魔王やってましたけど勇者に負けて転生しました ~FFランク冒険者候補からの成り上がってやる~   作:ほりぃー

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入学式

 階段を上がる。

 

 注目を浴びていることを意識すると心臓が鳴る音が聞こえてきそうな気がする。でもなんだか静かだった。

 

 こう、大勢にみられるのは結構久しぶりだ。……んーと、何百年ぶりってことになるのかな。といっても数百年なんて生きているわけではないし、眠ってた? まあ、生まれ変わりする間なんてどうなってたかなんてわからないけど。

 

 

 壇上に上がった。半円形の講堂を見渡せる。フェリックスの制服を着た生徒たちが大勢見える。もちろんほとんどの人をあたしは知らない。

 

 手に持った紙に視線を落とす。一度息を吸った。入学式の代表として挨拶をするなんて緊張する。

 

☆☆

 

 数日前のこと。

 

 あたしはみんなの助けをもらってなんとかFランクの依頼を100件を終えることができた。せーかくには104件受けていたらしいけど、無我夢中で気が付かなかった。ある意味入学のためにこんなに走り回ったのは自分が初めてなんじゃないかなって思う。他の子は普通に何件かの依頼で入るらしいし。

 

 でもとにもかくにもポーラ先生との勝負には勝った。あたしとミラとラナ、それにニーナはフェリックスに行ってポーラ先生を訪ねたんだ。モニカはなんだか来れないってことだった。

 

「ということで終わったよ!」

 

 ギルドから発行された書類をポーラ先生に渡す。本当ならこんな書類はいらないらしいけど、ノエルさんがわざわざ書いてくれた。まあ、あたしたちが100件以上の依頼を行った証明みたいなものだ。

 

 というかノエルさんは「性悪女によく見せてきなさい」って怖い顔で渡してきた。だからあたしは両手を組んで少しあごをあげてみた。結構悪い子に見えると思う!

 

 

 場所はポーラ先生の部屋。本棚に囲まれた小さな部屋だった。机に座っていつも通りにこにこと彼女は笑っている。貼り付けたような笑いからは感情がよく見えない。

 

「おめでとうー! 頑張ったわね。マオちゃん」

 

 あっさりとぱちぱち手を叩きながらポーラ先生は言った。賞賛されている言葉も本当は相手にされてないって気がする。

 

「それじゃあ、入学式の日程は5日後だから遅れないようにね。これ予定表よ。そのあとのことは入学式の後に説明されるわ」

 

 ポーラ先生は事務的に話を進めようとした。そこでラナが口をはさんだ。こういう時のラナはいつもの口調じゃなくてひどく冷たいような敬語を使う。

 

 

「ポーラ先生。先生が示した理不尽な無理難題をマオはクリアしましたけど、それ以外に言うことはないんですか?」

「理不尽? おかしなことを言うのねラナちゃん。今回のことはすべてマオちゃんが言い出したことって前にいったはずだけど?」

 

 

 ポーラ先生の笑顔は変わらないけど、ラナが怖いくらい睨んでる。なんか……あたしより気持ちが入っている気がする。

 

 

「まあ、仕方ないわ。確かにこの数日のマオちゃんの活躍は目覚ましいものがあったの認めましょう」

 

 仕方ないって感じでポーラ先生が言う。

 

 

「今回のことを私との勝負としたのなら、マオちゃんの勝ちってことは認めるわ。ごめんなさいね、マオちゃん結構意地悪しちゃったけど」

「……」

 

 な、なんだか不気味だ。喜んでいいのかどうなのか全然わからない。慌てた様子でも悔しそうでもない。本当に掴みどころがない。あたしはミラと目に何となく目を向ける。ミラも困ったような顔をしていた。

 

「それはそうとマオちゃん」

 

 ポーラ先生の言葉にあたしは視線を戻した。にこにこしながら両の掌を合わせてあたしに言う。

 

「今度の入学式では入学生の代表としての挨拶をしてもらうから。頑張ってね」

「は?」

「「え?」」

 

 は、って言ったのはあたし。えっていったのはラナとミラ。

 

