これはバルベルデ事変の少し前、

一人の少女が祝い日を迎えた

そんな静かな夜の話…

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マリア・カデンツァヴナ・イヴ殿
誕生日、おめでとうございます。
産まれてきて下さり、有難うございます(;∀;)
お目汚しながら、某書かせていただきました…

時系列AXZ前、XD未プレイ故その間の正史不明で勝手気ままな妄想で作りました。ハイ。
誠に申し訳ないのですが、オリキャラとの絡みオンリーになります。
今作っている二次シンフォギアVCにも今後少し絡むような構成…

別に恋愛関係でもない同僚との、小話ですので
宜しければよしなにm(__)m

※こちらはPixivにも投稿しております。


シンフォギアVC 閑話 銀に輝く即興歌

「ええ……そうね………ええ、わかったわ。翼にも伝えておくわね」

 

一人の少女が、ホテルの備え付けテーブルに座っている。

正面には簡易モニタが備えてあり、それは手元の通信端末に繋がれているようだ。

 

「……仕方ないわ、切歌。こちら調査もそろそろ大詰め。情報提供者たる私が抜けるわけにはいかないのよ」

 

少し困ったように笑う少女。そして名残惜しそうな表情をして告げる。

 

「今日は有り難う。もうすぐ戻れると思うから、その時にまた祝って頂戴。他の皆にも、よろしく言っておいてね」

 

少女の指が、端末を操作する。

 

「それじゃあ、お休み」

 

その一言と共に、モニターがオフラインの表示に切り替わる。

しばし余韻に浸る少女だったが、思い立ち、席から離れた。

行き先はドアの向こう、小綺麗に着飾られた廊下だ。

 

「疲れはあるけど…むしろ元気を貰ったわね」

 

某国、とあるホテルの廊下にて、

S.O.N.G所属、マリア・カデンツァヴナ・イヴはそう呟くと、廊下の突き当たりへ歩きだした。

向かうは自動販売機。長く話しこんでいたからだろうか。少し喉を擦ってからたどり着いた彼女だった

が、そこで動きを止める。

 

 

「………」

自動販売機の近くには、歓談用のソファとテーブルが備え付けてある。

そこに、マリアが動きを止めた原因が座っていた。

 

伴成蘭堂。彼女の同僚で聖遺物研究者。この調査における、彼女の同伴者の一人でもある。

今はソファに鎮座し、眼前のノートPCに向かっている。男のトレードマークたる、口元のガスマスクは今はない。変わりに一般的なマスクをしていた。緒川に言われ、しぶしぶ変えたと言う話を、マリアは移動中に聞かされていた。

 

「何をしているの?」

彼女の問いかけまで、その存在に気付く素振りすら見せなかった男。マリアを一瞥し、素っ気なく手を上げた。

「よぅ…見ての通りだ」

説明する気がないらしく、そうとだけ告げて、男は作業に戻った。

「………」

マリアはため息をつくと、自販機で飲み物を買おう向かう。しかし、思ったようなものはなく、

悩んだ挙げ句、彼女はそのまま男から少し離れた席に座った。

 

「作業なら、部屋でやればいいじゃない」

そう言うと、男は肩を竦める。

「どうにも俺の借り部屋は通信状況が悪い。こっちのが割かし良い」

国連のエージェント、そして現在極秘調査中らしからぬ発言に、マリアは呆れる。

「こっちでは目立った横槍もまだないからな。そこまで緊張しなくともいいだろうさ」

その発言を聞き、また溜め息をついた彼女だったが、男がこの状況なので、自分も少し気を緩めることにした。

 

「そうね…エルフナインから、連絡はあった?」

「LiNKERか?芳しい報告はない。どうも最後のピースが未だ見つけられずにいるようだ」

問いに率直に答える。その答えに、ここにいる同僚よりも確実に仲の良い、小さき錬金術師の姿を思い起こす。

「無理してないといいけど……」

男は特には答えなかった。マリアは席を立ち、男のPCへ目を移す。そこには幾つかの資料と、何らかの遺物、また彼女たちの仇敵の姿があった。

「アルカノイズ……」

彼女の呟きを尻目に、男は話し出す。

「結社連中、どうにもノイズをそこらにばら蒔いて、資金確保してる素振りが見える。まだこれ以外に資料はないが、もっと掘れば提供先から出元まで遡れるかもしれん」

自身らがここにいる理由に関し、改めて思いを馳せるマリア。

彼女は少し考え込むと、頭を振った。情報が出揃いつつある中で、無闇に考えても悪手を取りかねない。

「もう少し、集めてから、ね」

短く深呼吸をする彼女。男は特に何も言わなかったが、一応は同意見のようだった。

 

