ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世   作:鉄血のブリュンヒルデ

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試験の流れは実技試験以外原作で描写されていなかったのでオリジナルです。


標的(ターゲット)No.29 雄英入学試験

雄英入学試験当日の早朝。

 

僕はトレーニングに使っていた海浜公園に来ていた。

 

 

「やぁ、おはよう緑谷少年」

 

 

近づく僕に気がついたトゥルーフォームのオールマイトがそう言って右手を上げる。

 

 

「おはようございます」

 

 

僕もあいさつを返して隣に並んで水平線を眺める。

 

 

「ついにこの日が来たな。

 

緊張しているかい?」

 

「少しだけ」

 

「そうか」

 

 

僕はオールマイトの質問に答えながら右手を握りしめて、それを見た。

 

 

「この十ヶ月で、力のコントロールはある程度できるようにはなりました。

 

あとは、試験でいつも通りの事をやるだけです」

 

「それでいい。

 

君はONE FOR ALLを継いで、数々の試練を乗り越えてきた。

 

君ならやれるさ」

 

 

No.1ヒーローからの激励。

 

これ程までに贅沢で、やる気の出るものはない。

 

 

「さぁ、少年。

 

そろそろ行ったほうがいいんじゃないか?

 

家に帰り、準備することもあるだろう」

 

「まぁほとんど昨日の内に終わらせたので、後はシャワーを浴びて着替えてご飯食べるくらいです。

 

けど、そうですね。

 

そろそろ帰ります」

 

「先ほども言ったが、君ならやれる。

 

肩の力を抜き、されど程よく緊張感を持って臨むことだ」

 

「はい、それじゃあ」

 

 

僕は砂浜から歩道の方へ歩く。

 

 

「緑谷少年!」

 

 

その僕に後ろからオールマイトが声をかける。

 

 

「きっと入試の説明会でも聞くとは思うが、少し早めに雄英の校訓を君に授けよう」

 

 

オールマイトは体から湯気を立たせながらその姿をマッスルフォームへと変える。

 

 

「更に向こうへ!」

 

 

そう言いながら右手を強く握り、上へと突き上げる。

 

 

「Plus ultraaaa!」

 

 

力を抑えたのか、少し強め程度の風が僕の頬を撫でる。

 

 

「苦境に立たされた時、この言葉を叫ぶといい」

 

 

オールマイトは笑顔でそう言った。

 

僕も拳の握り突き出す。

 

オールマイトの様に最小限の力で風圧を飛ばしたりはできないから、ONE FOR ALLは使わないけれど。

 

 

「行ってきます」

 

 

今度こそ僕は帰路に着いた。

 

 

 

…………………………

 

 

 

「ただいま」

 

 

玄関を閉じながらそう言うと、リビングの扉が開き母さんが顔を覗かせた。

 

 

「おかえり出久。

 

今ご飯準備してるから、今のうちにシャワー浴びちゃいなさい」

 

「うん、ありがとう」

 

 

僕は母さんにお礼を言いながら風呂へと向かう。

 

シャワーを浴び髪を乾かしてからダイニングに向かうと、テーブルの上に朝食が並んでいた。

 

いつも通り美味しそうだ。

 

 

「いただきます」

 

 

席について、僕は早速ご飯を食べる。

 

栄養バランスのしっかり摂れていて、しっかり食べ応えもある料理を毎日用意してくれる母さんには頭が上がらない。

 

僕は感謝しながら朝食を済ませ、母さんにお礼を言って自分の部屋に戻り制服に着替える。

 

念の為に試験会場に持っていく荷物を確認する。

 

筆記試験対策のノートと、筆記用具、実技試験に使うジャージ、財布、お腹が空いた時の為のゼリー飲料。

 

よし、問題はないな。

 

リボーンは今日用事があるらしく、朝早くに出かけたから今日は特に目立ったトラブルはない。

 

かっちゃんと炎さんとは四十分後に駅集合だから、十分後に出れば余裕をもって行ける。

 

僕は自分の部屋で試験対策の復習をしながら時間を潰した。

 

そして時間になったのを確認して、母さんに声をかけて玄関に向かった。

 

 

「それじゃあ出久、頑張ってね」

 

「うん、行ってきます」

 

 

僕は玄関の戸を開きながら、母さんにガッツポーズで答えた。

 

そして僕は駅まで歩いて向かう。

 

道中で知り合いや、別の学校の試験に向かうクラスメイトと挨拶を交わす。

 

家を出て約十分、僕は駅の改札の前に着いた。

 

どうやら僕は二番手みたいだ。

 

先に着いていたかっちゃんに手を挙げて挨拶をすると、少し遠目でも分かるくらい舌打ちをしているのがわかった。

 

 

「お待たせ」

 

「…おう」

 

 

なんかこうやってかっちゃんと待ち合わせして入試に行くなんて、三年前のリボーンと出会う前の僕なら考えもしなかっただろうな。

 

 

「あれ、二人とももう来てたの?」

 

 

僕が物思いに耽っていると、後ろから声をかけられた。

 

そこには制服に身を包んだ炎さんが立っていた。

 

 

「もしかして待たせちゃった?」

 

「そんな事はないよ。

 