「い、いやいやおかしいでしょ。確かそういうのは成績優秀な生徒が行うはずで、いつも貴族の子とかが調整されてやっているんじゃないの?! こいつ、いくら頑張ったって言ってもFランクの依頼をこなしただけですよ!?」

 

 ラナが前に出て言う。そうなんだ。それならおかしいよね。でもポーラ先生は言う。

 

「あら、おかしいことなんて1つもないわよ? Fランクの依頼だって、全部で150件以上も受けたからには結構評価されるものよ? それに、水路の事件。あれは調査が進んでわかってきたんけど、犯人の魔族はどーやら、大掛かりな虐殺事件を起こそうとしていたみたいねー。こわいこわい」

 

 ロイのことだ。虐殺? そういえばなんであいつあそこにいたんだろうか……いや、前にクリスとあった時にちらっと言っていた。

 

 王都につく前にあたしたちは今の「魔王」に襲われた。本当ならあそこでみんなやられてそのまま王都にあいつは攻め込むつもりだったはずだ。その時逃げる人々が水路に逃げたら、きっとロイは……。ああ、やめておこう、後で考えることにする。

 

「だからそーいうことを加味してもあの事件解決はS……もしくはAの依頼相当の評価を得るものよ。そんなことの解決に関わった新人なんていないわよね。だから純粋にマオちゃんは今回の最優秀賞。もちろん……主体としては後ろにいる剣の勇者の子孫様が解決したってことになりそうだけどね」

 

 そういうことか……。それに、さっきの言葉ならFランクの依頼だって本当はリセットされてないみたいだった。

 

 

「え、いや、あれはマオが」

「ミラちゃんが何といおうと、世間はそうは見ないわ。ミラちゃんのおこぼれを預かったラナちゃんとマオちゃん。そしてマオちゃんは最優秀。それで万事はうまく収まるのよ」

 

 けらけらと笑うポーラ先生。

 

「ち、違います」

 

 ミラが抗議の声を上げる。

 

「そうかもね。でも、貴方は強力な聖剣の所有者だからね。イメージ通り事前に危機を排除した英雄様になるのよ。まあ、そんなことは良いじゃない、それにマオちゃん。代表の挨拶なんてのは結構重要なことなのよ。本当は一族の名誉のためにそこに立っていたい子だっているのよ? ね、ニーナちゃん」

「……!」

 

 ニーナ……!

 

「そうよねぇ。力勇者の一族としてFランクの冒険者に後れを取った……しかもお手伝いすらしていたって」

「あ、あんたね!」

 

 ラナが先生の前に立つ。いやポーラの前。

 

「さ、さっきから聞いていれば嫌味ばかり言って! そんなにこいつに負けたことが悔しかったの!? そ、それにあんたの話が本当ならこいつはこんなに無理しなくても合格だったんじゃないの?」

「何勘違いしているの? 合格の基準はマオちゃんが言ったことをそのままに受け入れただけ。彼女の評価は別のやり方をしただけ。なんの矛盾もないわ。今日までに言ったことできなかったら田舎に帰ってもらうつもりだったわ」

「…………」

「そんなに怖い顔をしないのみんな、ほら笑って笑って。おめでたい場所でしょ? 私にも勝てたしマオちゃんも合格。素晴らしいわ。それに先生が言っていることは全部事実よ? 嘘ついている?」

 

 ポーラは立ち上がって笑った。貼り付けたような顔で笑顔を作る。最初から相手にされてないのかもしれない。でも、なんとなくわかったことがあった。だからそれを言ってやろうと思う。正直これはやり返しだ。嫌な気持ちが胸にうちにあるよ。

 

 あたしは前に出る。

 

「確かに嘘はついてないかもしれないよ。でもさ、あんたは……多分、相手の気持ちがすごくよくわかる人なんだよね」

 

「……!」

 

 ポーラの目が見開かれた。それから一瞬、一瞬だけその目に憎悪を浮かべた。

 

 あたしは、その「憎悪」の感情だけはなんども何度も何度も受けてきたから見逃すことないよ。なんか嫌な特技みたいになってる……。ラナとミラとニーナが何を言っているんだって顔であたしを見る。でも、今はポーラにだけ話すよ。

