ヴィランのお話   作:斗掻き星

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愛らしくて。

目を覚ますと、私の頭はエリちゃんのベッドの上だった。

いつの間にか眠ってしまっていた。

 

「おはよう、小夜さん」

 

 

 

一瞬、何と言われたか分からなかった。

 

「おはようございますエリちゃん」

 

おはよう、と言った。エリちゃんが。

彼女の顔からは私を怖がる様子は見られない。

私の顔を見つめて、どう接したら良いか分からない、といった雰囲気をしていた。

 

時計を見ると、朝の七時だった。

 

「お腹空いた?朝ご飯食べましょうか」

「うん。食べる」

 

何故かは分からないが、少しエリちゃんとの距離が近づいた。

 

 

 

「その、ごめんなさい」

「どうしたんですか?」

 

ご飯を食べていると、突然エリちゃんが謝った。

 

「今まで、冷たくしてたから」

 

それはエリちゃんが悪い訳ではない。

こんな酷い環境にいて、人の心を保っているのは凄い事だと思う。

 

「気にしてませんよ。おいしいですか?」

「うん。おいしい」

 

それは良かった。

 

私の手は自然とエリちゃんにのびて、頭を撫でた。

食事中で、少々行儀は悪かったが。

 

今度は、拒まれなかった。

 

 

 

今日オーバーホールは(ヴィラン)連合と話があるとかでここを出ている。

つまり、少しの時間なら個性で外出しても問題ない。

部屋の監視カメラについても、私の部屋から出れば大丈夫だろう。

私の部屋にはカメラがついていないから。

 

ということで、

 

「エリちゃん。遊びに行きましょう」

「どこに?」

「エリちゃんの行きたい所なら、どこでも」

 

一度は断られた誘い。

 

「…わかんない」

 

エリちゃんは、困ったように、でも訴えかけるように言った。

 

「でも、行きたい。小夜さんと遊びに行きたい」

 

その目が、とても愛らしくて。

 

「わ、小夜さん?」

 

思わず抱きしめてしまった。

私は数秒間、エリちゃんを抱きしめた後、体を離して言った。

 

「甘い物でも、食べに行きましょう」

 

多分、私はとびきり笑顔だった。

 

 

 

私の個性で路地裏へ飛んだ。

 

「これ、小夜さんの個性?」

「そうです。さ、行きましょう」

 

路地裏から出て目的地まで少し歩く。

 

私に手を引かれて歩くエリちゃんは、物珍しそうにキョロキョロしていた。

 

「何か気になりますか?」

「うん、初めて見るものばっかり」

「寄りますか?」

「ううん、いい」

 

本当に興味がありそうなら連れて行ってあげよう。

 

 

 

「ここです」

 

目的地にはすぐに着いた。

ちょっとオシャレなカフェ。

 

エリちゃんと席に着きメニューを開く。

 

「どれにします?」

「…全部おいしそう」

「好きなのを選んでいいですよ」

 

悩みに悩んだ結果、エリちゃんは桃のパフェを選んだ。

私はブラウニーにした。

 

「わあ…!」

 

サイズとしては一般的なパフェだったが、桃以外にも沢山の果物が乗っていた。

 

「いただきます」

 

エリちゃんはパフェを崩さぬよう、慎重にスプーンですくって口に運んだ。

 

「どうですか?」

「とってもおいしい!甘い!」

「ふふ、良かった」

 

幸せそうな顔をするエリちゃんを見て、私の心も満たされた。




さらに甘い。
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