ある日、二郎へいくと、隣に、とてもラーメンなど食べなそうなモデルのような美女が泣きながら二郎を食べていた、全マシの野菜マシマシで...
ずっと泣いている彼女に僕は思わず話しかけてしまった。
大丈夫ですかと言おうとしたが、大丈夫なわけもなかったので、とりあえず「ティッシュどうぞ...」
さっき駅前で、NHKをぶっ壊したい人からもらったシールをちょうどティッシュの背表紙に入れていた。
ティッシュを渡した瞬間、急に嫌な予感がした。そしてその予感は当たった。
彼女がそのシールをみてさらに泣き出したのだ。
まさか、好きな人のなまえが貴志だったのだろうか、僕は動揺を隠せなかった。
泣いている彼女は僕を睨みつけ、あしばやに店を去っていった。
僕は、悪いことしちゃったなと思ったが、よくよく考えてみたら、自分はなにも悪くないと思い、急に腹がたってきた。
二郎の味がいつもより味気なく感じた。
1週間が立ち、再び、僕は二郎を食べにやってきた。先週の嫌な思い出を払拭するために、朝から何も食べず、胃袋を二郎だけで満たしてやろうと息巻いてきた。
とは言いつつも、量が食えるわけではないので、いつものように、野菜少なめ、他マシで注文した。
高まる気持ちを抑えつつ水を飲んでいると、隣の人が声をかけてきた
「あのー、こないだはすいませんでした。」
僕はびっくりして振り向くと、そこにはこないだ泣きながら、全マシの野菜マシマシを食べていた、たかし好きの女性だった。あの一件以降、僕は彼女の事をN子と呼んでいたため、思わず「N子!?」と呟いてしまった。
「N子?」と不思議そうに僕に尋ねてきたので、「なんでもないです」と動揺しながら言った。
彼女は、すこし苦笑いをして、「こないだはすいませんでした。私、実はあの日彼氏に振られちゃって、ずっと彼氏のために、ずっと好きでいほしかったから、ダイエットとかメイクとかファッションとか頑張ってたんです。でも急に振られちゃって、もうどうでもいいやって思って、ここに来たんです。でもこないだ完食できなかったから、今日こそはって、こないだ、不快な気持ちにさせてすいませんでした。」
僕は、「全然大丈夫ですよ」と思わず答えていた。
そこで会話は終わり、彼女は再び全マシの野菜マシマシを頼んだ…
最も驚いたのは、僕が食べ終わる頃には、もう彼女は席にいなかったことだ。
隣には、綺麗にスープまで飲み干されたどんぶりが置いてあった。
僕は緊張でいつもより食べれなくなり、食べ終わるのかなり時間がかかった。正直、先週よりも味がわからった。
なんとか食べ終え、店を出ると、何やら言い争っている声が聞こえた。
声の先にいるのは、N子だった。そしてN子は何やら男と言い争っていた。
おそらく元カレの「たかし」だろう。
たかしは、N子に対して、復縁を申し込んでいた。
「こないだは、気がどうかしてしてたんだ、もう一度やりなそう。俺らならきっとやり直せるよ!」
いかにも、典型的な引き止め方に僕はすこし関心してしまっていた。
しかし、N子は「今更、元の関係なんて戻れるわけない。もう無理だよ...」
女は切り替えが早いと、聞いていたことがあったが、1週間前の泣きじゃくるN子を見ていたので、「さすがに早くね」と心の中で突っ込んだ。
N子は話を切り上げようと振り返り、その場から立ち去ろうとする。しかし、たかしは諦めず、N子の肩を掴んだ。
その瞬間、僕は、N子と一瞬目があった。N子の目は光っていた。おそらく涙目になっていたんだろう。
僕は思わずN子のそばに行き、たかしの顔面にNHK撃退シールを貼り、ももかんをお見舞いした。おそらく人生初のももかん実用編だったのであろう。
たかしがうずくまっている間に僕は、N子の手を掴み、足った。N子は泣いていた。でも泣きながら、笑っていた。
N子の口からにんにくの香りがした...
その一件以来、N子と連絡を取るようになり、徐々に恋仲になり、今では同棲するまでに発展した。
その年の選挙で僕は初めて、N国に投票した。
「貴志、ありがとな」