 

「そうだわ。少し私事(シジ)、よろしいかしら?」

話を変え、男にそう問う。男は肩を竦めた。それを見て、彼女は少し沈みやすいソファに腰かけた。

 

「最近、夢を見るのよ」

男が画面から目をあげる。

「夢?……藪から棒に」

いぶかしむように、隣を見た。マリアは見返して答える。

「昔翼から聞いたのよ。あなたは夢の話も出来るって」

男は首をかしげる。

「どこからそんな話になった………あぁ、緒川か」

合点が言ったようで、男は短く溜め息をついた。

 

「夢に、蛇が出てくるの」

「蛇?」

「ええ、黒い蛇。それが私を見つめた後、少し離れるの。そしてどういうわけか直立して、一本の木になるのよ」

「………」

話が見えないのか、露骨に眉をひそめる男。しかし、目をつむり、情景を思い出しているマリアは知るよしもない。

「その木に、雷が落ちて、一気に木が燃えてしまう」

 

「燃えてるそばに寄っていくと……見えてくる」

彼女はゆっくりと目を開けた。しかし、その目には、忘れ難い光景がこびりついているようだった。

「燃える木の虚の中に、人の顔が見えるのよ。名前も知らない誰か…

 いいえ、せめて、名前を知らなければいけない誰か達の…」

 

そこでマリアは一呼吸を置いた。

 

「私が手にかけた、私のせいで失われた、私が助けられなかった人たちの顔。それがじっと、こちらを見ているの」

 

微かに彼女の肩が震える。齢22の少女の存在が、押し潰されそうに揺らめいていた。

「表情まではわからない…でも、きっとそう…これまでの過去が、私を見つめてるように……」

 

「フンム」

しばしの沈黙の後、男が呟く。

「外的要因か、確かに素養はあるしな…可能性の段階だが、しかし…なるほど……本当にやるのなら、手を選んでもいられんか……」

謎の独り言に、マリアは顔をあげる。ちらりと目線を向ける男。二人の視線が交錯する。

 

「…ま、とは言っても、ただの夢だろうよ」

そう言ってPCを閉じる男。何かを言おうとしたマリアを、男の言葉が止める。

「夢占いで言えば、蛇は吉報の前触れ、木に雷が落ちるのはトラブルの予兆。燃える木は幸運の暗示。百々のつまり、今の調査が間もなく完了し、障害はあれど目的を果たす、ってことじゃないか?」

手を軽く振る男を、マリアは物言いたげな目で見た。

 

「それにな」

「顔って話だが、それはまぁ大概自分でそう思っただけだろう」

男は肩を回しながら続ける。

「翼もだが、お前たちはどうしてそこまで背負いたがる?」

「人間の存在なんて微かなものだ。それで背負っていけるものなんて限られてる。その上で、それを理解してもなお、お前たちはその手に何もかもをすくい取りたがる」

男は理解できない、といった風体で話した。

「背負えぬ荷物は、下ろせば良い。そこまで悩んだところで、昨日掴み損ねた、払い除けられた手を掴むことなど出来ぬだろうに」

男の言葉にしばし押し黙るマリア。

「確かに…そうね」

 

「だからこそ、なんだと思うわ」

「……?」

男はマリアを見る。その顔は、先ほど夢の話の時より、何か決断したかのような表情だった。

「小さい存在だからこそ、忘れないように、無くさないように、握りしめるんだと思う」

 

 

自分で遠ざけつつも、娘の夢を尊び、離れてなお残り香を大切に守っていた父親の姿を見た。

 

弱くとも、自分らしく、己の意志を貫き希望を繋げるためひた走った、勇気ある存在を見た。

 