僕もついさっき着いたばかりだし、かっちゃんはいつからいたの?」

 

「んなモンどうでもいいだろうが。

 

とっとと行くぞ」

 

 

かっちゃんは大股で改札の方に歩いていく。

 

僕は炎さんと顔を見合わせて軽く笑い合い、かっちゃんの後を追った。

 

それから電車に揺られ、到着した駅から外に出る。

 

すると、そこから見える山に巨大な建物があるのが見えた。

 

前に道の予習で来た時も思ったけど、とてつもなくデカい。

 

1学年で11クラスあり、更に様々な環境を想定した施設もある。

 

更にあの山全体が雄英の敷地らしいからまだ増やす計画もあると前にサイトで見た。

 

日本一のヒーロー育成機関というだけあって、施設のどれもが全国のどのヒーロー科を有する学校と段違いだ。

 

 

そんな事を考えながら、僕は2人と一緒に雄英高校へと続く道を歩く。

 

道中で、僕達と同じく試験を受けに行くであろう人達を多く見かける。

 

学校に近付くにつれてその数はどんどん増えていく。

 

この内のほとんどがヒーロー科を受験する。

 

こんな人数の中から、たった36の席を争うんだ。

 

競うことが好きって訳じゃないけど、少しだけワクワクする。

 

 

「はぁぁぁ………。

 

なんか、ここに来て緊張して来ちゃった…」

 

 

隣で炎さんが胸に手を当てて深呼吸をする。

 

 

「うん、僕も。

 

校舎の大きさに圧倒されているのもあるかも」

 

 

改めて目の前の校舎を見上げる。

 

とにかくデカい。

 

 

「そんなんだからテメェはクソナードなんだよ」

 

 

何故今の流れで僕だけが罵倒されるんだ。

 

いや、炎さんも罵倒されればいいと思っている訳じゃないけど。

 

というか、さっきから随分と視線を感じるんだけど、何なんだろう?

 

 

「おいあれ、あのヘドロヴィランのニュースに出てた奴らじゃないか?」

 

「あのオールマイトが解決した事件の?」

 

「ホントだ。捕まってた奴とパンツ姿で突っ込んで行った奴だ」

 

「あのトゲトゲ頭の方の個性って確かめちゃくちゃ強力じゃなかったか?」

 

「あのボサボサ頭の方も強いのか?」

 

 

…………そうだった。

 

あの事件、オールマイトが絡んだ事もあって結構知れ渡っているんだった………。

 

 

「そういえば緑谷、一時期SNSでパンイチヒーローって呼ばれて結構バズってたね」

 

「炎さん、追い打ちかけないで…」

 

 

炎さんは笑いながら10か月前の投稿のスクショを僕に見せてくる。

 

あの時学校で僕もかっちゃんもイジられて大変だったんだ。

 

主にかっちゃんのストレスを抑えるのが。

 

 

無 駄 話 し て ね ぇ で と っ と と 行 く ぞ

 

「「あ、うん」」

 

 

明らかに不機嫌そうに前を歩いていくかっちゃんを、僕達はまた顔を見合わせて少し笑いながらその後をついていく。

 

 

「あ、っと?!」

 

 

その時、炎さんが足がもつれたのか前に向かって倒れていく。

 

僕は咄嗟に炎さんを前方から抱き留めた。

 

 

「……あれ、軽い?」

 

 

抱き留めた時に腕にかかるはずの重みが不自然な程に軽く、僕は炎さんを起こしながら炎さんを見た。

 

 

「大丈夫?」

 

「わっ、え?!」

 

 

空中でバタバタする炎さんの隣に、茶髪でショートボブヘアの女子が立っていた。

 

 

 

「私の個性。

 

ごめんね勝手に。

 

まぁ、私が個性使わなくても大丈夫みたいだったけど」

 

 

茶髪の女子が僕を見て笑った。

 

 

「でも、転んじゃったら縁起悪いもんね」

 

「ありがとね!私は炎 夏樹」

 

「私は麗日お茶子。

 

いやぁ、それにしても緊張するよねぇ」

 

「私も緊張してる」

 

 

そう言いながら麗日さんは両手の指をくっつけた。

 

すると炎さんの足が地面に着く。

 

重力を操る類の個性かな?

 

 

「麗日さんはヒーロー科を受けるの?」

 

「そうなんだぁ。

 

炎さんは違うの?」

 

「うん、私は経営科を受けるんだ。

 

こっちの2人はヒーロー科受けるんだけどね」

 

「2人?」

 

「あぁ、あっちのガラ悪そうな人も一緒の中学なの」

 

「そうなんだ」

 

 

麗日さんはそう言いながらかっちゃんの方を見た。

 

 

「おぉ、ガラ悪そう」

 

「ね」

 

「アハハハ……」

 

 

二人の会話に苦笑浮かべつつ、僕はスマホに表示された時間を見た。

 

 

「あ、そろそろ行かないと。

 

復習する時間とか無くなっちゃうよ」

 

「ホントだね」

 

 

炎さんは僕のスマホを覗き込みながら同意した。

 

すると麗日さんは何かを思い出した様に慌て出した。

 

 

「あ、私ちょっと親に電話しなきゃだから、行くね」

 

「うん、お互い頑張ろうね」

 

