あと、日間も4位になってたみたいです! 本当にありがとうございます!
あ、ちなみに70連した結果、カーミラ1、ブリュン2、一番欲しかったイリヤ0、なぜかきあらさま5という結果(その内、きあらさまは呼符で三連続)…………なぜ???
セクエンス。
それはアーサー王伝説に出てくる剣の一種。
伝承に曰く、”決闘でのみ使用を許される剣”である。
クラスカードは、その英霊を置換するものではあるが、触媒に使う魔術礼装の力が発揮されなくなる、ということはない。
どこかの世界で、アーサー王を
どこかの世界で、夢幻召喚を行なった少女が、置換した状態の魔術礼装が持つ疑似人格と会話をしていたように。
”黒”のアーチャーの援護は完璧だった。
完璧に、アキレウスの動きを読みきって、アキレウスが”赤”のアーチャーを助ける動きを封殺していた。
そしてその上で、ライダーは彼の妨害のすべてを超えて、最速の名に相応しく”赤”のアーチャーへと向けて走っていた。
英雄らしい、あらゆる困難を踏破する姿。
仲間を助け、障害を踏破し、勝利の証たる凱旋を迎える。
そんな未来が待ち受けていると、何の根拠もなく信じられるその姿。
けれど、忘れてはいけない。
英雄とは、仲間を失い、没落し、最後には非業の死を遂げるまでが英雄譚なのだと。
結論から言えば。
ライダーはその光の奔流からアタランテを助け出すことが叶わなかった。
相手は英雄。ならば、どれだけの備えをしても足りないということはないだろう。
セクエンスは、決闘でのみ使うことが許される剣。
つまりそれは”使った時点で、それが決闘とみなされる”ということでもある。
使用者と対象を一対一の状態に持ち込む、そういう宝剣が使用された以上、アキレウスにはそれを阻害する手段がなかった。
「姐さん!」
アキレウスは見る。
そして悟る。これはもう無理だ、と。
半身が吹き飛んでしまっているこれは、もう”回復”ではどうにもならない、蘇生の域の魔術が必要となる。
歯ぎしりをしたアキレウスの瞳が、影に溶け込もうとするキャスターの姿を捉えた。
「逃がさん!」
最速の英霊が、その逸話から得た宝具を用いて走る。
視界に入っている以上、彼女が影に溶け込むよりもなお早く、彼はその場に到達し心臓を穿つ。
ただし、邪魔が入らなければ、の話ではあるが。
「ちぃっ! ”黒”のアーチャー!」
矢が風を斬り裂いて届く。アキレウスの動きは怒りに鈍ることもなく、これ以上なく完璧に撃ち落とす。
セイバーが切り込んだ。届いた大剣は彼に痛痒も与えることはできず、引き戻した槍の一撃が衝撃で彼を弾き飛ばす。
バーサーカーが戦槌を叩きつける。所詮、セイバーにも劣る英霊。条件を満たさぬ以上注視する必要はない。
そこにさらに差し込まれる”黒”のアーチャーの一撃。戦鎚を弾き飛ばすコンマ秒以下に届く矢を膝の鎧で流そうとして──
「っ」
失策を悟る。
背筋が凍るような悪寒。ゆるりと光沢すら発する鋼の曲面が流すはずの矢が、微妙に外れている。
アーチャーの放った矢の通る位置、風を斬る音から察した届く位置を、それをライダーが察することをさらに察して微妙にそらす絶技。
そして、何よりも。
この光景を見ていた誰もが、”赤”のライダー自身も驚くべき結果がそこにはあった。
それこそ、敗れてしまった”赤”のアーチャーへの心配が吹き飛んでしまうほどの、現実が。
「は──」
流れている。
赤い一筋の雫。とても浅く、その傷は致命傷には程遠く、戦いを妨げるほどの価値もないが。
それでも、今この場においては値千金の価値を持つアキレウスの血。
同時に、誰もがその不死身の理由を理解する。
火力という面で劣るとは思わないが、ジークフリートの聖剣は容易く弾かれ、ただの鏃は通ったというその事実。
概念防御。
遠距離攻撃に対して防御が働かない、というわけではない。
それならば、落とし方はもっと必死になっていたはずだ。
そうでなくとも、傷つけられたという事実に呆然とするはずがない。
概念が破られた今ならば、通るかもしれない。
そんな錯覚を抱いた”黒”のセイバーは即座にそれを破棄する。
不死身の概念を持つ英霊は基本的に、正当な、神話の中での破り方をされた場合霊核に致命傷を負う。
ジークフリート自身が、背中を傷つけられれば死ぬように。
不死身の弱点を突くというのは、英雄譚の終わりを再現するということなのだから。
何よりも──
「面白いぞ、アーチャー! お前は俺を傷つけることができるのか!」
