リリカルBASARA StrikerS -The Cross Party Reboot Edition- 作:charley
長き戦いを制し、宇喜多秀家と彼の操る魑魅魍魎の使い魔“屍鬼神"の軍勢をようやく退けた政宗達。
戦いの後、地上本部統合事務次官 ザイン・コアタイルからの理不尽な命令に従わなかったと星杖十字団から因縁をつけられ、政宗が連行されそうになる一幕もあったが、これもなのはの毅然とした対応によって退ける事ができた。
これで此度の事件はすべて解決した…その筈だったが……
スバル「リリカルBASARA StrikerS 第六十六章 出陣します」
こうしてR3支部隊との一悶着はあったものの、結果的に『ラコニアの街と人々を守る』という使命は最後まで全うする事が出来た機動六課は、R3支部隊の要請で周辺の街から集った陸士隊、救助隊に現場検証と街の復興を含めた事後処理を引き継がせた後、朝日を浴びながら、隊舎のある首都クラナガンへと帰投した。
長かった一夜がようやく終わった……
そして、その夜の間に起きた全ての出来事はコアタイル派の入念な根回しにより、必要最低限の情報のみ公にされ、その全てを正確に知ることができたのはコアタイル派首魁にして地上本部統合事務次官 ザイン・コアタイル少将だけであった…
首都クラナガンから北に約500km プリンスロイヤル自治都市―――
貴族魔導師の名家 コアタイル家を城主とする宮殿“ポラリスパレス”…その宮殿に聳える7つの塔の内、超ど真ん中に位置し、最大の高さを誇りし巨大な塔『“ドゥーベ”の塔』。その最上層のフロアにある鏡のようにピカピカに磨かれた廊下を、やたらと豪華な服を着た一人の男が歩いている。
わざとらしい大股な歩調や、革靴の音を誇張させるかのように響かせながら歩く姿からして、この男が相当不機嫌である事が分かり、行き違う使用人達は不必要に男の目に止まって睨まれぬように、また、男の理不尽な不興を買い罰が下されるような事を恐れて、足早に通り過ぎていく。
やがて男は一つの扉の前で立ち止まる。
そこは、限られた者しか決して入る事を許されない部屋のひとつ…この一つの街の如く広大な宮殿を治める城主の専用執務室だ。
重厚な扉を乱雑にノックした後、扉の向こうからの返答を待たずして開けると、部屋に押し入る様に入っていく。
「なんだ…お前か、セブン。どうかしたのか?」
部屋の中には、銀髪の初老の男…この宮殿の主 ザイン・コアタイル少将が、窓から外を眺めるようにして立っていた。
部屋に入ってきた男…ザインの息子でコアタイル家の嫡男 セブン・コアタイル准陸佐は、黙ってさえいれば端麗な美男子顔を、悔しさや憎しみで醜く歪ませながら、ズカズカと部屋の奥へと歩いていくと、窓の近くに設置されたザイン専用の大きな檜製のデスクの上に、バンッ!と数十枚の紙の書類を叩き置いた。
「パパッ! この報告書は一体どういう事なんだよ!? あの魔竜”アルハンブラ”を機動六課が倒しちまったって…そんなバカな事が…ッ!?」
セブンは怒りと動揺の入り乱れた様な表情を浮かべながら、デスクの上に拳を打って、父ザインを問い詰める。
昨日の見合いで起きた騒動の中、政宗に斬り落とされて、落ち武者の様なザンバラ頭にされてしまった自慢の金髪は、その日の内にスタイリストに整え直してもらったのか、今は肩より少し上の部分で切りそろえられたウルフヘアとなっていた。
「……うむ。そのようだな」
「そのようだなって…確かパパ、アイツらに『手を引け』って圧力かけたって言ってたじゃないか!」
半泣きになりながら訴えかけてくるセブンに対し、ザインは外を眺めたまま、抑揚のない声で答える。
「ふぅむ……どうやら、あの
その言葉を聞いて、セブンは目を見開いて愕然とする。
「R3支部隊のグリマルディからの報告によれば、私が圧力をかけた後、機動六課は言われたとおり、隊員に撤退命令を出したそうだが、ラコニア市周辺の念話、その他通信機器の回線が大規模な混線によって非常に不安定な状態にあり、撤退命令が隊員の“誰にも届かなかった”。さらに現地の機動六課隊員はこの時、R7支部隊隊舎襲撃とアルハンブラ解放に関与した“容疑者の逮捕を最優先”していたと…そう証言していたそうだ。その事はセブン。お前が今持ってきた所轄部隊からの報告書にも記載されておるぞ」
「ぐぅ…! そ、そんなもん詭弁に決まってる!!」
セブンは歯ぎしりしながら、叩きつけたばかりの書類を再度手に取って捲る。
そこには確かにザインが言ったとおりの内容で、機動六課部隊長 八神はやてからの“弁解”が記されていた。
「とんち坊主みたいな小賢しい言い訳こきやがって…! そんな虫の良いタイミングで命令が伝わらないわけがないだろ! パパ! こんな見え透いた言い訳、すぐに追求してボロ出させりゃいいじゃないか!?」
