ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世   作:鉄血のブリュンヒルデ

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前話後書きにも書きましたが、内容と嚙み合わない為に前話の次回予告内のタイトルを変更いたしました。

それと劇場版ヒロアカ見たんですが、吉沢亮さんアフレコ上手すぎません?


標的(ターゲット)No.21 勝ちたい!目覚めの瞬間

まず考えろ。

 

あの力がONE FOR ALLの100%を跳ね返すだけの力を持っているのは紛れも無い事実だ。

 

正直に言えばこの情報だけで心が折れそうだけど、それでも僕達には勝つ以外に道は無い。

 

とにかく奴の力の情報を整理しよう。

 

あの黒い靄……黒きオーラとジャックが呼んだそれは、恐らく普段は実態を持たず、ジャックの意思でそのオンオフが切り替わっていると考えられる。

 

形状は自由自在。

 

壁の様にする事も出来れば、拳の形にも出来る。

 

更に建物の補強すらも出来る。

 

この時点で万能過ぎる力だ。

 

それにきっと、これだけじゃない。

 

ただの勘だけど、まだジャックから感じる得体の知れなさが消えない。

 

かと言って様子見をしている程の余裕はない。

 

だったら答えは一つ。

 

ひたすら打ち込む!

 

 

「行くよかっちゃん!轟君!」

 

「あぁ!」

 

「指図すんな!」

 

 

僕は地面を蹴り正面へ、かっちゃんは掌から爆破を起こし空中へ。

 

そして轟君は氷壁を放つ。

 

 

「馬鹿の一つ覚えかな?」

 

「ハッ!ソイツァどうだかな!」

 

 

ジャックの言葉にかっちゃんは獰猛に笑いながらその攻撃をもって答える。

 

右の大振りに見せかけて左腕を腰の辺りから素早く振り抜く。

 

 

「甘いよ」

 

 

ジャックはそれをかっちゃんの腕を掴むことでいとも簡単に食い止める。

 

 

「わかってんだよ!」

 

 

かっちゃんは言いながら左手を開く。

 

 

閃光弾(スタングレネード)!」

 

 

そしてかっちゃんの掌から放たれたのはただの爆破ではなく、強い閃光だった。

 

まさか、また新しい技を?!

 

 

「っと、これは予想外」

 

 

っ?!ジャックが初めて揺らぎを見せた!

 

今なら!

 

 

 

ONE FOR ALL FULL COWL

 

10%!

 

 

 

「ハアァァッ!」

 

 

力を込めた右腕が熱を帯びる。

 

それと共に右腕を赤い痣の様な光が駆け巡る。

 

そして痣は消えて全身がスパークに包まれ、右腕に纏うスパークがそこからより一層強くなる。

 

そしてそこへ轟君が氷壁で足場を形成する。

 

僕はそれを蹴り、一秒も掛からずジャックとの間合いを詰める。

 

 

 

「DETROIT SMAAAAAASH!!」

 

 

 

この一撃が通ればそれでいい!

 

 

「だから甘いってば」

 

 

もし通らなくても!

 

 

 

100%!

 

 

 

「無意味だって分からない?」

 

 

もっと、オーラを僕に、向けさせろ!

 

 

「ウオオォォォォォォォォっ!」

 

 

僕は100%の力でラッシュを放つ。

 

体が悲鳴を上げるのが分かる。

 

これ以上は危険だと、脳が危険信号を発している様だ。

 

筋肉が所々千切れ、骨が軋む。

 

それでも!今は拳を止めない!

 

 

「オオォォォォォォォォっ!」

 

「くっ、何だ、このパワー!」

 

「デクっ?!」

 

 

視界の端の方で、かっちゃんの動揺した顔と、かっちゃんの手を掴むジャックの手が僅かに緩むのが見えた。

 

 

「っ!」

 

 

僕はかっちゃんに強い視線を送る。

 

かっちゃんはそれだけで察した様で、同じ様に強い視線で返す。

 

 

「これでぇぇ!」

 

 

僕が渾身の一振を構える。

 

ジャックが目の前を黒く覆う程のオーラを展開したのが分かる。

 

そう。これでいい!

 

 

「死に晒せヤァァァァァッ!」

 

 

かっちゃんは掌から特大の、そして前方に威力を絞った爆破を起こす。

 

 

「なっ?!」

 

 

僕にばかり意識が向いていたからか、ジャックはかっちゃんの攻撃に気付いていなかった。

 

そして目の前を覆うオーラが、消えた。

 

今なら、行ける!