 

 

「だから相手の言ってほしくないことがよくわかるんだ。ほら、だって今はさ、『こんなことあたしに言ってほしくない』って顔しているよ

「マオちゃん」

 

 ポーラの目があたしを見た。初めてかもしれないって思った。まっすぐに見つめてくる。

 

「……先生のことがそんな風に見えるの?」

「見えたからそのまんまに言っただけだよ。もしかして昔はけっこうやさしかったんじゃないかな。なにかあったりし――」

 

 バチリと音がした。ポーラから魔力が少し漏れた。でもすぐにこの『先生』は表情を作った。

 

「ごめんごめん。みんなにも先生意地悪しちゃったわ。もう今日は用はないでしょう? そろそろ帰らないといけないでしょう?」

 

 柔和な表情のままあたしたちを追い返す。あっけにとられたような顔のみんなを先に部屋から出る。扉が閉まる前、あたしにだけ聞こえる声でポーラが言った。

 

 

「マオちゃん。あなたって面白い子ね。潰してあげる」

 

 

 ――マオ様はそんなに簡単にやられたりしないよ。

 

 

 

 ドアを閉める。

 

 

☆☆

 

  

 

 ふー。建物から出たらどっと疲れた気がする。

 

 あたしたちはみんなで帰路に就く。もう夕方になっていた。何となく帰り道は会話が少なかった。でもニーナには言っておくことがあったんだ。あたしが声をかけると金髪が夕日に照らされて、耳のピアスが鳴った。

 

 

 

「なんだ?」

「いや、そのさ。ニーナもあたしと同じ立場なのに手伝ってもらうなんてして、その」

「……黙っていろ。お前を手伝うことは私が決めてやったことだ」

「でもさ」

「だまれ」

「……う、うん」

 

 

 どういっていいのかわからないし、どう伝えていいのか、謝ったらいいのか、お礼を言っていいのかすらよくわからない。確かにポーラの言った通り、ニーナのチャンスを潰してしまったのかもしれない。認められたい気持ちがあるってあたしは知っていたのにさ。

 

 ニーナははあ、と大きなため息をついて、両腕を組んであたしをちらっと見る。それからそっぽを向きながら言う。

 

 

 

「お前、困ってただろ」

「そ、そりゃあね」

「お前が困っていたんだ。友達が困っているならそれだけで……私にも関係がある……」

「あ」

 

 

 ニーナは恥ずかしそうにそっぽを向いて頬を染める。その背中をラナが軽くたたいた。

 

 

「あんた。なんかすごくいいこと言うじゃない」

「……やめてくれ。受け売りだから」

 

 

 ニーナが顔を覆うように恥ずかしがっている。

 

「へえ、そんないいこと言うやついるのね」

「……やめてくれ」

 

 

 あたしはぽりぽり頬をかく。なんだか自分でも恥ずかしくなってきた。ニーナと芋剥きをしているときにあたしはニーナが困っているならあたしも関係があるって言ったことがある。……うわぁ、恥ずかし。今更ながらに何言ってたんだろ! うわぁ。あ、で、でも。

 

「に、ニーナ。ありがと」

「……黙っててくれ」

 

 

 この恥ずかしがり屋な力の勇者の子孫はあたしから顔をそむけた。同じように恥ずかしくなったあたしはミラなんとなく見るとにこって笑顔を向けられた。

 

 

 

 それであたしは入学式での代表として挨拶なんてすることになった。

 

 変なことを言ったら大変だからミラやラナが手伝ってくれて、紙に書いて今日の挨拶を考えてきたんだ。

 

 前も聞いたけどフェリックスの入学式は年に2度あるらしい。いろんなところからギルドの選んだ若者や場合によっては貴族の子弟なんてのも入学する。だからなのかわからないけど、一つのお祭りみたいになっている。

 

 当日はいろんな出店なんかしてて、あたしたちと同じ格好をしているフェリックスの学生や新しく入る子が大勢集まってきた。それに一般の人にも学園内を開放しているらしい。夜には花火を上げたり、炎の魔法で空を彩ったりするらしい。

 