親にすら見捨てられた過去を持ちながらも、それでもその過去を抱いたまま、誰かと繋がろうとする少女を見た。

 

何よりも大切な友を失い、それでも、友が守ろうとした場所を、人々を守るために、戦い続ける気高い剣を見た。

 

 

これまでの戦いで出会った、大きな存在たちを思い出し、マリアは答える。

 

「あなたの言う通り、逃げることも、捨てることも、出来たのかもしれない。

 でも、それを背負うと己で決めたから、そうやって、私がここにいるわ」

 

改めて男に向き直り、そして高らかに、宣言するように言った。

 

「それがきっと、私が明日手を差し伸べる力になるから」

 

押し潰されそうになっていた少女の姿はそこにはない。

 

力強い眼差しを持った、マリア・カデンツァヴナ・イヴがそこにいた。

 

 

 

「……そうかい」

男は短く答える。マリアはその様子に、いつもの彼の無関心な態度とは違う何かを見た気がした。

 

「話して気が楽になったわ。有り難う」

「礼を言われる筋合いはない。しかし、そもそもこういう類いは弦か友里に話すべきじゃないか?」

男の問い聞きながら、マリアは大きく伸びをした。

話疲れを取ろうとしていたら、存外また話しこんでしまったことに、彼女は微かに笑みを溢した。

「あなたでいいわ」

マリアはソファに身を預けながら答える。

「あなたは同情しないし、どう思われようと構わないから」

そうして膝を抱え、いたずらっぽく笑いかけた。

 

「そうかい」

眉を潜め、男は目線を宙へあげ首を振った。一段落が着いていたのだろう、PCを小脇に抱え、その場をあとにしようとする。

しかし帰り際、男は先ほどマリアが買わなかった自販機前で立ち止まる。

しばし品を眺めた後、徐にボタンを押した。

 

「ほれ」

買ったものをマリアへ放る。突然のことで驚くマリアだったが、難なくそれを受け止めた。

『レゾナントス ハツコイフレーバー♪』

と書かれている。

 

何事かと視線を送る彼女に、彼は肩を竦める。

「礼されたままでは夢見が悪いかもしれんからな」

男は踵を返し、歩きながら言葉を送った。

 

 

「ハッピーバースディだ、イヴ。良い夢を、と言っておこう」

 

 

 

男を見送ったマリアは、渡されたドリンクに目を落とす。明らかに下手物ドリンクかと思われたが、意を決し、一思いにあおる。

「ッッッッ!!」

苦さと酸っぱさが同居し、形容しがたい怪奇なハーモニーが口を占領する。思わず目を白黒させたマリア。後味の何とも言えない甘さがまだギリギリ飲めなくはないか。

言うなれば、飲めなくはないが、飲みたくはないを体現したかのようなドリンクだった。

確実に無作為に選んだであろうことに、彼女はうんざりする。

しばし間を置き、それでも一気に飲み干した。

「まったく……」

恨めしそうに廊下の先を睨んでいた彼女だった。が、思い出し笑いのように吹き出した。

 

「有り難う、と言っておくわ」

男の口癖を真似した後、マリアは立ち上がり、戻っていく。

 

 

 

己の戦場へと、

様々な思惑交錯する魔の地へと、

 

悪意に何度折られようとも

闇に打ちひしがれようとも

 

だとしても、彼女は挫けない。

 

 

銀色の輝きをその身に纏い

 

美しい桃色の髪を翻し

 

 

何度でも、立ち上がり

 

 

 

天空へと

 

己を歌う

 




改めて、マリアさん誕生日おめでとう(*'ω'*)

そして稚拙な拙作を読んでくださった貴方
有難うございますm(__)m


仕事中ずっと考えてギリギリ完成!!危なかった…

GXを経て強くなったマリアさんが、AXZで「愛よ!」に至る中で
微かにこんな掛け合いがあったらなぁと考えた次第でございます。

曲解等々恥ずかしい点ばかりではありますが
とりあえず出せてよかった!

では、この日を祝えたことに感謝を抱きつつ


本編もがんばらねば(;^ω^)

有難うございました!!

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