「うん!そっちもね!」

 

 

僕達は走って去っていく麗日さんに手を振りながら、再び歩き始めようとしたその時。

 

足元に何かが落ちているのに気がついた。

 

 

「これ、お守りかな?」

 

 

僕は赤いお守りを拾い上げる。

 

裏側を見るとそこには力強い文字で「頑張れお茶子!」と書いてあった。

 

 

「これ麗日さんのだね」

 

「今からもう人混みの先に行っちゃったからどこにいるか分からないね」

 

 

どうにか見つけようとしたけど、もう建物の中に入ってしまったのかどこにもその姿を見つけることはできなかった。

 

 

「これどうしようか」

 

「うぅん……。

 

筆記試験の合間で見つけられればいいんだけど、無理ならヒーロー科の実技試験の時に探してみるよ」

 

「うん、そうしよ。

 

とりあえずそれは緑谷が持ってて」

 

 

話を纏めて、僕達は筆記試験の会場へと向かった。

 

案内された会場で全体の流れと、筆記試験終了後の各学科での流れの説明を受けた後に学科試験が始まった。

 

筆記試験は特に問題なく解け、合間の休憩時間で聞いた感じだと2人もその様だった。

 

 

そして筆記試験が終了して昼休みに入り、僕達は三人で集まっていた。

 

 

「麗日さん見つからないね」

 

「うん、結構離れた教室だったのかな?」

 

「かもね」

 

 

僕達は昼食を摂りながら、これからのスケジュールを確認していた。

 

僕とかっちゃんはこの後ヒーロー科の実技試験に向かう。

 

内容は事前に公表されてはいなかったけど、調べた感じだとそれぞれポイントを持ったロボットを倒す程に加点されていくシステムらしい。

 

 

炎さんの受ける経営科はこの後面接試験があり、僕達よりは早く終わるらしい。

 

以前に面接試験の練習をする炎さんを見たけど、その時の受け応えはスムーズに行えていたから後は本番でそれを発揮するだけだ。

 

練習の時に、色々な所から雄英高校の面接試験のデータを集めるのに苦労していた進路担当の先生の目の下のクマが凄かったのを思い出す。

 

今まで折寺からは雄英高校を受験する人は僕達を含めても両手で足りる程しかいないらしく、そのどれもがヒーロー科志望だった為に何も情報が無かったらしい。

 

 

「とりあえずお守りは僕が持っておくよ。

 

かっちゃんの方でも探して、見つけたらこの事を伝えてくれる?」

 

「わーっとるわ」

 

 

かっちゃんはそう言って手に持った激辛高菜おにぎりを口に入れてしっかり噛んだ後に生姜湯で一気に飲み込んだ。

 

 

「そろそろ行くぞ。

 

早めに行かねぇと一気に移動するモブ共が邪魔だ」

 

「知らない人をすぐにモブって呼ばない」

 

 

僕達は自分達のゴミを纏めながら立ち上がる。

 

 

「それじゃあ私は案内あるまでは待機だから、行ってらっしゃい。

 

2人とも頑張ってね」

 

「うん、炎さんもね」

 

 

炎さんと別れて、僕達は実技試験の説明のあるホールへと向かう。

 

説明会の30分前だからまだ人は疎らにしかいない。

 

 

「なんか、いよいよって感じで少し緊張するな。

 

かっちゃんは?」

 

「する訳ねぇだろ。

 

相手が何だろうが、競う相手が誰であろうが関係ねぇ。

 

全てを上回ってトップに立つ。

 

それ以外は眼中にねぇ」

 

 

かっちゃんは席に豪快に腰掛けながら足を組んだ。

 

その音に、右斜前辺りの席の人が反応し、こちらを振り返った。

 

 

「おい」

 

 

低く迫力のある声が、僕達に向けて放たれた。

 

 

「そこの君、姿勢を正さないか。

 

ここは天下の雄英高校。

 

その様な不遜な態度が許される場ではないぞ」

 

「ア"ァ?」

 

 

おっと明らかにマズイ。

 

多分この二人、酷く相性が悪い。

 

 

「どんな姿勢だろうが俺の勝手だろうが。

 

第一テメェに指図される義理はねぇ」

 

「……確かに初対面の相手に失礼だった」

 

 

意外にも簡単に認めたから、僕もかっちゃんも呆気に取られた。

 

 

「しかし、君もその威圧的態度を隠さない点は頂けないぞ。

 

それに先程の発言も人によっては不快感を抱く事もあるだろう」

 

「……チッ、わーったよ」

 

 

かっちゃんは面倒になったのか、組んでいた足を解いた。

 

 

「僕も急に話しかけてすまなかった。

 

互いに試験ではベストを尽くそう」

 

 

眼鏡の男子はそう言いながら席に座り直した。

 

そのすぐ後くらいから多くの受験者が入って来て席はどんどん埋まって行った。

 

そして説明会の時間になると館内の明かりが落ちてステージの中央の床が開き、そこから1人のヒーローコスチュームを着た男と教壇が上昇して来た。

 

上昇が止まると男は大きく息を吸い込み、そして解き放った。

 

 

「今日は俺のライブにようこそォォォ!

