ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世   作:鉄血のブリュンヒルデ

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標的(ターゲット)No.11 先輩ボスとヒットマン

今日は一学期最後の日。

 

終業式はさっき終わって、先生達の会議が終わるまでの間僕達は教室で待機になった。

 

 

「緑谷ー」

 

 

日課であるノートへの記録や分析をしていると、クラスメイトの風間さんが話しかけてきた。

 

 

「どうしたの?」

 

「いやぁ、うちらLINE交換まだじゃん?

 

夏祭りの時の連絡とかしたいし交換しない?」

 

「うん。いいよ」

 

 

僕はスマホを取り出すと、LINEの画面を開いた。

 

 

「ありがとー。

 

そういえば夏樹とは交換したん?」

 

 

夏樹…………あぁ、炎さんの事か。

 

 

 

(ほむら) 夏樹(なつき)さんは、僕が初めて死ぬ気モードになった時に助けた、僕の隣の席の女子生徒で、最近よく話しかけて貰ってる、僕の数少ない女友達だ。

 

って、誰に説明してるんだ僕は。

 

 

「いや、まだだけど?」

 

「そーなん?ちょっと待ってねー」

 

 

そう言うと彼女は教室の前の方で話していた炎さんの方を向いて声をかけた。

 

 

「夏樹ー。緑谷とLINE交換まだってマジー?」

 

 

それを聞いた炎さんが物凄い勢いで彼女を連れて行った。

 

 

「ちょっと涼香!急に何よ?!///」ヒソヒソ

 

「いやぁ、さっき緑谷に聞いてみたらまだ交換してないって聞いて」

 

「そ、それは、だって、恥ずかしくて………」ヒソヒソ

 

「2年も片思いしたまんま、しかもLINE交換もしてないとか、前途多難すぎない?」

 

「うるさいわね?!私だって、そりゃちゃんとしたいけどさ…」ヒソヒソ

 

 

2人ともどうしたんだろ?

 

もしかして、僕何か変な事言っちゃったかな?

 

 

「ほら、交換してきなさいよ。

 

私も行ったげるから」

 

「なっ?!なんで?!」

 

「このまま何も伝えなかったら、そのまま進路も別れて忘れられちゃうよ?」

 

 

たまにチラチラこっち見てる。

 

やっぱり僕が変な事言ったんじゃ……。

 

な、なんだ?僕さっき何言った?

 

 

「そ、それは嫌だけどさ……」

 

「それじゃ、ほら!行こう!」

 

「えぇ?!い、今?!」

 

 

あ、炎さんを連れて戻ってきた。

 

心做しか、顔が赤い?

 

 

「ほら、言いなよ」

 

「あ、ああああ、あの、緑谷!」

 

「う、うん」

 

 

な、なんか緊張してる?

 

一体何だ?

 

 

「その、LINE!……交換、して下さい………」

 

 

………え?

 

 

「LINE?いい、けど……?」

 

 

なんか、変に緊張しちゃった……。

 

ていうか元々そういう話だったのに何緊張してるんだ僕は。

 

 

「ていうか炎さん顔赤いけど、大丈夫?

 

もしかして風邪?」

 

「えぇ?!///別に何でもないよ?!///」

 

 

僕が聞くと炎さんは全力で否定した。

 

 

「そう?なら良かった」

 

 

そして少しだけ他愛のない話をして、炎さんは自分の席に戻った。

 

って言っても、席隣なんだけど。

 

 

「しかし、あれで気付かない緑谷ってすげぇ鈍感よな」

 

「緑谷って昔からあーなのか?

