死ぬことを拒み、生を渇望したペルソナ使いが異世界でクローンに憑依した。しかし、魂のみでの旅は記憶を磨耗し、ただ残ったのは生きたいという思いのみ。駄文です。

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自粛中に、友達に勧められたペルソナ5 が想像以上に面白かったので書きました。


クローンがフェイトと出会うまで

私が目を覚ましたのは、何処かの研究施設だった。

周りには、白衣の大人達と自分と同じ顔をした百人ほどのクローンがいる。

 

この研究施設では、『プロジェクトS』という研究が行われているようだ。

『プロジェクトF』という研究をもとに、古代ベルカに居たとされる"鬼王シュテン"という人物のクローンを作り出そうとしている。

 

私たちには、初めから魔法の知識が与えられており、日々戦闘訓練が行われる。

しかし、非殺傷設定などは無く、バリアを抜けた魔法攻撃の当たりどころが悪く死ぬなんてことはよくある。

私たちは、後に始まる本格的な『プロジェクトS』の試験石であり、多くのデータを取るための存在で、簡単に代えがきくためだそうだ。

 

朝と夜の二回、食事を与えられるものの、いつ死ぬか分からない恐怖に食事が喉に通らず餓死する子も何人か見てきたし、自らの手で終わりを迎えた子も少なくはあるがいた。

 

私は、クローンの中でも一番最後に生まれた個体であり、戦闘訓練では何度も死にかけた。

その度に、個体番号001と呼ばれるクローンが私を助けてくれた。

 

個体番号001は、この研究の最初の個体であり、今では唯一のシングルナンバーだ。

ニ年以上はこの実験を受けており、戦闘訓練では私のようなトリプルナンバーの未熟な子たちを補助してくれる。

彼女が居なければ、もっと多くのクローンが日々死んでいただろう。

 

彼女は多くのクローンに慕われていた。

戦闘訓練以外でも、恐怖で眠る事が出来ない子を励ましたり、悩みを聞いてあげたりしている。

彼女は口癖のように私たちへ言う、「いつか、私たちも救われる。だから、幸せな明日を共に迎えましょう」と。

 

毎日が崖の上ような生活、一歩でも踏み外せば死が待つ。

こんな地獄のような環境だが私は死のうと思ったことは無い。

だって、いつかは、私たちも救われる日が来るんだ、と信じているから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★★★★★★★★★★★★★★★★★★

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

終わりの日は唐突だった。

 

私が生まれてから半年が経ち、その日もまた戦闘訓練が行われていた。

私を最後に新たなクローンは造られておらず、クローンの数は20にも満たない数となっていた。

 

いつかは救われると思っていた気持ちも徐々に薄れ、クローン達の間で言葉を交わすこともなくなった。

 

あと少しで訓練が終わる、と考えていると普段は開かない扉が開かれた。

 

そこには、白衣の大人と眼帯をした全身傷だらけの男が立っていた。

 

何事か、とクローン達が動きを止める。

 

すると、眼帯をした男は腰にある銃を手に取り近くにいたクローンの額を撃ち抜いた。

 

「ここにいるので全員か?」

 

「ああ、この時間は戦闘訓練を課している。この場以外にクローンはいない。管理局にこの研究施設がバレたんだ、実験の証拠を残すわけにはいかないからな全員殺処分だ」

 

突然なことに、二人の会話は頭に入ってこなかった。

それよりも、撃たれたクローンの子の身体から出る大量の血を見て嫌でも死んだという事実を理解させられる。

 

そんな中、一番の年長である個体番号001が声を発する。

 

「約束は!…約束したはずだ、後、半年…半年で、私たちを研究から解放し、普通の暮らしを約束したはず。それなのに何故!?」

 

「約束?そのようなもの、守る訳が無いだろう馬鹿馬鹿しい。お前らの存在自体が私の罪そのものだ。そんな物を、表に出すわけが無いだろう。元々、管理局にバレずともお前たちの殺処分は決まっていた。後は任せたぞ」

 

「了解だ」

 

