カブトのストーリにエグゼロスの設定を混ぜ込んだものです。

キャラクターのクロスではないのであしからず。

R-15とアンチ・ヘイトは念のためつけているだけなので過激な要素はありません。

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ワームとキセイ蟲って設定がなんとなく似てる、似てない?
という一点だけで書いてみました。


超速のH×ERO

 地球に向けて、宇宙はちっぽけな落とし物をした。

 それから五年──地球から少しずつ、しかし確実に──『愛』という感情が、失われつつあった。

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

「加賀美はまだか?」

 

 田所 修一は、隣で車載モニターをチェックしていた岬 祐月に尋ねた。

 

 五年前、日本のサイタマに隕石が落下した。サイタマは壊滅し、隕石からはキセイ蟲と呼ばれる未知の異星生命体が出現。

 キセイ蟲は、人間がエロスを感じた時に発する『H()ネルギー』と呼ばれるものを吸収し、性的感情を無くさせることでその繁殖行為を阻み、緩やかに人類を絶滅させ地球の支配権を乗っ取ろうと画策している。

 このことに気付いた日本政府は対キセイ蟲対策機関『ZECT(ゼクト)』を設立し、これの対策に当たっていた。

 

 田所と岬はそのZECTの職員であり、今この時もキセイ蟲出現の知らせを受け、都内某所にあるアダルトショップへと駆けつけていたのだ。

 岬が田所の問いに応えようとした時、彼らが乗っていたZECT専用車両の扉が勢いよく開かれた。

 

「すいません! 遅れました!」

 

 言いながら頭を下げて姿を現したのは、田所と岬の部下である青年──加賀美 新である。

 

「遅いわよ、加賀美くん。ゼクトルーパーはもう出動してるわよ」

「すみません! すぐ準備します!」

 

 言葉にわずかな怒りを乗せて言う岬に、加賀美はペコペコ頭を下げながら機材を手に取ろうとする。

 しかし広いとは言えない車内に大人が三人も詰め込まれては思うように身動きが取れなくなるのも必然で、加賀美は床のでっぱりに足を引っかけ転倒してしまう。

 

「うわぁッ!?」

「ぇ……きゃぁ!?」

 

 転んだのは加賀美だけにあらず。

 前のめりになった加賀美は目の前にいた岬に衝突、彼女の上に覆いかぶさる形となってしまった。

 

「いてて……ごめんなさい、岬さん」

「……謝るのはいいから、早くどいてくれる……」

「ぇ」

 

 加賀美の目の前には岬の顔ではなく、なにか黒いレース模様の布が映っていた。そして岬の声は加賀美の足元から聞こえてくる。

 

「……! こ、これってパ……」

 

 どのような物理法則が働いたのか、転んだ際に加賀美と岬はもつれ合い、互いに逆立ちの様な位置へと移り変わっていた。

 そして加賀美の顔は岬の両足の間へと滑り込み、今彼の眼前には岬の下着が大写しとなっているのだ。

 

「ごごご、ごめんなさぁーい!!」

 

 加賀美は慌てて岬から離れると、叫び声を残して車から出て行った。

 岬も下着を見られた恥ずかしさから顔を赤くし、それでも平静を装ってスカートを直し椅子に座りなおす。

 そんなやり取りを黙って見ていた田所が、ようやく口を開いた。

 

「流石だな、加賀美。それでこそ『ライダーシステム』の装着者に相応しい」

「どこが相応しいんですか、どこが」

 

 田所の発言に呆れたように返す岬。

 

「エロスを規制しようとするキセイ蟲を倒すには、Hネルギーを攻撃に転用できるライダーシステムしかない。そしてライダーシステムを使用できるほどの高いHネルギーは、加賀美のようなヤリたい盛りの童貞青年しかいないんだ」

 

 Hネルギーは性的興奮に伴って発生するが、並の男であればすぐに彼女等に対して発散しようとするだろう。

 しかし生まれてから二十一年間童貞であり続けた加賀美はそれをぶちまける相手がいない。

 その悶々とした欲求がさらなるHネルギーの高まりを生み、ついには対キセイ蟲の必殺兵器を使用できるまでに昇華されたのだ。

 加賀美 新こそが、人類の希望ともいえる存在なのである。

 

 そのはず、だった……

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 勇んで出動したにもかかわらず、結局ZECTはキセイ蟲を取り逃がしてしまった。

 その場で解散を命じられた加賀美は一人帰路についている。

 家へと変える道すがら、行きつけのレンタルDVDの店に立ち寄る加賀美。この店はアダルト系しか置いていない、お気に入りの場所なのだ。

 

「はぁ~。結局キセイ蟲は逃がしちまうし、散々だったな」

 

 加賀美は今日の失敗に対して溜息を吐く。

 

「……でも、岬さんのパンツが見れたのは役得だったな」

 

