ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世   作:鉄血のブリュンヒルデ

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八月中にジャック戦に区切りをつけると宣言したにも関わらず間に合わずにすみませんでした…。

ていうか1ヶ月以上遅れてしまいました…。

本当に申し訳ありませんでした!(何度目かの謝罪)


標的(ターゲット)No.23 (イクス)グローブとジャックリング

拳を構える出久を、ジャックが睨む。

 

ジャックからは未だ余裕の色が伺える。

 

 

(イクス)グローブは死ぬ気弾と同じ素材でできていて、死ぬ気の炎を灯す事が出来るんだぞ」

 

「フフっ。まるで毛を逆立てて体を大きく見せようとする猫ちゃんだね。

 

けどいくらオーラが見てくれを変えたって無意味さ」

 

「死ぬ気の炎はオーラじゃない」

 

 

グローブの炎を見せる様に構える出久。

 

こちらもやはり、先程と変わらず静かにジャックを睨んでいる。

 

 

「へぇ、面白い事言うじゃん。

 

なら、見せてもらおうか?!」

 

 

ジャックは棍棒を構えて走り出し、その勢いのまま振り下ろす。

 

しかしそれを出久は片手でいとも簡単に受け止め、更にグローブに灯した炎で棍棒を溶かして折り曲げる。

 

 

「な?!」

 

 

飛び跳ねて距離を取ろうとするジャックの眼前を出久の手刀が横切る。

 

 

「つっ!!」

 

(熱い…?!

 

オーラが熱を帯びてるのか?!)

 

「死ぬ気の炎とオーラではエネルギーの密度が違うからな。

 

一定以上の力を持つ人間にしか認識できないオーラと違って、死ぬ気の炎はそれ自体が破壊力を持った超圧縮エネルギーだ」

 

「そのグローブは焼きゴテという訳か…」

 

「それだけじゃない」

 

 

出久はそう言いながらジャックに向かって駆け出す。

 

 

「くっ!」

 

 

ジャックは余裕を消してそれを迎え撃つ。

 

だが次の瞬間、ジャックの目の前から出久の姿が消えた。

 

 

「消えた?!」

 

 

そしてその直後に、ジャックは背後から強い気配を感じた。

 

 

「っ!!いつの間に?!」

 

 

その様子をリボーンはニヤリと笑いながら見ている。

 

そして出久はジャックを殴り飛ばし、ジャックは壁に激突する。

 

ジャックは咄嗟に防御した様で、手にしていた棍棒は中心辺りが熱で歪んでいた。

 

 

「何だ今のは……?

 

アイツは何をしたんだ…」

 

「ウォーミングアップはまだ終わらないのか?」

 

「くっ!……フフっ。

 

ハハハハハハッ!

 

君がここまでやるとはね。

 

ますます君の体が欲しくなっちゃうよ」

 

 

そう言ってジャックはポケットから何か小さなものを取り出した。

 

 

「……指輪?」

 

 

出久はそれを見て疑問の声を上げる。

 

 

「そう。これはジャックリングって言ってね。

 

ジャックファミリーの一代目が引退する前に作られたもので、僕の黒きオーラを強化するんだ」

 

 

ジャックはそう言いながら右手の中指にリングをはめた。

 

すると、ジャックの纏うオーラが一気に肥大化し、その密度も一気に跳ね上がった。

 

しかし出久とリボーンが見ていたのはオーラではなく、ジャックが身に着けたリングの方だった。

 

 

「あれは?!」

 

「あぁ、死ぬ気の炎だな」

 

 

出久の驚愕した様な声に、リボーンは冷静に返した。

 

ジャックの指輪から発せられたのは、出久や命子とも違う藍色の炎だった。

 

 

「皮肉だよね。

 

ボンゴレファミリーを潰す為に得た力が、まさかボンゴレと同質の力だなんて」

 

 

ジャックはニヤリと笑いながら出久を見る。

 

 

「さて、それじゃあ再開と行こうか」

 

 

そう言ってジャックは歪み折れ曲がっていた棍棒を拾い、そして僅かに力を込めて握る。

 