 

 

 

「DETROIT SMAAAAAASH!!」

 

 

 

僕の拳が、ジャックの鳩尾に入る。

 

ジャックが苦悶の表情を浮かべるが、気にせずに僕は拳を振り切った。

 

 

「グアァァァッ?!」

 

 

ジャックは苦しげな声を上げながら勢いよくステージの奥の壁に衝突し、そのまま項垂れるように気を失った。

 

 

「ハァ…ハァ…」

 

「グッ、ハァ…」

 

 

僕とかっちゃんは未だ警戒しながらジャックを睨む。

 

 

「爆豪、緑谷…お前ら……」

 

 

そこへ轟君が歩み寄る。

 

 

「リボーン、どうやら」

 

 

活川さんが隣にいるリボーンに視線を送る。

 

 

「あぁ…」

 

 

そしてリボーンは口角を上げ、僕達に向けて言った。

 

 

「ついにやったな」

 

「……っ!」

 

お……終わったんだ……。

 

これで、炎さんを助けられる!

 

 

「グッ?!」

 

「っ!かっちゃん!」

 

 

その時、かっちゃんが苦しそうな声を出しながら膝を着く。

 

 

「もしかして、毒が!」

 

「ちょっと見せてくれ」

 

 

そこへ直ぐに活川さんが駆け寄り、かっちゃんの脈や瞳孔を見る。

 

 

「精密な検査が出来ないから分からないが、恐らく激しい運動により毒の周りが早まっているんだ。

 

けどこの程度ならまだ時間はある筈だ」

 

「そ、そうですか……。良かった…」

 

 

僕も緊張が解けて、その場に座り込む。

 

 

「君も少し休め」

 

 

活川さんはそう言って僕の腕を掴み、活性化の個性で体の治癒能力を早めてくれる。

 

 

「俺、今回あまり役に立てなかったな…」

 

 

轟君が悔しそうにそう言う。

 

 

「そんな事無いよ!轟君が居なかったら危なかった場面も沢山あったし、最後だって轟君の氷で出来た足場があったからしっかりと踏み込めた」

 

「緑谷…」

 

 

轟君は少し笑う。

 

 

「とりあえず、そろそろボンゴレの部隊と医療班が到着するはずだ。

 

ちゃんとした治療はソイツら任せて、後は解毒剤だ」

 

 

そうだ。解毒剤を探さなきゃ。

 

 

「その医療班、いらないよ」

 

「「「「「っ?!」」」」」

 

 

誰もが、勝利を確信していた。

 

だってそうだろ。

 

あれだけの攻撃を受けて、立ち上がれるなんて!

 

 

「何故なら生存者は、いなくなるからね」

 

 

僕らの視線の先には、拳銃を構えたジャックがいた。

 

 

「テメェ!」

 

「まだ立ち上がれるのかよ!」

 

 

かっちゃんと轟君も直ぐに構える。

 

 

「フフっ」

 

 

ニヤリと笑いながら、ジャックは僕らに向けていた銃口を、自分の頭に押し当てる。

 

 

arrivederci (またね)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

バンッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

乾いた音が、部屋に響く。

 

僕達は、ただ立ち尽くしていた。

 

 

「や、やりやがった…」

 

「そんな…なんで…こんな事……」

 

「捕まるくらいなら、死んだ方がマシってヤツかもな」

 

「やるせねぇな…」

 

 

その時、僕の背筋を凍える様な悪寒が駆け抜けた。

 

何だ…この感じ…。

 

 

「生きたまま捕獲はできなかったが、仕方ねーな」

 

 

なんだろう……。

 

すごく嫌な感じがする……。

 

 

「ウッッ」

 

 

その時、活川さんが苦しげな声を出しながら膝を着く。

 

 

「っ、活川さん!」

 

「どうした命子」

 

 

僕とリボーンが近寄ると、活川さんは僕達を見上げた。

 

 

「いや、久しぶりの全力の戦闘だったたから疲れたのかもな」

 

「無理すんなよ」

 

 

リボーンがそう言うと、活川さんはかっちゃんの方を見る。

 

 

「すまない。肩を貸してくれないか?」

 

 

……あれ?

 

 

「アァ?ったく、しゃーねーな。

 

これで貸し借り無しだからな」

 

「っ!!