 

エヴィバディセイヘイ!!」

 

 

会場全体に響き渡る大声量。

 

その発生源はボイスヒーロープレゼント・マイク。

 

レスポンスを求めたプレゼント・マイクだが、誰も反応しないまま数秒が経過すると痺れを切らしたかのように再び息を吸い込む。

 

 

「……こいつぁシヴィーー!

 

受験生のリスナー!

 

実技試験の概要をサクッとプレゼンするぜ!!

 

アーユーレディ?!

 

YEAHHHHH!!!!

 

 

またもやレスポンスは無かったが、プレゼント・マイクは気にすることなく進行していく。

 

 

「入試要項通りリスナーにはこの後!

 

10分間の【模擬市街地演習】を行って貰うぜ!!」

 

 

プレゼント・マイクがそう言うと、背後の巨大なモニターに地図が映し出され、各会場と思わしき場所にそれぞれアルファベットが振ってあった。

 

 

「持ち込みは自由!

 

プレゼン後は各自指定の演習会場に向かってくれよな!!」

 

 

なるほど。

 

内容は事前に配られた資料通りだな。

 

 

同校(ダチ)同士で協力させねぇってことか」

 

「僕はBで、かっちゃんはEだね。

 

この試験ではなるべく個人の力量や対応力を見る感じだろうね」

 

「テメェとの勝敗が分かんのは合否発表の時か」

 

 

僕達は極力周りに聞こえない程度の声で話す。

 

どうやらその甲斐あって周りには聞こえていないみたいだ。

 

 

「演習場には"仮想(ヴィラン)"を3種・多数配置してあり、それぞれ攻略難易度によってポイントが設けられている!!

 

各々なりの個性で"仮想(ヴィラン)"を行動不能にし、ポイントを稼ぐのが君達の目的だ!!

 

もちろん他人への攻撃等のアンチヒーローな行為はご法度だぜ?!」

 

 

なるほど、これは分かりやすい。

 

けどこの内容だと戦闘向きではない個性の人は合格不可能とも言えるのでは無いのか。

 

日本一のヒーロー育成機関の雄英にしては合理性に欠ける気もするけど、もしかしたら雄英の方針が戦闘力の高いヒーローの育成なのかもしれない。

 

というか、このプリントには4種の(ヴィラン)役のロボットが書かれているが、説明と食い違う。

 

これから説明があるんだろうか。

 

というかこのロボって、僕がジムで破壊しまくった奴と同じなんじゃ……。

 

 

「…質問よろしいでしょうか?!」

 

 

一人で思考していると、右斜め前の席から手が挙がった。

 

あれは、さっきかっちゃんの険悪になりそうだったメガネの男子だ。

 

 

「プリントには4種の(ヴィラン)が記載されています!

 

誤載であれば日本最高峰たる雄英において恥ずべき痴態!!

 

我々受験者は規範となるヒーローの御指導を求めてこの場に座しているのです!!」

 

 

随分とハキハキと喋る人だ。

 

さっきのやりとりからも感じていたけど、相当に真面目な人なんだろう。

 

 

「オーケーオーケー。

 

受験番号7111君、ナイスなお便りサンキューな!

 

4種目の(ヴィラン)は0P(ポイント)

 

そいつは言わばお邪魔虫(・・・・)

 

スーパーマ○オブラザーズやったことあるか?!

 

あれのドッスンみたいなもんさ!

 

会場に所狭しと大暴れしている"ギミック"よ!」

 

 

なるほど。

 

つまりは無視するのが最適解だな。

 

でも、これこそ正に合理性に欠けるんじゃないか?

 

試験の内容自体そこそこの危険を伴うし、こんなのが暴れたら怪我人が出る事は必至な筈だ。

 

……いや、今は考えても仕方がないか。

 

 

「有難う御座います!失礼致しました!」

 

 

メガネの男子は綺麗なお辞儀をした後に素早く着席した。

 

うん、真面目だ。

 

 

「俺からは以上だ!!

 

最後にリスナーに我が校の"校訓"をプレゼントしよう。

 

かの英雄ナポレオン=ボナパルトは言った。

 

【真の英雄とは人生の不幸を乗り越えていく者】と!!」

 

 

プレゼントマイクはそう言って両手を大きく広げ、言った。

 

 

Plus(更に) ultra(向こうへ)!!

 

それでは皆、良い受難を!!」

 

 

その言葉を最後に説明会は幕を閉じ、僕達はそれぞれの会場へと向かっていた。

 

そして会場毎の別れ道に立った僕とかっちゃんは、お互いに視線を合わせた。

 

 

「この受験、一番になるのは俺だ」

 

「負けないよ。

 

この日の為に、僕も出来ることは全てやった」

 

 

それだけの会話をして、僕達は背を向けて歩き出した。

 

 

(……行くぞ、ONE FOR ALL)

 

 

そしてそれぞれの会場へと向かった。

 

 

 

…………………………

 

 

 

「……広っ」

 

 

確かに市街地演習とは言っていたけど、これは凄すぎる。

 

僕の目の前には、街一つ分のスペースの広さの広大な演習場があった。

 

敷地内にこんな施設がいくつもあるのか。

 

……辺りを見渡すと、多種多様な個性を持った人達がいる。

 

