魔王やってましたけど勇者に負けて転生しました ~FFランク冒険者候補からの成り上がってやる~   作:ほりぃー

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あったはずの破滅

 

 イオスに誘われたのはギルドの建物だった。ここはFランクの依頼の時に何度も通った場所だ。

 

 中に入ると受付で立ち上がった女性が手を振った。ノエルさん。夜遅くまで仕事しているんだ……大変だなぁ……って思う。

 

「あれ? マオちゃんにラナさん……それにあなたは確か……あ、いえ。ギルドマスターのイオスさんですね」

「やあ」

 

 イオスは手を上げて挨拶をする。朗らかに彼はノエルさんに話しかける。

 

「悪いけど彼女たちと話が合ってね。上の階の応接室を借りるよ……ああ、あとごめんね、彼女たちにお茶を用意してくれないかな」

 

 そう言いながらイオスはノエルさんに何かを渡している。ノエルさんは「い、いりませんよこんなの」って言いながら返そうとするけど、イオスは受け取らずに「お茶くみなんて余計な仕事のチップだからさ」と返す。

 

 そうやってギルドの応接室に通された。簡素な部屋だった向かい合わせのソファーと間に机がある。大きな窓はカーテンで仕切られているけど、外の明かりが漏れている。

 

 暗い部屋はあたしたちが入ると明るくなった。部屋の隅にある燭台……みたいなものには小さな魔石がはまっていて光っている。

 

「さあ、座ってくれたまえ」

 

 イオスは先に座った。あたしたちにも座るように手で示す。少ししてノエルさんが来てティーカップをそれぞれの前に並べてくれた。湯気とほのかに甘い匂いがする。

 

「あ、それとこれはマオちゃんに」

 

 ってクッキーが入った小さなバスケットを置いていってくれた。

 

「お茶を飲んでリラックスしてくれ、安心していい。彼女は君たちにも知り合いだろう? 毒なんて入れる心配はない」

 

 イオスはこともなげに言う。あたしは聞いた。

 

「警戒しないようにしたってこと?」

「もちろん。ここで話をするのもある意味、マオさんと腹が割ってといえば古風すぎるかもしれないけど……とにかく誤解なく話がしたいためさ」

 

 イオスはクッキーを手に取って食べる。

 

「うん。おいしい」

 

 これも毒見のつもりだろうか……あたしも手を伸ばそうとしてぱんとラナがその手を軽くたたいた。

 

「イオスさん……遠くの街のギルドマスターとお聞きしましたが、どのような理由があってかわかりませんが依頼にかこつけて冒険者を襲撃するなんて許されるとは思いませんが?」

「ふーん。ポーラに唆されて『そういうことした君』がそれをいうのかぁ」

「……っ!」

 

 ラナが黙った。彼女は自分の上着のすそをぎゅうって握っているのが見える。あたしはその手を触ってから言う。

 

「なんだか詳しいみたいだね」

「君の動向はずっと見ていたからね」

「なんのために?」

「なんのため? そうだな。それを先に言っておこう」

 

イオスは両の掌を組んであたしに言う。

 

「僕の同志にならないか? マオさん」

 

 イオスの表情。値踏みするような眼。柔和な少年とも見間違えるようないつもの顔とは違った。あたしは一度目を閉じて顔を上げる。

 

「やだね」

「ひどいなぁ。そこはね。同志って何? って聞くところだよ。物事には順序というものがあるものさ」

「順序なんてどうでもいいよ。ここに来たのはイオスの言う『世界の真実』とかいうのを聞きに来ただけで訳の分からない勧誘をされにきたわけじゃないよ」

「……なるほど。まあ、それもそうか」

 

 イオスはふっと笑った。彼は一度窓の外に目をやる。

 

「マオさんとの出会いは完全な偶然だったんだ。君はとある小さな田舎の村の女の子で、魔物退治にたまたま参加したひ弱な子だっただけのはずだ」

 

 ひ弱で悪かったね! 