 ムフッ、と笑みがこぼれる。

 岬の二十三という年齢の若さに見合わない、アダルティーな黒い下着はいまだ加賀美の網膜に焼き付いていた。

 その影響もあり、今日の加賀美は岬を夜の──妄想の──相手とした。

 そのためにも、彼女に似た女優が出ているAVを棚からセレクトしていく。

 幸い明日は休みだ、今夜はじっくり楽しむぞ。

 帰宅してからの行為(・・)に胸を躍らせながらレジへと向かう。と、直前でその足が止まった。

 

 今レジで店番をしているのは、加賀美の知り合いでもある女性──日下部 ひよりだ。

 女性の、それも知り合いの前でアダルトDVDを借りる行為は、さすがの加賀美でも恥ずかしさがある。

 だがまあ、その羞恥心を興奮材料にするのもまた一興か。

 

「……そういえば、ひよりを思い出すから妹もののAVって借りたことが無かったな」

 

 普段妹分として接しているひよりのことは、加賀美の中でも性的対象には選ばれなかった。実の妹には萌えない兄貴のようなものだ。

 

「ふん、甘いな」

 

 加賀美の独り言に対して、ふいに言葉を返す者がいた。

 後ろを振り返ると、そこに居たのは作務衣と下駄というラフすぎる服装の、二十歳くらいの線の細い青年。

 

「なにぃ? 甘いってどういう意味だ!?」

 

 あふれる性欲の高さを評価され人類の希望とまで評されている加賀美にとって、自分のエロに対する熱意は誇りでもあるため、青年の言葉に苛立ちを覚え突っかかってしまう。

 そんな怒り心頭の加賀美に対し、青年は涼しい顔をしたままこう返した。

 

「言葉通りだ。実の妹ですらない少女に対して忌避感を覚えるなど、飛んだお笑い草だ」

「じ、じゃあお前はどうなんだ!」

「愚問だな。俺にも義理の妹がいるが、兄妹もののAVをよく見るぞ。なぜなら俺は、兄として妹を愛しているからだ」

「な、なんだと……!?」

「妹だけじゃない。俺はおばあちゃんを尊敬している。だから老女もののAVも見る。熟女だろうがレズだろうが、巨乳だろうが貧乳だろうが、デブもガリもホモビもショタもなんでもござれだ」

 

 男の言葉は加賀美にとって衝撃だった。

 エロスに関しては自信のあった加賀美のそれを、男ははるかに凌駕する性癖の広さを持っている。

 

「そ、それはただの節操無しなだけだろ!」

「違うな。俺はただ、この世に存在するあらゆるエロを制覇しているだけだ」

 

 加賀美は言い返す言葉が無く、クッ……と言葉に詰まる。

 口論は終わったと、男は加賀美を押しのけレジへと向かう。その背に、加賀美は問うように叫んだ。

 

「お前は……お前はいったい何者だ!?」

 

 男は天に向けて右手の人差し指を向け、こう名乗った。

 

「俺は、天の道を行き総ての愛を司る男……天道 総司」

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇ ◆

 

 

 

 

 

 謎の男、天道との出会いから数日。休みが明けた加賀美はZECT本部へ出社していた。

 

 結局、天道と別れて家に帰っても、借りたAVを見ることはなかった。

 それほど天道との出会いは衝撃だったのだ。

 Hネルギーの高さを認められライダー装着者に選ばれたが、天道という男の性癖の広さに比べれば自分はまだまだなんじゃないか、と加賀美は悩みの中にあった。

 夜も眠れず悩み続け、ボーッとした頭を覚まそうとシャワールームを訪れる加賀美。

 モタモタと脱いだ背広をかごに入れ、全裸のままシャワールームに入る。

 

「……え……?」

「……ん……?」

 

 誰もいないと思っていた室内には先客がいた。

 あろうことかそれは、先日下着を見るという気まずい行為をしてしまった相手──岬 祐月だった。

 予想しなかった事態に二人は硬直し、茫然と互いを見つめている。

 シャワーを浴びていたため当然岬も、服はおろか下着一枚すらも身に着けていない。

 加賀美の目には一糸まとわぬ岬の裸体が写されている。

 普段のお堅いスーツ姿からは想像もできない柔らかな胸から、二十代の女性特有のムッチリした太もも、そして柔らかに濡れた陰毛まで、彼女の持つすべてが加賀美の前に晒されていた。

 

「す、すいま……」

 

 謝罪の言葉を言い終わる前に、岬の放った渾身の右ストレートが頬に叩き込まれ、加賀美はシャワールームを文字通り叩き出されたのだった。

 

「すいましぇん……」

 

 改めて、シャワールームから出て着替え終わった岬に対して、加賀美は土下座しながら誠心誠意の謝罪を見せた。

 岬はそんな加賀美を見て、大きくため息を吐きながら彼を許すことにした。

 