 

かっちゃん!!行っちゃダメだ!」

 

「は?」

 

「え?」

 

「ん?」

 

 

僕がそう叫ぶと、かっちゃんと轟君、リボーンが不思議そうに僕を見た。

 

 

「どうしたんだ?

 

緑谷君も肩を貸してくれないか?」

 

「え…?!あ、はい…」

 

 

あれ、僕何言ってるんだ?

 

 

「デクは解毒剤探してろ。

 

俺一人で十分だ」

 

「で、でも…」

 

「すまないな爆豪君」

 

「ほら、手ぇ出せや」

 

 

そう言ってかっちゃんは手を差し出す。

 

 

「あぁ」

 

 

そして活川さんはその手を取ろうと……。

 

 

「っ!!」

 

 

次の瞬間、僕は目を疑った。

 

かっちゃんの手を取ろうとしたかに見えた活川さんは、その手に持っていたメスでかっちゃんの頬を切ったんだ。

 

 

「なっ、何しやがんだ!!」

 

「!!」

 

「えぇ?!」

 

「っ!!すまない爆豪君!」

 

 

やっぱり変だ…。

 

何か、違う…!!

 

 

「何やってんだ命子」

 

「リボーン!」

 

 

僕達が動揺していると、リボーンが活川さんの顔の前に跳ぶ。

 

 

「しっかりしろ。

 

刺したのはお前の患者だぞ」

 

「私はなんて事を…してんだ!」

 

 

活川さんはそう言いながらもリボーンに向かってメスを振り下ろす。

 

 

「リボーン!」

 

「ガキ!」

 

 

リボーンはそれを余裕で躱し、少し離れた位置に着地する。

 

 

「こいつは厄介だな。

 

何かに憑かれてるみてーだ」

 

「憑かれてるって、んな呪いみてぇな事あんのかよ!」

 

「だが事実だ」

 

「何言ってるんだ。私だよ」

 

 

やっぱり違う…。

 

活川さんじゃない。

 

この感じ…前にも……。

 

あ…………。

 

 

「……ジャック?」

 

 

いや、でも、ジャックはさっき、自分の頭を撃って…。

 

 

「フフっ」

 

 

僕は自分に言い聞かせながら理解していた。

 

目の前にいるそれが……

 

 

「バレちゃった?」

 

 

黒いオーラを纏っていることに。

 

 

「そんな?!」

 

「!」

 

「どうなってんだクソが!」

 

「マジで祟りなのか?!」

 

 

四人がそれぞれに反応を示し、そしてリボーンは冷静にジャックの黒いオーラを纏った活川さんを見る。

 

 

「そんなバカなことあるわけねーぞ」

 

「でも……」

 

 

僕はジャックが倒れていた方向を見る。

 

 

「やっぱり、死んでる…」

 

 

何度見ても、明らかに息絶えている。

 

なら目の前にいるのは、本当に霊になったジャックが取り憑いているのか?!

 

 

「いやぁ、君達ともう少し遊びたくてさ。

 

地獄から帰ってきたんだ♪」

 

 

「そんな事が…っ!」

 

「あと考えられるのは…まさかな…」

 

「クソが!こんなもんぶっ飛ばじゃ正気に戻るだろ!」

 

「ちょ、かっちゃん?!」

 

 

僕が止めるよりも早く、かっちゃんは攻撃モーションに入っていた。

 

かっちゃんは爆破で接近し、握り締めた拳を鳩尾にめり込ませた。

 

 

「かはっ?!……………」

 

「アァ?なんだ呆気ねぇな」

 

 

かっちゃんはそのまま活川さんを寝かせる。

 

 

「活川さん!」

 

 

僕が呼びかけるけど、返事は無い。

 

 

「ど、どーしよう……。

 

まだ演技の可能性も…」

 

「分かんねーな」

 

 

僕は恐る恐る活川さんに近付く。

 

その時、後ろに気配を感じた。

 

 

「俺がやったるわ」

 

「かっちゃ…ジャック!!」

 

 

僕はかっちゃんが振り下ろすメスを間一髪で避ける。

 

 

「くっ、かっちゃんまで!」

 

「へぇ、まぐれじゃないんだ。

 

初めてだよ。憑依した僕を一目で見抜いた人間は。

 

本当に君は面白いよ」

 

「そんな、どうなってるの?!」

 

「間違いねーな。

 

自殺と見せかけて撃ったのはあの弾だな」

 

 

あの、弾?