 流石に入学式の講堂には生徒と先生ばかりだ。席は埋まっている。貴族の親御さんみたいなのはちらほらいた。まあ、どうでもいいんだけど、というかあたしは挨拶をしないといけないから頭の中でぐるぐる考えていたから余裕がなかった。

 

 いつの間にか学園長って人の言葉が終わった。……ぜ、全然聞いてなかった。い、いっか。まあ。うん。大丈夫だよね。

 

 階段を上がるときに見てみたら、ミラとラナは奥の方。前の方にニーナがいた。広い講堂の中は暗くて探すのに少し苦労したけど。あ、モニカは端っこの方にいた。なんだかみんなのことを見ると安心する気がする。

 

 あれ? そういえば知の勇者の子孫……ソフィアが見当たらないや。探しきれないだけかな。

 

 光の魔法で作られたスポットライトがあたしがあたしを照らす。

 

 壇上に立つ。そこで作ってきた挨拶の紙に視線を落とした――

 

 くすくす。

 

 なんとなく顔を上げた。知らない子たちがあたしを見て笑っている。いや、というかいろんな人があたしを見て笑っていた。言い方よくないけど、あれは嘲笑っている。

 

 静かな場所だからその声が少しだけ聞こえてくる。

 

 ――あればFランクの依頼だけしかしなかったってマオって子だって。

 

 ――聖剣の所有者に取り入って功績を奪ったらしいな。

 

 ――全然魔力を感じないあんなのを入れてどうするんだ?

 

 

 いろんな声が聞こえてくる。ああ、なるほどそういうことか。そりゃあそうだよね。あたし自身ここにいるのはおかしいことだってわかっているんだからさ。ああ、遠くから見えるけどラナがなんか席で周りを見ている。

 

 ある意味ポーラに言われたことはほかのみんなも思っていたことだってことだね。そのポーラは多分先生の席だと思うけどじっとあたしを見ていた。笑いもせずになんか試すような視線だ。他の先生はあたりのくすくす笑っている子たちを止めようとしているみたいだった。

 

 ごめんミラ。

 

 手に持った紙から視線を外した。

 

 周りに赤い光が浮かんだ。おお、なんだこれ。あ、そっか声を拡大してくれるんだ。じゃあ、みんなに挨拶をすることだけに集中できるね。

 

 最後に大きく息をすった。

 

「皆さんこんにちは。私の名前はマオといいます。生まれは海の向こうの小さな村で育ちました」

 

 失笑が聞こえる。田舎者って聞こえる。

 

「こんな風に皆さんの前で挨拶をしているのは本当に偶然みたいなものです。たまたま村にやってきた冒険者のパーティーと関わってギルドからこの学園を紹介されて、本当に何もわからないままにやってきました」

 

 まっすぐ前を見る。あたしの声は響く。

 

「王都に来るまでの間にもいろんなことがあったけど、大切な友達もできました。あたしはみんなが知っての通り満足に魔法も扱えませんし、武器が扱えるわけでもないけど。ただ、王都に来るだけでも一人では来れなかったくらいになんにもできませんでした」

 

 頭の中にいろんなことが流れてくる。ミラと出会ったとき。クリスのことソフィアや魔銃のこと、船上のこと……あ、そういえばイオスの奴はどうしているんだ! あいつの依頼でとんでもない目にあったし。いや、今は抑えておこう。あたし。

 

「この王都に来てから入学のための資格を得る依頼も一人ではまともにできませんでした。あたしはFFランクだから一人ではまともな依頼一つ受けることができないから、だから王都で出会った新しい友達があたしのことを助けてくれたんだ」

 

 ああ、なんだろう、あたしは少し体が自然と前に出る。

 

「この数日だってそう。あたし一人じゃ、なに一つだってできなかった。水路での事件もそうだった。壊れた街を復興するなんて何にも役に立てなかった。……むしろこの場にもいる魔族の友達の方がいろんな人にために一生懸命に働いてくれた。

 Fランクの依頼だってそうだよ。ひとつひとつの依頼は誰かが頼んでくれたからできたんだ。少しの間しかまだこの王都にはいないけど、大勢の人と出会うことができた。途中で熱を出して倒れたこともあったけど、最後の最後ではみんながまたあたしを助けてくれたんだ。それはギルドの人達にも」