その中に、見覚えのある茶髪のショートボブの女子を見つけた。

 

同じ会場だったのか。

 

僕はポケットの中の予備のハンカチに包んでいたお守りを取り出しながら麗日さんの方へと向かった。

 

 

「あ、うらら「その女子は精神統一を図っているのではないか?」…え?」

 

 

僕の背後から声をかけたのは、さっきのメガネの男子だ。

 

 

「…君はあの時の」

 

「あ、どうも」

 

「それより、彼女は今集中している。

 

君はそれを妨害するつもりか?」

 

「いや、違うんだ。

 

筆記試験の前に彼女と知り合ったんだけど、彼女お守りを落としたんだ。

 

それを渡そうと探してたんだけど中々見つからなくて」

 

 

僕の言葉を聞いて、メガネの男子は急に表情を変えた。

 

 

「なっ?!それはすまない!

 

君のその善意を妨害目的と勘違いしてしまうなど…っ!」

 

「傍から見たらそう見えても仕方ないよ」

 

「いや、しかし!」

 

「僕は大丈夫だから。

 

とりあえずこれを彼女に渡すよ」

 

「あぁ、引き止めてすまないな。

 

ついでに、君を引き止めてしまったことを彼女に謝罪しよう。

 

ぼ…俺は飯田天哉だ、よろしくな」

 

「僕は緑谷出久、よろしくね」

 

 

軽く自己紹介をした後、僕は改めて麗日さんの方へと向かった。

 

 

「麗日さん」

 

「…ん?あ、緑谷君!

 

どうしたの?」

 

「これ、会った時に落としてたみたいなんだけど、中々麗日さんを見つけられずに渡せなかったんだ」

 

 

僕はハンカチを開いて中にあったお守りを渡す。

 

 

「あ、これ!

 

無くしたと思ってたんだけど、拾ってくれてたの?!

 

わー、ありがとう!」

 

 

麗日さんは嬉しそうにお守りを握りしめて胸に当てた。

 

 

「そういえば、隣の人は?」

 

 

麗日さんは飯田君を見て首を傾げながらそう言った。

 

 

「俺は飯田天哉。

 

先程君に話しかけようとした緑谷君を僕が妨害目的かと勘違いして引き止めてしまった事の謝罪をしようと」

 

「えぇ?!そんなんええのに!

 

飯田君は真面目やね」

 

「いや、俺は善意で動いていた緑谷君に対して、そしてその善意が向いていた相手にも失礼な事をしてしまった。

 

規範たるヒーローを目指す者として恥ずべき行為だっ!」

 

 

飯田君はそう言いながら拳を握りしめた。

 

本当に根っから真面目で、いい人なんだろう。

 

 

「さてと、2人ともそろそろ準備をした方がいいよ」

 

 

僕は筋を伸ばしながら2人に声をかけた。

 

 

「え?でも、まだ開始前のアナウンスも鳴ってないよ?」

 

「これは僕の想像だけど、雄英がトップヒーローとなる人材を育成することを方針としているのなら、求められるのは突発的な事象に対する反応も見られるはずだ。

 

だから、開始に秒読みなんてないはずだ」

 

「なるほど、それは言えているな」

 

 

飯田君はそう言いながら顎に手を当てて考える。

 

 

「では今この瞬間に開始されても何ら不思議ではないと言うことか」

 

「うん、そうだと思う」

 

 

僕は初めから開かれていた門を見ながら、ストレッチをする。

 

 

「…緑谷君凄いね。

 

私なんか緊張して全然そんな落ち着いていられないよ」

 

 

麗日さんはそう言いながらお守りを握り締める。

 

 

「……そろそろかな」

 

「え?」

 

 

僕は、右足を軽く引いて少し力を込める。

 

 

「2人とも」

 

 

僕は飯田君と麗日さんの方へと振り返り笑いかける。

 

 

「お互いベストを尽くそう」

 

 

僕がそう言うと、少し慌て気味だけど2人も構えをとった。

 

 

「ハイ!スタートー!」

 

 

僕はその声を聞きながらFULL COWLを5%で纏い1秒もかけずに門を駆け抜ける。

 

 

「どうしたぁ?!実戦じゃカウントダウンなんざねぇんだよ!!

 

走れ走れぇ!!

 

あのリスナーはもう3機はぶっ壊してんぞぉ?!」

 

 

他の受験生もスタートしたのか、後ろから様々な音が聞こえる。

 

僕は他の妨害にならないように適度に仮装(ヴィラン)を残しつつ進む。

 

ふとその時、視界の端に目の前の仮装(ヴィラン)に気を取られて背後の仮装(ヴィラン)に気付いていない複腕型の個性を持つ受験生が映った。

 

僕は目の前の仮装(ヴィラン)を右足で蹴り、その勢いを利用してその仮装(ヴィラン)の脚部を破壊する。

 

 

「今の内に!」

 

「っ?!あぁ!」

 

 

複腕の受験生は振り返りながら仮装(ヴィラン)の頭部を破壊する。

 

 

「すまん、助かった!」

 

「気にしないで!お互い頑張ろう!」

 

 

僕はそのまま通り過ぎポイントを稼ぎつつ、他の受験生がピンチなら妨害やポイントの横取りにならないように配慮しつつ援護する。

 