個体番号001の声も虚しく、眼帯をした男は次々とクローン達を殺していく。

 

あまりに長過ぎた地獄の日々は、心を磨耗し、私と001以外の子は既に感情などなく、抵抗することなく死んでいく。

 

死を恐れた私は、残り少ない魔力で飛行魔法を使い逃げようとするが、逃げ場などなく眼帯の男の魔法により拘束された。

 

 

ここで終わるのか…

 

 

そう思ったとき、目の前に人影が覆いかぶさった。

 

その人影は、個体番号001だった。

001の身体からは血が出ている。

私を庇って、撃たれたのだ。

 

「どうして…どうして…私なんかを、かばったの!?」

 

「どうして、か…。それはね、貴方が、貴方だけが汚れてないからかな?」

 

その後も、告白は続いた。

 

自分が私が思っているほど優しい人物ではないこと、既に何人かのクローンを殺してしまっていること。

 

「殺し合いの日々に希望を見出せず、生きることに絶望し、死を望んだ。そんなふうにみんなが思っていた時、貴方は生まれた。貴方は特別だった。普通は、数日も経てばこの環境に耐えられず目は死んでいき、死を望むようになる。なのに、貴方の目には光が溢れてて、どんな時も生にしがみついていた。次第に、そんな貴方に私は惹かれて、生き残りたいと、再び思い始めた」

 

体温が無くなっていくのが、分かる。

 

「ありがとう…貴方のおかげで…私は感情を…取り戻せた」

 

「やだよ…死なないで、私を一人にしないで」

 

「一人…じゃ…ないよ…私は…ずっと…貴方の…そば…いる」

 

言葉が途切れ途切れになり、既に目からは光が失われている。

 

「本当に…綺麗な手」

 

その言葉を最後に、彼女は死んだ。

 

「一人にしないでも何も、お前もここで死ぬんだ。すぐに、あの世で合わせてやる、よ!」

 

眼帯の男は近づいて、001の体諸共私を蹴っ飛ばした。

 

その一撃で、壁にぶつかり、体の内部が傷ついたのか口から血を吐く。

 

絶望的な状況だ。

 

既に体はボロボロで、戦闘訓練をしていたために残り少なかった魔力も先程の魔力行使でほぼ無い。

 

だが、私は死ねない、死にたくない。

001…いや、姉に命を救われ、生きて、と願われたのだ。

こんな場所で、姉を殺したあの男に殺されるわけにはいかない。

 

 

《これは極めて理不尽な運命…生存はほぼ不可能に等しい。しかし、この声が届いていると言う事はまだ可能性は残っているはず…どうか、思い出して。貴方を、貴方自身に眠るもう一人の自分を》

 

 

声が聞こえる。少女の、聞いたことのある声が…。

 

《何もしないのか?このままでは、待つのは死のみだ》

 

今度は違う声だ。しかし、この声も聞いたことがある。

 

《それとも、お前の姉の行動は無駄なものだったのか?》

 

聞こえてくる声に私は、否、と唱える。

 

無駄じゃない。姉の行動は、決して、無駄などではない!私は、生き残る!こんな場所で、死んでやるものか!

 

心の中で、私は思いの丈を叫ぶ。

 

《フフフ…フハハハハハハ!!そうだ、それでこそ我が契約者だ!お前の覚悟聞き届けたり!さあ、再び契約を交わそう》

 

徐々に、身体から力が湧いてくる。そして、顔全体を覆う、黒の十字架が目立つ白い仮面が現れた。

 

「なんだ、その仮面は!それに、枯渇していたはずの魔力が再び溢れてきている…厄介になる前に、殺してやる」

 

眼帯の男は、先程まであった余裕が無くなり、焦ったように銃を放つ。

 

《我は汝、汝は我…肉体が死せようと 魂のみで次元を渡り 抜け殻へと憑依した 生を渇望せし者よ!たとえ困難があろうともそれを打破する、強き意志の力を!》

 

「うっ、あああ…!!」

 

頭に激痛が走り、思わず頭を抑えて唸る。

 