 

なぁー、教えてーかっちゃんせんせーい」

 

「喧しいわ、爆破すんぞボケ」

 

 

な、なんか左からトゲトゲした視線を感じるのは気の所為だろうか……。

 

 

 

…………………………

 

 

 

放課後、昼過ぎからジムでいつもの2人とトレーニングをする事になってるから、僕は少し駆け足で家に戻っていた。

 

すると、僕の家のあるマンションの前に、スーツを着たいかにもな人達が大勢立っていた。

 

 

「なっ?!」

 

 

つい変な声が出た。

 

いや、でも待て。

 

もし一般人だったらめちゃくちゃ失礼だろ…。

 

 

「ん?」ギロリ

 

 

明らかにそちら側の人達だぁー!

 

不味い!僕こんな人達に絡まれる事したか?!

 

 

 

………って、僕マフィアの後継者候補じゃん?!

 

って事は暗殺?!この人達殺し屋?!

 

いや、だとしたら全く"暗"殺ではないけどね?!

 

 

「「「お帰りなさいませ。緑谷出久殿」」」

 

「え、えぇ?」

 

 

あれ、いつの間にか整列していたスーツの人達は、穏やかに笑っていた。

 

さっきのあの強面な感じは何処へ…。

 

 

「さぁ、どうぞ」

 

 

とにかく、通して貰えるみたいだから早く帰ろう!

 

 

 

僕は急いで家に入って扉を閉めた。

 

 

「あ、おかえり出久」

 

 

家に帰った僕を出迎えたのは、いつもと変わりのないお母さんだった。

 

 

「お客様がいらっしゃってるわよ」

 

「え?」

 

 

こ、このタイミングで来る客なんて、めちゃくちゃ嫌な予感がするんだけど……。

 

とりあえず僕は、自分の部屋に行く事にした。

 

 

「うふっ。リボーン君にあんなハンサムなお友達がいるなんて」

 

 

僕は部屋の扉を開けてまずリボーンに文句を言う事にした。

 

 

「リボーン!また何したの?!……って?!」

 

「「あぁん?」」

 

 

部屋の中にもいる?!

 

 

「待ってたぞ、デク」

 

 

僕が驚いていると、リボーンがこちらを振り返りながらそう言った。

 

 

「一体これはなんなの?!」

 

 

リボーンに問い詰めようとしたその時、部屋の中に見覚えのない椅子があるのに気が付いた。

 

 

「よぉボンゴレの大将」

 

「え?」

 

「遥々イタリアから遊びに来てやったぜ」

 

 

椅子が回転してこっちに向くと、そこには若い男性が座っていた。

 

 

「俺はキャバッローネファミリーの10代目ボス。

 

ディーノだ」

 

「キャバッローネって、マフィア?!」

 

 

じゃあ下にいたあの人達も?!

 

 

「ん?」ギロ

 

 

な、なんか睨まれてる?

 

 

「ぷ、あははははっ!こりゃダメだな!」

 

 

と思ったらなんか笑い出した………。

 

って、なんかこっちに来てる?

 

ディーノと名乗った男の人は僕の目と鼻の先まで来て、僕を見下ろしていた。

 

 

「オーラがねぇ。

 

面構えが悪い。

 

覇気もねぇし、期待感もねぇ」

 

 

と思ったら唐突に罵倒されたんだけど……。

 

 

「足も短ぇ。

 

金も無いし、力も上手く扱えねぇ」

 

 

り、リボーンまで…………。

 

 

「幸も薄そうだ。

 

ボスの資質、ゼロだな」

 

「んっ」

 

「「ははははははっ」」

 

 

別にボスになりたい訳じゃないけど、これはこれで嫌だな…。

 

 

「リボーン!何なのこの人達?!」

 

「ディーノのは、お前の兄弟子だぞ」

 

 

兄弟子?それってどういう事だ?

 

とりあえず僕は座ってディーノさんの話を聞く事になった。

 

 

「悪ぃ事ばっか言ったが、気を悪くするなよ?

 

ボンゴレ10代目」

 

 

その呼ばれ方はあまり好きじゃないんだけどな…。

 

 

「俺もリボーンに会うまで、ボスの資質なんてこれっぽっちも無かったぜ」

 

 

リボーンに会うまで?

