※αドライバーの名前は私の名前で統一します。
※私の名前ということでお話の都合で一般人アルドラじゃない事もあります。てか大抵一般人アルドラじゃないと思います。
※以後注意事項は周りの意見を聞いて増やしていきます
うだるような暑さがまだ続く9月のとある木曜日のこと、1人のαドライバーが青蘭学園の1室に向かっていた。
「ふんふふ~ん」
鼻歌交じりに上機嫌で向かう男は目的の教室の前にたどり着くと、その教室のドアを勢いよく開ける。
「すまん、遅れて!今どこまで決まった?」
「遅いさね、もう大体のことは決まって後は準備だけだよ」
「悪いってイーディン。夏休みの宿題がまさかあんなに再提出くらうなんて思いもしなかったんだよ」
「どうせ夏休みの終盤にまとめてやったツケが回ってきただけ、自業自得ロボ」
「イーッだ、うるさいよーだ」
「あの、エウちゃんの言うことも一理ありますし、そう邪険しなくても」
「お、おう、そうだなすがさ。少しは反省するわ」
「・・・どうして私とすがさで扱いが違う」
「すがさは優しい、お前生意気。ドューユーアンダースタン?」
「いっぺん死んでみるロボか?」
「遠慮しとくっす」
エウレカの静かながらもすごみのある気迫に押され、男は生命の危機を感じ引き下がることにしたのだった。
「ハァ、まぁ馬鹿話もこれぐらいにして次のお宝の情報を共有しとこうか」
「よっ!イーディン待ってました!」
「・・・どうして・・・」
「エウちゃん?何か言った?」
「何も言ってないロボよ?」
「うん?」
「今回、私らトレジャーハンター部の目的は白の世界S=W=Eの辺境にあるお宝『トーラスター』」
「白の世界か、てことはある程度の案内はエウレカに任せる感じか。よろしくなエウレカ」
「数十秒前の自分の態度を思い出してから言って欲しいロボ」
「あはは、エウちゃんとルペコックさん大丈夫かなぁ?」
・・・・・
そして2日後、準備を終えた4人は青の世界から黄色の光に包まれた
「着いたどー!」
「うるさい」
「うるさいロボ」
「えっと、ごめんなさいうるさいです」
「ハハッ、辛辣ワロタ」
「だいたい何回も来てるだろうにそんな叫ぶことかい?」
「まぁ、なんとなくってやつだよ。山の頂上で『ヤッホー』って言ったり花火見たら『たーまや-』って言いたくなるのと同じだ」
「ちょっと何言ってるか分からないロボ。すがさもきっと、」
エウレカがすがさの方を見ると、恥ずかしながらもあからさまに視線をそらすすがさの姿がそこにあった。
「・・・っと思っていたけど今理解したロボ」
「なぁエウレカって本当にすがさのこと好きだよなぁ」
「好きというよりすがさは私のマスター。マスターのことを好意的に思うことは当たり前」
「・・・なぁ一応聞くけどお前のマスターってもう1人いたよな?」
「?」
「いやーキョトンとした顔で首傾げる動作可愛いな、じゃなくて、お!れ!も!エウレカのマスターだったはずだよな!」
「そういえばそうロボね」
「なんで俺とすがさで態度まるっと違うの!?」
「・・・すがさは優しい、ルペコックは生意気」
「差別だ!とばっちりだ!」
((部室でのあれ、まだ根に持ってたんだエウレカ(エウちゃん)))
「まぁまぁルペコックもエウレカも落ち着いて。こんな港で言い争っていてもキリがないしそろそろ移動するよ」
「へいへい」
「分かったロボ」
そうしてトレハン部の4人は、目的地に向けて移動を始めた。その移動中、エウレカはずっと考えていた『どうして私はこの男をマスターと認めたのだろう。そしてどうして私は・・・』と。
「・・・」
「エ・・ちゃん?」
「・・・」
「エウちゃん!」
「! すがさどうしたロボ?」
「もう着いたよ?ボーッとしてたけど大丈夫?」
「大丈夫ロボ。そもそも私はボーッとなんてしていないロボ」
しかしその答えを思い出すことはなく、エウレカ達トレハン部一行は目的のお宝がある、S=W=Eの辺境の地の建物へとたどり着いてしまうのだった。
