ヴィランのお話   作:斗掻き星

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怒鳴ればいいと思ってる大人は嫌いだ。

「いやあ、助かったよ。ありがとう運び屋さん!」

「いえ、またのご利用、お待ちしております」

 

急いで駆けていく客を見送り、私はもう一度個性を使った。

私の前に出来上がった楕円の穴に潜り込むと、トイレの個室に出た。

現在私が通っている中学校のトイレである。

 

ふぅ、と一息ついてドアを開けると、そこには担任の先生が立っていた。

 

「界門さん。生徒指導室に来なさい」

 

先生は少し不安そうに見えた。

 

 

 

「はぁ、界門。お前にはがっかりだよ」

「そうですか」

 

「個性を不正に利用し客から法外な金を取っていた、間違いないな?」

「良心的な金額設定だと思っています」

 

「金の話をしているんじゃない!」

 

怒鳴られてしまった。

今私は生徒指導室にて複数の先生に囲まれ尋問されている。

休日や放課後、授業間のちょっとした隙間時間とかを使ってやっていた金稼ぎがバレたのだ。

時間がない人を目的地へ送り届ける簡単なお仕事。料金は全国一律二万円。

利用者からは概ね高い評価を得ていた。一日で複数回利用する人もいる。

 

「そもそも勝手な個性の利用は禁止されている!散々習っただろうが!」

 

生徒指導の先生が私を怒鳴りつけた。

 

わからない。

私の行為は危険ではないし、急いでいる人には大いに有益だ。

その対価にお金を取っていただけ。

 

「界門さん、今どうして怒られているか、わかる?」

 

担任が優し気に問いかけてきた。

 

「個性の不正使用です」

「それが悪いことだって、知っていたよね?」

「はい」

 

わからない。

私が悪い事をしたと分かっているなら罰すれば良いのに。

何故こんなにも問い詰める?

 

「バレなきゃ良いとでも思ってたのか」

「そうですが」

「ふざけてんのかッ!!!」

 

うるさいな…。素直に答えただけなのに。

 

「バレなきゃ何しても良いとでも思ってんのか?!」

「罪を犯したかも分からない人間を罰することはできません」

「いい加減にしろ!!!」

 

うるさい。うるさい。怒鳴ればいいと思ってる大人は嫌いだ。

 

「まぁまぁ先生。ここは私が聞きます。ねぇ界門さん、どうしてこんなことしたの?」

「お金を稼ぐためです」

「あなたのお家は結構裕福だったと思うけど…」

 

その金は家の金、あの女の金だ。私のじゃない。

 

「稼がなければ、食べられません」

「…どういうこと?」

 

どうもこうもない。必要もないのに法は破らない。

 

「私は自分の生活費を稼いでいただけです。育児放棄されていますから」

 

担任が息を呑んだ。

おい、母親には?今日はダメみたいです。そんな声も聞こえた。

 

「…もう少し、話を聞かせて?」

 

尋問は続いた。

 




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