■■■■■■■■■■リクが■■■■■■■話。
一応オリ主タグではありますが、作中で名前の出た事があるキャラではあります。ただ性格性別などについての言及は皆無でしたので、その辺りの設定を含め『オリ主』のタグを追加しました。
───子供の頃、既に世界は絶望に染まっていた。違和感はなかった。生まれてからずっと同じ光景で、同じ生で、それが当たり前だったから。人が死んでも「ああ、またか」としか思えない。でも自分を異常とは思えなかった。だって周りも自分の命を諦めてる奴らだけ。寧ろこんな中で希望を持てる方が異常なんだと思う。
だから、俺はアイツを異常としか思えない。今のこの世を“可笑しい”と捉え、“生きるべきだ”と捉え、“生き残れる”と捉える
俺も───コリーという男も、その意思に当てられた人間の一人だ。
俺は頭は良くないし、アイツよりちょっと年上なだけ。それでも役立つ事はあった。アイツの指示通りにやれば、全てのリスク・リターンが成立する。いや、寧ろリターンが大きすぎだ。多くを犠牲にして生き延びて来た今までとは違い、アイツが率いてからは犠牲者なんてたった三人。そこで手に入れた物資や情報は馬鹿にならない。
だから人間はアイツを信じる。実績を残し続けるアイツを。
けど、俺は未来を信じられなかった。いや違うな。俺だけじゃない。他の人間全員、心の奥底じゃ諦めてやがる。確かに今は生きられている。でもこれから先はわからない。なんせこの世界の終焉にも等しい光景を作り出してる連中は、物理なんてものは限界突破して、人間には真似できない魔法なんて物を使い、その最強の一振りで天候すら変える化け物連中ばかり。
わざわざ探してまで殺す必要がないから生かされているだけで、たまたま見つかれば殺される。殺した事にすら気付かれない。こんなんで死ぬのかと嘲笑される様な一撫でで弄ばれる様に殺される。それが今の世の中だ。
別に自分の命は惜しくないし、死ぬのなら潔く死んでやろう。少なくとも俺はそう思う。でもこんな世の中でも、必死に生きようと足掻き続けるバカはいるものだ。
諦めているなら、せめてアイツの役には立ってやろう。そうして実ったのであれば尚嬉しい。そんな、小さな動機が俺を動かしている。
でも、小さな期待はもう要らないよな。
「二方向から
アイツの声が耳を貫く。この声量で話すという事は、まだ距離はあるか。でもここから出口までは距離がある。出口に辿り着いた時点で
「コリー、死ねるか?」
「やだ、なんて言える筈ないだろ。分かってる、
こんな状況、何も手を打たずに居たら二人とも死ぬだけだ。だったらどっちかを囮に使うしかない。となったら必然的にどちらが囮をやるかなんて決まってる。
少なくとも俺は率いるなんて柄じゃないし、未来への希望なんざ殆どない。リーダーで未来を望んでいるアイツが生き残る方が正しい。
「あ、けど
「……ああ、死に方くらいは選ばせてやる」
……うん、これでリクの生存確率は上がる。コイツならば意図を汲み取ってるだろう。
俺の左胸に、ナイフの先が当たる。
「さあ一思いにやってくれ」
「……
「ああ、じゃあな」
意識が混濁する。五感は機能しなくなる。でも意識はまだあった。あのバカ、最後の最後で躊躇いやがったな。……いや、バカは俺か。アイツ、なんだかんだ自分の手で人間を殺した事はなかったっけ。そりゃ躊躇うわ。寧ろよく引き受けたな……俺自身がナイフを刺すっつー手もあったろうに。最後の願望でも叶えたつもりか?
……まあいいや。どのみち俺は死ぬ。ああほら、もう考える事も───
「……クソ、止まれ。止まれよ。
理由は明白だ。初めて自分の手で同胞を殺したから。今までは死ねと告げて来ただけだが、今回は逃れようもなく自分の手で殺した。どれだけ心を騙ろうにも、
「ふざけんな……
意志に誓う事すらしなかった───コリーは、最後の最後まで『
その癖に自分が被害者面晒す気か? そうやって自分の心に何重もの鍵を掛け続ける。
やがて、震えは無くなった。
「……今回ばかりは、
───ああ、下手すれば自殺でもするかもな。それが意味のない死だと知りながら。
ちなみに『コリー』という言葉はゲール語で『役立つ』という意味を指しているようです。つまり今回のタイトルの意味は、別名「コリーの軌跡」ですね。深い意味はありませんが……。
オリ主タグは『自分の手では誰も殺せないリクが自分の手で殺す話』という、原作でやってない事をやったが故の理由もあります。