ザインの話を聞き、余計に苛立ったセブンはさらに声を荒げた。
だが、それでもザインは動じることなく、再び窓の外を眺めながら淡々と話し続ける。
「おそらく…お前の言う通りこれは単なる“詭弁”であろう。私もそう思う……しかし、あの
そう言うと、ザインは窓の傍から離れ、自分のデスクへと近づくと上に散らばった報告書の一枚を手に取り、パラリと捲った。そこには今回の事件の詳細な内容が、事細かに記載されていた。
その報告書には、昨夜のラコニア市内で起きた出来事について、全て事実のみが書かれていた。
・一、市内に拠点を置いていた
・二、この事件を起した古代魔炎竜 アルハンブラは封印されていたR7支部隊舎から逃げ出した後、市内上空を飛行・旋回し、暴れまわっていたが、機動六課分隊長 高町なのは一等空尉以下機動六課の隊員達との交戦の末に撃破。その後、アルハンブラの身体に寄生していた未知の魔生物(機動六課側の証言によれば『
・三、この事件を引き起こした首謀者は、時空管理局より第一級広域指名手配犯に指定されている次元犯罪者 ジェイル・スカリエッティと共同戦線を張っている謎の軍事勢力『西軍』(別名『豊臣軍』)の最高幹部の一人 宇喜多秀家なる少年が起したものであり、同容疑者は前述のアルハンブラに寄生していた未知の魔生物を多数操る特殊な能力を持っているとの事であるが、機動六課の証言、並びに現地に残された遺留物などから魔力反応が検出されなかった事から、非魔力保持者であると推定される。現時点でR7支部隊隊舎からアルハンブラを解放し、操っていたのも、同隊舎を壊滅状態に陥れたのもこの宇喜多秀家なる者によるものと思われる。
「……………」
ザインは報告書に記されていた文面を流すように読みながら、大きくため息をつく。
一方セブンは、自分達魔導師…ひいてはコアタイル派の絶対的な栄光に水を差すかの様な、承知旋盤な内容の報告に改めて怒りを覚え、適当に拾い上げた何枚かの報告書をクシャクシャに丸める。
「ありえねぇ! ありえねぇ!! ありえねぇ!!! ありえねぇぇぇっ!!! パパでさえも完全に掌握する事が出来なかった古代竜を…非魔力保持者ごときが操るなんて、出来るわけないだろ!!得体のしれないバケモノを操る!? そんなもん何か子供騙しなせこいトリックでも使ったんだろうがよ! 所轄の能なし共は騙せても、この俺の目は誤魔化せねぇからな!」
セブンは興奮気味にそう叫びながら、丸めた報告書を力任せに投げつける。
その瞳に浮かんでいたのは、底しれぬ怒りだった。澄んだ緑色の瞳が美しい目は今は血走っており、かなり苛立っているのが分かる。
「R7支部隊の奴らだってそうだ!! あれはコアタイル家次期当主であるこの俺の手足となるに相応しい様にと、
怒りに任せて机を叩きつけながら叫ぶセブン。
だが、ザインは特に驚いた様子もなく、ただ黙ってその様子を見ているだけだった。
「荒れておるな…セブンよ」
ザインは落ち着いた物腰を崩さないまま、感情のままに叫ぶセブンに声をかけた。
すると、セブンはあれだけ怒り狂っていたのが、今度は子供が駄々をこねるようにザインに向かって泣き言を零し始めた。
「そりゃ荒れたくもなるってば!! 唯でさえ、
大声で喚きながら父親の膝に縋り付くセブン。まるで三、四歳の子供がやるような仕草を、
しかし、ザインはそんな醜態を堂々と晒す息子 セブンの頭を優しく撫でながら、静かに口を開いた。
「まぁ待て、セブン。 所詮、高町なのはも…リマック、フェートンらR7支部隊の連中も…それぞれお前の伴侶や、忠臣としては相応しい者ではなかったと割り切ってしまえば、そう荒れる程の事でもあるまい…。兎にも角にも少し座って、酒でも飲んで頭を冷やせ」
そう言って、ザインはデスクから少し離れた場所に設置された応接スペースに息子を促した。
そこには黒い革張りの3メートル程の長ソファーがミニテーブルを挟んで向かい合う様にして置かれていた。セブンは乱暴にソファーに身を投げ出すのを横目にしながら、ザインは応接スペースの近くに置かれたカーゴの上に置かれていた酒瓶のひとつとグラスを手に取る。
「いつものオールドフェニックスのシェリー樽熟成12年ものでいいか?」
「あぁ。オン・ザ・ロックにしてよ」
ザインは息子の注文した酒をグラスに注ぎ、カーゴの下に備えた冷凍庫から大きなロックアイスを1個落してから、息子の前に置くと、自分もグラスを取って、別の酒瓶から特級品のブランデーを注ぎ入れると、それを持って、セブンの正面へと腰を下ろした。