「さて事前の情報によると宝があるのは地下1階。その最奥に目的の宝『トーラスター』があるはずだ」
「・・・?てことはこの建物は1階と地下1階だけってこと?」
「ルペコック、木曜に部室で・・そういや遅刻してきたんだったね」
「嫌なこと思い出させるなよ!それで?だったら後は宝を奪いに来た侵入者向けのトラップぐらいじゃないか気にするのは」
「それがそうはいかないんです。どうやら地下1階に行くことが出来るのは白の世界の者だけらしいんです」
「すがさの言うとおり、他の世界の者は通ることが出来ない障壁が階段前に貼られてるって情報だ」
「あくまで前情報だろ?今変わってる可能性もあるし」
「はぁ、フラグを立てるんじゃないよ」
「・・・イーディンの口からフラグって言葉出るのなにげにびっくりするよな」
「はいはい、喧嘩の売り買いなら青蘭島戻ってから受けてやるから今は目の前のお宝に集中するよ」
「べ、別にそんなんじゃあねぇしぃ」
「ルペコックさん?イーちゃんもエウちゃんももう行きましたよ?」
「アッハイ」
・・・・・
そうして建物の中を進んでいき、トレハン部の4人は地下へ続く階段前までたどり着いた。
ルペコックが階段に向かって、腕を前に出した状態で進んでいくが、
「障壁、未だに残ってる」
何もない空間から手のひらが壁のような物を触る感覚を覚える。
「と言うことはここから先はエウちゃん1人での仕事だね」
「任せて、すがさとイーディンのために必ずお宝は取ってきてみせる」
「・・・」
「・・・」
「・・・まぁ頑張れよ」
「ルペコックに言われなくても」
「さてと、じゃあすがさとイ-ディン。他に地下に下る道がないか探してきてくれない?」
「それは私1人じゃあ不安と言うことロボか?」
「そんなんじゃあねえけど1人じゃあ咄嗟の罠に反応できないだろ?」
「・・分かった。それじゃあ、すがさ行くさね」
「え、うん。でもルペコックさん1人で大丈夫ですか?」
「そうロボ、αドライバーが1人でいる方が危険な」
「その点は大丈夫だよ」
「イーちゃん?」
「・・・分かったそれじゃあ行ってくる」
その言葉を皮切りに4人は3つのグループに分かれ、それぞれの仕事を果たしに行くのだった。
・・・・・
階段を下りきると、そこに見えてきたのは柱が等間隔で並び、台座の上にポツンと置いてある1つの宝石、その他には何もない大広間だった。
「なんかこうしていると宝石を盗りに来た怪盗の気分ロボね」
くだらない独り言を喋りながらもエウレカは宝石に近づいていく。そして後一歩で『トーラスター』に届く、その瞬間だった。
「ぐっ!?」
突如として現れた敵意に後ろへ下がる。しかし反応が遅れ視界が真横に揺れる。
「くっ、一体何っ!」
「汝、我が至宝を何故に欲するか?」
「至宝?『トーラスター』のこと?」
「無論。この純白と紺碧より生まれいでしタイプDU-45ユノが守りたる『トーラスター』を求めんとするならば、容赦はいるまいな!」
エウレカは
「くっ!どこにいる!」
「ふふふ、貴様程度の存在が神である私を捉えられるわけがなかろう」
「神!?」
「汝と我では在りし次元が違う、高次元の者に低次元の者は触ることも捉えることすら不可能なのだ!」
部屋に鳴り響くはユノの声とユノが放つ銃から放たれる銃声のみ。時折
(くっ、どこにいる。何故見つからない)
「どうやら物思いに耽る余裕があるようだな?」
「うぐっ!」
被弾は増えていき、エウレカの動きはどんどん鈍くなっていく。それが被弾を増やしていき、悪循環から抜け出せなくなっていた。
(せめてリンクが出来れば)
エウレカのエクシード《
現在エウレカの能力は傷は癒やすがそのスピードが敵の攻撃の速度に追いついていないのである。
「ふむ、存外耐えるようだな。何かしら耐える仕掛けがあるとみた」
(これは非常にまずいロボ)
そしてエウレカの汎用エクシードの現在手にしているもので、攻撃系のエクシードは全て《助勢》と言うものに分類されるエクシードしかない。この助勢エクシードは自分に傷が全くない状態でしか発揮されない。