 

「剣の勇者の子孫であるミラスティアさんと友達になって冒険者になると聞いたときはどうしようかなって思ったよ。魔力も体力……ああ、これは筋力とでも言い換えよう。それは最低レベルというのは見ていてわかるからね。でも一つの活用方法を思いついた」

 

 何となくわかる。

 

「魔銃がそのひ弱なあたしに使えるかってこと?」

「そうだ。流石だね。その程度の気持ちだった。あの武器はまだまだ秘密裏に開発されただけで実用性が不明だった。ただ通常の武器より少ない魔力で運用できるはずだった。ある意味そのテストは成功だったけど失敗だった」

 

 失敗?

 

「君は優秀すぎた」

 

 イオスはティーカップを取って口をつける。

 

「魔族を撃退し、知の勇者の子孫であるソフィアも、そして地下水路や……わが半身をも退けた。これは通常の村娘なんてものじゃない、そう思わないか? ねえラナ君」

「……なんで私に話を振るんですか?」

「君だってそう思っているだろ。なんだこの子はって?」

「……それは」

 

 ラナが何か答える前にあたしが答える。

 

「簡単だよ。あたしひとりじゃ何もできなかった。今言ったこと全部ラナとかミラ、それにニーナもモニカも一緒に居たから何とかなっただけだよ」

「うん。そうだね。今言ったことはね。そうとも言える」

 

 イオスは口角を釣り上げる。

 

「しかし『船』でのことは違う」

「……!」

 

 船……魔鉱石で動く船の上であたしたちは襲撃された。

 

 現代の魔王であるヴァイゼン。圧倒的な力を持つ彼と出会って生き延びたの偶然が重なっただけだ。イオスはつづける。

 

「マオさん……君の『あの姿』はなんだい?」

 

 心臓が掴まれたような錯覚を覚えた。勝手に体が震えた。船での戦いはヴァイゼンの凶悪な魔力に当てられた乗客のほとんどは気絶していたはずだ。でも、この目の前にいる男はあの光景を見ていた?

 

 ――大量の魔鉱石の魔力を吸収して魔王としての力の一端を使った。あの姿を。

 

「な、なんのことかな」

 

 絞りだした言葉にはあたしの願望を表している。かまでもブラフでもいい。イオスが言っているのはあたしから情報を引き出そうとしているだけと思いたい。

 

 イオスはあたしの願望を簡単に打ち消した。

 

「僕は君が現代の魔王と打ち合う姿を見ていた。現実に起こっている光景とは思えなかったね。君の姿はまるで――」

「イオス!」

 

 あたしは立ち上がっていた。はあはあと息が切れる。ラナを見る。驚いたように目を開いてる。

 

「ど、どうしたのよあんた。……いやそれよりも『現代の魔王』ってなによ?」

 

 ラナの言葉にイオスが答える。いや、それは答えるというものじゃなかった。

 

「ラナさん。君は本来死んでいるんだよ」

「は?」

 

 イオスは立ち上がって窓のそばにいく。王都の光景。夜なのに明るい街並み。

 

「マオさん。王都での生活はどうだい? Fランクの依頼で大勢と知り合ったんだ。思い入れが多いだろう」

「……そうだね」

 

 王都を走り回ったこと。大変だったけど今では楽しかったって思える。草むしりを頼んでくれるおばさんは終わったらお菓子をくれたり、料理屋さんの芋剥きもきれいにできたらほめてくれる。犬の散歩も結構行った……それだけじゃない大工の棟梁もギルドのみんなも、ロイとの戦いで壊れた街の人たち……それに学園の人もラナもモニカも……みんな王都で出会ったんだ。

 

「短い間かもしれないけどここはいい場所だよ。みんないい人ばかりだった」

「そうか」

 

 イオスは振り返る。月明りに陰ってその顔が真っ黒に見える。

 

「僕らはそれらを皆殺しにしようとしたんだ」

「!」

 

 なに、言ってんのさ。

 

