責任をとるようなシチュエーションは止めろ」
嫌いじゃないけど。
「あ、あのドクター。ここは病室なのでそういったことは……。それにマガツさんはまだ安静にしていなきゃいけない患者さんなので、負担になるようなことは控えてもらいたいのですが」
見かねたアンセルが止めに入る。
「大丈夫、マガツには一切負荷を掛けないかつ、マガツが思わずピースをしてしまうくらいの快感を与える絶技かつ、私も気持ちよくなれてみんなが幸せなたった一つのさえたやり方をするから!!」
「ちょ、ドクター!?」
凄まじい速度で迫りくるドクターは医療オペレーターであるアンセルには止めきれるものではなかったのだろう。
いつの間にかアンセルは包帯で両手を拘束されて、ボールギャグをかまされて床に転がる。
俺は布団をめくられ、病院服を点滴の針が抜けないような絶妙な加減で
「大丈夫、天井のシミを数えてればすぐに終わるから」
「んん~!!」
「ドクターお前本当に過労でぶっ倒れたのか!?」
ドクターがパーカーを脱ぎ始める。
止めろ、反応するな息子よ!!
いくら何でもここはヤバい。
ロドス人生終わる!!
「マガツさーん、健康食作ってきました、よ……?」
「今回はハイビスだけじゃなくアタシもちゃんと監修したから、味も問題な、い……?」
運よく、いや運悪く、ガラガラと料理を載せた台車を運ぶハイビスカスとガヴィルが現れる。
彼女たちはこの頃よく看護してくれるオペレーターで、正直料理を任せるには不安だが、この場では関係のないことだった。
二人は俺とドクターと床に転がるアンセルの様子を見て一瞬固まった。
先ほどのアンセルと同じように表情が消える。
ポクポクポクチーン。
スッと二人の瞳からハイライトが消える。
「せっかく、マガツさんの体が早く良くなるようにって料理を作ったのに……」
「アタシがどんな思いでお前を看護していたか……。それなのに怪我も治ってない体でお前は――」
それ以上何も言うことなく二人は静かに注射器を取り出す。
睡眠薬は果たして病人にうっていいものだったろうか。
アンセルに後で聞きたいところだが、彼も彼で二人の女医の迫力にあてられて床でガクブルと震えている。
あとで酒でもおごってあげよう。
俺は穏やかな表情をしてそう思った。
その日はそれ以降記憶がない。
意味のない用語解説
ナースのお仕事:作者の世代ではない。
ツライさん:カープの危機なのだー!!
だが男だ:跳べよぉぉぉぉっ!!!
ばっちゃ:実はアークナイツの世界では伝説と呼ばれている人物だったが出てくることはない。
エリック上田:ソーマ「エリック!上だ!」
今日は休め:だめよ、7時半に空手の稽古があるの!付き合えないわ
エロ同人みたいに!!:このセリフが書かれているものは大抵R18ではない。
ドクター:寝不足には理由がある。
出して欲しいオペレーターは?
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皆が持ってる初期キャラ中心で
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かわいくて強い高レアリティだ!!
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漢!!!!
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作者の好きなように
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オペレーターではないキャラを出して欲しい