 

「なっ?!」

 

 

すると棍棒は瞬く間に元の形へと戻っていった。

 

 

「あの力、操物の個性だな。

 

なんでジャックが使えるんだ」

 

「簡単な話さ。

 

僕と操物は長い事一緒にいたからね。

 

昔から黒きオーラを使った憑依先として使ってたらいつの間にか使える様になってたのさ。

 

毒蛇のはまだ使えないけどね」

 

 

そう言いながらジャックは足元に落ちていた命子のメスを何本か拾い、それを棍棒の先端に当てる。

 

そしてメスの形状を変え、三叉槍を作り出す。

 

 

「この力は、正直使いたく無かったんだ。

 

この状態になると力は強くなるけど、少しだけ理性が飛んじゃうんだよ」

 

 

そう言ったジャックの頬を一筋の汗が伝う。

 

 

「だから、早く終わらせよう……っ!」

 

 

ジャックはそう言いながら先程とは比べ物にならない速度で駆ける。

 

 

「くっ?!」

 

 

三叉槍を横へ薙ぐ様に振る。

 

出久はそれを腕をクロスさせる事で防御するが、予想以上のパワーに弾き飛ばされる。

 

出久と壁の距離がどんどんと縮まる中、リボーンは叫ぶ。

 

 

「いけ、デク。

 

今こそ(イクス)グローブの力を見せてやれ!」

 

「うおぉぉぉ!!」

 

 

出久はリボーンの声に呼応するように叫ぶと、掌を背後の壁に向けた。

 

そして壁に激突する直前で(イクス)グローブから膨大な量の炎が噴き出す。

 

 

「な?!炎を逆噴射した?!」

 

 

その勢いで壁に激突することを免れた出久はそのまま両手を合わせてもう一度炎を噴かせる。

 

すると出久はそれを推進力にジャックへと迫る。

 

 

「これは、まさか?!」

 

「そーだぞ。

 

さっき瞬時にお前の背後に回ったのは死ぬ気の炎の推進力を使った高速移動だ」

 

 

出久はそのままジャックへと迫り、右手でジャックの顔面を掴むとそのままグローブの炎でジャックを焼く。

 

 

「ぐあぁぁぁ?!」

 

 

その最中、どんどんとジャックのオーラは小さくなっていっていた。

 

 

「死ぬ気の炎がジャックのどす黒いオーラを浄化したな」

 

 

そのまま背後にあった壁へと激突させ、出久は僅かに下がる。

 

しかし、出久の顔には未だに警戒の色が浮かんでいた。

 

 

「……なんだ?」

 

「妙だな。ジャックのオーラは確かに今、デクの死ぬ気の炎で浄化したはずだ」

 

 

出久とリボーンが倒れたジャックを見ていると、突然ジャックが起き上がり苦しみだした。

 

 

「があぁぁぁ?!」

 

「っ?!ジャック?!」

 

「一体何が起きてやがるんだ」

 

 

ジャックは頭を抱え尚も苦しみ、膝をつく。

 

出久はそれを見ていられずに駆け寄った。

 

 

「大丈夫か?!」

 

「バカデク!離れろ!!」

 

 

駆け寄り手を背に添えた瞬間、ジャックの右手にはめられたリングから膨大な量の黒きオーラが噴き出した。

 

 

「こ、これは?!」

 

 

出久はそれに驚きながらも(イクス)グローブを使って後退する。

 

 

「なるほどな。

 

これがジャックリングの力ってわけだ」

 

「どういう事だ?!」

 

「ジャックは憑依弾を用いたとはいえ、複数人の体に憑依して操るなんて事を平然としやがった。

 

それにジャックファミリーはボンゴレと浅からぬ因縁がある。

 

そんな一族が肉体が死んだ程度で復習を諦めるとは思えねぇ。

 

例え継承者がそれを望んでいなくともな」

 

 

リボーンがそう言うのと同時に、ジャックは更に苦しみだす。

 

 

「やめろ…っ!!僕は、お前じゃない……っ!!」

 

