キャストリアと行く聖杯大戦   作:ぴんころ

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うぉぉぉぉぉ!!(高評価、感想ありがとうございます!)

うぉぉぉぉぉ!!(まさか、日間8位になるなんて思いもよりませんでした!)



キャスター……なんで君は宝剣を大量に持ち込むの???

 ミレニア城塞における”王の間”とは、文字通りの王の間……城でいうところの玉座である。

 当然、そこは”黒”のランサー……ヴラド三世が座るべき場所。

 聖杯大戦が動く何かがあったならば、全てのマスターとサーヴァントがその場に集い、彼の従者という立ち位置を崩さないダーニックからその”何か”が伝えられる。

 

 今回もまた、そういう話だった。

 

「諸君」

 

 此度の兆しを見つけたのはキャスター。

 というよりも、魔術師のサーヴァントである彼女以上に早く発見することは難しい。

 ユグドミレニアの警戒網は、彼女が放った使い魔によって構築されているのだから。

 

 暗くなった室内に映し出されるのは、キャスターの使い魔が視認した映像。

 常にその映像の中心に立つように焦点が合わされているのは、半裸の筋肉だった。

 

「キャスターによれば、このサーヴァントは昼夜を問わずに真っ直ぐ森を突き進み、このミレニア城塞を目指して進んでいる」

 

 二メートルを超える巨漢。その青白い肌には無数の傷が刻まれていて、なのに何が面白いのか笑みを絶やさずに森の中を走り抜けている。

 彼の周囲にはサーヴァントの気配はない。七騎ものサーヴァントが待ち構えるミレニア城塞に単騎で突撃するなど正気の沙汰ではないが、同時に正気ではないからこそそのクラスは絞られる。

 

「私はこれをバーサーカーだと睨んでいる」

 

 当然、聖杯戦争をよく知るダーニックがそれに気がつかないはずもない。

 理性がないバーサーカーのクラスはマスターの命令に従うが、クラススキル”狂化”のランクが高ければ、こうした暴走も十分にあり得るのだ、と。

 この六十年間で集まった、亜種聖杯戦争(サンプル)から読み取れたクラスの傾向を口にする。

 

「叔父様、どうなさいますか?」

 

 どうする、とは聞きながらも排除することは疑っていないフィオレ。

 だからこれは、どれだけの戦力を用いて撃破しますか、という疑問。

 ”赤”のバーサーカー、スパルタクスはマスターのステータス透視能力で確認したところ、筋力は最高峰、耐久が規格外。あとはそこまで高くないとはいえ、筋力と耐久が高評価である以上生半可な戦力では撃破されるだけの可能性もある。

 ただでさえ、アサシンが合流していない今、少しでも”黒”の戦力が減らされるのは避けたいところなのだが──

 

 そんなことは当然、ダーニックもわかっている。

 

「無論、この機を逃す手はない」

 

 だが同時に、アサシンが合流していない七対六の状況だからこそ、アサシンが合流する前に攻められたとしてもどうにか巻き返せるように減らしておきたい、というのも事実。

 けれど、ダーニックにはもう一つだけ思い浮かんだことがあった。

 成功すれば一発逆転とまでは行かずとも、こちらの戦力補充となり相手の戦力を減らすことができる、そんな手が。

 

「倒すだけならばサーヴァントを三騎も出せば事足りるだろう。だが、これは此度の聖杯戦争で唯一無二の好機。上手くすれば、この”赤”のバーサーカーと思しきサーヴァントを、こちらの手駒にできるのではないかと考えている」

 

 マスターの鞍替え。

 聖杯大戦の陣営とは、あくまでも『まずは共に戦う間柄』でしかない。

 最終的に願いを叶えられるのが一騎な以上、相手陣営を倒してしまえば、その瞬間仲間は敵に早変わり。

 つまり、潜在的には自分以外のサーヴァントは全て敵、というのは普通の聖杯戦争と変わりない。

 

 それを考えれば敵対するサーヴァントを内に引き入れ、戦力として敵にぶつけるというのは不可能ではないが。

 自分のサーヴァント以外は全て敵である、というのが前提としてあった”黒”の陣営の面々がざわめくのは無理のないことだと言えるだろう。

 

「では、具体的なプランを聞かせてもらおうかダーニック」

 

 ざわめきが落ち着いた頃合いになって尋ねたのはランサー。

 口にする、ということはそのための策があるのだろう、という確信を込めた呟き。

 

「はい、領王(ロード)よ」

 

