ONE FOR ALL9代目はボンゴレX世   作:鉄血のブリュンヒルデ

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標的(ターゲット)No.6 ONE FOR ALL

「君はもしかして、ボンゴレファミリーの関係者じゃないのかい?」

 

「…………………え?」

 

 

ちょっと待て。なんでオールマイトの口からボンゴレファミリーの名前が?!

 

 

「え、いや、その」

 

 

まずいまずいまずい!

 

一先ず落ち着け!

 

オールマイトはヒーローで、僕がマフィアのボス候補なんて知ったら捕まっちゃうんじゃ?!

 

 

「あ、そうか。

 

大丈夫だ少年。私はボンゴレファミリーは(ヴィラン)組織ではない事は理解している。

 

捕まえたりはしないさ」

 

「え?!

 

ど、どういう事ですか?!」

 

「私は昔ボンゴレファミリーに助けて貰った事があってね。

 

それに以前、ボンゴレファミリーの方に修行をつけて貰った事があるんだよ」

 

 

ボンゴレファミリーの人って、まさかリボーンじゃないよな?

 

いや、でもあの強さなんだ。有り得なくもないけど…。

 

 

「君があの時額に灯したあの炎。

 

あれは死ぬ気の炎なんだろ?」

 

 

死ぬ気の炎。

 

確か前にリボーンから聞いた事がある気がする。

 

 

「は、はい。一応は……」

 

「少し話を聞かせて貰えないかな?

 

君がボンゴレファミリーとどういう関係なのか」

 

 

どういう関係、か。

 

え、言って大丈夫なのか?

 

幾ら何でもボス候補だなんて言っていいのか?

 

 

「ソイツはボンゴレファミリー10代目ボス候補だぞ。俊典」

 

「「っ?!」」

 

 

その時、背後から声が聞こえた。

 

僕とオールマイトが振り返ると、そこには木の枝の上に立つリボーンがいた。

 

「「リボーン(師匠)?!……………え?」」

 

 

なんでオールマイトもリボーンの事……。

 

ていうか師匠って、まさか?!

 

 

「久しぶりだな俊典。

 

いや、オールマイトって呼んだ方がいいのか?」

 

「いやぁお久しぶりですリボーン師匠!

 

その後はお変わりなく?」

 

「見ての通りだ。

 

お前は随分変わっちまったな」

 

「お恥ずかしい限りです…」

 

 

やっぱり、オールマイトが以前修行を受けたのは、リボーンだったんだ……。

 

 

「ところで師匠。

 

先程、少年がボンゴレファミリー10代目ボス候補だと仰いましたが、それは本当ですか?」

 

「あぁ。デクは正真正銘ボンゴレのボス候補だ」

 

 

僕、やるなんて一言も言ってないのに……。

 

 

「では、提案の方は厳しいですね……」

 

「っ!そうだ!その提案って何なんですか?」

 

 

僕が一番気になっていた所だ。

 

オールマイトの提案って、一体何なんだろう。

 

 

「お前まさか、ONE FOR ALLをデクに継がせる気だったのか?」

 

 

ONE FOR ALL?なんだ?一体なんの事だ?

 

 

「流石はリボーン師匠。その通りです」

 

 

オールマイトは肯定してるけど、僕には全く分からない。

 

 

ONE FOR ALLってなんだ?

 

それと、継がせるって一体?

 

 

「まぁ、いいんじゃねぇか?

 

一応デクはヒーロー志望だ。

 

ONE FOR ALLを継げる体は出来てるしな」

 

「えぇ。それに今日の彼を見て思ったんです。

 

彼は"最高のヒーロー"になれると」

 

 

オールマイトから物凄い事言われてるけど、疑問が多過ぎてまともに受け止められない。

 

 

「ちょっと待って!さっきからONE FOR ALLとか色々何の話をしてるんですか?!」

 

 

二人とも説明無しで会話進めるから全く分からないよ!

 

 

「あ、あぁ。説明がまだだったね。

 

リボーン師匠。私からでよろしいでしょうか?」

 

「そりゃあお前の力なんだからお前が話すのが筋だろ」

 

 

オールマイトの力?

 

 

「少年。私の個性の話だ」

 

「オールマイトの個性?」

 

 

ネットじゃ超パワーとかブースト系って噂を聞くけど、それがさっき言ってた"ONE FOR ALL"っていうのと関係あるのかな?

 

 

「そうさ。

 

私の個性、それは力を蓄え譲渡する個性。

 

冠された名が、ONE FOR ALLという訳さ」

 

 

力を蓄え譲渡する個性?

 

そんな個性、本当にあるのか?