「っ?!」

 

 

その時、出久の脳裏にかつて自らが幼馴染に言った言葉が響いた。

 

 

『君が!助けを求める顔してた!』

 

 

そして同時に、背後から自分を見る小さな幻影を見た。

 

 

『だったら、あの人は助けないの?』

 

 

もし今出久がONE FOR ALLを継いでいなくとも、小言弾の力を得ていなかったとしても、その行動は変わりはしない。

 

なぜなら出久の行動は、体が勝手に動くのだから。

 

 

「ジャック!!」

 

 

出久はジャックから放たれる黒きオーラに押されながらも、一歩一歩前へと進む。

 

その最中、オーラに乗って様々な記憶が出久の脳内に入り込む。

 

 

(これは、ジャックの記憶、なのか?)

 

 

出久の意識はいつの間にか、黒きオーラの中に飲まれていった。

 

 

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

 

 

目を開くと、そこは天井がやけに低くテーブルや椅子も異常に小さかった。

 

 

ここは、保育園か幼稚園か、どちらにしても何故俺はこんな所に?

 

 

『えぇ?――君無個性なのぉ?』

 

『うわぁ、だっせぇ』

 

 

声がした方を見ると、そこには三人の子供がいた。

 

どこかで見た様な光景だ。

 

そこで俺は二人の子供の目の前でじっと黙ったままの子供に目が行った。

 

あれは、ジャックなのか?

 

俺が疑問を抱いていると、ジャックらしき声が聞こえた。

 

 

(そんな酷い事言わないでよ。

 

僕だってみんなと同じ人間なんだよ?

 

そんな力なんか無くたって、僕は……)

 

 

だがジャックの口は全く動いていなかった。

 

これは、ジャックの心の声なのか?

 

そう考えながら瞬きをする。

 

そして目を開くとそこはさっきとは打って変わって教室の様な場所へと変わっていた。

 

 

『みんな見てよ!

 

僕にも個性が出たんだ!』

 

 

そう言って、先程より成長したジャックが嬉しそうに黒きオーラを発する。

 

だが、それを見たクラスメイトは顔を顰める。

 

 

『え、何それ』

 

『めちゃくちゃ黒いし不気味』

 

(ヴィラン)向きな見た目の個性だ』

 

『ヒーローには向いてないと思うよ』

 

 

中には笑う者もいた。

 

どことなく似ている。

 

俺が無個性だと笑われていたあの頃に。

 

 

「……見たんだ」

 

 

その時、ふと背後から声がかかる。

 

俺はゆっくりと振り返りその顔を見る。

 

 

「…ジャックか」

 

 

そこには嘲笑する様な顔のジャックが立っていた。

 

 

「馬鹿みたいだろ。

 

力を得たからって誰かに認めてもらえる訳でもない。

 

そんな事も分からずこんな気味の悪い力を見せびらかしちゃってさ」

 

 

そう言いながらジャックは幼い自分を見下す。

 

 

「まぁこれの続きは単純さ。

 

馬鹿にされて、気味悪がられて、僕はこの力を嫌った。

 

そして中学に上がる頃、僕がジャックファミリーの後継者だって知った。

 

そしてこの力が、個性じゃないって事もね。

 

結局無個性だったっていう悲しみと同時に、心のどこかで安心してたんだ。

 

この力は個性じゃない。つまり僕を馬鹿にしてきたアイツらとは違うんだってね」

 

 

そしてジャックは次に俺の方を見る。

 

 

「だから、初めて君の事を知った時は酷く妬ましかった。

 

同じ個性では無い力を持ちながらも君は皆から認められて、更にはあのオールマイトからも認められた。

 

僕と同じマフィアの後継者で、どうあってもこの血は穢れているんだ!

 

それなのにお前は、なんでお前だけ!!」

 

 

その目は段々と憎悪に染まっていく。

 

 

「僕は血の呪いに縛られているのに、どうしてお前は、憧れたヒーローに後継に選ばれて、日向で笑っているんだ!!

 

憎い!妬ましい!!全てがムカつく!!