 

リボーンは何か知っているのか?

 

 

「憑依弾は禁弾のはずだぞ。

 

どこで手に入れやがった」

 

「憑依弾…?」

 

「あれ、気付いた?

 

これが特殊弾の力だっていうことに」

 

「え?特殊弾って、死ぬ気弾の事?」

 

「そうだ。

 

憑依弾はその名の通り他人の肉体に取り憑いて自在に操る弾だぞ」

 

 

そ、そんな物まで?!

 

そんな切り札まで持ってたなんて……。

 

 

「憑依弾はエストラーネオファミリーが開発したと言われる特殊弾でな。

 

コイツを使いこなすには強い精神力だけでなく、弾との相性の良さが必要とされていたんだ。

 

だが使用法があまりにも酷かった為、マフィア界でも禁弾とされ、弾も製法も葬られたはずだ」

 

「憑依弾の力はよくある洗脳とかマインドコントロールの比じゃない。

 

操るんじゃなくて乗っ取るんだから。

 

つまりこの体は僕の思いのままって訳」

 

 

そう言ってジャックは手に持ったメスでかっちゃんの腕に傷を入れる。

 

 

「や、やめろ!!」

 

「お前、爆豪の体に何してんだ!」

 

「マフィアの掟で禁止されたそれを、何でお前が持っていやがる」

 

「あまりジャックファミリーのボンゴレへの恨みを舐められちゃ困るなぁ…。

 

ま、僕にとってはそんなのどうでもいいんだけどね。

 

ただこの遊びをもっと楽しめさえすれば」

 

 

あ、遊び?

 

 

「さて、次は君の番だよ緑谷出久君」

 

「緑谷だと?!」

 

「え、僕?!」

 

「やはりお前の目的は…」

 

「そ、僕が欲しいのは緑谷出久君の体さ。

 

だってオールマイトの力が宿った体なんて、面白そうじゃないか」

 

 

じゃあジャックの狙いは、僕の中のONE FOR ALLなのか?!

 

 

「デク、轟。あのメスに気を付けろ。

 

あのメスで傷つけられると憑依を許すことになるぞ

 

本来は特定の武器でしか使えねぇはずだが、奴はあのメスで同じ事をしてやがる」

 

「そ、そんな!」

 

「よく知ってるじゃん」

 

 

そう言いながらジャックはあらぬ方向にメスを投げた。

 

 

「その通りだよ」

 

「「っ?!」」

 

 

僕と轟君は驚きながら声がした方を見る。

 

 

「油断大敵だよ、轟焦凍君」

 

「なっ?!」

 

 

ジャックはそう言いながら轟君の腹にメスを突き立てる。

 

 

「轟君!」

 

 

轟君はその場に倒れ込み、そして何故か活川さんの体もその場に力無く倒れ込む。

 

これって、まさか?!

 

 

「……フフっ。

 

はい、取り憑き成功〜」

 

「そんな、轟君にまで?!」

 

「それじゃあ挨拶代わりに」

 

 

そう言いながらジャックは右手を地面に着ける。

 

あの構え、まさか?!

 

 

「行け」

 

 

その声と共に高速で氷の柱が形成され、僕に迫る。

 

 

「くっ?!」

 

 

避ける僕の視界の端を何かが通り抜ける。

 

 

「こっちだよ」

 

 

その声と共に、右手にメスを持ち黒いオーラを放つ活川さんが迫る。

 

 

身体活性(アッティヴィタ・フィージカ)

 

 

口から僅かに漏れたその声に、僕は反射的にONE FOR ALLのパーセンテージを上げる。

 

 

「ハァ!」

 

「グアァ?!」

 

 

腕をクロスさせてがーどするも、それをぶち抜く程の勢いで僕は蹴り飛ばされる。

 

今の一連の流れで分かった。

 

ジャックは、憑依した人間の個性を使うことができるんだ!

 

 

「それじゃ」

 

 

僕が結論を出したのと同時に、聞きなれた声が僕の耳に入った。

 

 

「これで終わりだ」

 

 

僕の目の前にいたのは、似合わないにやけ面で僕を見るかっちゃん……いや、かっちゃんに憑依したジャックだった。

 

 

「っ!!」

 

 

僕は全身に力を入れて、精一杯の防御で構える。

 

けど次に僕が聞いたのは爆破の音じゃなくて、何か重いものが地面に落ちた様な音だった。

 

 

「………かっちゃん?」

 

 

そして僕が見たのは、地に倒れ伏すかっちゃんの姿だった。

 

 

「あれ?この体、想像以上に限界みたいだ。

 

もう動けなくなっちゃった」

 

 

限界、だって?

