ラウラに面倒くさい姉(実体を持たない)が追加される話。

ただの一発ネタなので気分と感想次第で続きます。

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ラウラにめんどくさいおまけが追加される話

 

 

 

 

 

 

「なあラウラ。お前って姉妹いないか?」

 

タッグマッチトーナメントの事件も落ち着き、ラウラが無事に学校に復帰してから数日。

 彼女の個性的な感性と常識に振り回されつつも、なんとかクラスに馴染もうと努力するラウラに話しかけてきた織斑一夏は素っ頓狂なことを質問していた。

 それに対して彼女は、

 

副官(クラリッサ)に調べさせているところだ。もっとも破棄された研究データがそう多く残っている保証もないからわからない」

「そっか......じゃあ結局誰かは分からずじまいってことか」

「ああそうだ」

「厄介なんだかありがたいんだか」

『あれいまワタシの話してる? やだなあワタシってば人気者、照れるわー』

 

 すい、と2人揃って天井を見上げる先。

 彼のメガネと彼女の眼帯越しには自分と同じ制服を着て空中にフヨフヨと浮かぶ、幾分か透けている女子生徒がいるのだ。

 

「一夏くんどうしたの? 2人揃って急に何もないところなんか見上げて?」

「ああいや、なんとなくな」

「たまに空を見上げたくなるものだろう?」

「そうかなぁ......」

『そういうもんやろ。遠くを見ると視力が良くなるし、たまには目をしっかり休ませなきゃ近視になっちゃうがな。いかんよ酷使しちゃあ』

 

 これだから最近の若者は、と空中で回転しながら腕を組む自分と瓜二つの幽霊を見上げながら、ラウラ・ボーデヴィッヒはため息をついた。

 

どうしてこうなったのか。

時間はタッグマッチトーナメント初戦まで遡る。

 

 

◇◇◇

 

 

『力が......欲しいか......?』

 

くじで選ばれた相棒はすでに地に沈み、自分が慕う教官の威光を地に落とした足手纏いな男と時代遅れの機体に乗った軟弱者に自分が今まさに倒されようとしている。

 その時、機体から声が聞こえたのだ。

自身と同じ声色で、力が欲しいか、と問いかける声が。

 

『願うか......? 自身の変革を。より強い力を望むか......?』

 

彼女の答えは言うまでもない。

(力が与えられるのならば、なんでもくれてやる。

そもそもがらんどうな自分に力が与えられるのならば、なんだってくれてやるとも!)

 

『ん? 今なんでもって言ったよね?』

 

(ああ言った。勝つためならばなんでもくれてやるとも! 比類なき最強を! 絶対唯一の力を、私にーーーー!)

『オッケー、まかしてん』

 

その瞬間、自らの意識が切り替わる。

 

視点は高く、身体は軽く。

 機体から弾き出されたような感覚に戸惑う中、とりつかれていたはずの敵を謎の電撃で吹き飛ばす自らのISの姿が眼下に見えた。

 

「あああああああああああああっ!」

 

 苦しげな自分の叫びと共に、自らのISが粘質的な音を立てて変形、いや変身する。堅い装甲すらドロドロに融解しそれと同じ黒い泥が身体中を覆い尽くす。

 

(あれは......VTシステム?! まさか完成していたのか、しかし何故私の機体に、そもそもあれは禁止された研究のはずではないか!)

 

彼女には心当たりがあった。

 

最強(ブリュンヒルデ)を再現する。

その目標一点のみを掲げ、あらゆる非人道的な手段に訴えてまで栄光を再現しようとする禁断の研究。被験者を狂人にしてしまうような精神負荷と人道性のなさから凍結されたはずのモノ。

 

そして泥人形から形作られるのは最強。

今なお最高のISと栄光名高い日本製IS『暮桜』と、そのただひとつの武装『雪片』。

 色と操縦者以外は寸分違わぬ、まさしく世界最強がここには立っていた。

 

(違う......私が欲しかったのは。こんなモノでは......)

 

 目の前の光景に思わず自分が望んだことを後悔し崩れ落ちる。

 

(最強を望んだのは私だ。だが、このような形では......自分が求める最強を汚すような真似を......)

 

 だがラウラに出来ることはもうない。精神はもう身体に干渉できず、空中から今から起きるであろう虐殺を眺めることしかできない。

 

(教官......すみません。最後まで私は不出来な訓練生だった......)