 

 

 

 

だから決めたんだ。

 

この呪われた力で、君の持つ最強のマフィアの力と、最強のヒーローの力を奪って、この僕がこの世界をぶっ壊す。

 

マフィアも、ヒーローも、(ヴィラン)も関係ない。

 

全てが等しく終わりを迎える。

 

日向と影を統べた僕の手で!」

 

 

そう言ったジャックの体から、更に強い黒きオーラが発せられた。

 

 

「………確かに俺は、誰かに何かを貰ってここまで強くなれた。

 

お前の元に辿り着くまでにも、俺一人では絶対に乗り越えられない壁が多くあった。

 

それを乗り越えられたのは、勝己や轟、活川がいたからだ。

 

そしてその全ての出会いが、リボーンのおかげだった。

 

確かにこの力は、マフィアの血塗られた歴史の上にあるのかもしれない。

 

だが、力は使う者の意思で善にも悪にも変わる。

 

俺達の血がどれだけ汚れていたとしても、俺達は俺達の手で、未来を選ぶ事が出来るんだ!

 

どれだけ周りにバカにされても、今を変えたいなら諦めちゃダメだったんだ!

 

そんな簡単な事が、どうして分からないんだ!」

 

 

俺の言葉にジャックは、そのオーラを更に強くした。

 

 

「黙れ!お前に何が分かる!

 

僕はずっと一人だった!

 

両親からも捨てられ、僕の周りに誰もいなかった!

 

その苦しみが、お前なんかに分かるものか!」

 

 

「お前は一人じゃない!

 

少なくとも毒蛇や操物は、お前の為に戦っていたじゃないか!」

 

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 

次瞬間、ジャックと俺は駆け出していた。

 

そして互いの拳が交差し、俺の拳はジャックの頬を打ち、ジャックの拳は俺の目の前で止まっていた。

 

 

「………クソっ。

 

何処までも僕は、日向にいる君には、届かないのか……」

 

「違う、ジャック!俺は!」

 

 

自嘲する様に笑うジャックに俺は声をかけようとするが、そこで目の前かボヤけていく。

 

 

 

 

 

……………………………………………………

 

 

 

目を開くと、目の前には地面に倒れたジャックがいた。

 

 

「終わったな」

 

「…………うん」

 

 

気が付くと僕は死ぬ気モードが解けていた。

 

 

「あっ、そうだ!皆の怪我!」

 

「心配ねーぞ。

 

ボンゴレの医療班も敷地内に到着したらしいしな」

 

「よ、よかった…」

 

 

リボーンとの会話を終えて、僕は倒れたジャックを見た。

 

 

「ジャック……。

 

死んでないよね?無事だよね?」

 

「ったく甘いなお前は」

 

 

僕がジャックの様子を見ていると、僕達が入ってきた入口がゆっくりと開いた。

 

 

「あっ!」

 

「医療班がついたな」

 

 

リボーンがそういうのと同時に扉から複数の影が濃い霧と同時にあらわれた。

 

けどその人達の行動は僕達の予想を裏切り、鎖のついた首輪の様な物を室内にいるジャック、毒蛇、操物の首にかけた。

 

 

「なっ?!」

 

 

霧が晴れると、そこにはボロボロのシルクハットとコートを着て、顔を包帯で覆った3人組だった。

 

 

「早ぇおでましだな」

 

「い、一体誰?!」

 

復讐者(ヴィンディチェ)

 

マフィア界の掟の番人で、法で裁けない奴らを裁くんだ」

 

 

そして三人を引きずって再び扉へと向かう。

 

 

「ちょ、何してるんですか?!」

 

「やめとけデク」

 

「っ?!」

 

 

僕が止めようとした所を、リボーンが制止する。

 

 

「あぁ…」

 

 

連れ去られる三人を、僕はそうやって情けない声を出して見るしか無かった。

 

 

「奴らに逆らうと厄介だ…。

 

放っとけ」

 

「リボーンがそこまで…そんなにヤバいの?」

 

 

僕の問いかけに、リボーンは無言でそれを肯定する。

 