(これはここで・・)
意識を失いかけたその時、ふと昔言われたとある言葉を思い出した。
(「・・お前も・・」)
「!」
「これで終いだ!」
「っ!」
「チッ、仕留め損ねたか」
ユノが絶対有利、この状況を見るものは恐らく皆、口をそろえてそう言うだろう、そう言うだろう。しかしユノはこの戦闘で初めて焦りを覚えていた。
「何故だ」
「どうしたロボか。ずいぶんと声がうわずっているロボね」
「汝はこちらに触れるどころか見ることすら敵わぬ状況で・・・何故笑っていられるのだ!」
「約束がある。もう離れたりしないと、彼の光を二度と曇らせるようなことはしないと」
「!? しかし汝の攻撃が届くことは無い!」
「頭がクリーンになってようやく分かったロボ。ユーノー、月に関係する女神で青の世界でのとある場所ではユノと表記もする。恐らく、名前から考えるにそのエクシードは一定ルクス以下の場所限定で自分と自らの所持物を異次元に隠す。月が太陽の光を受けないと姿を現さないように、自らを隠す能力」
「!? だからどうした!結局こちらに触れられないのは!」
「・・残念ながら私個人のアンドロイドの機能として異次元に関する力が備わっている、そしてマスターとの絆があれば!」
瞬間エウレカが光に包まれる。すると、エウレカが受けていた傷がみるみる内に癒えていく。
「な、何故傷が!?」
「これが私の持つ
エウレカが機能を展開させ、そして一瞬の後、
「見つけた!」
「くっ!」
ユノは闇雲に銃を乱発するも、既に位置が割れている場所からの狙撃、エウレカの汎用エクシード《体系/極限演算》が当たることを許さない。避けていき、やがてエウレカとユノの距離が0となり、
「これで終わり!《光粒子の助勢》!」
エウレカの攻撃がユノへ直撃、これで全てが決着するのだった。
・・・・・
その後見事トーラスターを手に入れ、トレハン部は日曜日に青蘭島に戻った。エウレカは嫌がったが、ルペコックが煩くエウレカの検査を押したため翌日エウレカは1日精密検査にかかることになった。
そして火曜日、
「エウちゃん検査お疲れ様」
「本当にお疲れ様さね。まぁ1番の功労者への休暇だ。ゆっくり休むことはできたかね?」
「・・・
その場にいるのは、検査を終えたエウレカとその迎えに来たイーディン、すがさの3人のみだった。
「何というか・・あいつは自由人だからねぇ」
「そうだね、まぁ案外検査のこと忘れて部室にいたりして。エウちゃん早速行ってみる?」
「・・・行くロボ」
だがルペコックは部室にはおらず、放課後の間トレハン部の3人はルペコックを見つけられなかった。
やがて夜になりエウレカはトレハン部の部室でボーッとしていた。すがさとルペコックのサポートアンドロイドであるエウレカに寮の部屋は無い。なのでエウレカの寝床はトレハン部の部室となる。そんなエウレカは何気なく、トレハン部の部室から窓の外を眺めていた。
「・・・」
そうしてエウレカは、トレハン部の部室を出て迷いのない足取り屋上へと向かう。
エウレカは屋上の扉の前までたどり着くと呼吸を整え、扉を開ける。しかしエウレカの視界に映るのは人一人いない屋上の広場だった。
「はぁ、そこにいるのは分かってるロボ。早く降りてくるロボ」
「あちゃーバレてましたか」
そんな声が聞こえ屋根から飛び降りてルペコックが屋上の広場に姿を表す。
「ところでなんでバレたん?」
「・・長年の勘ロボ」
「・・・そうか」
「今日はやけに静かロボ」
「夜だからな。今の俺は月を眺めに来たただの風情人だよ」
「そうかロボ」
「・・・でなんか用か」
「そ、そうロボね。土曜のあの時は助かったロボ」
「何かお礼を言われるようなことしたっけか?」
「誤魔化さなくてもいいロボ。あのタイミングでリンクが来るなんて、それこそ最初から私とリンクしようとでもしてない限りできなかったはずロボ。私のことを心配してくれてありがとうロボ」