セブンは乱暴な手つきで一息で飲みきる。父親の宥めと、お気に入りの酒が入ったおかげか、ようやく少し落ち着きを取り戻し、静かになる。それはまるで、怒りを無理やり酒で流し込んだかのような感じだった。
しかし、それでもまだ納得いかないのか、セブンはまたも怒りを滲ませて、父親に食ってかかった。
「パパッ! こうなったら、前もって脅していたとおり、俺に恥をかかせやがったあの“伊達政宗”とかいうふざけた下級国民を軌道拘置所へブチ込んでやってくれよ! っていうか、R3支部隊のグリマルディにもそう命じていたんだろ!?」
セブンの言葉を聞いて、ザインは申し訳無さ気に溜息をつく。
「息子よ…お前の怒りはよく分かる。お前がその無礼な非魔力保持者に怒りを覚えるのも尤もだ……だが、今回ばかりは我々も、奴らを少し侮り過ぎていたと認めざるをえないだろう…」
「はぁ!? どういうことだよ、パパ!」
「……まるで初等科生の屁理屈のようではあるが、
「うっ……」
セブンは言葉に詰まった。
ザインの言う通り、それが例え先方の根回しがあったからとはいえど、実際に外的事情が原因で命令が伝わらなかった事が証明されている以上、これは故意の“命令違反”には値せず、ザインがはやてと交わした取り決めに反する条件に値しない。
もし仮にここでセブンが、政宗に何らかの処罰を与えようと強行的な手段をとれば、それはザイン自身が自分のふっかけた条件に反した事となってしまい、六課側に追求できる隙を与えてしまう事になりかねない。
さらにそこへ、地上本部における最大の対抗馬であるレジアス・ゲイズ中将率いるゲイズ派や、六課の後ろ盾である本局の重役が介入してくるような事になったら、流石のコアタイル家の強大な権力を持ってしても、単独で対抗するには少し不利である事はザインも理解していた。
「事実、実際に“伊達政宗”を拘束しようと試みたグリマルディの報告によれば、高町空尉はこうほざいたそうだ。『伊達政宗を連行したいのなら、機動六課の後見人の許しがいる』と…」
「くそっ!
ザインの話を聞いたセブンは苛立ちに任せて、自らの膝を叩く。
「…まぁ、セブン。正面切って当たれば、相手も相手…。黙ってこっちの言いなりになる気はないことはわかっていた」
対するザインは、その顔に不快感を浮かばせながらも、息子のように感情的になることはなく、静かに考えを巡らせていた。
唯でさえ、ザインにしてみれば、今回の騒動は出来る限り、公にしたくない理由があった…
「それにだ…。今回の騒ぎが下手に大きくなって、我々がアルハンブラの様な半ば制御不能レベルの古代竜を
「一部って……本局の査察部とか?」
「左様。特に、本局のリンディ・ハラオウン、クロノ・ハラオウン両提督は、査察部のヴェロッサ・アコース査察官を介して、
ザインがグラスの中のブランデーを揺らしながら忌々しげに呟くと、それを聞いたセブンも渋面を作る。
「ヘッ!…誰かと思って聞けば、やっぱりアイツらかよ…!? ホントに本局の連中の中でもアイツらは、マジでいけ好かないな。特にハラオウン親子……先祖はミッドの貴族魔導師にも連なるそこそこの名家だってのに、何故にパパのやり方が気に食わねぇんだろうな?」
「フンッ…
「チィッ! あの小生意気な
セブンは怒りに任せて空になったグラスをテーブルに叩きつけた。グラスの中で解けかけたロックアイスがガランと大きな音を立てて転がる。
そんな息子の様子をザインは再び宥めた。
「落ち着け。今はそのような事を言っていても仕方あるまい。どちらにせよ、我らが今、優先すべきは、此度の騒動を表沙汰にして、余計な波風が立たぬ様に尽くすことだ……さもなくば、我等は管理局内におけるさらなる権威の向上という野望も果たせなくなるばかりか、このミッドチルダにおける貴族魔導師としての権威を保つことが出来んようになる。それはつまり…このミッドチルダの長き歴史の中で我がコアタイル家の先人達が築いて来た栄光を失うことと同義なのだぞ?」
セブンはその言葉を聞いて、少し冷静になる。
「……よいか、セブン? お前はコアタイル家の後継者として、その程度の事は理解しなくてはならん。だから、ここは我慢しろ。お前はいずれ、私の跡を継ぎ、地上本部の長官の椅子の上で胡座をかき続けているレジアスなども蹴落として、その椅子に勝ち取るべき男だ。 ならば…このような些末事で動揺を見せるでない」
ザインの言葉を聞き、セブンは深呼吸を繰り返し、なんとか心を静めようとする。
自分達にとって厄介な存在は、貴族魔導師を中心による絶対的な魔法文化の王道楽土を築き上げるコアタイル派の思想を“選民思想”と批判するハラオウン親子のような本局の良識派の連中だけではない。
非魔力保持者のくせに生意気にも地上のトップの座に君臨するレジアス・ゲイズ長官もまた唾棄すべき敵以外の何者でもないのだ。