先ほどまで呆然としていた、今は歓喜に打ち震え、哄笑するライダーをこそ、ジークフリートは警戒した。
自らを殺せるという戦士を前に、怯えるでもなく歓喜するこの戦士をこそ。
その気持ちがわかってしまうことが、また憎い。
ほんの少し前、”黒”のセイバーが”赤”のランサーと戦った時に抱いた感情。
それに近しいものをこの男は感じているのだろう、と。
あるいは、その不死身が自ら勝ち得たものでなかったとするならば。
彼の歓喜は想像を絶するものかもしれない。
今すぐに”黒”のアーチャーに向けて飛び出すかもしれない。
その警戒が、”黒”のセイバーの総身に満ちる。
「おお、オリンポスの神々よ! この戦いに名誉と栄光を与え給え!」
その言葉とともに、戦意が爆発する。
”黒”のアーチャーはケイローン。ギリシャ神話における英雄たちの教師。
かの有名なヘラクレスも、そして目の前のアキレウスも彼が育てた存在。
当然、近接戦の心得も熟してしかるべきではあるが、それでも本質は弓兵なのだ。
俊足の英霊を前に、敗れないという保証はない。
飛び出す、そう思った瞬間に前に出たジークフリート。
けれど実態はその真逆。
”黒”のアーチャーに向けて飛び出すと思われた”赤”のライダーがその場を跳び退り、ジークフリートは目を見開く。
ライダーの視界には、もはやセイバーもバーサーカーも入っていない。
入っているのは未だ姿も見えぬアーチャーのみ。
「仕切り直しだ、アーチャーよ! その首、次に会う時まで預けておく。そして、その戦いこそがこの聖杯大戦の行く末を決めるものとなろうぞ!」
その言葉に、”黒”のセイバーも納得する。
要は、感情の問題だ。
自分たちでは、”赤”のライダーに傷をつけることはできない。
概念防御を前にしては、如何に強力な宝具であろうと、概念を有さなければ無意味であり、傷をつけることができたケイローンと傷をつけることができなかったジークフリート、そしてバーサーカーには共通する概念が一つも存在しない。
つまり、セイバーとバーサーカーは彼にとっては障害ではあっても敵対者とまで呼べる域には達していない。
自らが得難い難敵であった”赤”のランサーと決着をつけたいと望むのと同様に、彼は自らを傷つけ得る”黒”のアーチャーとの決着をつけたいのだ。
それも、誰の邪魔も入らない決戦という形で。
だが、気持ちはわかるが逃がしてやる義理もない。
むしろ、”黒”のアーチャーが確実に健在で、他のサーヴァントによる邪魔が入らない今のうちにこそ倒しておくべき敵である。
セイバーはそう認識して走り出す。
指笛を吹き、彼がライダーである所以たる騎馬が現れる。
空から闇を切り裂き舞い降りたのは三頭立ての戦車。
不死を宿した二頭の神馬、クサントスとバリオス。そして、それに匹敵する名馬、ペーダソスが繋がれた戦車はライダーを乗せて夜空を切り裂き、瞬時にミレニア城塞からの撤退をなすだろう。
走り出す寸前、セイバーが跳躍。スタートを切る秒の刹那にその大剣にて斬りかかる。
馬を一頭でも落とせば、戦車の機動力を完全には発揮できぬ。
三頭ある馬のうち、彼が狙ったのはペーダソス。唯一不死ではない、けれどそれに匹敵する馬。
それを狙ったのは完全な偶然。あるいは戦士の勘とでもいうべきもの。だが同時に、最適解であった。
放たれた剛剣はその首を両断する勢いで走り──
「……っ!」
到達する直前、クサントスがどこか億劫そうな顔でその身をわずかな隙間に差し込む。
不死の神馬には不死殺しの属性のない幻想大剣は通らない。
ただの馬にはありえぬ硬さに瞠目したセイバーを、走り出したバリオスが轢き飛ばす。
引きずられるように走り出した二頭の馬も加わって、瞬時に音を超えるスピードへと到達する。
これでまだトップスピードではないというのだから恐ろしい話だ。
もう、あの速度ではアーチャーの弓矢も追いつけない。
この場は撤退する彼を見逃すしかない、という事実に剣を下ろす。
『これ、いい感じですね』
その直後、キャスターの声が影から響く。
彼女の興味を向けられたバーサーカーがウゥ、と不満そうな声を漏らす。
”赤”のライダー戦での援護が一切なかったことへの不満、なのだろう。
狂化のランクが低い彼女は、意思疎通ができる程度には理性があるとキャスターも聞いている。
『ごめんなさい、この一撃の準備をしてたんです』
だから、大した一撃でなければ許さないぞ、と思って。