 

「あ、あの3人どうなるの?」

 

「罪を裁かれ、罰を受けるだろーな」

 

「ば、罰って…?」

 

「さーな。だが軽くはねーぞ。

 

俺達の世界は甘くねーからな」

 

 

リボーンの言葉に少しの衝撃を受けていると、次は勢いよく扉が開かれる。

 

 

「お待たせしました!怪我人は?!」

 

「今度こそ医療班が来たな」

 

 

その後医療班の人達は手際良く全員を担架に乗せて運んでいく。

 

 

「あっ、解毒剤!」

 

 

僕は一番大事な事を忘れていたのを思い出して、辺りを見渡す。

 

するとステージの上に、一つのアタッシュケースがあった。

 

 

「こ、これかな?」

 

 

僕は少し怯えながらそれを開く。

 

するとそこには4つ程のアンプルと注射器が入っていた。

 

 

「これだ!」

 

 

僕はそれを持って、まずまだ運ばれていなかったかっちゃんに駆け寄る。

 

そして医療班の人にそれ等を渡して、それを手馴れた手つきでかっちゃんの腕解毒剤を注入した。

 

するとかっちゃんから苦悶する様な表情が消え、顔色も徐々に良くなっていく。

 

 

「良かった、効いてる!」

 

「それでは我々はここから少し離れた廃病院へと向かいます。

 

今はボンゴレが整備して使える状態ですから、ご安心を」

 

 

医療班の人達はそう言うと素早く部屋から出ていく。

 

 

「それじゃあ僕達も炎さんの、所へ……っ?!」

 

 

その時、僕の全身から力が抜けた。

 

 

「がっ?!」

 

 

僕はそのまま倒れ込み、床に這いつくばった。

 

 

「こ、これ、は?」

 

「どうやら小言弾のバトルモードは凄まじく気力を消耗するらしいな。

 

今お前の体はさっきの戦いにそのほとんどの気力を使い、今そうしているのが精一杯の状態なんだ」

 

 

そ、そんな……?!

 

これじゃあ、炎さんの命が、救えない!

 

タイムリミットだって、後30分もないんだ!

 

ここから車で移動したとしても、間に合わないのに、こんな時に!

 

 

(やべーな。

 

そろそろシャマルから言われた時間も切れる。

 

今からじゃ到底、車で間に合う時間でもねぇし、コイツが動けねぇ今、俺が運ぶしかないが、それだとな)

 

 

僕が悔しさで震えていると、ふと目の前に火花が散った気がした。

 

 

「…?」

 

 

それはやがて連続して発生し、そして円を描く。

 

するとその内側に全く別の風景が現れ、一人の男性が立っていた。

 

 

「良かった、見つけましたよボンゴレ10代目」

 

「あ、あなた?」

 

「そうか、お前がいたんだっな。

 

ボンゴレの運び屋、ポルターレ」

 

 

リボーンがそう呼ぶと、男の人は僕に優しく笑いかける。

 

 

「安心してください、私は味方です。

 

9代目からの命を受けて、あなた方を病院へと運ぶ様にと」

 

「え?それじゃあ!」

 

「えぇ、その解毒剤であなたの大切な方を助けられます」

 

 

そう言ってポルターレさんは僕に肩を貸してくれて、再び先程と同じ様に円を描く。

 

その先には、驚いた顔のシャマルさんと炎さんの眠るベッドがあった。

 

 

「なっ、お前運び屋か?!

 

なんだなんだ次から次に!」

 

「申し訳ないドクターシャマル。

 

彼と、この解毒剤を届ける様にと9代目から命を受けまして」

 

「っ?!解毒剤だ?!