「ま、まぁ最初から最後までリンク続けてたわけじゃねえけどな」
「そう?」
「あぁ、あくまであの障壁を通れないのは他世界の者のみだ。なら使い魔は通れるんじゃないかってな」
「なるほど、その予想が見事的中したロボか」
「そゆこと」
「・・・それと思い出したロボ」
「何を?」
「・・・」
エウレカは思い出す。自分とルペコックの初めての冒険。それは白の世界での秘宝を巡りロゼとパインパインの二人と争ったあの冒険。その最後、すがさのみを白の世界の異次元から連れ出しイーディンとルペコックを置いて行ってしまった。
それでも2人を助けたくて、初めて友達と言ってくれた者達を助けたくて、最期の力を振り絞り自分の全てと引き換えに、2人を助け出そうとした。
結果的に自分はプログレスとして目覚め今もトレハン部としてすがさのサポートアンドロイドとして活動している。
その時のことは大切に記憶していたはずだった。それでも、長らく見なかったため忘れていたのだ。彼のあの闇を。
「聞きたいことがあるロボ」
「ふーん俺に聞きたいことねぇ、一体何を」
「・・・」
エウレカは思い出す。あのときの記憶、耳が聴いた記憶を、体が触れた記憶を、鼻が嗅いだ匂いや目が見た色まで。
場所は白の世界の世界を越えるための港。エウレカはルペコックに呼ばれ、すがさとイーディンの2人から離れた場所にいた。
(ルペコックどうしたロボか?)
エウレカはなぜ呼ばれたのか分からないといった面持ちでルペコックに聞く。
(エウレカ頼むからあんな事は金輪際止めてくれ)
(あんな・・・異次元の中でのことロボか?最終的には結果オーライで終わったんだから掘り返さなくても)
ここでエウレカは記憶に潜るのを止め、そして改めてルペコックに向き直し、一息呼吸を整えると聞きたかった本題を口にした。
「頼むから俺の前から、自分を犠牲にしていなくなろうとしないでくれ」
「・・・」
「この意味が知りたかった」
あのときの彼の目が余りにも暗く、寂しさを放ち、こちらの光まで闇に吸い込みそうな、そんな黒い目をしていたから――――
そんな彼の黒い闇を光で照らして、無くしてみせたくなったから――――
だから私は、あの日、力不足でも、彼のサポートアンドロイドになる事を決めたのだ。
「・・・あんまり気持ちの良い話じゃあないぜ?」
「それでも」
「・・・とある所に大怪我をした龍に恋した女がいました。その女は龍に好いてもらおうと必死の介抱を行いました。その結果見事女は龍からの信頼を得ました。」
「? 突然何の話を」
「その結果その龍と女の血を継いだ子供が産まれましたが、近くの村の者はその子供を大変気味悪がりました。その結果子供を始末しようと村の者たちは考えたのです」
「・・・まさかその話」
「しかし悲しくも始末されたのは子供を庇い犠牲になってしまった親の龍と女であり、子供はその後村の者共から逃げ延び、とある学校の先生の養子となって今は楽しい部活にも入って幸せに暮らしていますとさ。めでたしめでたし」
「・・・」
「まぁこれを信じるかはお前次第だ。それでも」
「信じるロボよ」
「・・・」
「何より、ルペコックのサポートアンドロイドとして内面を少しでも知れて良かったロボ」
「な、なんか好かれてるみたいで。これはエウレカ√入ったかぁ?」
「殴るロボ」
そう言い私は拳を握ってルペコックに向けて殴りにかかる
「ヒッ」
そうして彼が目を瞑った隙に
私の唇と彼の唇を重ねる。感触は柔らかい。初めてのキスはレモンの味と聞いていたが、想像とは違いなんだか甘い味がする。
「・・・はっ?」
「・・今日って実は私の誕生日ロボ。だから日付が変わる前に自分への誕生日プレゼントをあげただけロボ」
「えっ、いや、だって」
「フフフっ、ルペコックもこういう事にはなれてないロボね」
夜が更けていく学校の屋上で私は彼を照らす何本もの光から彼だけの特別な光になるための一歩を踏み出す。
このプレゼントは自分から自分への一歩の方向の確認と・・・後は土曜日のご褒美というやつだ。