ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世   作:鉄血のブリュンヒルデ

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標的(ターゲット)No.16 全方位からの攻撃

毒蛇を倒してから数分が経ち、僕らは屋敷の一階の奥の方に来ていた。

 

敵の襲撃や罠なんかは無くて、逆に不気味だ。

 

 

「……………クソがっ!

 

「ん?かっちゃん、何か言った?」

 

「何でもねぇわ!前見とけやクソデク!」

 

 

相変わらず酷い言われよう……。

 

けど、いつもより勢いが無い気がする。

 

何と言うか、力はないけどいつもより棘のある様な…。

 

 

「…………いやがるな」

 

「あぁ」

 

 

僕が考え事をしていると、リボーンと活川さんが大きな扉を睨みながらそう言った。

 

 

「もしかして、敵?」

 

「そうだ。

 

この感じは、緑谷君が戦った奴だ」

 

 

という事は、あの触れた物を操る個性を持った(ヴィラン)だ。

 

この戦いじゃ、轟君の氷結はあまり使えない。

 

つまりさっきみたいに動きを封じる事が出来ないって事だ。

 

つまり直接戦闘出来るのは、拳の物理攻撃で戦う僕と、爆破という定まった形のない攻撃方法のかっちゃんだ。

 

轟君には僕達の離脱の時に炎で支援して貰うとして、活川さんはまだ温存しておいて貰おう。

 

アイツが相手なら、僕とかっちゃんだけでなんとかなるはずだ。

 

死ぬ気弾もまだ使う訳にはいかない。

 

 

「………行くよ」

 

 

ギギィ………

 

 

僕は扉を開き部屋の中を見る。

 

するとそこは食堂の様な場所で、机や椅子、食器なんかもあった。

 

 

「お待ちしておりました。ボンゴレ10代目」

 

 

部屋の奥の椅子の脇に、一人の壮年の男性が立っているのが見えた。

 

あの姿、見間違えるはずがない。

 

物体操作の(ヴィラン)

 

 

「もし友好的な関係であれば、この席にジャック様が座り、あなた方とこのテーブルを囲んでいたのでしょう。

 

ですが我々は敵対同士。全力でお相手します」

 

 

油断は無いみたいだ。

 

それなら最初から、飛ばす!

 

 

「行くよかっちゃん!」

 

 

僕は構えを取って、かっちゃんに声をかける。

 

けど、かっちゃんの声は中々聞こえずに、僕は少し構えを緩めて振り返った。

 

 

「かっちゃん?」

 

「うっせぇ!分かっとるわ…っ!」

 

 

やっぱり何かおかしい。

 

かっちゃんの額には汗が滲んでいる。

 

顔も少し強ばってる。

 

 

「かっちゃん、もしかして毒蛇に毒を?!」

 

「なにっ?!」

 

「やっぱりな」

 

 

僕が聞くと轟君は驚き、リボーンはいつもと変わらない表情でかっちゃんを見る。

 

 

「活川さんも、知ってたんですか?」

 

「すなまいな緑谷君。

 

本人の強い希望で黙ってたんだ」

 

 

そういうところはかっちゃんらしい、けど!

 

 

「かっちゃん、無理しちゃダメだって!

 

もしかっちゃんが死んだら、どうするんだよ!」

 

「俺を心配してんじゃねぇ!

 

それに、これはただの麻痺毒だ。死にやしねぇ」

 

「けど、後遺症が残る可能性もあるじゃないか!」

 

「ここで死んだら後遺症もクソもねぇだろうが!」

 

 

僕はかっちゃんが戦う事を認めたくなくて、かっちゃんはそんな僕が邪魔で、言い争いがどんどん激しくなる。

 

それを見て止めようとしていたのか、轟君は困惑した様に僕達を見ていた。

 

きっと僕達がこんな感じで喧嘩するのは初めて、本当は僕も驚いている。

 

僕がかっちゃんにこんなに反抗するなんて、2年前以外だと幼少の頃くらいだ。

 

その時は確か、ボコボコにされたんだっけ。

 

何故かその時の記憶は鮮明には思い出せない。

 

なんなら、リボーンと出会う少し前に思い出したくらいだ。

 

そんな事より、今はかっちゃんを!

