フォーリナー、異世界へ侵攻す   作:策士なすび

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7:想定外

大陸の南の海岸線付近にある駐屯地にて、王国兵は待機していた。これは、敵勢力が次攻めてくるまでに大した時間は開かないだろうという予測からだ。

 

しかし、幾日と待てど敵は現れない。

幸い兵糧に関しては農村ばかりなので殆ど困る事は無いが、敵が全く現れないという事態が兵士達の不安を募らせていた。

 

その時、指揮官に通信が入る。

 

「南の都上空より球形の巨大飛行物体が出現しました!更にその物体より魔導兵器が発進しています!」

 

「何!?空からだと!?すぐに向かう!到着するまで耐えてくれ!」

 

予想外の通信内容に驚きを隠せなかったが、すぐに切り替える。

 

「はっ!援軍が到着するまで、耐え切って見せます!」

 

通信を終え、すぐさま兵達に集合をかける。

兵士達はすぐさま集合し、列を組み指揮官の言葉に傾聴する。

 

「現在、南の都がおそらく敵勢力の物と思われる未知の飛行物体によって攻撃を受けている!」

 

予想外の発表に驚きの表情を浮かべる者も居るが、ほとんどの兵が何も口に出さず、ただ傾聴している。日々の訓練の賜物だろう。

 

「よってこれより南の都へ引き返し、敵勢力の迎撃を行う!皆出発の準備を始めろ!十分後移動を開始する!解散!」

 

解散の号令と共に兵達が即座に行動を開始する。そして予定より早く移動を始めることが出来た。これは、一重に自分の国、そして故郷を守りたいという兵達の想い故だろう。心なしか行軍の速度も上がっているような気さえする。

 

しかし都市までの距離は長く、時間が経つほどに兵士達の焦りは大きくなる。今現在も自分たちの故郷が攻撃されているのだ。今すぐ走り出したくなるような気持ちの兵士達も居た。

 

南の都が見え始め、兵達はようやく辿り着いた事への安堵を感じ、しかし同時に上空にある巨大な物体に戦慄する。

無理もない。あまりに大きすぎるのだ。南の都には他の都市とは比較にならない程広大な街と大きな役所がある。しかしその面積にして1a以上もの広さを持つ役所ですら、小さく感じてしまうほどに巨大な物体が、空に浮かんでいる。この光景に恐怖を感じない者など、居なかった。

 

しかしその恐怖は、逆に兵士達の闘争心に火を付けていた。その時までは。

 

飛行物体の底が開く。そして中から、巨大な何かとしか形容が出来ないような物体が現れる。それは全体的に黒い色をしており、所々赤い光が走っている。そして何より目を引くのはその大きさ。巨大な飛行物体と同程度の大きさを持っている。いや、長さだけを見るのなら飛行物体以上はありそうだ。

黒い物体の円柱状の下部が縦に四つに割れ始め、中から赤や白に輝く菱形の模様が光る謎の構造物が現れる。上部からは煙が出始め、誰の目にも何かが起ころうとしている事が分かった。

 

「まさか、あれは砲なのか!?」

 

指揮官が驚愕する。あれがもし砲で、発射されたならば、南の都に甚大な被害が出ることは明らかであったからだ。しかし、攻撃を行おうにもあまりに遠い。そして敵の位置が高過ぎる。あの高さでは真下からでも魔法が届かないだろう。自らの無力さに苛立ちを覚えつつも、一先ず大急ぎで都に援軍を送らねばならない。その使命感を頼りに進軍する。

 

しかし、次の瞬間。

 

 

黒い物体の先端から、幾筋もの光が放たれた。

 

眩しすぎるほどの光が辺りを包み、その場の全員の動きが止まる。

 

直後、光の着地点より、轟音と共にとてつもない大きさの火柱が上がる。

 

高さにして数百メートルはあるだろうか。一瞬美しく感じてしまう程の大きさと鮮やかな赤色の火柱に、兵士達は圧倒されていた。そして数秒後、熱波と爆風が襲いかかって来る。あまりの風に皆が目を瞑り、そして目を開いた後、絶望する。

 

街が、瓦礫と化していたのだ。

 

光に直接当たってしまった建物とその周辺は、まるで蒸発したかのように消滅し、巨大なクレーターのみとなっていた。そして光が当たっていない建造物も、あまりの熱波と爆風により殆どが崩れ去っていた。

 

「は...?何なんだよ!どうなってるんだ!」

 

悲痛が、困惑が、驚愕が、混じり合った様な声で誰かが叫ぶ。

 

しかし追い討ちをかけるように、再度飛行物体の砲より煙が出始める。

 

「もう...やめてくれ!」

 

指揮官も、嘆きを叫ぶ事しかできない。

しかしその懇願を踏みにじるが如く、無慈悲にも2発目が放たれる。

 

光が地を貫き、貫かれた場所から巨大な炎が噴き出す。そして街は瓦礫すらも吹き飛び、更地となった。十字型に残ったクレーターだけがそこにあり、かつての賑わっていた街は跡形も残っていなかった。

 

敵勢力の迎撃は完全な失敗に終わった。飛行物体は上空へと消えて行く。

 

膝から崩れ落ち、ただただ呆然とする兵士や、行き場のない怒りを堪えられない兵士、悔しさの余り涙が溢れそうになる兵士もいる。指揮官もただ呆然としている人間の1人だった。そして、

 

「全員、帰投する。」

 

司令官が力なく放ったその言葉は、あまりの静けさ故に全員に行き届いた。

 

一度近くの駐屯地へ移動する。

 

移動を行っただけなのにも関わらず、一昼夜戦った後のような疲労感と脱力感を感じる。しかし、休んでいる暇は殆ど無い。王都に繋がる共鳴石へ手を手に取り、通信を行使する。

 

「こちら作戦司令本部。用件は?」

 

「南の都が敵勢力によって攻撃を受け、消滅した。」

 

「...了解した。そちらの損害は?」

 

「死者は0、火傷などの軽傷者は多数。他に異常はなし。」

 

その後も敵の情報などを報告し、通信を終える。

 

そして大きなため息をついた後、机に膝をつき、額に手を当てる。

そうしていると、王国はこの戦争に勝てるのだろうかという疑念が湧いてしまう。

いや、指揮官も心の奥底では、勝てるはずがないと思っていた。巨大な都市がたった二回の砲撃で更地となる光景を見た者ならば、多少の差はあれど皆思うだろう。

しかしそれを考えた所で状況が変わる訳も無いので、指揮官はそこからずっと、巨大飛行物体の迎撃法を考えていた。

 

 




という訳で7話でした。
マザーシップ出ましたね。
絶望感、出すの難しい。自分の文章力では単調な感じになってしまいます。この小説は、自分の文章力向上の為に書いている部分もあるので、これから上手くなっていければいいなと思っております。どうか温かい目で見守ってやってください。
リクエストなども随時募集しておりますので、何かありましたら感想欄でも良いのでどうぞ。
次回は割と早めに投稿出来そうです。
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