その最中でお腹からビームを出す個性の受験生とも連携したりした。

 

とりあえず合格が確実と言える程度のポイントを稼ぎながらその後も同じ様に動いていると、突然轟音が響き一定のリズムで地面が揺れる。

 

 

「いや、デカすぎるでしょ…」

 

 

僕が空を見上げると、建ち並ぶビルよりも巨大な仮装(ヴィラン)がこちらを見下ろしていた。

 

これがプレゼント・マイクが言っていた0Pの(ヴィラン)だろう。

 

なら相手にするメリットは無いけど、放置しても邪魔になる。

 

僕が対処を迷っていると、0Pの(ヴィラン)はその手でビルを握り、その力に耐えられずビルの一部は崩れ、瓦礫が降り注ぐ。

 

その下に視線を移すと、そこには見覚えのあるショートボブの女子が走っていた。

 

僕はそれを認識してすぐに飛び出し、降り注ぐ瓦礫を蹴り砕く。

 

 

「っ?!緑谷君?!」

 

「麗日さん、大丈夫?!」

 

 

僕は着地しつつ上を見上げ、まだ瓦礫が降って来ている事を確認して麗日さんを抱えた。

 

 

「わっ、えぇ?!///」

 

「ごめん、少しの間我慢して!」

 

 

僕はそう言いながら麗日さんに不可のかからない程度のスピードで瓦礫が落ちてくるよりも早く駆け抜けた。

 

 

「っ?!君は緑谷君!」

 

 

ちょうど止まった位置で飯田君と出会した。

 

僕はとりあえず麗日さんをその場にゆっくりと立たせた。

 

 

「あ、ありがとう緑谷君……///」

 

 

麗日さんは抱えられていたのが恥ずかしかったのか、顔を赤くしていた。

 

 

「気にしないで。

 

それよりも…」

 

「あれがプレゼント・マイクの言っていたギミックか」

 

「いくらなんでもあれはデカすぎやろ…」

 

 

僕は軽く辺りを見回す。

 

今の少しの間で相当な被害が出ている。

 

幸い人身被害は無いようだけど、これを放置すれば間違いなく怪我人が出る。

 

なら、やる事は一つだ。

 

 

「2人とも、あれは僕が何とかするから離れてて」

 

「なっ?!何を言っているんだ!

 

いくら君のパワーが凄くてもあれは無茶だ!

 

それにあれは0Pのお邪魔ギミックだ!

 

態々相手取る必要も無いだろう!」

 

 

普通なら、ライバルである僕が無駄な行動を取ろうとしていれば寧ろ喜ばしいはずなのに、ここで僕の心配をするなんて、飯田君はいい人だな。

 

 

「あれを放置すれば試験の妨げになるし、最悪の場合は怪我人も出るかもしれない。

 

ヒーローを目指す者として、そんなの見過ごせない」

 

「「っ?!」」

 

 

僕は右腕の袖を捲りながら走り出し、フルカウルを7%で纏う。

 

そして両足の出力を10%に引き上げ、0P仮装(ヴィラン)の眼前までビルを蹴り飛び上がる。

 

オールマイトにONE FOR ALLを受け継いだ時に言われた言葉を思い出しながらフルカウルを10%に、そして右腕に現在の低い反動で発動できる力、11%の力を込める。

 

 

『ケツの穴グッと引き締めて心の中でこう叫べ!!!』

 

 

右腕に感じる熱をそのまま、放った。

 

 

「SMAAAAAASH!!」

 

 

仮想(ヴィラン)の顔面は歪み、そして後ろ向きに倒れていく。

 

僕は念の為にもう一撃加えるために、弾け飛んでいた瓦礫を蹴って急降下しながら前転の要領で体を回転させて11%の力を纏った足を振り下ろす。

 

 

「MANCHESTER

SMAAAAAASH!!」

 

 

そのまま仮想(ヴィラン)はその場に崩れ落ちていく。

 

僕はビルの壁を蹴って衝撃を和らげて地面に着地した。

 

振り返ると、少し離れた辺りに飯田君達を見つけた。

 

どうやら離れはしたけど、心配で見ていたようだ。

 

そんな二人の背後に仮想(ヴィラン)が迫っているのを見つけ、再びFULL COWL8%を纏い蹴り抜く。

 

二人はそれに驚きながらも体勢を整える。

 

だが、どうやら時間が来てしまったようだ。

 

 

「終ーーー了ーーー!!」

 

 

二人はそれで緊張が解けたのか、肩を下ろした。

 

 

「ハイ、お疲れ様〜」

 

 

すると背後から白衣を着た低身長の老婆が歩いてきた。

 

 

「あのお婆ちゃんは…?」

 

「彼女はリカバリーガールだよ。

 

負傷した人に唇で触れることで対象者の治癒力を活性化させるんだ」

 

 

僕が説明していると、リカバリーガールが倒れたり座り込んでいる受験者に治癒を施していく。

 

 

「雄英のこの危険性の高い試験を行えるのも彼女の存在に依るだと思う」

 

「へぇ……。

 

緑谷君、色々知ってるんだね」

 

「ヒーローの情報を調べるのが趣味でね。

 

雄英の教員になっているヒーローは事前に調べているよ」

 

 

僕が麗日さんと話していると、飯田君は何やら考え込むように顎に手を当てて僕を見ていた。

 

 

「どうしたの?」

 

「…緑谷君、君は」

 

 

飯田君が何か言いかけたその時、会場内にアナウンスが響いた。

 

 

「本日の試験はこれにて終ーーー了ーーー!!