 

 

「そろそろ、よろしいですかな?」

 

「「っ!!」」

 

 

そうだ、今は敵の目の前だ。

 

言い争いしている場合じゃない、って事は分かってるんだけど!

 

 

「いいかデク。

 

テメェが俺の心配するってんなら、コイツさっさと片付けて、親玉もぶっ潰して、さっさと帰る。

 

それしか俺は呑まねぇ」

 

「…………無理はしないって、それだけ約束してくれる?」

 

「分かってんだよ」

 

 

僕が全線に出よう。

 

かっちゃんは前に出さない様に僕が戦う。

 

アイツとは戦った事があるから僕の方が適任だ。

 

絶対にかっちゃんに、負担をかけるな!

 

 

「行くぞ!」

 

「っ?!デクテメェ!」

 

 

かっちゃんが怒鳴るけど、気にするな!

 

 

「ふむ。どうやら焦りがある様ですな。

 

その様な状態では、ジャック様はおろか私ですら倒せませんぞ」

 

「うるさい!お前は僕が!倒す!」

 

 

思考が徐々に極端になっていく。

 

(そうだ。コイツは倒さなきゃいけないんだ。

 

コイツがいなければ炎さんをちゃんと逃がす事が出来た。

 

コイツが足止めさえしなければ炎さんをあんな場所から一秒でも早く逃がしてあげられたんだ!)

 

心がまるで獣の様に目の前の敵を倒せと叫んでいる。

 

 

「全部全部!お前が悪いんだ!」

 

 

感情の高まりが力の制御をブレさせる。

 

最近では5%を意識して抑えていたそれが、一気に高まる。

 

 

「SMAAAAAASH!!」

 

 

全力とまではいかないが、相当な力を乗せて振り抜いた拳。

 

だけどそこに、狙っていた頭部の感触どころか、何かに触れたという感覚すら無かった。

 

 

「言ったはずですぞ。

 

私ですら倒せはしないと」

 

 

避けた?!

 

けど、コイツの個性は物体の形を変えて操るだけだろ?!

 

ならなんでコイツは今の攻撃を避けられたんだ?!

 

 

「デクの奴、冷静ならあの程度看破できる癖に」

 

「緑谷落ち着け!」

 

「おいゴラデク!俺を差し置いて何1人で「かっちゃんは手を出さないでよ!」あぁ?!」

 

 

かっちゃんの声を僕は遮った。

 

 

「僕はコイツを倒して、炎さんを助けなきゃいけないんだ!

 

僕がコイツを早く倒せなかったから、炎さんは毒に侵されているんだ!

 

だから今度は、絶対に!僕がコイツを!」

 

 

熱を持った思考が冷めない。

 

誰の声も響かない。

 

それが数分続いた頃、ストレスが蓄積されていく僕にそれは突然の出来事だった。

 

 

「調子に乗ってんじゃねぇぞデク」

 

 

「いでっ?!」

 

 

小さな影が僕の頭を蹴り飛ばした。

 

その正体はリボーンで、仰向けで倒れた僕の胸ぐらを掴んでいた。

 

 

「オメェが責任感とか後悔とかあんのは分かってる。

 

それを感じるなとは言わねぇ。

 

だがな、お前が何でここに来たか。それを忘れてんじゃねぇ」

 

「僕が、何でここに来たか?

 

そんなの、炎さんを助けなきゃ「違ぇだろ」……え?」

 

 

リボーンは何を言っているんだ?

 

僕は、炎さんを助ける為にここに来たんだ。

 

それが、違う?

