ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世 作:鉄血のブリュンヒルデ
「サンドバッグになるつもりはないぞ!かっちゃん!」
そして僕は観覧席から飛び降りて、かっちゃんの前に着地する。
「緑谷、頑張れよ」
「うん、ありがとう轟君」
轟君は僕と入れ替わる様に観覧席に登った。
怪我は思ったよりも大した事は無さそうだ。
「構えろや」
「うん」
僕は今から、かっちゃんと戦うんだ。
小さい頃から、ずっと憧れていたかっちゃんと。
無個性が原因でいじめられたりしてたけど、それでも憧れた。
その強さと、絶対に勝ちを諦めない姿が、眩しかった。
そして2年前、君に認めて貰って僕はようやく前に進めた気がしてた。
けどさっきのかっちゃんを見てよく分かった。
かっちゃんも前に進んでいる。
僕は全然まだ追いつけてなんかいやしないんだって。
だから、次は僕が勝つ!!
勝って、前に進むために!
ONE FOR ALL FULL COWL!
今完全に制御出来るのは3%まで。
けどそれじゃあかっちゃんには勝てないんだ。
だからそこ、今扱えるギリギリの力を!
5%!
「君に!勝つ!!」
僕が力を身に纏うと、かっちゃんは僕を睨みつけた。
(炎が出ねぇし、性格も多少好戦的になった程度か。
あの時とは明らかに違ぇ力。
だがまぁ、んなもんはどうでもいい)
かっちゃんの表情が、獰猛な笑みに変わる。
「今すぐに、ぶっ飛ばしたらぁ!」
視界の端方で、リボーンが銃を構えるのが見えた。
BAAAAAANG!
「死ぬ気で戦えよ」
「「っ!」」
僕達は同時に加速し、その距離は一瞬で消失する。
「オラァ!」
「ハアァ!」
昔のかっちゃんなら、ここで右の大振りを出したはず。
けど、それは以前に僕が指摘してるからか、今回は右のストレートだ。
そして僕も右の拳をかっちゃんに向けて放つ。
「遅せぇ!」
かっちゃんは右手で爆破を使わず、横に向けていた左手で使った。
それも小刻みに使って僕の背後に回り込むように。
BOBOBOBOM!
「くっ!」
僕はすかさず裏拳で迎撃しようとした。
けど、振り返った僕の視界には爆破によって生じた煙だけしか映らなかった。
「吹っ飛べや!」BOOOOM!
その声と共に、下からさっきの移動とは比べ物にならない程の爆発が僕を襲った。
「ぐあっ?!」
僕は空中に飛ばされ、そこで気がついた。
かっちゃんは爆破を利用して空中でも動けるけど、僕は空中で動く事が出来ない。
唯一出来るとすれば、ONE FOR ALLの100%で引き起こすことの出来る風による移動。
でも、あれはデメリットが大き過ぎるから多用も出来ないし、まだコントロールが出来ない状態じゃ上手く扱える自信もない。
「くっ!」
轟君の時はあれで決着がついたからよかったけど、実戦であんな一度きりの力なんて使い物にならない。
けどこのまま何もしなければ次の一撃でやられる。
それだけは、ダメだ!
「死ねや!」
掌を構えるかっちゃんが見えた。
この間合いじゃ、拳が届かない!
きっとかっちゃんはそれを見越してあの位置なんだ。
考えろ緑谷出久!
拳が届かないなら、どうすればいいのか!
「っ!」
刻一刻と迫るかっちゃんの掌に向けて放ったのは、蹴りだった。
そして蹴り上げたかっちゃんの掌はあらぬ方向に爆破を発動し、中々の規模だったそれはかっちゃんを地上に押し戻した。
「ちっ!クソが!」
かっちゃんは爆破を地面に向けて小刻みに放つ事でその勢いを殺した。
けど、これだけ時間があれば、僕も地面に降りられる。
「ふぅ…………」
正直、めちゃくちゃギリギリだった。
あの瞬間に足が出たのは、本当に無意識だった。
「この程度は出来なきゃなぁ」
かっちゃんはそう言いながら再び構える。
「まだ行くぞオラァ!」BOOM!
爆破の加速。
真正面で受けるのは得策じゃないかもしれない。
僕は地面を蹴って横に駆ける。
無論かっちゃんも僕を追う。
互いに近接格闘タイプだからこそ、ある程度の動きは分かる。
問題はここからだ。
かっちゃんの個性の爆破は一見単純な個性に見えて、その実使い方は無限大だ。
かっちゃんの汗に含まれるニトログリセリンを爆発させるという事は、その汗を溜めて一気に爆発させればそれだけ高い威力の爆破を起こせるという事だ。
けどきっと、威力が上がるに比例してかっちゃんの肉体への反動は増すはずだ。
狙い目は、大技の直後。
今は逃げの一手だ。
かっちゃんにはあえて汗をかかせて、大技を出させる。
「逃げてばっかりじゃ、勝てねぇぞ!」
かっちゃんは僕に迫り爆破を僕に向けて放つ。
僕は何とか避けてまた距離をとる。
だけどあまり距離を開けすぎると、さっきの轟君に使った必殺技を使うかもしれない。
あの技は距離が遠ければ遠い程勢いが増すから、なるべくある程度近い間合いで、小刻みな動きで逃げる。
「こんの、ビビりがぁ!」
「っ?!」
しまった。かっちゃんに右肩の服を掴まれた!