そして、立ち上がり、仮面に手を掛けて、引き剥がし、叫ぶ

 

「私の、ペルソナ…来て、カグツチ!」

 

私から吹き荒れる紅き炎が弾丸を弾き飛ばし、背後に紅き龍が現れる。

 

「なんなんだよ…それは!?」

 

眼帯の男が、腰が引けたように低姿勢となる。

 

「はぁはぁ…なに、これ?」

 

《これ扱いとは、ひどい契約者よ。まぁ、残された時間も少ない、一撃で片付けるぞ》

 

一撃で片付けるなんて無理だ、そう反論しようとする前に力の使い方が頭に流れ込んでくる。

流れ込んでくる知識の量に、再び頭を抑えるが、身体は覚えてるかのように勝手に魔力を収束させる。

 

「こんなクローンがいるなんて聞いてねぇ!やってられるか!」

 

眼帯の男は、持っていた銃型のデバイスも手放して逃げ出した。

 

しかし、時すでに遅し。

 

収束された魔力は炎へと変換され、解き放たれる。

 

「インフェルノ…!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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『膨大な魔力反応を確認、推定Sランク相当。現場にいる魔道士は、警戒をし、直ちに突入せよ』

 

「了解!」

 

バルディッシュから通信で来た内容に応答し、違法な研究所があると報告された星に突入する。

 

私、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンは『プロジェクトF』という研究から生まれた存在だ。親友である高町なのはや色々な人の助けもあり、今は幸せな日々を過ごしている。

 

この研究所では、その『プロジェクトF』の研究を利用したクローン研究が行われているという報告から、他人事とは思えずこの調査に志願した。

 

もしクローンの子がいて、私の幼少期のように辛い日々を過ごしているのなら、世界は辛いだけではないのだと、楽しいこともあるのだと、そして幸せになることだってできるのだと教えてあげたい。

そんな思いを胸に秘めて、誰よりも速く魔力反応のあった地点の中心へと向かう。

 

建物は融解し、研究所と呼ばれるものは跡形も無くなっていた。

 

地面へと降りて、警戒を怠らず中心地へ向かう。

 

「泣き声…?」

 

フェイトは目的地に近づくにつれて聞こえる泣き声を不審に思い、急いで向かう。

 

目的地辿り着き、そこに二人の人影があった。

 

一人は、高校生ほどの背で、身体からは血が溢れるように出ており、もう一人の小さい少女に覆い被さるような形になっていた。

 

もう一人は、覆い被さる少女を抱くように抱えて泣いていた。着ている衣服には、血が付着しており、此処で何があったのかを、どのような悲劇があったのかを痛感させられる。

 

フェイトの存在に気づいた少女は泣くのをやめて、敵意を向ける。

 

フェイトは、その悲惨すぎる光景に涙腺が緩むが、歯を食い縛り涙を堪える。そして、二人の少女を発見したと報告し、二人へ歩み寄る。

 

「私の名前は、フェイト・T・ハラオウン。貴方たちの敵ではありません」

 

デバイスを地面に置き、無手の状態で少女たちの前で膝をつき告げる。

 

それに安心したのか、オーラから敵ではないと判断したのか少女は警戒を緩め自己紹介する。

 

「私、は、個体番号250。『プロジェクトS』実験のために造られたクローン。こっちは、個体番号001。私の、唯一の、姉」

 

あまりな挨拶に、我慢していた涙が思わず溢れてしまう。

 

しかし、それを意に返さず少女は続ける。

 

「私は、願われた。姉に、生きて、と。だから、死ぬわけにはいかない。どうか、私を殺さないで」

 

これが、フェイトと後にニコ・ファーストと呼ばれる少女の出会いだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一応補足
・姉以外のクローンの遺体ごと焼き払ってしまったことをひどく後悔する
・白衣の大人は生き残っている
・ヒノカグツチとは一応別物です
・主人公の見た目は、fgoの酒呑童子の髪色が赤髪版
・主人公以外のクローンの寿命は3年に設定されて造られていた

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