 

 

「お前はそんな、義務とか責任とかの為に来たんじゃねぇ。

 

確かに、お前の存在が夏樹を危険に晒したかもしれねぇ。

 

そこにお前が"助けなきゃいけない"理由があるのも確かだ」

 

 

そうだ。

 

ボンゴレのボス候補の僕が傍にいたばかりに炎さんは…。

 

 

「だがそれでもお前は、"助けたい"って思ったんだろ」

 

 

リボーンの言葉に、一瞬僕は気付けなかった。

 

その微妙な言葉の違いが。

 

だけど気付いた後は、すぐに何が言いたいのか理解出来た。

 

 

「義務や責任なんかじゃねぇ。

 

お前はお前の意思でここに来たんだろ」

 

 

………ほんの些細な差だ。

 

言葉としても、意味としても。

 

ただ、受け取り方1つでそれは僕の心を落ち着かせた。

 

 

「助けなきゃいけないって思うのは大切な感情だ。

 

ヒーローを目指す者としてそれは正しい。

 

だが、ヒーローもボンゴレも、最初はただ助けたいという感情から生まれたんだ。

 

義務感や責任感に縛られるくらいならそんなもん捨てちまえ。

 

お前はただ、助けたいと思った奴を助けりゃいい」

 

 

………結構、楽になった。

 

というより、敵が待ってくれている事に今気が付いた。

 

 

「そろそろ、貴方の本気が見られそうですな」

 

「…えぇ。お待たせしました」

 

 

とにかく今は奴の個性だ。

 

さっきの高速移動にもカラクリがあるはずだ。

 

個性は触れた物体の形状を変化させて操る。

 

………………そうか。

 

 

「アイツは、自分の衣服を操ったんだ」

 

「正解です」

 

 

随分と素直だ。

 

不気味に感じるけど、今までの奴の言動からそういうブラフを使うタイプじゃないとは思う。

 

理論としては、形状変化を微量に抑えて、その後の物体操作で衣服を横に飛ばす事で自分の体を引っ張ったんだ。

 

 

「デク。冷静になれば戦況は自ずと見えてくる。

 

心を燃やしてクールに戦え」

 

 

地味に難しい注文を……。

 

けど、今はそれしかない。

 

 

「おいコラデク。頭ァ冷えたか」

 

「うん。ごめんねかっちゃん」

 

「俺も援護に入る」

 

「ありがとう、轟君」

 

 

大丈夫。仲間がいる。

 

強くても敵は1人だ。

 

数で押せば、いける!

 

 

「行くよ!」パリッ!

 

「あぁ!」ボゥッ!

 

「命令すんな!」BOM!

 

 

3人とも構えをとり、敵を睨む。

 

 

「よろしいですかな?」

 

 

静寂。そして一一一。

 

 

「「「行くぞ!」」」

 

 

僕は地面を駆け、かっちゃんは爆破で空から、轟君はその隙間を縫う様に炎を走らせる。

 

 

「私を警戒して氷ではなく炎で、ですか」

 

 

そう言いながら(ヴィラン)は地面に手を着く。

 

 

阻みし絶壁(ブロッコ・デッラ・スコグリエラ)

 

 

その瞬間、僕とかっちゃんの目の前に床のタイルが壁となり現れた。

 

 

「くっ?!」

 

「クソっ!」

 

 

僕達はそれをどうにか蹴る、又は爆破による後退で衝突防いだ。

 

そして材質的に、轟君の炎が効いていない。

 

 

「事前にここのタイルは特殊な物と取り替えてあります。

 

そう簡単に壊せるものではありませんよ」

 

 

くっそ!

 

その身一つで戦う毒蛇と違って、コイツは手数が多いのが特徴だってのは分かってたけど、こういう個性持ちに事前に準備をされたら、一筋縄では行かないぞ!

 

 

「2人とも聞いて。

 

今からパワーを少し上げる。

 

正直このレベルになると自分の体にどの程度反動があるか分からないし、衝撃が2人に行っちゃうかも知れないんだけど」

 

「俺を心配なんざ余裕じゃねぇか。

 

一々確認なんかせずに使えや。出し惜しみ出来る相手じゃねぇだろ」

 

「俺は構わねぇぞ」

 

 

よし。なら、やってみよう。

 

 

ONE FOR ALL FULL COWL

 

6%!