 

でもさっき、まだ大丈夫って活川さんが!

 

 

「さっき命子が言ったのは、毒で死ぬまでのタイムリミットの話だ。

 

爆豪の体はもうとっくに動けるはずがねぇくらいに憔悴しきってたんだ」

 

「そ、そんな……」

 

 

僕がかっちゃんを見ていると遠くで活川さんの体が起き上がるのが見えた。

 

 

「まぁいいさ。体の替えなんていくらでもある」

 

 

その声と共に轟君の体も起き上がる。

 

 

「そんな、二人同時に?!」

 

「それだけじゃないよ」

 

 

ジャックの言葉を証明するかの様に唐突に扉が開かれ、そこには倒したはずの毒蛇と操物が黒いオーラを纏って立っていた。

 

 

「同時に四人に憑依するなんて聞いたことねぇぞ」

 

「そんな事より、自分の心配をしなよ。アルコバレーノ」

 

 

そう言いながらジャックは毒蛇の爪で切りかかり、活川さんの体を使ってメスを数本投げる。

 

 

「ちっ」

 

 

リボーンはそれを舌打ちしながらもスーツを脱いですべてを往なす。

 

 

「コイツは圧倒的にやべーぞ」

 

「そういえば僕のオーラについてまだ言っていないことがあったね」

 

 

そう言って活川さんの体を使ってジャックは体にまとっていたオーラを空中に霧散させる。

 

 

「なに、ちょっとしたマジックさ」

 

 

ジャックの言葉と共に、地面からマグマが噴き出す。

 

 

「なっ?!なんでこんな事が?!」

 

 

僕は次々に噴き出すマグマを躱す。

 

 

「落ち着けデク。こいつは幻覚だ」

 

 

幻覚だって?!でも、実際に僕の目の前にあるこれから、耐えられない程の熱さを感じるんだぞ?!

 

 

「フフっ。高度な幻覚は人の五感にすら干渉するのさ。

 

特に僕の黒きオーラと幻覚の愛称は抜群でね。

 

この力は人の脳と精神にも干渉できるんだ。

 

だから幻覚を見せ、感じさせる事は僕にとって呼吸をするのと同じように簡単なわけさ。

 

種明かしをすると、憑依弾の力もこのオーラがあるから使えているんだよ。

 

憑依弾で取り憑き、オーラで精神を侵し、そして脳も支配する。

 

ほら、完璧だろ?」

 

 

僕はジャックの言葉に怒りが頂点に達していた。

 

 

「ジャック!お前、人をなんだと思ってるんだ!」

 

「ん?そうーだなぁ……」

 

 

ジャックはそう言って少し考えて笑いながら僕を見て言った。

 

 

「おもちゃ、かな?」

 

 

頂点に達していた怒りが、爆発して溢れる。

 

僕は相手の体が轟君の体である事も忘れ、地面を蹴っていた。

 

 

「ふざけるなァァ!」

 

 

僕は右手を強く握りしめて振りかぶる。

 

 

「緑谷、俺を殺すのか?」

 

「っ?!」

 

 

瞬間、いつもの轟君の顔に戻り、僕の体から力が抜ける。

 

 

「ほーらやっぱりひっかかった」

 

 

次に僕が見たのは、巨大な真っ黒な拳だった。

 

 

「ガッ?!」

 

 

そして僕は再び壁に打ち付けられて、そして床に倒れた。

 

 

「リ、リボーン……」

 

 

僕は縋る様にリボーンを見た。

 

もう全身が痛い。

 

立て立ち上がれても、相手は僕の大切な人の体を常に盾に出来るんだ。

 

もう、僕にはどうにもできないよ……。

 

 

「俺は手ェ出せねぇんだ。

 

デク、早くなんとかしやがれ」

 

「そんなこと言っても、もう僕には無理だよ…」

 

「俺の教え子なら超えられるはずだぞ」

 

 

そう言ってリボーンはジャックの攻撃を避け続ける。

 

 

「そんな……そんな無茶苦茶な事言わないでよ!」

 

 

僕はありったけの声で叫んだ。

 

 

「フフっ。焦ってるんだよ君の先生は。

 

生徒の絶体絶命の危機に、支離滅裂になっている」

 

 

メスを振り下ろすジャックの攻撃を避けたリボーンはさらに続けた。

 

 

「ウソじゃねーぞ。

 

お前の兄貴分、ディーノの超えてきた道だ」

 

 

え……?