 

 

「リボーンに会うまでって、まさか…」

 

「俺はここに来るまで、ディーノをマフィアのボスにすべく、教育してたんだ」

 

 

や、やっぱり…………。

 

 

「リボーンの特訓は容赦なくてな。

 

何度死にそうになった事か」

 

「ま、デクはお前と違って勉強は出来たから、そこの苦労は無かったがな」

 

「は、ははははは………っ」

 

 

何で勉強で死にそうになるんだ?!

 

一体どんな教え方してたんだよリボーン!

 

ってもしかして、僕もこれからそんな目に会うの…?

 

 

「おかげで今じゃ、五千のファミリーを持つ一家のボスだ。

 

本当はリボーンに色々な事を教わりたかったんだが、お前の所に行くって言うから、泣く泣く見送ったんだぜ?」

 

「あの、リボーンに家庭教師をして貰ってるのはありがたいんですけど、僕マフィアのボスになる気は無いんです!」

 

 

確かにリボーンのおかげで鍛えられたし、かっちゃんにも認めて貰えた。

 

けど、それとこれとは話が違うんだ。

 

 

「んんっ?」ギロ

 

「ひっ?!」

 

 

ま、また睨まれた。

 

それに情けない声出しちゃった……。

 

 

「ぷっ、ははははっ!

 

リボーンの言う通り、コイツ昔の俺にそっくりだな!」

 

「えぇ?」

 

 

僕がディーノとそっくり?

 

どういう事だろう?

 

 

「俺もボスになる気は無かった。

 

ハナからマフィアを目指す奴に、ロクなのはいねぇからな」

 

「いや、でも僕は…」

 

 

マフィアより、ヒーローになりたい…………。

 

 

「リボーンの腕は確かだ。

 

きっとお前も、立派なボスになれる。

 

それでも一生やらねぇってんなら……」

 

 

そう言ってディーノさんは懐に手を入れ、何かを取り出そうとしていた。

 

ま、まさか銃?!

 

だとしたら、取り押さえるべきか?!

 

 

「噛むぞっ!」

 

「……………え?」

 

 

身構えた僕の目の前に突き出されたのは、一匹の亀だった。

 

………いや、亀?

 

 

「人が悪いですぜ?ボス。

 

ボンゴレが完全に身構えてんじゃねぇですか」

 

 

ディーノさんの隣の付き人みたいな人が、僕を指して少し笑いながらそう言った。

 

 

「悪ぃ悪ぃ。

 

コイツはエンツィオって言って、リボーンにレオンをくれと言ったら代わりにくれたんだ」

 

 

レオンの代わりに?

 

 

「このレオンは、俺の相棒だからな」

 

 

でも確かに、レオンの能力は凄い。

 

銃になったり、体の中で死ぬ気弾を作ったりと、万能すぎるくらいだ。

 

 

「そういえば今日、爆豪達とトレーニングする日だったな」

 

「あっ、そうだよ!

 

こんな事してる場合じゃないんだった!」

 

 

僕が慌てていると、ディーノさんがリボーンに話しかけていた。

 

 

「爆豪ってのは、デクのファミリーか?」

 

「あぁ。他にも轟ってのがいる」

 

「ちょ、リボーン!

 

2人はそんなんじゃなくて、友達だから!」

 

 

というか2人をこんな事に巻き込めないよ……。

 

 

「まぁ、とりあえず会ってみりゃ分かるだろ」

 

「え?会ってみりゃ?」

 

 

それってもしかして、ディーノさんも今日来るって事?