 

 あたしは手を広げる。

 

「そうだよ。あたしはなんにもできない。全部助けられた結果ここにいる。どうやって返せばいいのか全然わからないよ。ここにいるみんなにも、ここにいないみんなにもなんてお礼を言えばいいのかわからないよ」

 

 いつの間にか声があたし以外の声が聞こえなくなっていた。

 

「あたしはFランクの依頼くらいしかしてないし、おーぜいの助けを借りたし、魔力なんて全然ないよ。でもさ。それが自分なんだ。ここにいるのは偶然だけど、全部ひっくるめてあたしなんだ」

 

 両手を腰に当てる。

 

「だからさ、こそこそ言わないで文句があるなら正面から言ってきなよ。あたし――マオ様は誰が相手だって逃げたりしないよ」

 

 ざわざわと波が広がる。あ、ミラとラナが頭を抱えている。だってさ! いろいろいわれっぱなしだったら悔しいじゃん! でも言えたからよかった! 

 

 

「バーカー!!」

 

 ギルドの中は大勢でにぎわっている。街のみんなが来てくれているんだ。それと全然知らない人たちも混ざっている。この前のFランクの依頼で手に入れた報酬を使って全部あたしのおごりで宴会をしようと言ったらなんだか近くの人がいっぱい集まってきた。あ、もちろん報酬は山分けであたしの分だけね。

 

 それにギルドの人たちにもお礼がしたかったんだ。ノエルさんなんてエールをぐびぐびのんでぐでんぐでんに酔ってさっき絡んできた。

 

 ロイとの戦いで壊れた街の人たちも親方に頼んで連れてきてもらった。あ、水路の出会った猫もいる。なんで?!

 

 その中でエトワールズの5人は円卓を一つ占領している。卓上にはいっぱい料理が並んでいる。ラナは骨付き肉であたしを指して言う。

 

「と、途中までいい話かとおもったら、なーに宣戦布告みたいなことしてんのよ。この馬鹿頭~」

 

 肉を手放したラナがあたしの頭をぐりぐりと両側から拳で押してくる~いたいぃー。

 

「……うん。今回はマオが悪いよ」

 

 ミラがあたしの頬っぺたをつねってくる。ええ? ナニコレ。

 

「……」

 

 む、無言でミラの反対側をニーナがつねってくる。

 

「え、えっと」

 

 も、モニカだけは何もしないよね。すごくおどおどあたしを見てくる。でもキッと最後強い視線を向けてきた。

 

「マオ様! 私は途中までマオ様の誤解が解けて、学園の人たちにもマオ様の良さが伝わるんじゃないかと思っていました! でも最後はいけません!」

 

 モニカが両手を組んで怒ってくる。ご、ごめんなさい、うわ、ちょっと待って。お水の中の氷をあたしの背中に入れないで、つ、冷たい。机から転げ落ちてしまう。床にぺたんと座ってあたしは言った。

 

「ご、ごめんってば。だってさ。言われていることほとんど事実だし……それならあたしが全部受け止めるしかないじゃん……!」

 

 そんな言葉を聞いてみんなは顔を見合わせた。合わせたように溜息を吐いた。な、なんだよぉ。

 

 ミラが手を伸ばしてくる。ありがと。ミラの手を借りてあたしは立つ。……よーし、もう今日はいいじゃん、一杯食べよう。ねえみんな!

 

 あたしが言うとギルド中のみんなが歓声を上げた。

 

 でもあの時言ったことは全部本当のつもり。あたしはいろんな人に助けてもらった。これくらいじゃ何のお礼にもならないけど。みんなには感謝している。ありがとう!

 

「あ、そういえばあんたさ。私の下宿代は?」

 

 ラナ……ぎくり。そうだねそういえばそんなのあったね。

 

「うん。ごめん。全部ない。お金」

「あーん-たーねー!!」

「ごめんなさいー!」

 

 ラナがあたしを追いかけてくる。みんながそれを見て笑っていた。

 

 

 





第二部完結! お待たせいたしました。

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