「まあ、わざとやった訳じゃないのは分かってるから」

 

 それで、と岬は言葉を続ける。

 

「一体どうしたの? ボケっとしてあんなことするなんて、ちょっと加賀美くんらしくないんじゃない?」

 

 先輩らしく後輩の加賀美を気遣う岬。

 加賀美は、素直に天道との経緯を話して聞かせる。

 

「……なるほど。まさか、そんな人がいたとはね。それで自信喪失してしまった、という訳ね」

 

 岬の言葉に加賀美は黙って頷いた。

 ハァ……、と岬は小さくため息を吐く。

 正直なところ、あ ほ く さ 、というのが彼女の感想だった。

 なにをネタにオナニーしようが、そんなもので優劣を感じるなど岬からしてみれば本当にしょうもないことだ。

 しかも、そのあほくさいことが人類の存亡に関わっているのだから目も当てられない。

 

 うーん、と内心どうフォローするか悩む岬。

 このまま加賀美が萎えてしまってHネルギーを感じなくなってしまうのは、彼女としても避けたいところだ。

 と、そこでZECT本部内に緊急を伝える警報が鳴り響いた。

 

「! 岬さん、これって」

「ええ、キセイ蟲が出たようね。行くわよ、加賀美くん」

 

 しかし加賀美はうつむいたまま動こうとしない。

 

「岬さん……本当に俺なんかがライダーになってもいいんでしょうか。世の中には、俺よりもっとエロい奴が……」

「いるかもしれない。でも、今選ばれたのは君なのよ」

「…………」

 

 加賀美は自分に対して疑心暗鬼となっている。

 仕方ない、と覚悟を決めた岬は、童貞ならいちころの殺し文句を放った。

 

「加賀美くん、ライダーになってキセイ蟲を倒せたなら……私が君の言うことをなんでも一つ叶えてあげるわ」

「……ん? 今なんでもするっていいましたよね?」

 

 ガバッと顔を上げ、真剣なまなざしで岬の提案に食いつく加賀美。

 ライダーの装着者であるためには、悶々と性欲をたかぶらせ続ける童貞でいなければならない。

 本番こそ望めないが、それ以外の行為であれば……。

 加賀美の中に、俄然強い熱意と性欲が沸き上がった。

 

「岬さん、俺やります! 絶対にキセイ蟲を倒してみせます! そして岬さんともヤリます!」

 

 燃えるようなエロスを漲らせ、加賀美 新はライダーベルトを手にキセイ蟲の出現場所へと向かった。

 

「キショショショショッ! たった一人のメスにこんなに大勢のオスが群がるなんて、なんて非合理なのかしら」

 

 とある公園で行われていたアイドルのライブ。

 その会場でたった一体のキセイ蟲が猛威を振るっていた。

 キセイ蟲は会場に集まったファンの男たちから、アイドルへ向けられるHネルギーを根こそぎ奪い、彼らの活力をゼロへと帰した。

 ファンは一人も残すことなくアイドルへの興味を失い、会場を後にする。

 

「キショショ。しょせん人間なんて、Hネルギーが無ければこんなものよね~」

 

 次の獲物を求めて移動しようとするキセイ蟲。その前に加賀美が立ちはだかった。

 

「キセイ蟲! これ以上お前たちの好きにはさせない!」

 

 加賀美は空に向けて手をかざし、ライダーシステムの起動アイテムであるゼクターを呼び寄せる。

 次元を超えて現れたゼクターはしかし、加賀美の存在を無視してあらぬ方向へと飛んでいった。

 

「なにッ!?」

 

 ゼクターの向かう先には、太陽を背にして佇む一人の男のシルエットが。

 その線の細い男は、ゼクターを手にするとこう言った。

 

「選ばれし者は……俺だ!」

「お、お前は!?」

 

 加賀美の前に現れたのは因縁の人物、天道 総司である。

 

「……変身……!」

「やめろーッ!!」

 

 加賀美の制止の声を無視して、天道は自身の腰に巻いたライダーベルトにゼクターを装填した。

 ライダーアーマーが展開し、天道の姿を超速のヒーローへと変身させる。

 

「あ、あ……あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙!!!!」

 

 自分がなるはずだったライダーの資格者の座を、岬とのムフフな時を、ゼクターをNTLことで目の前でかっさらっていった天道。

 ライダーと化した天道とキセイ蟲が戦う横で、その事実に脳が破壊された加賀美の絶叫が、空しく木霊した。

 

 頑張れ加賀美、負けるな加賀美。まだライダー資格者の席は残っている。

 いつの日か、加賀美のエロさが世界を救う日を信じて、今は筆を置こう。




いいオチが思いつかずぶつ切りエンドとなってしまい反省。

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