 その言葉にダーニックも頷き、作戦が伝達される。

 ”赤”のバーサーカーを捕獲する作戦。その開始は彼がミレニア城塞に到達する頃合い。

 緩やかな闊歩にて迫るバーサーカーが到着するまでには、あと一両日程度の時間がある。

 その間に準備を整えて、確実にバーサーカーを確保、できずとも”赤”の戦力を削ぐことを目的に、サーヴァントたちは一斉に動き出した。

 

 

 

 

 

「あんな大男、私の趣味ではないのだけれど」

 

 愛のために定められた歴史(人理定礎)に反逆した少女は。

 愛のために英霊を使い潰す暴虐を平然と働いた少女は。

 根源由来の知識ではなく、キャスターの魔術で視認した英霊を見てそう呟いた。

 

「そうは言っても、今こっちでサーヴァントを使役する余裕があるのはあなただけなんだから仕方ないでしょう?」

 

 そんな彼女に呆れた様子を見せるのはライダーのマスター、セレニケ。

 趣味の波長がなんとなく似通った二人は時折、こうして二人で会話をしたりする中である。

 

「代わりにライダーをちょうだいな。そしたら、あなたがバーサーカーを使えるじゃない」

 

「いやよ、あなたの趣味じゃないってことは私の趣味でもないってわかってるでしょうに」

 

 映像に映るのは、”赤”のバーサーカーの快進撃。

 そこに目を惹かれるところなどありはしない。

 

 ”希望のカリスマ”と”独自魔術”による恩寵を賜ったホムンクルスたちは、下級サーヴァントであれば十分に戦えるだけの身体能力(スペック)を誇る。

 普通の聖杯戦争ならば、十分な脅威と呼ぶことができた代物ではあるが、この聖杯大戦に限っては話は別。

 

 魔術協会は己の威信を守るため、全力でユグドミレニアを潰しにきている。

 当然、低スペックのサーヴァントなど呼ぶはずもなく、ホムンクルスは結局雑兵以上にはなることはできない。

 もし仮に、彼らのスペックが高くとも、英雄相手に意志薄弱な彼らで勝てるはずもないが。

 

「もうちょっとスマートに戦ってほしいわよね」

 

「戦いの時は凛々しくもあってほしいわ」

 

「あの不気味な笑みは減点ね」

 

「同じ”敵の攻撃を受け止める”でも、あんなに気色悪いとは思わなかったわよ」

 

 一つ一つ、丁寧にダメ出しを上げていく。

 あのサーヴァントを受け入れられない理由も、趣味が合う二人は”趣味に合わないから”という理由でだいたい共通する。

 相手が述べた不満点は大体自分の不満点でもあり、打てば響くように自分が口にしたい不満点を口にしてくれるから話はどんどん弾む。

 

「あ、マナカ。そろそろあなたの出番だって言ってましたよ」

 

「そう、それじゃあ私はもう行くわね」

 

「ええ、頑張りなさい」

 

 ふらりと、キャスターが姿を現す。

 もう時間になったのね、と。キャスターが来たのはつまりそういうこと。

 本来ならばキャスターがするべきだったサーヴァント契約が愛歌に回って来たのは、セイバー戦で見せた大規模魔術。

 セイバーの宝具『幻想大剣・天魔失墜(バルムンク)』にすら匹敵するレベルの魔術を使える相手を、サーヴァントへの魔力供給で無駄に手間を増やす必要もないだろう、と。

 

 愛歌を呼び出したキャスターは、そのまま城壁の上へと登る。

 彼女の視界はサーヴァントとしては平均的だが、使い魔を用いることで弓兵(アーチャー)以上の範囲を多角的に見ることが可能。

 そんな彼女を以てしても、バーサーカーの援護のためにやって来た”赤”のライダーの動きを視認することは非常に難しかった。

 

「アーチャー、ライダーの援護はあなたに任せても?」

 

「ええ、任されましょう」

 

 バーサーカーの援護は、”赤”のアーチャーことアタランテとライダー、アキレウスの二人。

 当初よりバーサーカーの援護に何某かのサーヴァントが来ることは予想されていた。

 それを見越して決定されていた布陣ゆえに、必要最低限の連携のための意思疎通は交わしてある。

 

「まさか、ライダーがこれほどまでに強いとは」

 

「まあ、当然と言えば当然でしょう。彼はアキレウス、最速の英雄なのですから」

 

「弟子、なのですよね?」

 

「はい。ですが、気にする必要はありませんよ。可能性は低いとは言え、こうなることは十分にありえますから」

 

 キャスターの場合は少し違ったが、生前の知り合いが敵に回るなど聖杯戦争ではよくあること。

 一々気にしていては召喚に応じるなどできはしない。

 