「オラアァァァァ!!」
かっちゃんは叫びながら僕を投げ飛ばした。
くっそ、まずいぞ!
「終わりじゃねぇぞ!」
また来る。
けど待て。なんでさっき、投げ飛ばす時に爆破を使わなかったんだ?
その方が、効果的に僕にダメージを与えられた筈なのに…。
…………まさか?!
僕は慌ててかっちゃんがさっき触れた場所を触ってみる。
するとそこは何かの液体で濡れていた。
やっぱり、これはかっちゃんの汗だ。
「消し飛べェェ!」
けど、気付いた頃には遅かった。
BOOOOOOOM!
「グアァァァっ?!」
かっちゃんの爆破が僕を襲い、更に服に染みていたかっちゃんの汗が誘爆して更に追い討ちをかけてくる。
「くっ、ハァ…………ハァ……ッ」
服の所々が焦げたり破れたりしている。
体にも、火傷が多く見て取れる。
「この程度の小細工で、何動揺してんだ」
結構、ダメージが深いな。
右肩を上げると痛みが走る。
だからって、止まる訳にはいかないだ!
「まだだよ、かっちゃん!」
僕の叫びに、かっちゃんはバチバチと小さな爆破の威嚇で答える。
「そうでなくちゃ張合いがねぇ!」
再び加速。
どうすればいい。
かっちゃんのスピードは僕の5%じゃ反応するのがやっとだ。
この状況をどう変える?!
「くっそ!」
考えが纏まらない内は逃げろ!
このまま戦ったんじゃ、かっちゃんには勝てないぞ!
「また逃げんのか?!アァ?!」
単純なパワーならONE FOR ALLの方が上かもしれない。
けど、かっちゃんは今までの人生で慣れ、工夫して鍛えられた個性だ。
その違いが、あまりに大き過ぎた。
舐めてた訳じゃないけど、やっぱり強いっ!
「サンドバッグにはならないんじゃねぇのか?!
アァ?!」
「っ?!」
その瞬間、僕の中で何かが切れた。
そして瞬間的に、体の中からとてつもない熱が生まれるのを感じた。
僕はこの感覚を知っている。
僕の体の許容を超える力を使おうとした時に感じる、まるで警告を鳴らす様な熱だ。
だけど今はそれを無視した。
「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!」
その力を全て右腕に集約する。
もしかしたら、前にリボーンが言ったように骨が粉々になるかもしれない。
けど今は、そんなリスクは捨て置く。
かっちゃんに、一矢でも報いたいんだ!
「行くぞ!かっちゃん!」
「来いや!デクゥゥッ!」
かっちゃんは減速して距離をとり、あの構えをとる。
「
僕も、右腕の力を更に高めて叫ぶ。
「DETROIT!!!」
そして2つの力は同時に解き放たれる。
爆破と風圧。
2つの激しい力のぶつかり合いは、辺りに爆風を巻き起こした。
薄れていく視界の中で、吹き飛ばされるかっちゃんの姿が見えた。
少し、やりすぎちゃったかな…………。
…………………………
「なんて戦いすんだこいつら…」
轟が驚いたように呟く。
しかしデクの奴、最後の一撃は明らかな自爆覚悟の攻撃だったな。
爆豪相手に、負けたくねぇって気持ちが強くなり過ぎたか。
「リボーン、下に降りてアイツらを医務室に運ぶんだが、手伝ってくれねぇか?」
「ったく。仕方のねぇ奴らだ」
負けたくねぇって言うのは悪い事じゃねぇが、それが先走りすぎて身を滅ぼすなら意味がねぇ。
まだまだ教える事は山ほどありやがるな。
しかし爆豪の爆破の煙がまだ残ってやがる。
デク達が何処にいるか分からねぇな。
バキッ!
ん?なんだ?