 

ディーノさんが?

 

 

「ディーノが俺の生徒だった時も絶体絶命のピンチがあってな。

 

アイツはそれを乗り越えた時、

 

”へなちょこディーノ”から”跳ね馬ディーノ”になったんだ」

 

 

「なったって、意味わからないよ!

 

だいたい僕はディーノさんとは「上だぞ」っ?!」

 

 

僕がリボーンの言葉を否定していると、真上から氷の矢が降ってきた。

 

それを咄嗟に避けたけど、不安定な態勢で着地したせいでバランスを崩して転がってしまった。

 

 

「さて、おしゃべりはこのくらいにしておこうか」

 

 

そう言ってジャックは毒蛇の体で僕に迫る。

 

 

「くっ!!」

 

 

その最中、毒蛇の体が脱力したようにその場に倒れこむ。

 

 

「……?!」

 

「なに、よくある事だよ」

 

 

そう言ってジャックは操物の体を使って毒蛇に寄り添う。

 

 

「いくら乗っ取って全身を支配したといっても、肉体が壊れてちゃつかえないもの」

 

 

それって、怪我して動かない体を無理やり動かしてるって事じゃ……。

 

 

「それで毒のダメージで動けない爆豪には憑依しなかったんだな」

 

 

リボーンが納得したように言うと、さっきまで倒れていた毒蛇が起き上がった。

 

 

「毒蛇はもう少しいけそうだね」

 

 

そう言ってはいるものの、毒蛇の体は僕達から受けた傷口が開いて血が垂れ流れていた。

 

 

「ダメだ!動いたら、ケガが!」

 

「大丈夫だよ。

 

僕は今魂だけみたいな存在だから、痛みを感じないし」

 

「何言ってんだよ!仲間の体なんだろ?!」

 

「違うよ。憑依したらもう僕の体だ。

 

壊れようが息絶えようが僕の勝手だろ?」

 

 

ジャックは当たり前の事かの様に言い放った。

 

 

「そんなの、おかしいよ!」

 

「他人の心配してる場合?」

 

「自分がやられるって時に」

 

「君は面白いけど、マフィアには向かないね」

 

 

僕の言葉に、ジャックは複数の体を使って答える。

 

けど、そんな事より、さっきの戦いで着いた傷から、どんどん血が!

 

 

「頼むやめてくれ!!このままじゃ死んじゃうよ!」

 

「うーん。いいけど、それじゃあ大人しく僕に憑依されてよ。

 

そうしたらこの二人は解放してあげる」

 

 

そ、そんな…?!けど、従わなきゃ二人が、そして今も毒で苦しんでるかっちゃんと炎さんも!

 

 

「やっぱり迷うんだ」

 

「まぁどのみち君みたいな根が気弱な人間はこの世界で生き残れない。

 

ボンゴレ十代目みは不適格だ。

 

それならいっそ、僕に体を明け渡しなよ」

 

 

ど、どうすればいいんだ!

 

でも、僕が体を譲ったところでジャックが約束を守るとは限らないし!

 

 

「リボーン、どうすれば!」

 

「俺は何もしてやれねーぞ。

 

自分で何とかしろ」

 

 

そ、そんな…。

 

 

「こんな状況、僕一人じゃ!」

 

「情けねぇ声出すな」

 

 

僕が弱音を吐くと、リボーンが僕を蹴り飛ばした。

 

 

「だって、僕…」

 

「いいかデク」

 

 

そしてリボーンは僕の胸倉をつかんだ。

 

 

「お前は誰よりもボンゴレ十代目なんだ」

 

「?!」

 

 

リボーンは一体、何を言っているんだ?

 

 

「お前が気持ちを吐き出せば、それがボンゴレの答えだ」

 

「僕の、気持ち?」

 

 

僕は考え、俯く。

 

そんな僕を見て、ジャックは笑う。

 

 

「フフっ。家庭教師もサジを投げたみたいだね。

 

彼の気持ちは”逃げだしたい”だよ。

 

それとも”仲間の為に逃げられない”……かな?」

 

 

そんなの、決まってる……。

 

 

「…ちたい…」

 

「?!」

 

「フッ」

 

 

僕の気持ちなら、もう決まってる。

 

 

「ジャックに、勝ちたい……」

 

「へぇ、意外だ。

 

けど続きは乗っ取った後に聞くよ。

 

君の手で君の大切なもの全部壊した後にね」

 

「…こんな酷い奴に、負けたくない」

 

 

ヒーローを目指す者だとか、マフィアの継承者だとかは関係ないんだ。

 

僕は!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こいつにだけは!