 

 

「ほう。これは中々」

 

 

(ヴィラン)はここで初めて構えと取れる体勢をとる。

 

 

「っ!」

 

 

僕は足に力を入れ、一瞬で間合いを詰めて振りかぶった拳を振り抜く。

 

 

「早いですな」

 

 

しかし(ヴィラン)はそれをバックステップ回避し、更に個性の物体操作で衣服を後方へと引っ張る。

 

 

「ンなもん、読めてんだよザコがァ!」

 

 

そこへかっちゃんがすかさず追撃を仕掛ける。

 

 

「直線的ですな」

 

「がっ?!」

 

 

しかしかっちゃんの勢いは唐突に止まった。奴が触れた壁から飛び出した石柱によって。

 

 

「かっちゃん!」

 

「爆豪!」

 

 

僕が飛び出し、轟君はそれを援護しようと氷を展開した。

 

 

「させませんぞ」

 

 

(ヴィラン)は壁から手を離して放たれた氷に触れた。

 

その瞬間、氷はいくつにも分解されて形を鋭利な物へと変えた。

 

 

「っ?!悪い緑谷!来るぞ!」

 

 

くっそ、空中じゃ受身が「見てられないな」

 

(ヴィラン)の攻撃への対処を思考する僕の耳に、活川さんの声と風を切る音が聞こえた。

 

 

ガキンッ!

 

 

そしてその後に響いたのは、金属の衝突音だった。

 

 

「ほう。次は活性の死神(モールテ・アッディーヴァ)が相手ですか」

 

「その中二臭い呼び方はやめてくれ。

 

私はただの女医の活川 命子だ」

 

 

かっちゃんを受け止めて何とか着地して振り返った僕の目に写ったのは、数本のメスをそれぞれ両手に収めた活川さんの姿だった。

 

 

「緑谷君。爆豪君を連れて下がれ。

 

時間稼ぎと攻略のヒント位はしてやろう」

 

 

そう言いながら活川さんはメスを懐に仕舞い、左手で右手を掴んだ。

 

 

「さて。久々に使うから加減が出来るか分からん。

 

せいぜい緑谷君達が回復するまでは倒れてくれるなよ?

 

あそこの赤ん坊がうるさいんだ」

 

「えぇ。努力しましょう」

 

 

活川さんはニヤリと笑うと、腕を握る手に力を込める。

 

 

身体活性(アッティヴィタ・フィージカ)

 

 

その瞬間、活川さんの髪はやや逆立ち、スラッとしていた手足にはしなやかな筋肉がついていく。

 

あれは、自分の体を活性化させているのか?

 

 

「あれが活川さんの、奥の手?」

 

「いや違ぇ。あれはその1歩手前だ」

 

 

僕でも感じ取れる程の力を持ったあれが奥の手ですらないなんて、活川さんはそこまで強かったんだ。

 

轟君も同じ様に思っていたらしく、目を見開いていた。

 

 

「参ります」

 

「あぁ。かかって来い」

 

 

(ヴィラン)は加速して発勁の様な構えで活川さんに攻撃を仕掛けた。

 

対する活川さんは最小限の動きでそれを避け懐に入り込み、右手で作った拳で(ヴィラン)の鳩尾に抉り込む様な一撃を放った。

 

 

「ぐっ?!」

 

「おいおい。まだ序の口だぞ」

 

 

そう言って拳を引いてその動きのまま左足で(ヴィラン)を蹴り飛ばした。

 

 

「今の手応えは、逸らしたな」

 

「見破られましたか。

 

しかし一撃目は逸らしきれませんでした。やはり噂に違わぬ実力。

 

貴方とこうして戦場で相見える事が出来る事を誇りに思います」

 

「御託はいい。もう終わりか?」

 

「ご冗談を」

 

 

(ヴィラン)は再び構え、対する活川さんも構える。

 

 

「っ!」

 

 

活川さんは地面を強く蹴って開いた距離を再び詰める。

 

 

阻みし絶壁(ブロッコ・デッラ・スコグリエラ)!」

 

 

(ヴィラン)はそれを阻もうとさっき僕のスマッシュを阻んだ壁を展開させた。

 

 

「それは一度見たぞ」

 

 