 イオスはゆっくりと近づいてくる。

 

「これは君に話すつもりだった『真実』とは無関係なことだ。いわばあり得たはずの破滅だ。空想の類になってしまった現実だったはずのものの残骸と言っていい」

 

 彼は立ち止まりあたしと向かい合う。

 

「マオさん。君はミラスティアさんと知り合いになったね。いや親友かな? それにニナレイアさんとも」

「……」

「偶然にあの街に『剣の勇者』と『力の勇者』の子孫が来て、そして『知の勇者」の子孫であるソフィアが合流した。なんてことがあり得るのかな?」

 

 ……! まさか。

 

「その顔。気がついたかな。あの場にいる必然を作り出したのはこの僕だ」

 

 心臓の音が聞こえる。そんな気がした。

 

 イオスは一度ラナを見る。

 

「さっきの質問。魔王というのは魔族の王を表すものだ。戦争により敗れた最後の魔王であるエステリアという魔王の代名詞になってしまったが、本来では魔族全体を統べるものの総称だった」

 

 ……! !! 『私』の名前。

 

「現代にも力を持った、そう圧倒的な力を持った魔族がいる。彼は魔族を統べ、つい最近王都を襲撃するはずだった。

「王都を……襲撃ですって!?」

 

 ラナが立ち上がる。

 

「何を言っているのかわからない、さっきからなんの話をしているの!?」

「まあ、聞きなよ。さっき言った通りすでに終わった話だ。……魔族が敗れた理由の大いなる一端は当然3勇者とその所有する神造武器だ。それを失えば人間と魔族のパワーバランスは大きく崩れる、だからそれを始末する必要があった」

 

 喉がひりつく。竜に乗ってやってきたヴァイゼンのことが思い浮かんだ。イオスは言う。

 

「僕はね、あの船に3人の勇者の子孫を彼らと聖剣と聖杖を葬るために誘ったのさ。その後彼女たちの首を並べて、王都に強襲をかけるつもりだった。僕がFランクに混ぜた水路調査は君らが当事者だろう? 水路にいた魔族であるロイが何をやっていたか見たはずだ。災害級の魔物であるカオス・スライムをもって水路に避難してきた住民を一人残らずにやるつもりだった」

 

 あたしの脳裏に。

 

 あったかもしれない破滅が思い浮かんだ。

 

 竜に乗った圧倒的魔王。そして魔物や手練れの魔族による攻撃。

 

 窓の外を見る。

 

 王都の平和な光景が広がっている。どこからか笑い声が聞こえる。

 

 もしかしたらこの光景はこの場になかったかもしれない。代わりに炎とそして灰燼になった街があった。今まで出会った人達は全員……し、死んでいたかもしれない。

 

 ミラの顔が浮かぶ。彼女も無惨に……。

 

 そこまで考えて両手を口に当てた。勝手に膝をついた。

 

「……!」

「マオ!」

 

 ラナが駆け寄ってくれる。視線を上げればイオスが冷たく見下ろしている。

 

「マオさん。これが空想の話だ。結局はなかった。とある偶然である君という存在でね。少なくともヴァイゼンを退ける力を持つ者がいると計算できなかった。Sランクの冒険者でも彼を打倒することはできないと思っている。……君は誰にも知られない救世主だったということだ」

 

 くくくと彼は笑った。

 

「そう、偶然だ。魔銃のテストは十分だったからちょうどいいと君も船で始末しようとしたらこうなった。ああ、そうだ。やはり世界は予想を超えてくれないといけない」

 

 楽しそうに笑いながらイオスは両手を広げる。ラナが睨みつける。

 

「あ、頭がおかしいじゃないの!? 貴方はギルドの人間なんでしょ! い、今の話が本当だとしてなんのためにそんなことをするのよ」

「なんのためか……。そうだね。それこそが世界の真実のためだ。神の定めた摂理を否定するためだ」

「わけ……わけわかんないこと言ってんじゃないわよ!」

 