 

 

 

 

 

いや、待てよ?2年前の会話を思い出せ。

 

 

『実はね、私も無個性なんだ』

 

 

あの時オールマイトは自分の事を無個性だって言った。

 

オールマイトの性格上嘘は言わないはずだ。

 

けど、オールマイトは個性を持っていた。

 

それはつまり………。

 

 

「オールマイトは元々無個性だったんですね」

 

 

「相変わらず勘がいいな君は。

 

その通りさ。私はお師匠……先代からONE FOR ALLを受け継ぐまでは無個性だったのさ」

 

 

元は無個性だった人間がNo.1ヒーローになれるほどの力……。

 

いや、違う。

 

確かにONE FOR ALL自体が凄い力を持っているんだろう。

 

けど、やっぱりその力を持ったオールマイトだからこそNo.1ヒーローになれたんだ。

 

 

「そこで少年。先程の提案の話だ」

 

 

ここまで情報があれば、流石に僕でも分かる。

 

 

「その個性を、僕に?」

 

「そうだ。

 

一人が培い、また一人へ。そうやって正義の心と義勇の心で紡がれたこの個性。

 

次は君の番だと言う事さ」

 

 

以前の僕なら、喜んで飛び込んだかもしれない。

 

ヒーローになりたいという心ばかりが先に出て、現実を見ようとしていなかった僕なら。

 

正直に言えば今も二つ返事で引き受けたい。

 

けど、自分の力を認識している今は思ってしまう。

 

本当に僕でいいんだろうか、と。

 

 

「……少年。迷っているのかい?」

 

 

オールマイトが不安そうにこちらを見ている。

 

するとリボーンが僕に近付いて、その目で僕を撃ち抜くかの様な視線を僕に向けた。

 

 

「はっきり言っておくぞ。

 

この力を受け取ったからって、No.1になれる訳でもなければ必ずヒーローになれるという保証もない。

 

重荷になるくらいなら、受けねぇのが得策だ」

 

「リボーン師匠?!」

 

「黙ってろ俊典。

 

これは俺とデクの、教師と生徒の話だ」

 

 

リボーンの言う通りだ。

 

力を生かすも殺すもそれを持つ人間次第だ。

 

そして、その力を何の為に使うかもだ。

 

 

 

以前、とある番組の中で(ヴィラン)犯罪で捕まって公正した人のインタビューを見た事がある。

 

その人は会社の不当解雇に、会社を襲撃という形で抗議したんだ。

 

勿論そんな事をすればヒーローや警察に捕まるし、事実その人は事件を起こしてから一時間でヒーローに取り押さえられた。

 

そしてそのインタビューの中で、自分が(ヴィラン)になった理由というものがあった。

 

その中でその人は「社会の不平等さや不条理さを身をもって感じ、どうしても我慢出来なかった」と言った。

 

社会の不平等さなら、僕も知っているし、もしかしたらその人よりもよく知っているかもしれない。

 

そんな僕が大きな力を手に入れて、本当に正しく使えるのか。

 

僕には、分からなかった。

 

 

「デク。お前がオールマイトに憧れてるの話だ知ってるし、否定する気もねぇ。

 

だがお前が思ってる程コイツは無敵じゃねぇんだ」

 

「どういう、事?」

 

「俊典。お前が話せ。

 

ONE FOR ALLの始まりと、お前の宿敵について」

 

 

ONE FOR ALLの始まりと、オールマイトの宿敵?

 

始まりって事は、初代のONE FOR ALL保持者の事だろうけど、オールマイトの宿敵って誰だ?

 

 

「そう、ですね。

 

何も言わずに継承させてはいけませんよね…」

 

 

オールマイトは話すつもりみたいだけど、一体何なんだ?

 

 

「まず、ONE FOR ALLを語る前に話さなければならない(ヴィラン)がいる。

 

その(ヴィラン)の名はオールフォーワン。

 

個性はその名と同じALL FOR ONE。

 

個性を奪い、与えるという力だ」

 

 

個性を奪い、与える個性?

 

そんな滅茶苦茶な個性があっていいのか?

 

 

「続けるよ。

 

オールフォーワンには弟がいたんだ。

 

私や君と同じく、無個性の弟がね」

 

 

無個性の弟………。

 

個性を奪い与えるALL FOR ONE。

 

力を蓄え与えるONE FOR ALL。

 

オールマイトが話したって事は、偶然じゃないよな?

 

………………いや、待てよ?

 

もし仮に、弟が無個性じゃない場合どうだ?

 

兄が個性を奪い与えるという個性に対して、もし与えるだけの個性なら、個性を持っていること自体に気付いてないだけだとしたら?

