私は近場のショッピングモールに来ていた。
義爛の仲介によって、私の仕事は紹介された客を運ぶだけのお仕事になった。
強盗の支援もほぼ無くなり仕事の数も激減したため、時間がすこぶる余るようになった。
そこで現在、ベルさんへ贈り物でもしようかと絶賛物色中である。
別に、何か記念とかそういう訳ではないが、こういうのは大事だと思う。
のだが、正直何を贈れば良いのか見当もつかない。
というのも恐らくだが、ベルさんはお金持ちだと思う。言動からそれが見え隠れしている。
つまるところ、私が手に入れられる物はベルさんも入手可能であり。
そもそも人に贈り物などしたことのない私が悩むのは当たり前だった。
そうやって考え事をしていると、周囲への注意が散漫になるのは当たり前だった。
「きゃっ」
体に感じた軽い衝撃と、小さな悲鳴が私の意識を引き戻した。
見れば、麗らかな女の子が尻餅をついていた。
「ごめんなさい。大丈夫ですか?」
そう言って私は手を差し出した。
「ううん、こっちこそごめんなさい。私前見とらんくって」
女の子はあせあせと謝りながら私の手を取って立ち上がった。
「すみませんでした。それでは」
女の子は、手を離し歩き出した私を、あの…と呼び止めて言った。
「家電てどこに売ってますか…?」
「反対の棟ですね」
ここのショッピングモールは二棟から成っており、私たちが今いる棟は娯楽施設やファンシーショップが集中している。家具家電衣服などは反対側の棟に纏められていた。
それを聞いた女の子は、どれだけ探しても見つからない訳や…等と呟いていた。
「良ければ、一緒に行きますか?」
こちら側はほぼ見終わった。あちらに何か贈り物に良い物があるかもしれない。
「ありがとう!私こっちに来たばかりで、不安で…」
「そうなんですか。では行きましょう」
「あ、私麗日お茶子っていいます」
「時雨です」
「ありがとう時雨ちゃん!いやぁ、家電って色々あるんやね。助かっちゃった」
「いえ。お茶子の買い物はこれで全てですか?」
「うん。ありがとうね」
流れで家電を一緒に選ぶことになり、買い物が終わるころには随分と打ち解けた。
「この後時間ある?お礼もしたいし、何か甘い物とか食べへん?」
「是非頂きます」
麗日お茶子は一緒にいて気持ちの良い人間だった。
表情が豊かだし、基本的に鉄面な私の顔から感情の機微を汲み取ってくれた。
友達ってこんな感じなのかなと、思った。
私たちは適当なカフェに入っていった。
「そういえば、時雨ちゃんはどうしてここに来てたん?」
「大切な人への贈り物を探してました」
「わ、素敵やん!何か良いものあった?」
「いえそれが…。何を贈ったら良いか分からなくて」
結局贈り物は見つからなかった。
家具家電を贈ってどうするのだという話だし、服は良く分からなかった。
やはりアクセサリーが良いかなと、私の中では結論が出かけていた。
「何が良いでしょうか」
「贈り物かぁ、そっか…。花とか、どうかな?」
花。
「花って一番自分の気持ちが伝えられると思わん?ほら、花言葉とかあってさ」
お茶子は、にこやかにそう話した。
「私だったら嬉しいよ!だって素敵やん!」
太陽のように微笑んで、そう言った。
花言葉、とてもロマンチックで好きです。