 

それを早く言え!」

 

 

それを聞いたシャマルさんは僕の手から解毒剤をひったくり、こちらも慣れた手つきで炎さんに投与していく。

 

 

「どうやら薬は合ってるみてーだな」

 

 

リボーンがそう言うのと同時に、炎さんの顔色が徐々に良くなっていく。

 

 

「後はこの子に感染させてる病気を打ち消せば完璧だ」

 

「病気?」

 

「シャマルは生まれつき菌やウイルスが付着しやすい体質を持っててな。333対のそれぞれ打ち消しあう666の不治の病にかかってんだ。

 

その不治の病原菌を"トライデントモスキート"と呼ばれる蚊に運ばせて更にターゲットを病死させるヒットマンなんだ。

 

今回はそれを上手く使って夏樹を延命させてたんだ」

 

 

活川さんもシャマルさんも、ヒットマンは凄い力を持った人ばかりだな……。

 

 

「今回使ったのは肉体が変化しなくなる代わりに永遠の眠りにつく""眠り姫病だ。

 

毒が強力すぎて眠り姫病の不変の作用が三時間しか保てなかったんだがな。

 

解毒剤を投与して毒が消えたから、いよいよこのかわい子ちゃんは本格的に眠り姫病患者って事になる。

 

そこでこの"狂起病"に感染させる事で眠り姫病の症状を打ち消す。

 

この狂起病ってのは超人的なパワーを得る代わりにどれだけ睡魔に襲われようが眠る事が出来きずに、いずれ肉体が限界を迎えて死に至るって病気でな。

 

超人的なパワーを不変の症状で、永遠の眠りを眠れなくなる症状で打ち消すのさ」

 

 

シャマルさんの説明を聞きながら、僕は改めてとんでもない人達と知り合っているのだなと感じた。

 

そしてシャマルさんは一匹のトライデントモスキートを放った。

 

 

「そんじゃあこのかわい子ちゃんを起こすぜ。

 

後は好きにしな」

 

 

そう言ってシャマルさんはトライデントモスキートを回収して病室を出た。

 

 

「では私も、9代目の元に帰ります」

 

「あっ、ありがとうございました。

 

えっと…ポルターレさん」

 

「いえ、気にしないで下さい。

 

私は私の仕事をしただけてすから」

 

 

そう言ってポルターレさんは円型のゲートを通って元の場所へと帰って行った。

 

 

「…大丈夫だよね?」

 

「シャマルは優秀なドクターだ。

 

心配はいらねぇ」

 

 

僕は少し不安になり、炎さんの顔を見る。

 

先程とは違い、穏やかな顔で眠る炎さん。

 

その瞼が、僅かに開いた気がした。

 

 

「っ?!炎さん?!」

 

 

僕はつい大きな声を出してしまった。

 

すると炎さんはその瞼をゆっくりと開けて、僕を見た。

 

 

「………みど、りや?」

 

 

その声を聞いた瞬間、僕の全身から、今度こそ完全に力が抜けた。

 

 

「よかった…………」

 

「安心して気絶しやがった。

 

ま、これで一つ壁を乗り越えたな

 

俺も家庭教師として……ねむい…ぞ」

 

 

薄れゆく意識の中で、リボーンのそんな声が聞こえた気がした。

 

 

「…………ありがとう…私のヒーロー」

 

 

そして最後に、柔らかな温かさを感じながら僕は眠りについた。




次回予告

シャマル「ったく。なんで俺がこんな事しなきゃなんねーんだ。

しかもガキのお守りまで押し付けやがって」

ポルターレ「まぁまぁ、そう言わず」

シャマル「ていうかお前は今回ちょっとしか出てねー癖に何こんな所にまでしゃしゃり出てんだよ」

ポルターレ「9代目の命を受けて」

シャマル「どんな命令だ」

ポルターレ「そんな事より、次回は随分と面倒な事になりそうですね」

シャマル「他のガキ共にボンゴレの事話すだけかと思ったら、なんで日本のNo.1とNo.2までいるんだよ」

ポルターレ「どうやらもう一波乱ありそうですね。

次回『標的(ターゲット)No.24 僕の力』

更に向こうへ Plus ultra。

実はこれ1度言ってみたかったんです」

シャマル「知らねーよ」

デクのヒーロースーツについて

  • 原作のヒーロースーツ
  • 原作のヒーロースーツVer.ボンゴレ
  • ボンゴレ伝統のスーツ
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