「え?清顕くんが、うちの家族になるの?」
「そうだよドミニク。ドミニクから見たら年上だから、お兄ちゃんになるのだな。」
イーサンはまず、純真な少年のドミニクからこの話をした。ミオに伝えると、あの子は清顕くんに何か余計なことを伝える気がする。次はカズキ。
「清顕くんがお兄ちゃんなら、キャッチボールに付き合ってもらえるね。」
カズキは上機嫌だ。
「男は単純で楽だ。」イーサンは笑みを浮かべる。
次は、13歳の娘ボニタだ。
「え?清顕くんが、私のお兄ちゃんに?」
果たして彼女の顔はまだらになった。何か不都合な点でもあるのか。
「私としては、大歓迎だけど、ミオが何ていうかなぁ。」
やはりミオを最後にしておいて良かった。妹や弟の同意を取り付けてから話を進めたい。
「何か、ミオにとってはまずいことなのか。」
「ミオは…。学年は一緒だけど、清顕くんより、5日早く生まれているよね。清顕くんを弟にはしたくないんじゃない?パパ。…ママはなんて言っているの?」
ボニタは歯切れが悪い。
「もちろんママも了解済みだ。ボニタは、何だね、清顕くんがお兄ちゃんになるのは嫌なのかな?」
「いや。私は大歓迎だけど。」ボニタは繰り返す。「でも…ミオがね。」
何度確認しても、ボニタの考えは、ミオがこの話にいい顔をしないだろうという事だった。
仕方がない。反対しそう、あるいは清顕くんに余計な事を吹き込みそうなミオをとりあえず外して、清顕くんに直接交渉しよう。
イーサンは、孤児施設の職員に電話をかけた。
『閣下、イーサンが坂上清顕との面会を申し入れました。』
キリアイは通信機でゼノンに報告を始める。
『ほう。して日時は。』
『明日の日曜午後2時から。セイラ邸にて。なお、』
『なんだ?何か不審な事でもあったか。』
『はっ。セイラ家には現在、上からミオ、ボニタ、カズキ、ドミニクの4人の子どもとイーサン・セイラ、グレタ・セイラの6人が住んでいるのですが、最年長の三女ミオだけが、この面会について知らされていないようです。』
『イーサンの行動がわからないな。』
『妹と弟には、ミオ姉さんを驚かせたいから秘密で、と伝えているようです。ただ、イーサンの真意についてはまだ把握できておりません。明日の2時、イーサンと坂上が接触、面会予定ですので、その時に通信をそちらにつなぎますがよろしいでしょうか。』
『よし、やってくれ。ちなみにキリアイ、貴様から見て、坂上清顕はどうだ?工作員として使えそうか?率直に答えてくれ。』
『は。私の見る限りですが、なかなか底を見せない、何を考えているのかわからないところがあります。ですが頭は妙にいい。』
『貴様のように訓練をつめばパトリオティスになれそうか?』
『閣下もお人が悪い。そんな逸材は
『ふふふ、いい回答だ。キリアイ、そのまま続けろ。しかし、まだ完全に
『はっ、申し訳ありません。』
思わず、「うち」という一人称を使ってしまった。キリアイは唇をかみしめた。
『次に
ゼノンは一方的に通信を切り、キリアイに圧力をかけた。これでいい。駆け出しの工作員を甘やかす理由はない。