この地上において、“裏の王”とも呼んでも過言でない絶対的な権力と勢威を誇る名家 コアタイル家…しかし、それ故に自分達を取り巻く厄介な敵対者の数は多い。
そんな敵対者達にこんなところから付け入られるわけにはいかない。
流石のセブンもそこはよくわかってはいた。
だがしかし……
「…それじゃあ、俺が受けたこの屈辱はどう晴らせばいいんだよッ!!」
セブンが尚も納得がいかない様子で悔しそうに拳を握ると、ザインは困ったように溜息をつく。
「セブン……お前は我がコアタイル家の記念すべき“七代目”を襲名にするに相応しき才能を秘めた素晴らしい男だと見込んでおる。しかし、お前の不幸なところは、どうもまだ世の中にはお前の素晴らしさを理解しておらぬ愚か者が多いという事だ……」
セブンの肩に手を置くと、ザインは諭す様に語りかけた。
傍から見れば、セブンの短気さ、傲慢さ、浅慮さなど…良識ある者からすれば、これのどこが「素晴らしい男」であるのかと首を傾げたくなるであろう事は間違いないところだが、それでもザインにとっては自慢の息子なのだ。
偉大なる偉業と栄華を極めた貴族魔導師の首魁である大魔導師の自分の息子で、未来のコアタイル家を背負って立つ男…まさしく神に選ばれた男であり、ある意味では、神にも等しき存在なのだ。
世間一般の有象無象が容易に逆らうなどありえない……ましてや、そんな息子との縁談を無碍に断ったり、髪を切り落とすなどという恥辱を与える事など……到底許されるものではない。
そんな事を本気で考え、信じていた。
これが世にいう『親バカ』というものであろう……
ザインは、胸の中で静かに燃やした怒りの炎を微塵も表情には覗かせないまま、空になったセブンのグラスに新しい酒を注いでやりながら、語り始めた。
「まぁ、落ち着いて私の話を聞け。“返し”というものは…決して腕尽く、力尽くのみでしか成せないわけではない……時に頭を使い、時に回り道をし、時に思わぬ方向から攻めてこそ…己が受けた屈辱を十倍、百倍に返す事ができるものだ」
「?…どういう事さ。パパ」
ザインの言葉の意図をまだよくわかっていなかったのか、セブンはグラスを傾けて中の酒を飲み干すと、首を傾げながら父親を見つめる。
そんな息子の視線を受けながら、ザインはゆっくりと話を続ける。
「お前に足りないのは、その為に必要な“箔”だ。お前はコアタイル家の御曹司で次期当主だが、今はまだそれだけだ。私の様に、お前自身が誇れる名誉らしい名誉を上げていない」
「箔? それって肩書って事? それなら俺は第七陸士訓練校の主任教官だぜ?」
セブンは少し得意げになって自分の役職を名乗るが、ザインは頭を横に振った。
「そうではない。お前の今のその肩書はあくまで“後側にいる者”の箔…お前に必要なのは“前側に立つ者”の箔…すなわち「戦歴」という名誉だ」
「戦歴…!? 戦う為の名誉……それってつまり…俺が自分の部隊を持つって事!?」
セブンは目を丸くして驚く。確かに、セブンは自身の母校でもある第七陸士訓練校を主席で卒業する程の優秀な頭脳を持ち、魔力資質“だけ”であれば極めて高いエリートであり、いずれは偉大なる大魔導師である父の後を継ぐ者として、また将来的な地上本部の中枢を担う人材としてコアタイル派の局員達から嘱望されている。
そんな自分が、未だに卒業した母校で名誉職同然の役職だけに甘んじて、正式な部隊を率いる職についていない事自体、セブンにしてみれば前々から非常に不本意な事と思っていた。
その為、何度かコアタイル派の実質的な私兵である
しかし、目の前の偉大な父親は自分の事を既にそこまで高く評価してくれていた事に感激すると、興奮気味に身を乗り出してザインに詰め寄った。
「やったぜ! ありがと、パパァッ! それで一体どこの部隊に俺を配属してくれるんだ!?やっぱり今回壊滅したR7支部隊の新部隊長か?」
そんなセブンに対してザインは不敵な笑みを浮かべると、力強くセブンの肩に手を置いた。
「落ち着けセブン。R7支部隊なんぞ、今回の一件で完全に味噌がついた泥舟……お前にはもっと相応しい部隊の長に置く事を既に構想しておる」
「え……じゃあ、まさか……!」
セブンが期待を込めて尋ねると、ザインは自信たっぷりに答えた。
「そうだ…かねてから私が構想していた例の“新部隊”…その新部隊の立ち上げを本格的に進めようと思う」
ザインの言葉の意味を理解したのか、彼と同じ不敵な笑みを浮かべ出すセブン。
「ってことは、その“新部隊”の隊長ってのが…」
「そう。お前だ、セブン」
深く頷きながら、ザインは自分の息子へと告げる。
セブン・コアタイルこそが、今まさに彼が言った、彼の輝かしい戦歴となるべき新たなる部隊の創設……その部隊長に相応しい人間だと。