直後、その場に残った残留魔力の一斉励起に目を見開いた。
『聖槍、抜錨』
威力は極限まで落としても問題はない。代わりに、今も空を駆けるライダーに届く速度へ威力を変換する。
これは、ただの確認。
キャスターの魔術が通用するのかどうかの。
他の魔術では、神性のない彼女は通用させられないだろうが。
この再現術式ならば、あるいは。
『解放、”
放つ聖槍は宝具と呼ぶには威力がまるで足りない。
けれど、サーヴァントへ最低限のダメージを与える程度の神秘は保有し、それが音速の魔力砲撃としてライダーに迫る。
「ちっ」
ライダー自身ならば神性宿らぬ攻撃である限り問題ないが、戦車はそうはいかない。
キャスターが狙いを定めているのか、戦車の急旋回にすら対応してくる。
ならばこの身で受け止めるのみ。
姐さんと呼び慕ったアーチャーを破った相手。
聞いた話では”赤”のセイバーを撃退する際にも似たような魔力砲撃が使われたらしい。
つまりこれは宝具級。そして先ほど見たあの剣の光……これはまず間違いなく”黒”のサーヴァントの切り札。
宝具名を聞いたことで、なおさらクラスがわからなくなった、あの英霊が全てをかけるにたる、そんな代物。
その全霊を身一つで受け止めることでアーチャーへの手向けとしようと、迫る光に振り向いた瞬間。
「──っ」
アキレウスは、盾を呼んでいた。
真名の解放は行わない。それほどの威力はこの光熱には宿っていない。
だが、防がなければならなかった。
その確信は、盾にぶつかり散る光が宿した熱が、わずかにアキレウスの頬を焼いたことで間違っていなかったと自覚する。
「なるほど」
光が消え、盾も魔力に還し、アキレウスは笑みを浮かべながら呟く。
一日で、二人も自らを傷つけ得る好敵手を発見した。その事実が、たまらなく嬉しい。
何故ならば、彼は英雄。英雄とは、強い力を持って伝説を残したものではなく、困難に挑み、自らよりも強大な存在から勝利をもぎ取ってこそ。
自らに傷すらつけられない”障害”をいくら倒したとて、それが何の自慢になろう。
傷をつけられないとは、つまり負けないということであり、そんな自分と対峙して踵を狙い打てるというなら、それこそ本望。
アキレウスという最大級の英霊の猛攻をかいくぐり、踵を狙うことができる技量を持つということなのだから。
「貴様も、また俺と対峙する資格を持つということか、”黒”のサーヴァント、アーサー!」
先ほど、”赤”のアーチャーを撃破した宝具を聞けば、その真名は一目瞭然。
聖剣を持つセイバーのクラスも、聖槍を持つランサーのクラスも埋まっている以上、どのクラスで召喚されたかはあとでいけ好かない神父に聞く必要があるだろうが、と。
アーチャーを殺した相手への敵意はある。あるが同時に、一筋縄ではいかない難敵との戦いは心が踊る、とライダーの顔が綻ぶ。
「ならば、待っているがいい! 次の戦いの時を! その時まで誰にも殺されることなく、この”赤”のライダーの槍が心臓を刺し貫く時をな!」
憎悪と敬意と感謝の入り混じった宣誓。
もう、決して届くはずもない距離にいるはずのライダーの、力のこもった宣誓は、けれど使い魔を通して”赤”の陣営の場所を探る黒の陣営に届く。
「アーチャー、次の時は完全に任せますね。私、
「ええ、前哨戦はこうでしたが、次に彼が攻めてくるとなると、”赤”の陣営の総攻撃でしょう。その時、あなたには”赤”のキャスターの魔術援護を砕きながら、こちらの援護をしてもらう必要がありますしね」
「そっちも大変ですけど、絶対に
寄ってきたセイバーとバーサーカーが、その真名を聞いて驚愕と、同時に納得をする。
神によって与えられた不死の加護は、神の力でなければ貫けない。
それがあの頑丈さの種だったのか、と。
「じゃあ、私はマスターの元に戻りますね」
報告はお願いします、とそう言って楽しそうに小走りで進むキャスターは、どう見てもただの村娘にしか見えない。
王にならなかった、一応は一般人でしかない少女が、あれほどの一撃を放てる。アーサー王の時代、というのが一体どのような時代だったのか、ふときになる三騎のサーヴァントだった。
”黒”のアーサーっていうと、なんかアーサーっていうクラスがありそうだよね。
アーサー王だけが選出される特殊クラス。
きあらさまが五枚きたからか、きあらさまの性の魔の手に落ちた王子様を救いにきあらさまと対決する愛歌ちゃん様とかいうやばいものが頭をよぎりました。