勝ちたいんだ!

 

 

 

「終わりだ!」

 

 

ジャックがメスを振り下ろした瞬間、リボーンの背中から何かが弾けた。

 

 

「っ?!何をした!」

 

「僕は何も……あぁっ?!

 

レオン?!」

 

 

僕が頭上を見上げるとそこには、糸の様な物を無数に伸ばした球体のレオンがいた。

 

 

「ついに羽化したな」

 

「羽化?!」

 

「あの時と一緒だ」

 

 

そう言ってリボーンは口角を上げた。

 

 

「ディーノが跳ね馬になった時な」

 

 

そう言ったリボーンをジャックは睨む。

 

 

「そうか……。

 

アルコバレーノ、君の仕業か」

 

「ちげーぞ。

 

こいつは形状記憶カメレオンのレオン。

 

俺の生徒が成長すると羽化する、俺の相棒だ。

 

どういうわけか、生徒に試練が訪れるのを予知するとマユになるんだ」

 

 

そ、そんな能力があったんだ…。

 

 

「フフっ。それは面白い」

 

「最後に何を見せられるかと思えば、ペットの羽化だなんて」

 

「本当に君たちは面白いな」

 

 

いや、めちゃくちゃ笑われてるよ!

 

 

「ていうか羽化してどうなるんだよ!

 

これとディーノさんが跳ね馬になるのと何が関係あるの?!」

 

「見てみろ」

 

 

リボーンに言われるがままに僕はレオンを見る。

 

すると何やら口をもごもごと動かしながら、膨らんでる?

 

 

(ニュー)アイテムを吐き出すぞ。

 

俺の生徒である、お前専用のな」

 

「えぇ?!アイテム?!」

 

「ディーノの時は”跳ね馬の鞭”と”エンツィオ”を吐き出したんだ」

 

「エンツィオってレオンの子供だったの?!」

 

 

で、でも、確かにエンツィオみたいなのが出てきたら、何とかしてくれるかも……。

 

 

「いつまでも君達の遊びに付き合っていられない。

 

そろそろ終わらせよう!」

 

「来るぞ!」

 

「くっ!」

 

 

僕が身構えるのと同時に、活川さんの体でジャックは飛び上がる。

 

 

「それじゃあ目障りな、これから!」

 

 

そう言ってジャックはマユになっているレオンを切り裂いた。

 

 

「レ、レオン!」

 

「心配ねーぞ。レオンは形状記憶カメレオンだからな。

 

それより、何か上に弾かれたぞ」

 

 

リボーンの言葉に、僕は頭上を見上げる。

 

 

「あっ!」

 

「無事みてーだな。あれが(ニュー)アイテムだ」

 

「あれが……ん?」

 

 

そして見上げる僕の顔にそれは落ちてきた。

 

ゆっくり、ふわりと。

 

 

「こ、これって……毛糸の手袋ーーー?!」

 

 

こんなので一体どうやって戦うんだ?!

 

手の血行良くしてどうすんの?!

 

 

「エンツィオとか武器が出るんじゃないの?!」

 

「……さーな?

 

とりあえずつけとけ」

 

「なっ?!」

 

 

僕がリボーンに詰め寄っていると、メスを持った毒蛇が襲い掛かってきた。

 

 

「最後まで面白かったよ、君達は」

 

「やばっ?!」

 

 

僕は咄嗟に手でそれを受け止めた。

 

するとなぜか僕の体は後ろに弾かれた。

 

 

「攻撃を弾かれたのか?」

 

 

と、とにかく助かった……ん?

 

 

「中に何か……あっ!!」

 

 

手袋の中からコロリと落ちてきたのは、僕が見慣れた物。

 

「た、弾だ!」

 

(特殊弾?!)