 二人には、”黒”のセイバーとバーサーカーがアキレウスを相手取っている姿が見える。

 セイバー、ジークフリートは確かに有名ではあるが、人体の一部にすらその名を冠するアキレウスと比べれば、どうしようもなく見劣りしてしまう。

 バーサーカー、フランケンシュタインの怪物は、そもそも近代の英霊であり、神代の戦いに喰らいつけているだけでも優秀と呼ぶべきだろう。

 何よりも、”黒”のセイバー、”赤”のランサーとはまた違う不死性が彼に備わっているせいで、何者の介入もない場合、この戦いの結末は始まった時点で決まってしまっている。

 

「神性がないと攻撃が通用しない、ですか」

 

「ですから、あの二人では決してアキレウスには勝てない。踵を狙えるならば話は別ですが、それをさせてくれるほど甘い戦士に育てた覚えはありませんからね」

 

 ぎりぎり、とアーチャー、ケイローンが弓を引き絞る。

 その心眼は幼い時分に見極めたアキレウスの癖、性格、あらゆる要素を加味しての回避不能の一撃。

 そしてその上で、回避する、迎撃する、そういった可能性を考慮し、その偶然(当然)を掴み取った場合の彼の挙動をも見透かす。

 

「余裕ができ次第そちらの支援も行います」

 

「ええ、ありがとうございます。私も正直に言えば彼の動きが見えているわけではないので、動きを阻害してくれるのならばやりやすくなります」

 

 キャスターが魔術詠唱を開始する。

 同時に、彼女が持つ宝剣の数々が、その詠唱に従い並列起動。

 サーヴァントの武器であり、同時に”アーサー王伝説にその名を残す”という一点で宝具級の神秘を宿した魔術触媒として、より高次の魔術戦を可能とする。

 

「暗殺者の真似事は得意ではないのですが、魔術師として正々堂々、決闘という名前の不意打ちをさせてもらいますね」

 

 ──セクエンス、カルンウェナン。限定開放(リミテッド)

 

 告げられたのは二つの銘。

 同時に、輝いた宝剣が伝説に記されし力を発揮する。

 

 月明かりが作り出す影の中に少女の姿が溶け込む。

 影潜みのカルンウェナン。その真骨頂。

 影に溶け込み、その状態のまま魔術詠唱。

 置換魔術を用いて、影から影へと渡り歩く。

 

 向かう場所は”赤”のアーチャーの足元の影。

 英雄としての嗅覚を持つアキレウスは、自らを傷つけることができる”黒”のアーチャーへとその全てを向けている。

 殺気、大気の震え、戦意、あらゆる要素が彼を現実に引き戻すだろうが、だからこそ外界に影響を及ぼすことのない影中の魔術行使は、そこにまで気を向けていないアキレウスは気がつけない。

 

「セクエンス。あなたの力を、ここに」

 

 たどり着いた先で、少女は影の中、一つの魔術礼装を取り出す。

 沙条愛歌に頼んで用意してもらった魔術礼装。掌よりもわずかに大きなカードの名は、クラスカード。

 剣士が描かれたそれは、アーサー王を己に置換する力を持っている。

 

夢幻召喚(インストール)

 

 正直に言うのならば、こんなことをする必要はない。

 するのならば武器だけを呼び出す限定展開(インクルード)でも十分。

 けれど、剣を扱うのが少し怖いキャスターは、剣を扱うことに長けたアーサー王の力も引き出した。

 

 呼び出したのはアーサー王の代名詞、エクスカリバー。

 セクエンスが置換され、唯一無二の聖剣に変わった。

 けれど同時に、それはまだセクエンスでもある。

 

約束された(エクス)

 

 カルンウェナンの力が解除される。

 直後、”赤”のアーチャーの影から少女の姿が見えた。

 弓は、矢を番え、引く動作が入るもの。それはたとえ、英霊であろうと変わらない。

 たとえ、どれだけその動作が早かろうと。

 

 この距離ならば、少女が聖剣の真名を解放する方が確実に早い。

 

 最速の英霊が止めようと走りだす。

 獣の俊敏を宿した弓兵が、間に合わないと察知して避けるために全霊を尽くす。

 

 けれど、どちらももう遅い。

 

勝利の剣(カリバー)──ッ!」

 

 瞬間、光の濁流が夜の森に輝いた。




……無慈悲である。
作者は、今から水着イリヤと水着アビー召喚のための祈祷に入ります。
水着イリヤとアビー出たら、記念にキャストリアのえっちなやつも書きたいな。
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