ヴィランのお話   作:斗掻き星

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私なら。

尋問が終わって、ようやく解放された。

母親を含めた話し合いとやらは明日するらしい。

 

やっと帰れる。

私は自分の教室へ行って荷物を纏めた。

とても長い時間拘束されて、窓の外を見ると日は傾いていた。

 

教室を出て、学校を出て、帰り道を歩く。

 

「おいおい、(ヴィラン)がこんなとこで何やってんだ?」

 

下品な声で話しかけられたので振り向いてみれば、ガラの悪い男子が複数人立っていた。

私の中学校の制服を着ている。

対応するのも面倒なので無視することにした。

 

「無視すんなよ。どこ行くつもりだ」

 

囲まれてしまった。

リーダー格の男は、岩でできた巨大な手をガンガン、と打ち合わせた。

 

「俺の事も運んでくれよ、(ヴィラン)さん?」

「…どこへ?」

「そうだなぁ、じゃあTDL。モチロン中に」

 

ウザい。ニヤニヤと私を見て。

私は(ヴィラン)じゃない、みたいな反応を期待してるのか?

 

「二万」

「は?」

「運んでほしいなら二万払って。先払い」

「ふざけるなよっと」

 

頬から脳に衝撃が伝わる。

殴られた。

前がよく見えない。

口の中が血の味でいっぱいになった。

 

いたい。いたい。

 

「誰が(ヴィラン)に金払うんだよ。自分の立場分かってんのか?」

 

足蹴にされる。取り巻き達は下品な笑い声をあげた。

 

(ヴィラン)ならしっかり殴って捕まえないとな?ホラお前らも」

 

殴られた。蹴られた。

 

いたい。いたい。

 

「ほらほら、泣いてもいいぞ?」

 

何故誰も来ない?彼らの行為は犯罪ではないのか?

彼らの手足は個性で凶悪な形になっている。

明確な悪意でこれを振るうのは犯罪ではないのか?

 

いたい。いたい。

 

「へえ、チビだが良いもん持ってんな」

 

やめて。触らないで。

 

「出す、門出すから…もうやめて…」

「やめるかよ。ここからが楽しいんだろうが」

 

なんで、彼らは咎められない?

なんで、私がこんな目に合わなければならない?

私が、わるい?

 

私は、人の役に立つよう個性を使った。

仕方のない事だった。誰も傷つけなかった。

彼らは、私を傷つけるために個性を使っている。

 

 

 

わたしは、わるくない。

こいつらは、わるい。

 

殺そう。

殺せばいい。

 

 

 

個性を使い、空間に円形の穴を二つ開く。

私を押し倒し跨っている男の頭に入口の穴を被せる。

出口の穴から男の頭が出てきた。

 

今、こいつの頭は私の個性によって胴体と繋がっている。

ここで穴を閉じれば、

 

「おい、まさか、待てやめろ待て待て待て」

 

こいつは、黙る。静かになる。

 

死ぬ。

 

殺した。私が。

 

「あは」

 

殺した、殺せた。私が。

 

「あははは」

 

殺せる、私なら。




個性社会のイジメはどんなでしょうか。
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