活川さんは体勢を変えて壁に手を付く事で減速し、そのまま真上に飛び上がる。

 

 

「甘いですぞ」

 

 

そこへ地面から飛び出した柱が襲う。

 

しかしそれを難なく躱した活川さんは、いつの間にか手の中にあったメスを投擲する。

 

(ヴィラン)も同じ様にストックしてあった氷塊の形状を鋭利な物へと変えて迎え撃つ。

 

メスとストックしてあった氷塊とでは数に差があり、僅かに氷塊の方が勝っていた様だった。

 

メスの間をすり抜けて活川さんを狙う氷塊の数はおよそ5つ。そしてあらぬ方向に飛んでいく氷塊が10と少し。

 

活川さんはそれ等を全て掻い潜り(ヴィラン)へと迫る。

 

 

「ちなみに背後には気が付いているよ」

 

 

突然(ヴィラン)とは真逆の方向にメスを投げる。

 

するとさっきら何度か聞いた金属の衝突音がまた響いた。

 

 

「あれって!」

 

 

その音の発生源は、さっき的外れの場所に飛ばされていたはずの氷塊だった。

 

 

「ミスに見せかけた奇襲だな。

 

だが偉く初歩的なフェイントだな」

 

 

確かに、僕ならともかく、活川さんの様な一定以上の力を持つ人達には通じない様な技だ。

 

 

「なるほどな。

 

お前、同格以上の相手との戦闘の経験が無いな?」

 

 

そうか。それなら納得がいく。

 

それにあの個性なら不意打ちも初見殺しも出来る。

 

まともな戦闘自体、そもそも回数が少ないのかもしれない。

 

 

「やはり貴方の目は誤魔化せませんな。

 

仰る通り、私は先代の頃は戦力として数えられない程でした。

 

そこへ今代のボスが私を側近として指名して下さったのです。

 

その御恩に応える為にも、貴方達を簡単に通す訳にはいかないのです」

 

 

このレベルの人が戦力外なんて、ジャックファミリーはどれだけ強大だったんだ。

 

 

「恩か。なるほど。

 

まぁ、いい感じに盛り上がって来た所で選手交代だ。

 

緑谷君。奴は君一人で倒すんだ」

 

 

僕が戦慄していると、活川さんがこちらを振り返っていた。

 

 

「僕1人、ですか?」

 

「あぁ。そこの家庭教師もそう言うはずだ」

 

 

活川さんに言われて僕の後ろに立つリボーンの方を向くと、リボーンは僕をジッと見ていた。

 

 

「行ってこい。

 

もう相手の手の内はある程度把握した筈だ。

 

考えるのを止めるな。お前の武器はその考える力なんだ」

 

 

リボーンは力の籠った視線で僕を貫く勢いで見る。

 

ここまで言われて、ビビって立ち止まっていられない。

 

行くぞ。

 

 

「焦りは、無いようですな。

 

今度ばかりは一筋縄では行きそうもありません」

 

 

冷静に敵を見ろ。

 

考えろ。

 

奴の情報を頭の中で統合して考えるんだ。

 

さっきの戦闘の動きで、奴の個性で操れるのは一度に一種類だけだって事は分かった。

 

もし出来るなら氷塊と柱、そして壁を同時に使っていた筈だ。

 

恐らく出来るとしても、壁と柱の組み合わせだ。

 

どちらも地面から出せばそれは同じ物を操っている事になるんだから。

 

もしかしたら、出来るけどそれをしない理由があるのか?

 

それと奴は前に戦った時に、氷を10秒だと言った。

 

何の秒数なのか、それは多分操れる時間だ。

 

形状変化と操作の時間が合計だとして、さっきの奴の動きの合間の微妙な間はインターバルの様な物があると考えていいと思う。

 

だとしたら、その一瞬が勝負だ。

 

 

「フゥ…………」

 

 

僕は体から力を抜いた。そしてもう一度全身に力込めて意識を力の制御に向ける。

 

 

ONE FOR ALL FULL COWL

 

6%

 

 

「行きます」

 

「いいでしょう」

 

 

右足に力を込めた。

 

そこに熱が集まり、力に変わる。

 

ただフルカウルで身体能力を上げるだけじゃダメだ。あの壁と柱を越えられるだけの突破力が必要なんだ。

 

だから、フルカウルと部分強化を同時に行ってその瞬間に必要な力を使う。

 

けど、強過ぎる力で反動を受けるかもしれない。

 

だから使うのは一瞬だけだ。

 

その為に、頭を回せ!