それは即ち、セブンにとって正真正銘、初の部下を率い、自身の力だけで戦う事になるという事を意味する。
セブンは、今まで味わう事が無かった新しい戦場への高揚感を覚えながらも、同時にふと疑問に思う事があった。
「でも、パパ。新部隊の隊長に俺が選ばれるのは嬉しい事だけどさぁ…そいつと機動六課の奴らへの『返し』と何の関係があるっていうのさ?」
「うん?……ああ、そういえば言ってなかったか」
と、ザインはお楽しみのプレゼントの中身をゆっくりと披露していくかのように勿体ぶった態度を取りつつ、グラスを傾けながら、セブンへと説明を始める。
「その新部隊の名前であるが……私はこう命名しようと考えておるぞ……『機動七課』…!」
「ッ!!?」
その瞬間、セブンは目を見開いて驚愕した。
「は……はははははは……ははははははっ!!」
そして次の瞬間、彼は父親の思惑に気づいたのか、嬉しさのあまり満面の笑顔になると、まるで少年の様に両手を振り上げて喜びの声を上げる。
「機動…七課!! はははっ! いいね! 魂胆がわかったよ、パパ!!…つまり、この俺に
セブンは笑い声を上げながら、父に確認を取るように尋ねた。
すると、ザインは満足げに冷たい微笑を浮かべて大きく何度も首を縦に振る。
「いかにも。そしてお前が率いる機動七課が六課を凌ぐ成果をあげる事となれば…」
「あいつらの面目は丸潰れ! 本局からの評価もガタ落ち!…って事か!」
「そのとおり。“屈辱”を返すには、受けたものの何倍もの“屈辱”を与える…それが一番良い報復であろう?」
セブンが手酌で自身のグラスに酒を注ぎつつ嬉しそうに語ると、ザインは含み笑いを浮かべながら頷いた。
「はははははは!!! 目には目を…屈辱には屈辱を……ってか? いいねぇ、やっぱりパパはすげぇや!」
セブンは高らかに笑い、ぐいっと一気にグラスの中に入っている酒を飲み干すと、空になったそれを勢いよくテーブルの上に置いた。
「よし! それで、パパ。これからどうすればいいよ?」
「うむ。少し待っていろ…」
ザインはそう言うとソファーから立ち上がり、自身のデスクへと戻るや否や、ホログラムコンピュータを操作し、本局との通信回線を開いた。
「キール元帥ですか? お久しぶりです。 地上本部統合事務次官のザイン・コアタイルです。 実はどうしてもお頼みたいことがございまして……内容は……はい ……フィルス提督やクローベル提督にも貴方からお伝えしておいてください……理由ですか?……以前、私が貴方方へ提言した『地上本部主導による“機動六課”の模範部隊』の試験設立です……はい…勿論結果が出たら本局と連携してさらなる部隊の資質向上にお役立てしたいと考えております…はい… ありがとうございます。それでは、また後ほど…」
通信を終えると、ザインはセブンに向けて勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
「よし。これで一先ず新部隊設立については本局からお墨付きを貰った…あとは私が直接本局の古代異物管理部に掛け合えば、部隊設立もすぐに承認されるであろう。なんたって、局長は我がコアタイル一族の末席“アウトランダー家”の者が務めとるのだ。こちらが多少無理に話を通しても文句は言うまい…」
セブンは、その言葉を聞いて玩具を与えられた子供のように目を輝かせる。
「流石はパパ! 手際がいい!」
しかし、そんな息子に対し、ザインは厳しい表情を浮かべると、人差し指を立てて言った。
「浮かれている暇はないぞ、セブン。これはあくまでも始まりに過ぎん。まずはこの新部隊が確実に機動六課を凌ぐだけの成果を上げられるだけに相応しい優秀な人材を揃えていかねばならん。隊員の人選に関しては私も力を貸すが、お前も部隊長としてしっかりと見極めねばならん」
「………確かにそうだねパパ。オサムやエンネアみたいな、蓋を開けたらとんだ役たたずでした…なんてカス札を引かない為にも慎重にやらないと」
「そのとおりだ。主にコアタイル派の中から将来有望の若手の士官候補生を集める事とはなるが…より確実に強い戦力を揃える為にも
「おお! そいつは嬉しいね!! 是非とも頼むよ!!」
セブンはザインの申し出に心底嬉しそうに礼を言う。
「そうだ、パパ! ついでだから、妹の“ジュイエ”も、新部隊に加えてやろう! アイツ、今の陸上航行部隊の艦上勤務に相当不満溜まってるみたいでさぁ。こないだ帰省してきた時だって「空ばっか飛んでんのも飽きてきたから、そろそろ地上で、また
セブンはそうザインに対し、嬉々として提案した。
すると、ザインはニヤリと笑って答える。