 

 

「それもそうだな。

 

まぁ安心しろ。別にお前のファミリーをどうこうしようって訳じゃねぇんだ」

 

 

ディーノさんがそう言うなら、大丈夫なんだろうけど…。

 

 

「んじゃ、とりあえず行くか」

 

 

リボーンのその言葉で、僕達は移動する事になった。

 

 

「あら出久。お客様はお帰り?」

 

「いや、前に言ってた通りジムに行くんだよ。

 

この、ディーノさんと一緒に行くんだ」

 

 

母さんはそれを聞くと少し驚いた様な顔になった。

 

 

「あら、じゃあディーノさんも出久の家庭教師なの?」

 

 

家庭教師、か。

 

でもディーノさんみたいに優しそうな人が家庭教師なら、楽しいだろうな。

 

リボーンとの日常も、最近では楽しめるけどね。

 

 

「俺はどっちかって言うと、デクの……出久の先輩みたいなものだよ。

 

俺も昔、リボーンの教えを受けてたんだ」

 

「そうなのね!

 

出久良かったじゃない。お兄さんみたいな先輩が出来て」

 

 

母さんが笑ってこっちを見る。

 

確かにディーノさんはお兄さんみたいだなって感じる。

 

 

「んじゃママン、行ってくるぞ」

 

「行ってくるね」

 

「出久は預かるぜ」

 

 

僕達がそれぞれ母さんに声をかけると、母さんは再び笑って応えた。

 

 

「うん。怪我はしない様にね」

 

 

それから僕達はディーノさんの側近のロマーリオさんが運転する車に乗り込んでジムに向かう。

 

 

「何か聞きたいことはねぇか?可愛い弟分よ。

 

兄貴分としてアドバイスしてやるぞ」

 

 

その中で、助手席に座るディーノさんが僕にそう声をかけた。

 

ディーノさんに気に入られるのは嬉しいけど、僕はマフィアになりたくないしなぁ……。

 

 

「そういえば、リボーンが言ってた爆豪って奴と轟って奴はどんな奴なんだ?」

 

「え?かっちゃんと轟君ですか?」

 

「いい機会だ。

 

アイツらの事をディーノに教えてやれ」

 

 

かっちゃんと轟君の事か。

 

流石に轟君の家の事は言えないし、そこら辺を考えながら話してみよう。

 

 

 

それから僕はなるべく2人の聞かれたくないであろう事を省きながらディーノさんに話した。

 

と言ってもかっちゃんにそう言うのは無いだろうけど。

 

 

「しっかし、少し前まで虐めてきてた奴と一緒にトレーニングするなんて、お前も物好きだな」

 

 

ディーノさんの言葉に、少し顔が引きつった。

 

 

「その事に関してはまぁ、色々あって……」

 

「ま、そういう所はボンゴレI世の思想に通ずるものがあるな」

 

 

僕が、I世と?

 

一体どういう事なんだろう?

 

 

「ディーノさん、それってどういう事なんですか?」

 

「それはお前の家庭教師のリボーンに聞いてみろよ。

 

ボンゴレの歴史には、リボーンの方が詳しいしな」

 

 

ディーノさんがそう言うと、僕の隣のリボーンが帽子の先を指で擦りながら応えた。

 

 

「ボンゴレI世は、気に入った奴は誰であろうと構わず受け入れ、初代ファミリーのメンバーには国王、ライバルマフィア、宗教家など何でもありだったらしい」

 

「そんなボンゴレI世と、X世であるお前のファミリーの爆豪や轟はよく似ているって感じてな」

 

 

国王やライバルマフィア………そんな人まで受け入れていたなんて、凄い人なんだな………って!

 

 

「かっちゃんも轟君もファミリーとかじゃないんですって!」

 

「ハハハッ!悪ぃ悪ぃ。そういえばそうだったな」

 

 

ディーノさんが笑いながら謝る。

 

絶対本気で思ってないよ……。

 

 

「おいボス。そろそろ着くぜ」

 

「お、もうか。

 

そんじゃあ、デクのファミリーを見てみるとするか」

 

「ディーノさん!」

 

「分かった分かった」

 

 

また笑ってるし………。

 

やっぱりディーノさんに気に入られるのは複雑だ…。

 

 

 

…………………………

 

 

 

「ん?おぉ、遅かったじゃないか緑谷少年」

 

 

僕がロマーリオさんの車から降りていると、トゥルーフォームのオールマイトが声をかけてきた。

 

 

「あ、オール………俊典さん。すみません」

 

 

僕が呼んだのはオールマイトの本名で、オールマイトのこの姿を知らない人達の前ではそう呼ぶようにしている。

 

特にかっちゃん達にバレたら大変だし……。

 

 

「しかし、その車は「よぉ俊典。久しぶりだな」、っ?!