 

リスナーは更衣室で着替えを済ませて各自解散してくれよな!!」

 

 

アナウンスが鳴り止むと、飯田君は表情を戻した。

 

 

「ごめん、なんだっけ」

 

「…いいや、今はいい。

 

合格したその時、改めて教室で聞こう」

 

「…そっか。

 

うん、わかった」

 

 

僕は右手を差し出した。

 

飯田君はその手をがっちりと掴む。

 

 

「君に出会えてよかった」

 

 

飯田君はそう言って僕に笑いかける。

 

 

「それじゃあもう会えない見たいじゃないか。

 

また教室で会おう」

 

 

僕も笑顔で答えて強く握り返す。

 

 

「あ!二人ともずるーい!

 

私も!!」

 

 

麗日さんはそう言いながら、僕達の手の上に自分の手を重ねた。

 

 

「教室で会おうぜ!」

 

 

そう言いながらサムズアップをする麗日さんの顔に憂いはなかった。

 

そうして僕達はそれぞれの割り振られた更衣室で着替えを済ませて解散した。

 

僕は校門に寄りかかりかっちゃんを待つ。

 

すると人混みの中に見慣れた尖った髪型を見つけた。

 

 

「…チッ」

 

 

かっちゃんは僕を見つけるなり舌打ちをしながら近付いてくる。

 

 

「炎は」

 

「駅前のカフェにいるって」

 

 

僕達は駅までの道を歩き始める。

 

 

「そういえば、試験の終わり際にかっちゃんのいる方の試験会場から爆音が聞こえてたけど、0Pの仮想(ヴィラン)倒したの?」

 

「テメェこそ、あの破壊音はどうせテメェだろ」

 

 

そんな会話をしながら僕達は駅の方まで歩く。

 

20分程歩いたところで僕達は駅前にあるカフェに入り炎さんを探す。

 

すると、奥の方の窓際の席から手を振る炎さんを見つけて僕達はその席に着く。

 

 

「お待たせ」

 

「ううん、大丈夫だよ」

 

 

炎さんはそう言いながら手元の飲み物を飲む。

 

 

「いらっしゃいませ、ご注文は?」

 

 

店員の人が僕達の席の前に立ち止まり、手に持つタブレットを構えながら僕達を見る。

 

 

「エスプレッソを一つ。

 

かっちゃんは?」

 

「俺もそれでいい」

 

「砂糖とミルクはお付けしますか?」

 

「大丈夫です」

 

「はい……。

 

以上でよろしいでしょうか?」

 

「はい」

 

「かしこまりました。

 

少々お待ち下さい」

 

 

店員の人は厨房の方に向かい、オーダーを伝えているようだ。

 

かっちゃんは机に置かれたお冷を飲みながら僕を見た。

 

 

「んで、テメェは試験どうだったんだ」

 

「うん、合格ラインは通過してると思うよ。

 

後は順位がどのくらいかって感じかな。

 

炎さんは面接どうだったの?」

 

「私もそんなに詰まらず言えたし、大丈夫だとは思うんだけど…」

 

 

炎さんはそう言いながらストローで自身のコーヒーを少し混ぜる。

 

 

「きっと大丈夫だよ。

 

炎さんが頑張ってたのは僕もかっちゃんも、クラスの皆も、先生達も知ってる。

 

毎日面接の応えの見直しをしたり先生にアドバイスを聞きに行ったり、毎日面接の練習だってしてた。

 

だから、大丈夫」

 

「緑谷…」

 

 

炎さんは俯いて、そしてグッと顔を上げた。

 

その表情にもう憂いは無かった。

 

 

「ありがとう緑谷!

 

やっぱり緑谷の大丈夫は安心できるよ」

 

「そうかな?

 

それなら良かった」

 

 

僕は笑って炎さんを見る。

 

会話が一区切りした所でエスプレッソが運ばれてきて、僕はそれを受け取り一口飲んだ。

 

かっちゃんも同様にエスプレッソを一口飲んだけど、何故か曇った表情になった。

 

 

「クソが、コーヒーが甘ぇ」

 

「え、うそ?僕のは普通だよ?」

 

「どっかの誰かが砂糖でもぶち込んだんだろうよ」

 

「店員さんに言って取り替えて貰う」

 

「……いらんわ、めんどくせぇ」

 

 

かっちゃんは明らかに不機嫌そうにまたエスプレッソを一口飲んだ。

 

 

 

…………………………

 

 

 

試験から一週間後、僕達は折寺中学校を卒業した。

 

希望の進路を叶えたい人も、叶えられなかった人もいる。

 

それでも僕達はお互いに笑顔で別れを告げた。

 

そしてそれから一週間が経ち、僕は朝のランニングを終えてマンションに帰って来ていた。

 

朝の新聞が入っていないか確認したところ、そこには見慣れない白い封筒が入っていた。

 

まさかと思い裏返して見ると、そこには雄英高等学校と書かれていた。

 

ついに、来た。

 

僕は母さんにその事を報告して自室に入った。

 

ゆっくりと封を開き、中身を確認する。

 

そこには何枚かの書類と、丸い機械が入っていた。

 

その機械をテーブルに置くと、そこから映像が空中に投影された。

 

 

「んっんん"〜〜!!

