「時雨、お前この動画見たか」
そう言って義爛が見せてきた動画は、今巷を騒がせている動画だった。
俺を殺していいのは、
曰く、ヒーローとは見返りを求めてはならない。
自己犠牲の果てに得うる称号でなければならない。
それがヒーロー殺しの主張だった。
これに感化される人間もいるようだが、私は正直理想論にすぎると思った。
自分を殺して名も顔も知らぬ大衆を助けるなんぞ、ネジの外れた狂人の類だろう。
現代社会にそれを求めれば、みるみる秩序が崩壊するに違いない。
「見ました。それで?」
「ヒーロー殺しステインの所属した組織、
仮にも高名な
「それで?」
「お前、
義爛の問いかけ。
普段は絶対こんなことは言わない。客だ仕事だ、と投げつけるばかりだった。
つまりこれは仕事ではなく、義爛のお願い。
ならば。
「お断りします」
聞いてやる理由はない。
「は、そうかよ。有能な人材紹介して顔でも売ろうと思ったんだがなぁ」
あいにく私はどこかの組織に属するつもりはない。
義爛に従っているのもその方が楽だからだった。
「私は別に現状に不満はありません。社会のために戦う、なんてそっちの方が面倒です」
組織に属せば義務と責任が生じる。表社会で生きるのと大差はない。
私を縛っていいのはベルさんだけだ。
「そうかい。じゃあ別の奴を探すとするかね」
「そうしてください」
しかし義爛がそうまで躍起になるのは、少し興味をそそられた。
「そんなに有望な組織なんですか?」
「まぁあくまで勘だが、あそこは多分後ろにやべぇのがいる」
「やばいの、ですか」
もし、依頼があるなら受けてみてもいいかもしれない。
私の
俺は結局
どちらも戦闘能力は高い。加えてトガヒミコは隠密に長け、荼毘は頭が回る。
イカれてはいるが、ここなら役に立つ。イカれてるのは皆同じだしな。
肝心のリーダー、死柄木弔は少々不安になる仕上がりだった。
言葉を選ばずに言うなら、ガキ。黒霧が彼を諫めて組織を回してきたのだろう。
是非ともご立派に成長して貰いたいものだと、彼の後ろ姿を見てそう思った。
純粋な善意で人に手を差し伸べられる人間は、どれだけいるのでしょうか。