 

おぉ!ディーノじゃないか!」

 

 

え、もしかして、オールマイト達って知り合い?

 

 

「そういえば言うの忘れてたな。

 

俺はコイツの事も知ってるし、お前が後継者だって事も知ってんだ」

 

「えぇ?!そこまで?!」

 

 

案外この情報って知ってる人多い?!

 

 

「おい俊典。早く戻らないと轟君と爆豪君がまた無茶するぞ………って、なんでディーノがいるんだ?」

 

 

あれ、活川さんも?!

 

いやでも待て。ディーノさんを知ってるだけで、オールマイトの事は知らないかも知れないじゃないか。

 

ディーノさんを知ってる事自体ちょっとあれだけどこの際考えないでおこう。

 

 

「しかし、また一段と細くなりやがったな俊典」

 

「活動限界ギリギリどころか超過してマッスルフォームを維持するからそうなるんだ。

 

いい加減お前の面倒を見る医者の身になれ」

 

 

もうこの会話自体が証拠だよ………。

 

ここにいる全員オールマイトの事知ってるよ……。

 

 

「あぁ、驚かせちまったな。

 

俺はリボーンから教えを受けている間に俊典と知り合ったんだ。

 

あとそこの女医は以前は活性死のモールテ・アッティーヴァと呼ばれた伝説的なヒットマンだったんだぜ 」

 

 

待って待って待って。

 

情報量が多すぎる。

 

リボーン繋がりでディーノさん達が知り合ったのはまだ分かる。

 

けど、活川さんがヒットマンってどういう事?!

 

 

「ディーノ。人の黒歴史を掘り返すのはやめろ。

 

ヒットマンは5年も前に辞めたんだ」

 

 

心底鬱陶しそうに活川さんはそう言った。

 

ていうかヒットマンだったって事自体は否定しないんだ……。

 

 

「悪いね緑谷君。

 

別に隠していた訳じゃないんだが、態々昔はヒットマンだったなんて自分から言うものでもないと思ってね」

 

 

いつもと変わらない風に喋る活川さん。

 

こうやって見ると、昔ヒットマンだったなんて信じられないな。

 

 

「そうだデク。俺達3人は少し話があるから、先に俊典と一緒にトレーニングしててくれ」

 

「はい。分かりました」

 

 

とりあえず、そこら辺の話はまた今度聞けばいい。

 

今はトレーニングに集中だ!

 

 

 

…………………………

 

 

 

「それで?

 

2人は私に話があるんだろ?」

 

 

ジムの裏にある森の中で、私はディーノのその肩に乗るリボーンにそう聞いた。

 

この2人が持ってくる話題なんで、絶対ロクなものじゃ無い。

 

 

「今日はデクとディーノの顔合わせだけのつもりだったんだがな。

 

どうやらディーノがマークしてた連中が動き出したらしい」

 

 

それを聞いた瞬間、脳が沸騰したように熱くなった。

 

 

「ディーノが、マークしてた?