 

 

「っ!!」

 

 

力を解き放ち、僕は地面を蹴り(ヴィラン)へと一直線に跳躍する。

 

 

阻みし絶壁(ブロッコ・デッラ・スコグリエラ)!」

 

 

(ヴィラン)は地面に手を付き、そこから壁が生まれる。

 

さっき5%の力で僅かにだけどヒビが入ったのは分かった。

 

今度は、10%の力で!

 

 

「SMAAAAAASH!!」

 

 

僕は右足に力を集束させて壁に向けて振り抜く。

 

 

「ぐっ?!」

 

 

手応えは、ある!

 

このまま押し切って!

 

 

「まだ、まだですぞ!」

 

 

出した壁から、更に柱を?!

 

 

「ぐっ?!」

 

 

跳躍する事である程度力を逸らせたけど、それでも足へのダメージは大きい。

 

全ての動きの基本となる足へのダメージは、近接メインの僕にとっては相当な痛手だ。

 

ここ最近で僕は足を使った戦闘スタイルも開発している途中だったからこそ、その癖でつい足を使ってしまった。

 

酷くタイミングが悪い。

 

一応、戦いが済めば活川さんが治療してくれるとは思うけど、それでもそれに頼りきりじゃ申し訳が立たない。

 

けど、やっぱりあの壁を突破するには、腰の捻りや、腕より長い事で生まれる遠心力による威力が必要なんだ。

 

かと言ってこれ以上力を上乗せすると、今度は反動が来る。

 

これは本当に、考えるのを止めた瞬間が敗北になりかねないぞ。

 

 

「ハァ……」

 

 

ふと、相対する敵からそんな声ともとれないものが聞こえた。

 

ため息、なのか?

 

今のは、敵対する僕が弱い事への不満だろうか?

 

いや、今まで使っていなかった手を使ったあたり、それは無いと思う。

 

なら今のは何だ?

 

…………疲れ、なのか?

 

そうか。入れ替わりで戦う僕らと違い、奴は1人だ。

 

もうすぐ体力に限界が来てもおかしくない。

 

それなら、一気に畳み掛ける!

 

 

「はぁ!」

 

 

一か八か、柱が出るタイミングで10%の力を右足に一点集中させてぶち抜く!

 

 

「SMAAAAAASH!!」

 

 

 

「ぬっ、ぐぅっ!」

 

 

(ヴィラン)は作った壁にもう一度触れる。

 

柱が来る。なら!

 

 

ONE FOR ALL!

 

10%!

 

 

 

「SMAAAAAASH!!」

 

 

このまま、押し込め!

 

 

「ハアァァァァァァァッ!」

 

「ぐぅぅぅっ!」

 

 

もっと!強く!

 

 

「くっ、この、ままでは!」

 

 

絶対に、勝つんだぁぁぁぁぁぁっ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「SMAAAAAAAAASH!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足の先から、壁が砕けるのが分かった。

 

そしてその先の、清々しい表情の(ヴィラン)の腹へと、僕の攻撃が命中した。




次回予告!

リボーン「お前何回スマッシュって言ってんだ」

出久「いや、あれを言うとなんか力が籠るし…」

リボーン「まぁいい。とりあえず難所は突破したな」

出久「うん。けどまだ油断はできない」

リボーン「何当たり前の事キメ顔で言ってんだ」

出久「い、いいだろ別に!///

けど、次はやっとジャックと、ってあれ?!」

リボーン「次回『標的(ターゲット)No.17 盲目の刃』」

出久「ちょ、勝手に締めないでよ!」

リボーン「更に向こうへ。Plus ultra

死ぬ気で見ろよ」

出久「え?!リボーンが全部言うの?!」
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