「うっわきっも! ちゃうちゃうこんなんじゃないよ!」

「「(......は?)」」

 

素っ頓狂な声が聞こえてきたのはその時だった。

声を発したのは、偽暮桜のパイロット。

 ラウラとそっくりな少女の声。

 

「いかんわいかん。パクリで著作権だとか肖像権だとかに引っかかってしまうて。あと刀一本は使いにくいから戻してや」

 

 操縦手がそう言うなら、とするすると泥は元の装甲の形を取り戻し泥に覆われていたパイロットがあらわになる。

 長い白髪と威圧感を与える赤い瞳。眼帯を取っ払った左目は黄金色に輝いているが、問題はそこではない。いつも仏頂面で神経質、つまらなさそうに何もかもを見下しているような彼女とは大違いに。

 

「いやーすまんねちょいと取り乱してしもてん。なに、勝負事に待ったはナシやと思うねんけどちっと相方と話が噛み合わんくて......」

 

 申し訳なさそうにペコペコと頭を下げて半笑いする人懐っこい笑みを浮かべていたのは、いったいどういうことか。

 

「あの......どちら様ですか?」

「ワタシか? どっからどう見たってラウラ・ボーデヴィッヒやろ、なに聞いとるねん」

「アッハイ」

 

本人だったらそんなこと言わねーよ! と内心突っ込みを入れつつもしっかりと観察は怠らない一夏。 

 機体は元のシュバルツェア・レーゲン、損傷箇所が元通りになっているのを除けばなにも変化はない。

 パイロットは......話し方を除けばあのラウラなのだが、いかんせんあまりにも性格が違いすぎる。

 

「一体全体どう言うことだよ......」

「まーまーそんなことええやろ。ほな再開しようか?」

「再開?」

「決まってるやろ試合やがな! こっちはよーわからんけど絶好調なんや、早速始めていこか」

「お、おう......」

 

肩をぐるぐると回し自分の元気さをアピールするラウラに刀を向けなおす一夏。しかし動揺が抜け切れない中集中力があるはずもなく、流れるようにSEが全回復し動きも段違いなレーゲンに翻弄され一夏達はあえなく敗退した。

 

そこまではいいのだが。

 

「あーしんど。さーてゆっくり休ー......」

「ラウラ? ラウラッ!」

 

 ISを解除したラウラは糸を切られた人形のように力なく地面に倒れた。走り寄った一夏が抱え上げ、何度も意識を取り戻させようと声を上げながら肩を揺する。

 

「えーとこう言うときは心臓マッサージだっけ人工呼吸だっけ?! ああもうどういうことだよ!」

「おおおお落ち着いて一夏とりあえずこういうときは保健室に運ばないと!」

「とりあえず息してないから人工呼吸をえーとまず口に息を」

「むぐっ!? むぐうううう!」

「あいったああああああ何で殴るんだよって元気じゃねえかこの心配させやがって!」

「やかましい!」

「2発も殴った!千冬ねえにも殴られたのは1回までなんだぞコノヤロー!」

「ああもう2人とも落ち着いてーー!」

「一度貴様ら静かにしないか!」

 

 流れについていけない箒が一喝したことで、なんとか場は治まりすごすごとピットに引き返すことにした一同。

 

「すまない、織斑一夏」

「......なんだよ」

「よく考えれば、私は間違っていた」

「お、おう」

 

 何故か達観し空を見上げるラウラを残して、謎の事件は幕引きとなった。

 

はずだったのだが。

 

『ほんまえろうすいませんねぇ。ワタシが混乱させてまったみたいで。

それとラウラ、姉さん悲しいよ。あんな自分を犠牲にして力を求めようとして。力ってのは努力とか友情とかそういうのであがるからまずは友情を磨きなさいな』

「昔のジャンプ漫画かよ......」

「そうなのか......ん?」

 

 ふと声がした方を見上げる先。ちょうど自身の真上には。

 

『やー、さっきぶり』

「「..................は?」」

 

 

 

◇◇◇

 

「しっかし何で俺とラウラだけなんだろうな。シャルにも箒にも見えないって」

「きょうk......千冬先生にも相談したが、休んだ方がいいと言われた。どうにもストレスで二重人格ができたと疑われているらしい」

「外見からすればそうだよなぁ」

『残念無念。ライラちゃんは貴方のすぐそばに......』

「うわっ!? 壁から顔出すなよ幽霊かよ!」

『そうとも言えるし、そうでもないとも言える。

お主はまだまだ心眼が不足していると見える。修行しろ』

「その面倒を臭い言い回しはやめろ、気に触る」

『お前にもいずれわかる時がこよう』

「があああああああ!」

「ラウラ落ち着け、うざいのはよくわかる!」

 

 

 

 

 


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