「そうか。ならば、陸上航行部隊にかけあって、異動出来るよう頼んでおくとしよう。やれやれ、あの子は…地上勤務の時に、非魔力保持者の市民相手に暴行事件を起こして、ほとぼりを冷ます為に私が陸上航行部隊に異動させたというのに…親の心子知らずで困ったものだな…」
「ハハッ!違いないなぁ! でも、まぁいいじゃないか。今度はせいぜい俺が“度が過ぎない”様に目ぇ光らせておけばいい事だし、それに俺ら兄妹が揃って同じ部隊で名を上げる事ができたら、それだけもっと箔が付くってもんだろう?!」
第三者がこの場にいれば、そのあまりに倫理観の欠けたような内容に、背筋が凍りつく事間違いなしであったが、二人は特に気にする様子もなく笑い合う。特にセブンは酒が入っているからなのか、先程までの苛立ちが嘘のように、すっかり上機嫌となっていた。
さらに、2人の会話からして、今この場にはいない“ジュイエ”なるザインの娘にして、セブンの妹もまた、父や兄に勝るとも劣らない人柄である事が容易に予想できる。
そんな娘(妹)の愚行を窘めるどころか、まるで子供のちょっとした悪ふざけのようにしか思っていない態度を取るあたり、やはりセブンとザインは親子揃って常軌を逸している…
同時に、ザインは我が子達に対して相当甘く、また他者からすれば何を根拠にしているのかもわからない過度な期待をしているようである事も分かった。だが…ザインにして見ればそんな事でさえ、当然の考えと信じて疑わなかった。
我が家はミッドチルダの魔法の歴史において大きな功績を担った由緒正しき大魔導師の末裔…そんな偉大な血統を受け継ぐ我が子達がいつか自分をも超える大物になると期待して何が悪い…
現に、ザイン自身はかつて先祖より受け継いだ圧倒的な魔法の強さと、御家の威光を最大限に駆使する事で、現在の事務次官の座まで上り詰めたのだ。故に、その血を継ぐ息子達の優秀さに疑いの余地などあるはずがない。いずれ、地上本部はおろか管理局全体において大きな偉業を果たすと信じている我が子達…そんな我が子達の更なる大成の為ならば、今現在度々起こしてくるちょっとしたトラブルなど、かわいい”おふざけ”みたいなもの…いずれそんな他愛なき悪名など、払拭させるだけの偉業を自分の子供達が成し遂げてくれる事を、ザインは確信していた。
その考えはまさに、貴族魔導師としての絶対的な栄光の中で培われた魔導師以外の人種に対する傲慢極まる差別意識、そして非情なまでの選民思想によって構築された歪でドス黒い“親の愛”であり、その親としての情は、人間として明らかに正常ではない事は、傍から見れば明白であったが、その大きな過ちを正したり、窘めようとする人間は彼らの間近には全くと言って存在しない…否、仮にいたとしても“できない”のだ。
「……さぁ、これから忙しくなるぞ。なにせコアタイル家主導の新部隊は、本局や他の貴族魔導師達からの注目の的になる事は確定なのだからな……っというわけで、私は早速地上本部へと赴き、新部隊の立ち上げについて話をしてくる。セブン。戻ってくるまでお前も、七課の目星の良い人材を探しておくといい」
「わかったよ。パパ」
ザインはデスクの引き出しから諸々の必要書類を手に取ると、まだソファーに居座る息子に、そう声をかけながら部屋を出て行った。
一人となったセブンは、更に一杯手酌で酒を注いだグラスを手にソファーから立ち上がると、最初に父親が立っていた窓際に近づき、そこから雲ひとつ無い青い空を睨みつけた。
一先ず、六課への報復の手立ては出来た。それは父であるザインの方針に任せておけば何も問題はない筈だ…
しかし…だからと言って、このまま自分に恥をかかせた男…伊達政宗と、あろうことかこのセブン・コアタイルの『妻』になれるというこの上ない名誉を蹴るという愚かな選択をした女…高町なのは―――
あの二人を、このまま平然と仲睦まじく過ごさせてやるがままなのも、面白くない話である。
彼らには、自分達がどれだけ愚かな行動や選択を選んだのかを死ぬほど後悔させてやらねば気が済まない。
特に伊達政宗―――
あの男には、自分が受けた屈辱以上のものを返してやらなくては…
…そこまで考えを巡らせたところで、セブンはある事を思いついた。
「………そうだ。久々に“アイツ”を使ってやろう……俺の部隊が出来上がる前に
セブンはそう呟くなり、目の前にホログラムコンピュータを立ち上げ、コンソールを乱雑に叩いて、どこかへコールを鳴らした。
程なくして、画面にブラックバックに『Non image』の文字が映し出されると共に、どこか気だるそうな声質の男の声が聞こえてきた。
《……もしもし。こいつぁ、どうも……ご無沙汰ですねぇ。セブン坊ちゃん…》
「相変わらず、陰気な野郎だなぁ。まぁいい…それより、そっちの景気はどうだい?」