「このっ!」
この声はデクじゃねぇか。
じゃあさっきのは、殴った音か。
コイツらまだ続けてやがったのか。
「いい加減、倒れろや!」
今度は爆豪の声か。
コイツら変な所で似てやがるな。
「俺の方が、強ぇんだよ!」
「君に勝つって、言っただろ!」
煙が晴れたその先に見えたのは、フラフラになりながら殴り合う爆豪とデクの姿だった。
「俺はお前に勝って、上に行くんだよ!」
「だから、それを超えるんだって言ってるじゃないか!」
「だから俺がその上を行くっつってんだよ!」
何だかんだ言いながら、コイツらも結局まだ15のガキだな。
けどコイツら、止めねぇといつまでも止まりそうにねぇな。
「おい轟。ちょっとあいつらの動き止めてみろ」
「ん?あぁ、分かった」
轟はそう言って右足の先から氷を放ち、また殴りかかろうとしてたデクと爆豪の腕を止めた。
「おい馬鹿共。今日はここまでだ」
…………返事がねぇな。
「おい、おめぇらいい加減に「勝つ、んだ…」ん?」
「俺が、勝つ………」
「僕が、勝つ………」
ったく。コイツら後半から執念だけで動いてやがったのか。
恐らく意識は途切れ途切れで、体はもうズタボロのくせに。
「コイツら、凄いな」
「ただ馬鹿なだけだろ」
まぁ、こういう馬鹿を鍛えるのも、悪くはねぇな。
…………………………
僕とかっちゃんの戦いから、数時間が経過した。
今僕達は、ジムの医務室のベッドに寝ている。
「全く君達は、戦闘訓練もいいけど、もうちょっと加減しなさい。
特に緑谷君。君の右腕は本当に酷かったんだぞ?」
今はいつもお世話になっているジムの医療スタッフの女性にめちゃくちゃ怒られている。
確かにまぁ、やり過ぎたのは分かってるんだけど…。
「しかしまさか自分の放った攻撃で粉砕骨折とは…。
多分だけど君、制御出来るはずの個性をわざと制御せずに使っただろ」
完全に見抜かれてる………。
「そして君だ爆豪君。
君の必殺技、
あれ、威力が高すぎるからもう少し抑えて使えな」
かっちゃんの必殺技、早速ダメだし貰っちゃった…。
「…………ちっ」
かっちゃんも思うところがある様で、気まずそうに顔を逸らした。
「はい、それは了解したと捉えるぞ。
次またあれ以上の威力で使ったら施設の使用にある程度制限かけなきゃならなくなるからな」
それは困るけど、全力で戦えないならあまりトレーニングにならないんじゃ……。
「緑谷君。私の個性も万能じゃない。
余程の事が無い限りは大丈夫だが、同じ怪我が何度も続けば、私も手をつけられないぞ」
この人の個性は"身体活性"。
自分自身や触れた人間の体を活性化させる個性だ。
今回の場合は体の中の治ろうとする機能を活性化して貰って回復を早めてもらった。
けど、この人が言った通り万能じゃない。
活性化させた所でそれが追いつかない程の重傷は治せないし、もし無理矢理活性化させてしまうと、逆に体に負荷がかかってしまい、最悪の場合は死に至る可能性もある。
「さて、処置は終わった。
さぁ今日はもう帰りな」
確かに、もうそこそこ時間が経ってる。
あまり遅いと母さんが心配するかもしれないし。
「ありがとうございました」
「っす」
「はーい、お大事に」
僕とかっちゃんは一先ず着替える為にロッカールームに向かった。
…………………………
「いつも悪ぃな」
緑谷君達が出ていった後、私は椅子の上に立つリボーンにそう声をかけられた。
「本当にいつもいつも。
君の生徒はどうしてこう無茶ばかりするんだ」
緑谷君然り、オールマイトもそうだ。
リボーンの生徒で一番マシなのはディーノくらいだな。
まぁ、それでもまだマシ程度なんだけど。
「んなもん俺が聞きてぇくらいだ」
「……とりあえず"元ボンゴレ専属医"として忠告しておく」
私がそう言うとリボーンは表情を真剣なものに変えた。
「彼はまだ若い。
もし本当にボスに育てたいならもう少し自分を大切にする事を教えた方がいい」
「あぁ、分かってる」
ボンゴレファミリー10代目ボス候補。
そして、ONE FOR ALL9代目継承者である少年か。
「随分と険しい道のりだな」
「だが、アイツが選んだ道だ。
ボンゴレの方は拒否しまくってるがな」
リボーンはそう言うと乗っていた椅子から飛び降りた。
「もしかしたら、近い内にオメェの力を借りる事になるかもしれねぇ。
その時は頼むぞ。
元ボンゴレのヒットマン、モールテ・アッティーヴァ」
「はぁ………ヒットマン時代の名前はやめてくれ。
今はただのトレーニングジムの女医の活川 命子だよ」
出来れば、物騒な事にならない事を祈るよ。
ねぇ?緑谷出久君。
いや、ボンゴレ
次回予告!
出久「流石はかっちゃん…。
いくら僕が使いこなせていないとはいえ、ONE FOR ALLと同じかそれ以上の力を持っていた。
僕ももっと頑張らないと!」
リボーン「そんなお前の為に心優しい俺は助っ人を呼んでおいてやったぞ」
出久「助っ人?一体誰なの?」
リボーン「お前の兄弟子だ」
出久「兄弟子?僕の?」
リボーン「ま、会えば分かんだろ。
次回。『
更に向こうへ」
出久「Plus ultra!!」