 ラナが立ち上がった。イオスの胸ぐらを掴む。

 

「じゃあ、Fランクにあんな魔族のいる依頼があったのは……マオを戦わせるために……?」

「そうだよ。彼女の力を測るためにね。君はある意味ではとばっちりだったね」

「この!」

 

 イオスの頬をラナが掌で叩く。

 

 ラナが肩で息をする。

 

「こいつ……こいつは意味わかんないくらいのお人よしバカなのよ。意味の分からないことに巻き込まれるばっかりで、でも、優しい奴なのよ……? なんでそんなことをしようとするのよ」

「…………マオさんはいいともだちを持ったみたいだね。でもね、ラナさん。君は彼女の秘密を知りたいだろう? 異常なほどの魔法の練度、老練といっていい戦い方。明らかに説明のつかない不整合」

「……!」

「彼女は、君にすら黙っていることがあるはずだ。なあマオ君」

 

 あたしは……立ち上がる。膝が勝手に震えている。

 

「……」

「僕は君を害そうとした。そして今話したことをうまく使えば君は僕を害することができる。……復讐をしたければすればいい。その時は君のことを洗いざらいに話そうと思うけどね。僕は君の秘密を知っているとはまだ言えないけど、少なくとも知っている範囲だけでも君の破滅と引き換えにできると思っている」

 

 あたしが魔王の生まれ変わりだってことは今はミラしか知らない。でも、それをみんなが知ったら……? 

 

 怖い

 

 そう思う。

 

 今までの世界全てがひっくり返る。何もかもが崩れる。体が震える。

 

「マオ……」

 

 ラナが心配そうに肩に手を置いてくれる。びくって体が反応した。もし、あたしの正体をラナが知ったら……彼女は……どうするだろう? でもそんなことは知らないラナは困惑した顔をしている。ごめん。

 

 イオスは自分のポケットから3枚のカードを出した。黒い小さなものだった。それをあたしに渡す。真っ黒なカード。

 

「これは『Sランク』の依頼書だ。受けるなら特殊な加工がされているがこの依頼書に魔力を通せば中を見ることができる」

「S……ランク?」

「そうだ、依頼というのはFからSまでランクがあるが、この『S』は難易度を現さない。ギルドや王室などからの依頼、つまり特別のものだ。僕がギルドマスターの権限で作ったものだ。この3つの依頼を完遂すれば君は世界の真実を知ることになるだろう」

「…………」

「今から同志になるか、そうだなフェリックスの半期の間だけ君を待とう。このSランクの依頼をその間に完遂したまえ。その間に僕を告発するのも自由だし、世界の真実を知って僕とともにいくのも自由だ」

「待ってよ……全然意味が分かんないよ。そもそも同志って何かわからない」

 

 イオスはあたしに耳打ちした。そうやってラナに聞こえないように彼は言った。

 

「僕は『暁の夜明け』の人間だ」

「……! イオスも」

「多分君の想像とは少し違う。『暁の夜明け』は魔族の組織と表向きはされているがその実は違う。だから表向きの構成員である君を襲撃した魔族たちと僕には面識がない。ヴァイゼン以外はね。いいかいマオさん。人間も所属しているんだ。僕を告発するときに相手を良く選ばないと、悪い結果に終わるかもしれないということは考えておくべきだ」

 

 ……。イオスはそれだけ言って離れた。

 

「それじゃあマオさん、いい返事を待っているよ」

 

 彼はそう言ってにこりと笑った。

 

 

 帰り道はゆっくりと帰った。足が勝手に止まることもあった。

 

 ラナもあたしもしゃべらない。すごく疲れた。懐には3枚の黒い依頼書がある。これからどうすればいいのかわからない。

 

 イオスの話ではいつの間にか王都の攻撃を阻止できていたってことだ。

 

 帰り道に繁華街を通るとにぎやかでみんなが笑っている。逆に考えればこの目の前の平和な光景はほんの少しの偶然がなかったら存在しなかったということだ。その偶然が今回はあたしだった。

 

ロイやクリスとの戦いはあたしから見れば偶発的だった。でも、いつの間にか大きな流れのようなものに巻き込まれていたんだ。あたしが魔王だったころもそうだったかもしれない。深まっていく戦乱は意図的にそうなったというよりどうしようもないほどに負の連鎖で進んでいった。

 

 ポケットから依頼書を取り出す。

 

「……行かないと行けないかな」

「そんなわけないじゃない」

 

 ラナが振り返った。え? 