《えぇ。おかげさまで大儲け…っとまではいかないですけど、まぁ、ぼちぼちと稼がせて貰ってますよ……あっ、そうそう。この間、坊ちゃんから回してもらったリストにあったゲイズ派のヘンダーソン執政管理官と反魔法至上主義者市民団体のリーダーを務める『マホトカ社』社長との“裏の関係”の決定的な証拠を押さえた画像と音声データを手に入れてありますぜ…》
「おっ! そいつは嬉しいねぇ! …あの豚オヤジには何度アヤつけられて、手焼かされてきた事か…そのネタでたっぷり冷や汗搾り取ってやれそうだぜ!」
セブンは愉快げに笑いながらも、その笑みに邪悪さを滲ませる。
《って事はあれですかぃ? 今日はコイツの値段交渉の為にわざわざ連絡を寄越してくださったのですか?》
「いや…そうじゃない。実は…それとは別の案件で、久しぶりにお前に一仕事して欲しいんだよ」
セブンはそう言うと、手にしていたグラスの中身を飲み干し、空になったそれを近くのキャビネットの上に置いた。
《ほぉ…その口ぶりからして……久々に坊っちゃんの気に障るような目障りな野郎でも現れたのですかい?》
「そんなところだ。…他人の脛に隠れた傷を探り当てるのはお前の専売特許だろう?」
自分が今会話を交わしている男の職業を暗示させる皮肉を混ぜ込んだセブンの言葉に、相手は小さく苦笑を漏らす。
《そいつを言われちゃ、なんとも言えませんねぇ…まっ、確かにコイツのおかげで俺も毎晩美味い酒が飲めるのは事実なんですけどね…で、今回の
男の言葉を聞いて、セブンの表情から笑顔が消える。
どうやら相手の男は、セブンの昨日の恥ずべき醜態を既に把握しているようだった。
「チィッ! その情報、もうお前の耳にも入ってやがるのか? 地獄耳が…」
セブンは不愉快げに鼻を鳴らしながら、舌打ちをする。
「あぁ、そうだよ。その『機動六課』だ。 コイツらの評判を落とせるような、なにか面白いネタを持ってきたら、報酬はいつもの倍額出してやる」
セブンの言葉を聞いて、顔の見えない通信相手は思わず息を呑むような気配を見せた。
《ふぅむ…何時になく気前がいいですねぇ、坊っちゃん。 こいつぁ、見合いで『機動六課』から相当な目に遭わされたとお見受けしますが……一体何があったのか、詳しく教えてくれませんかぁ? 場合によっては週刊誌の面白いゴシップネタに出来そうでさぁ。ヒヒヒ…》
「うるさいッ! 金が欲しいんだったら、つべこべ言わずにお前は黙って、言われたとおりにすればいいんだよ!!」
厭味な口調で問い掛けてくる男に、セブンは忌々しげな表情を浮かべて、吐き捨てるように一蹴する。
《はいはい、分かりましたよ…まぁ、俺としちゃ、坊っちゃんから回してもらったリストに載ったつまらん連中の尻を追うよりは、その『機動六課』の方が色々と探りがいがありそうなんで、断る理由はありませんしねぇ…… それじゃ、また何かありましたら、連絡ください……》
「あぁ。待て」
そう言って、通信を切ろうとする男をセブンが呼び止めた。
《ん? まだ何か用でもあるんですかい?》
面倒臭そうな声を出す相手に、セブンはニヤリと笑って言った。
「俺達の仲の
《ほう……それは興味深いですね。是非、お聞かせ願いたいもんですな》
興味深げな反応を示す男に対して、セブンは口元に歪な笑みを作りながら、ある事を告げた。
「パパが調べてくれてわかったんだが…その機動六課には今、“委託隊員”として数人の非魔力保持者が参加しているらしい。おそらく、ミッドチルダをはじめとする管理世界内の住人ではない……いずこかの管理外世界からやってきた次元漂流者だろう…そいつらに関する情報を最優先で調べ上げろ。もし、何かネタにできるようなものが上がれば、いつもの報酬の五倍の値段で買ってやる。…特に“伊達政宗”という名の男について“決定的な”ネタを見つけたらすぐに教えろ。その場合は
セブンのその言葉に、通信先の相手は何事かを思案するような沈黙を挟んでから答えた。
《随分とその六課の“委託隊員”にご執心のようですが、ますます何があったか気になっちまうじゃないっすかぁ。 ひょっとして…見合い相手をその“ダテ・マサムネ”とかいう奴にまんまとかっさらわれちまったとか……そういうオチですかい?》
「ギクッ!? だ…だから余計な詮索はしなくていいと言ってるだろ!! これ以上、くだらん戯言をほざくなら、この仕事は誰か別の奴に回してしまうぞ?!」
図星を突かれて一瞬セブンは押し黙ったが、すぐに取り繕うように通信越しに怒鳴り返した。
《ハハハ、ほんの戯言じゃないですかぁ。んな怒るこたぁないでしょうに…まったく、相変わらず冗談の通じないお人なんだから…。せっかく、こんな面白そうな上に条件も悪くない依頼は久しぶりだっているのに、こんな事でお預け食らっちまったら、こちとら泣いても泣ききれませんぜぇ》
