ヴィランのお話   作:斗掻き星

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胸が痛くて、苦しくて。

「面会謝絶だそうだ」

 

八斎會への立ち入りから数日。

壊理は入院しており、デクとミリオは面会を頼むために相沢へ話をしに行った。

しかし、最初に言われた言葉がそれだった。

 

「そんな…」

 

二人は沈んだ表情を浮かべた。

 

時雨が消えた後、壊理は消え去りそうなほど悲愴な顔をしていたために、二人の罪悪感は日に日に膨らんでいた。

せめて謝罪を、と思ったが、それは拒否された。

 

「まぁ…あまり気に病むな。お前達は間違ったことはしていない」

「で、でも!」

 

なおも食い下がろうとする二人に、相澤は少し厳しい口調で言った。

 

「そもそも、どうして彼女に会いたいんだ?」

「それは、謝りたいからで…」

「謝ったところで、彼女が笑顔になったりはしないぞ」

 

 

 

「厳しい事を言うが、お前たちは誰のために(・・・・・)謝りたいんだ?」

 

罪悪感に押されて足を動かした彼らには、冷水のような言葉だった。

 

「ま、そういう気持ちは大切だ。ヒーローやるならな」

 

思い悩む若者の背を押すように、言った。

 

「いい機会だから、よく考えな。こういう事は少なくない」

 

 

 

「エリさん、ご飯です」

 

看護師の人が入ってきた。

 

保護、されてから数日、病院での生活は検査の連続だった。

私の個性の検査。

 

検査をしていた先生達は、揃って驚いた顔をしていた。

なんだか、ひどく気持ち悪かった。

 

「麗日さんが来ていますよ」

 

麗日お茶子さん。

小夜さんの友達で、入院した私を気にかけてくれた。

 

「こんにちはー。ご飯中にごめんね」

「いえ…」

 

他の人たちには会いたくないけど、お茶子さんは別によかった。

少しだけ、小夜さんと似ているから。

 

ご飯を食べながら、お茶子さんと話した。

ほとんどお茶子さんが話して、私はうなずくばかりだったけど。

 

「…ねぇ、お茶子さん」

「ん、なに?」

 

 

 

「もう、小夜さんには会えないのかな」

 

さみしい。

さみしいよ。

 

 

 

「そんなことないよ」

 

いつの間にか泣いていたみたい。

お茶子さんは、私の涙をふいて言った。

 

「でも、あの子結構シャイだから、こっちから会いに行ってやる!ってくらいの気持ちでいようよ。ね?」

 

お茶子さんは笑った。

 

「…うん」

 

 

 

それからしばらく、お茶子さんが帰るまで、お話を続けた。

色んなことを聞いて、色んなことを話した。

 

今私は、ベッドに一人で寝ている。

目を閉じると、小夜さんを思い出す。

 

 

 

もう一度、会いたい。

 

(ヴィラン)になって、追いかければいいのかな。

それとも、お茶子さんみたいに、ヒーローになって捜し出せばいいのかな。

 

考えれば考えるほど、胸が痛くて、苦しくて。

 

また、泣いてしまった。

 

 

 

会いたいよ、小夜さん。

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