 

「なんか訳の分からない話ばっかりあいつはしていたけど、よく考えてみなさいよ。なんであんたがそんなことに関わらないといけないのよ」

「でも」

「でもじゃない。なんでもかんでも抱え込もうとするんじゃない! ……言っているでしょ。要領よくやりなさいって、見て見ぬ振りしたって文句言われる筋合いなんてないの」

 

 ラナはあたしの顔をまっすぐ見てくる。心配している顔だってわかった。短いはずなのに、けっこう長い間ラナと一緒に居た気がする。だから思っていることが分かった。

 

「ありがと」

「……っ!」

 

 ラナは頭を振って踵を返す。

 

「わかってない。ぜ~ったいわかってない」

 

 大げさに腕を振って歩く彼女にくすりとする。…………。うん、悩んでいたって仕方がないや。とにかく前に進むしかない。イオスとのことはも、『暁の夜明け』のことも、今の時代の魔族のこともあたしは向き合わないといけないんだ。

 

 ふいに、ラナが立ち止まった。振り返らずに聞いてくる。

 

「あのさ。マオ」

「なに?」

「あんたの秘密っていうのはさ――」

 

 

 ラナは『あたしの秘密』を聞こうとしている。そう思った。

 

 ……頑張ろうとしている心が委縮する。体が硬直して、体の奥が冷たくなる気がした。なぜか目の前の景色がゆっくりと見える。ラナがその中で振り返る。その唇が動く。

 

 やめて! そう叫びそうになった。

 

 ラナに嘘をつきたくない。黙っていることも嫌だった。

 

 それでも、あの日、ミラスティアに冗談で言ったことが真実として帰ってきた。ここでラナに真実を伝えて……今までのすべてを続けられるだろうか?

 

 ――あんたの秘密って何なの?

 

 ラナがそう聞いてくる。きっとだ。どう答えればいい? あたしは魔王の生まれ変わりだって言えばどうなるだろう。ふいに今までの楽しい思い出が思い出した。村で生まれたこともお父さんもお母さんもロダもミラたちのことも王都のことも、その一言を聞かれるだけ崩れるかもしれない。

 

 やめて

 

 やめて

 

 やめて

 

 聞かないで。

 

 心の叫びを口に出すことができない。ラナの言葉があたしに向かってくる――

 

「ミラスティアは知ってんのよね」

「え?」

 

 ミラ……? あたしはただそれに答えた。

 

「うん」

「……ふーん」

 

 ラナはそれだけ言って小さくつぶやいた。

 

「うらやましいわね」

「…………」

 

 目の前がにじんだ。ぽろぽろと涙がこぼれてくる。

 

ラナはあたしの秘密を聞くことは――なかった。

 

「な、なによ、あんたなに泣いてんのよ」

「ごめん」

「はあ? いみわかんないんだけど……。何を隠してんのか知らないけど。人間誰だって秘密くらいあんのよ。わざわざそんなの言うなんてしないでしょ」

「…………」

「あー、ほら。ハンカチ。とりあえず、帰って寝るわよ。あとほらこれ」

「?」

 

 手に何か渡された。……ハンカチに包まれたクッキーだ。

 

「せっかくノエルさんが出してくれたんだから食べないと悪いからね」

 

 ラナはにやりと笑う。抜け目ない……。あたしはそれを口に入れる。

 

 甘い。それだけをかみしめた。

 

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