 

「そいつだな……。

 

よこせデク」

 

「えっ?!」

 

「撃たせる訳ないだろ!」

 

 

そう言ってジャックはリボーンを妨害する。

 

その最中リボーンは腕を掴まれたけど、いつの間にか仕込んでいたレオンの義手でそれを抜け、いつの間にか僕の手から弾を奪っていた。

 

 

「ゲット」

 

「……っていつの間に?!」

 

「見た事ねー弾だな。

 

ぶっつけ本番で試してみるか」

 

 

えぇ?!ぶ、ぶっつけ?!

 

 

「させないよ!」

 

 

ジャックのその声と同時に、やや大きめの丸い石が僕の上から降ってきた。

 

 

「?!」

 

「爆豪勝己の汗を操物の個性で作った弾の中に入れて作った即席の手榴弾さ」

 

 

ジャックの言葉と同時にリボーンは銃を構える。

 

 

「間に合うもんか」

 

 

その言葉と同時に、全ての石が爆発した。

 

僕の聴覚を、爆音が支配した。

 

 

「爆発をまともに食らったね」

 

「あらら、これは重症だ」

 

「何の効果も表れないのを見ると、特殊弾も外したみたいだね」

 

「案外呆気なかったな。

 

さて、それじゃあそろそろ体を貰おうか」

 

 

……痛い。

 

体中が…痛いよ……。

 

もう…死ぬのかな……?

 

 

もういいよね…。

 

よくやったよな…。

 

みんな、ごめん…僕…ここまでだ……。

 

もうたくさんだ…。

 

こんな痛いのも………こんな怖いのも………。

 

 

『い、出久?!』

 

 

っ?!

 

 

『病院抜け出すなんて、何考えてるの?!』

 

 

え……?

 

か、母さん…?

 

……夢、なのか……?

 

 

『はぁ?!

 

夏樹を助ける為に、(ヴィラン)のアジトに乗り込んだ?!

 

アイツ何考えてんの?!』

 

 

今度は、風間さん?

 

 

『……緑谷。

 

夏樹を泣かせるような結果になったら、絶対許さないから。

 

絶対生きて帰って……』

 

 

ていうか、なんで二人の声が……。

 

 

「特殊弾の効果みてーだな」

 

 

ん?!リボーン?!

 

 

「お前が感じてるのはリアルタイムでみんなから届く小言だ」

 

 

?!小言…?!

 

な…なんでこんな時に…小言聞かされなきゃならないんだ…。

 

最後の最後にまた木偶の坊って思い知らされるのか……。

 

 

『くっ!急ぐぞエンデヴァー!!』

 

 

え、オールマイト?!

 

って、今エンデヴァーって?!

 

 

『焦凍が行った祭り会場で(ヴィラン)が暴れ、その際に毒を盛られた女子を助ける為にアジトに乗り込んだだと?!

 

なんでそんな事になっているんだ!』

 

『分からない!

 

だが少なくとも私の師匠がついてるはずだから、最悪の事態は免れるはずだ!』

 

『師匠だと?!』

 

『そこら辺の説明は後からするから!

 

無茶はしないでくれよ、緑谷少年!』

 

 

オールマイト……すみません…。

 

もう結構無茶してます…。

 

 

『みど、りや……』

 

 

っ?!この声は、炎さん?!

 

 

『お願い、死なないで……』

 

 

炎さん………。

 

 

「俺からの小言は言うまでもねーな」

 

 

リボーンの言葉に、僕は閉じていた目を開きジャックを睨んだ。

 

 

「へぇ、まだそんな目ができるんだね。

 

けどもう終わりだよ。

 

死なれちゃ困るしね!」

 

 

ジャックが振り下ろしたメスを、僕は力強く掴む。

 

 

「なっ?!」

 

 

そして手袋は、グローブに変化する。

 

そのまま握ったメスを捻って真ん中から折る。

 

 

「っ!!」

 

「ジャック…」

 

 

体の底から力が溢れ出す。

 

 

「お前を倒さなければ…!」

 

 

”俺”の額から、炎が溢れ出る。

 

 

死んでも死にきれねぇ!




次回予告

リボーン「ついに新たな力を手に入れたデク。

いいかデク。お前が勝たなきゃ、全てが終わっちまうんだ。

だから戦え、勝て。

死ぬ気の強さに限界はねぇんだ。

次回『標的(ターゲット)No.22 ブラッド・オブ・ボンゴレ』

更に向こうへ、Plus ultra。

死ぬ気で見ろよ」

デクのヒーロースーツについて

  • 原作のヒーロースーツ
  • 原作のヒーロースーツVer.ボンゴレ
  • ボンゴレ伝統のスーツ
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