 

確かそれは、ジャックファミリーの残党だと聞いていたが」

 

「その通りだ。

 

9代目の暗殺を目論み、それを阻んだお前とお前が率いたボンゴレファミリーのヒットマンと構成員をほぼ壊滅させた、ジャックファミリーの残党だ」

 

 

リボーンの言葉に、今度は脳が極限まで冷えていく。

 

………あぁ、そうか。

 

奴らはこのタイミングだからこそ動き出したんだ。

 

 

「今度の奴らの狙いは9代目じゃなく、10代目である緑谷君という訳?」

 

「まだ仮説の段階だが、そうだろうな。

 

言い方は悪ぃが、老いた9代目を暗殺するより、他の正当後継者が死んじまった以上、デクを消した方がボンゴレにとっては痛手になる」

 

 

ディーノの言葉が、頭の奥底に木霊する。

 

確かに、9代目を殺した所で継承権がある緑谷君がいればボンゴレは再建出来る。

 

けど緑谷君を先に消してしまえば、後継者の座を狙ってファミリー内での抗争が起こり、ファミリーは内側から崩壊する。

 

何とも奴らが考えそうな事だ。

 

 

「それで?

 

ジャックファミリーが動き出した今、私にまたボンゴレに戻れとでも言いに来たのか?」

 

 

だとしたら私は御免だ。

 

もう二度とあんな悲劇は見たくない。

 

 

「いや、今回お前にはデクの護衛を任せてぇんだ。

 

俺も付かず離れずって訳にはいかねぇからな」

 

「俺もイタリアに戻って調べたい事がある。

 

だからアンタに俺の可愛い弟弟子を頼みたいんだ。

 

今回だけでいい。力を貸してくれないか?」

 

 

今回だけ、か。

 

もし断れば、緑谷君の警護はどうなるのだろう。

 

きっとボンゴレから人員が宛てがわれるはずだ。

 

けど、ジャックファミリーは普通の人間が相手に出来る程の連中じゃない。

 

まともにやり合えるのはそれこそ、独立暗殺部隊ヴァリアーくらいだ。

 

だが奴らは今"揺りかご"の一件でまともな活動が出来ないはずだ。

 

そうなるとやはり、通常のファミリーが警護にあたるんだろう。

 

ボスの命令で、命すら投げ出す様な連中だ。

 

きっとまた、死体の山が出来上がる。

 

医者として私は、それでいいのか?

 

 

「まぁ、無理にとは言わねぇ。

 

お前がダメでも宛は他にあるからな」

 

 

リボーンはそう言うと、帽子を深く被った。

 

 

「死体がいくらか増えるかもしれねぇがな」

 

 

………ハァ。

 

本当にいい性格してるよ。この赤ん坊は。

 

 

「今回だけだぞ」

 

 

あぁ。絶対に今笑ってやがる。

 

誘導もいい所だ。

 

 

「恩に着るぞ。

 

まぁ、最悪の場合はコロネロでも呼びつけようと考えていたがな」

 

「それを先に言え」

 

「最悪の手段だったからな。

 

そんじゃあ、その方向で話を進めるぞ」

 

 

そして私達はそこから10分ほど話して、緑谷君達の元に戻った。

 

緑谷君達は何も知らず、いつもと変わらぬ笑顔を見せていた。

 

 

 

…………………………

 

 

 

「ボス。そろそろ日本(ジャッポーネ)です」

 

 

ようやくか。

 

飛行機で12時間くらいか?

 

これだから日本(ジャッポーネ)は嫌なんだ。

 

 

「まぁ、これでボンゴレの10代目候補を潰せると考えたら、多少はお釣りが来るかな」

 

 

楽しみだなぁ。

 

先代がどうとかは興味無いけど、君には個人的な興味があるよ。

 

なぁ緑谷出久君。

 

君は大切な者を奪われた時、どんな顔をするんだろうね?




次回予告!

活川「全く。こんな仕事まで押し付けないで欲しいんだが」

出久「まぁまぁ。とにかく次回は夏祭りですよ。

楽しまないと損しちゃいますよ」

活川「夏祭りねぇ……。

何事も無く終わるとは思えないな」

出久「怖い事を言わないで下さいよ。

それじゃあお願いします」

活川「仕方ないな。

次回、『標的(ターゲット)No.12 強襲・ジャックファミリー』」

出久「更に向こうへ!Plus ultra!!」
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