男の返答を聞き、セブンは小さく鼻を鳴らした。
「ふんッ…改めて言うまでもないがな。この不景気の中、お前がこうして仕事に困らずにいられるのは、この俺がお前の腕を見込んだ上で、個人的に仕事を任せているからだ。わかるか? つまり…お前のようなクズが、これからも毎晩旨い酒にありつきたいと思うなら、“クライアント”であるこの俺を怒らせるなという事だ! そのことを肝に命じとけよ?」
《……はいはい。それは勿論、わかってますよ…》
セブンの強い忌避感と慢侮感を込めた脅すような言葉に、男は辟易したような調子で返事をする。
《では、俺はこれで失礼させていただきますよ。……あぁ、それと坊っちゃん》
「なんだ?」
《報酬や
そう言って、下卑た笑い声を上げる相手に、セブンは不愉快そうに顔をしかめた。
「フンッ…どこまでも金に汚い野郎だな。反吐が出る…。わかった。金はいつもどおりお前の口座に入れておく。入金を確認したらすぐに動け」
《了解♪…それでは、続報にご期待を》
満足気にそう言うと、通信相手の男は一方的に通信を切断してしまい、同時にセブンの目の前にあったホログラムコンピュータが消える。
再び、セブン一人の執務室内に静寂が戻った。
「フンッ! せっかく直った気分もアイツの下品な声を聞いて、また悪くなったぜ!!」
セブンは苛立たしげに鼻を鳴らすと、先ほどキャビネットに置いたグラスを再び手に取って、さっきまで父と会話を交わしていたソファーのところまで歩み戻ると、ミニテーブルの上に残されていたウイスキーの瓶を取ると、手酌で酒を注いでいく。
「ったく! あの“ドブネズミ”め…!…下郎の分際でこの俺の足元を見やがって……!!」
セブンはそう毒づくと、一気に酒を飲み干す。
そして、大きく息をつくと、ソファーに腰を下ろし、高い天井を見上げたまま、呟いた。
「…パパの言うとおりだな…今はまだ、この俺の偉大さを理解していないバカ共が多すぎる……どいつもこいつも、カスの分際でこの俺を舐め腐りやがって……!!」
ギリッ……! と、歯ぎしりの音を立てて、セブンは怒りの形相を浮かべる。
「だがそれも…俺が『機動七課』を立ち上げて、“地上最強”という箔を手に入れるまでの話だ……!! それまでせいぜい今の内に調子に乗っておくんだな……!!」
セブンはそう叫ぶと、勢いよく立ち上がる。
その表情には、それまでの傲慢な態度とはまた違った、狂信的な熱気のようなものが込められていた。
「このミッドチルダにおいて、俺に…コアタイル家に逆らう奴らなどいてはならない…ましてや、俺の面子を潰すような真似をする愚かな下級国民や、そんなものに靡くような思い上がった
そう言って、セブンは顔をしかめ、空になったグラスを片手にギリギリとガラスが微かに軋む程に強く握りしめた。
そして、空いていた片手でホログラムコンピュータを起動し、コンソールを操作すると近くの壁に政宗となのはの顔写真のホログラム映像を、それぞれ並べる様に投影し、それを不倶戴天の敵を睨みつけるかのような目つきで眺めながら、低い声で吐き捨てるように言った。
「見ていやがれ…伊達政宗…! そして高町なのは…! いずれ俺が率いる『機動七課』が、お前らから受けた屈辱…リボンを添えて返してやる。そして、お前らがそれぞれ選んだ愚かな行動や選択によって、怒らせた相手がどれだけ畏れ多いものだったのかたっぷりと思い知らせてやるからなッ!!」
まるで呪われし宿命を背負わされたかのように、深い憎悪を込めてそう叫ぶと、セブンはソファーから立ち上がり、手に持ったグラスを、壁に浮かんだ政宗の不敵な表情目掛けて投げつけた。
グラスは乾いた音を立てて、ホログラム映像の画像に浮かんだ政宗の不敵な笑顔に見事に命中し、粉々に砕けるのであった―――
ちょっとした裏話なのですが、実は今回の話は2年程前に作成していたのです。
あの時は、何故か秀家&屍鬼神軍団との戦いの場面だけは思い浮かばない中、何故かあとがき的な場面だけはサクサクと思いついて、とりあえず覚えているうちにとメモに書き記していました。
その時はまさか2年も後に日の目を見る事になるなんて予想もしていませんでしたが…(苦笑)
実質、3年程の休暇期間を挟んでしまいましたが、その間も決してネタの思いつきが皆無だったわけではなかったんですよ。
今後もこんな調子で数年越しに温められていたネタがチラホラと日の目に出していけたら良いのですが…
P.S.リリカルBASARA StrikerS キャラクター設定集(今作オリジナルキャラクター) (https://syosetu.org/novel/232339/3.html)にセブン・コアタイル、ザイン・コアタイルを追加しました。