 

私が投影された!!!

 

 

予想もしていなかったオールマイトの登場に、僕は少し驚きつつもしっかりと映像を見る。

 

 

「諸々手続きに時間がかかって、連絡とれなくてね。

 

いや、すまない!!」

 

 

雄英からの合否発表にオールマイトが映るって事は、まさかそういう事なのか?

 

 

「聡明な君の事だから察しているとは思うが、私がこの街に来たのは他でもない。

 

雄英に勤める事になったからなんだ」

 

 

やっぱり…。

 

けど、オールマイトが雄英の教師になるなんて、これは公表された瞬間とんでもないニュースになるな…。

 

 

「えぇ何だい?!巻きで?!

 

彼には話さなきゃならない事が…。

 

後がつかえてる?!

 

あーあーわかったOK…」

 

 

オールマイトは何やらカメラの向こうを見ながらそう話す。

 

多分撮影のスタッフと話してるんだろう。

 

 

オールマイトは再びカメラに視線を戻す。

 

その顔はいつもの笑顔に戻っていた。

 

 

「筆記、実技共に素晴らしい成績だ!

 

全科目で5位以内の成績!

 

総合成績は2位だ!

 

1位とは僅か1点差だ!実に惜しい!」

 

 

僕が、2位か……。

 

いまいち実感が沸かないけど、とりあえず今はオールマイトの話を聞こう。

 

 

 

「さて、次は実技の成績だ!

 

君の(ヴィラン)P(ポイント)は68!

 

これは歴代で見ても高水準の成績だ!

 

そしてそれらを踏まえた君の総合成績は!」

 

 

オールマイトは力を込めて後ろのモニターを指す。

 

そこにはデカデカと「2位」の文字が書いてあった。

 

 

「いやぁ実に惜しかった!

 

もし仮に君が建物の損壊や他者を気にしていなければもっと(ヴィラン)P(ポイント)を稼げていただろう!

 

現時点でまだ名前は公表できないが、1位の受験者もそれらを気にしつつ動いていたが、君程ではなかったからね!」

 

 

1位はかっちゃんなんだろう。

 

僕が2位だとしたら、その上にいる1人は絶対に。

 

納得はするけど、やっぱり悔しい…。

 

 

「だが、ここで終わらないのがこの試験さ!」

 

 

僕が悔しがっていると、映像はまだ続いていた。

 

 

「君はその力で、もっと多くの仮装(ヴィラン)を倒せていただろう。

 

だが君は他人の為にそのメリットを捨てて行動した。

 

ならば、ヒーロー仕事とはなんだ?

 

凶悪な(ヴィラン)と戦う?あぁ必要だろう。

 

だが、ヒーローとは人を守り、助け、希望を与える者!

 

そのヒーローの本質を体現した者を評価しないヒーロー科なんて、あってたまるかって話だよ!」

 

 

そう言ってオールマイトは手に持ったリモコンを操作する。

 

すると画面に試験中の僕の姿が映し出された。

 

 

「綺麗事?!上等さ!!

 

命を賭して綺麗事実践するお仕事だ!!」

 

 

そして更に操作すると、さっき表示されたポイントに更に新たなポイントが追加された。

 

 

救助活動(レスキュー)P(ポイント)!!

 

しかも審査制!!

 

我々雄英が見ていたもう1つの基礎能力!!

 

緑谷出久!!83P(ポイント)!!

 

そしてこれにより、君の順位は!!」

 

 

画面が切り替わり、そこには驚愕の結果が表示されていた。

 

 

「爆豪勝己!!1位!!

 

そして緑谷出久!!同一1位!

 

雄英始まって以来初めての事だ!

 

君は誇っていい!!

 

これは、君が自らの努力で掴み取った結果だ!!」

 

 

僕が、無個性だった僕が、かっちゃんと並んだ?

 

 

「来いよ緑谷少年!

 

雄英(ここ)が君のヒーローアカデミアだ!

 

 

僕は喜びのあまり、大声で叫んだ。

 

そこに母さんが駆け込んで来て、更に何処からか現れたリボーンに「うるせぇ」と後頭部を蹴り飛ばされた。




次回予告!

出久「第1の目標である雄英高校の合格は叶った。

それもかっちゃんと同一の1位だなんて。

けど、今になって中学の生活も名残惜しく感じるな…」

リボーン「なかなかいねぇぞ、オメェの中学生活に約3年もかける奴は。

それも大した長さでもねぇのに」

出久「急にメタ発言やめてよ…。

とにかく!これで中学生編は終了!

次回から、雄英高校での新しい生活が幕を開ける!

次回!『標的(ターゲット)No.30 始まりの試練(かべ)

更に向こうへ!Plus ultra!!」

リボーン「死ぬ気で見ろよ」

デクのヒーロースーツについて

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