 

 

「オールマイト、待ってください」

 

「どうしたんだい、少年」

 

「もしかして、オールフォーワンは弟に、個性を与えたんじゃないですか?」

 

 

僕が言うと、オールマイトが驚いた様に、リボーンは少し笑ってこっちを見ていた。

 

 

「正解だ少年。どうして分かったんだい?」

 

「ONE FOR ALLが"蓄え与える"個性で、ALL FOR ONEは"奪い与える"個性。

 

この2つの共通点として、"与える"という事があって、兄弟なら遺伝が似通った個性を持っていても不思議じゃないし、もしそれが与えるだけの場合、持っていること自体に気付けない可能性もあります。

 

もしその弟に、力を蓄積する個性を与えたとしたら、それがONE FOR ALLの始まりって事になるんじゃないでしょうか?」

 

「あぁ。私が説明するまでもなく、その通りだ」

 

 

どうやら合っていたみたいだ。

 

 

「二つの個性が交わり、一つとなった。

 

それがONE FOR ALLという個性さ。

 

巨悪を倒す為の力は、巨悪その物が生み出したんだ」

 

 

オールフォーワンは、ONE FOR ALLを生み出してどう思ったんだろう。

 

後悔したんだろうか。それとも歓喜したんだろうか。

 

 

「ONE FOR ALLの継承者は必ず巨悪と対峙する運命にある。

 

その運命を受け入れてくれるのなら、この紡がれた力を、受け継いでくれないだろうか」

 

 

巨悪と戦う運命……。

 

 

「お前次第だぞ、デク」

 

ボンゴレファミリー10代目ボス候補としての運命。

 

ONE FOR ALLの継承者としての運命。

 

どちらも決して軽いものじゃない。

 

僕に背負えるだろうか。

 

2年前まではただの無個性だった僕に、そんな大事な力を受け継ぐ資格があるんだろうか。

 

 

「…どうして、僕なんですか?」

 

「そうだな。

 

初めて君に会った時。ヘドロと戦う君を見た時。

 

そして友を助ける為に走り出した君を見て、私は思ったんだ。

 

無策でも、無謀でも、友の為に走り出した君は、あの場の誰よりもヒーローだった。

 

活動限界を言い訳に、他のヒーローに任せようとしていた私なんかよりもずっと。

 

だからこそ、私はあの時動かされたんだ」

 

 

……………僕はヒーローになりたい。

 

けど、もしこのまま死ぬ気の力を使いこなせなければ、雄英合格なんて夢のまた夢だ。

 

ならばいっそ、賭けてしまおう。

 

僕の夢を、目標を、ONE FOR ALLに。

 

 

「オールマイト。

 

僕はあなたに憧れてヒーローを目指しました。

 

でも、無個性という大きすぎる壁に阻まれて、僕はもう無理なんだろうと諦めていました。

 

そんな時なんです。リボーンに出会ったのは。

 

リボーンに出会って、初めは滅茶苦茶な人だって思ったけど、僕がマフィアのボスになりたくないって言ってもちゃんと色々な事を教えてくれたし、ヒーローになりたいって言う夢も否定しなかった。

 

そして、今日こうしてあなたと出会えた。

 

僕は、沢山の物を貰って、育ってきたんです。

 

だから、それを返せる力なら、僕は欲しいです」

 

 

これが僕の気持ちだ。

 

 

「僕が皆の為に出来ることを、やってみたいんです」

 

 

リボーンは笑い、オールマイトも笑う。

 

 

「よく言ったな、デク」

 

「ありがとう!少年!」

 

 

二人から祝福されている。

 

そして何人もの人から応援されている。

 

もう、僕は諦めたりしない。しちゃいけないんだ。

 

 

「さぁ、授与式だ!緑谷出久!」

 

「はい!」

 

 

オールマイトは再びムキムキの姿になり、僕に笑いかける。

 

 

「これは受け売りだが、最初から運良く授かった者と選ばれ譲渡された者では、その本質が違う。

 

肝に銘じておきな。

 

これは、君自身が勝ち取った力だ」

 

 

そう言ってオールマイトは、自分の髪の毛を1本抜いた。

 

 

 

「食え」

 

 

 

「……………へあ?」

 

 

信じられない言葉に信じられない声が出た僕だった。

 

 

「別にDNAを摂取出来れば何でもいいんたけどさ!」

 

「思ってたのと違いすぎる!」

 

「はぁ………相変わらず締まらねぇ奴らだな」

 

 

こうして僕の、新たな運命が幕を開けた。




次回予告!

オールマイト「緑谷少年、おめでとう!」

出久「ありがとうございます!」

オールマイト「いやぁ、しかし君がボンゴレファミリーの次期ボス候補だったとは!」

出久「僕も初めて聞いた時は冗談だと思いましたよ…」

オールマイト「さてと、それじゃあ明日からONE FOR ALLを使う為の訓練を始めようか!」

出久「はい!よろしくお願いします!」

オールマイト「いい返事だ!

っと、そろそろ時間だな。

次回!『標的(ターゲット)No.7 語られる過去と特訓開始』

それではご唱和ください!」

出久・オールマイト「「更に向こうへ!Plus ultra!!」」
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