Memory01 二人きりの初仕事
辺境の街。
開拓の拠点、周囲の村を支える交通の要たるその街には、人為的に造られた地下空間──下水道が蟻の巣のように張り巡らされており、人知れず街の清潔に一役買っている。
だが街の真下にあるとはいえ、あまり人が寄り付かないその場所には害獣の類いが住み着き、時折街に出て被害が出るなんてこともあるのだ。
そしてそれを間引くのは冒険者。特に新米の冒険者たちがよく行う
まあ下水道という場所の都合上、鼻が曲がり、しばらく使い物にならなくなる程に臭いが凄まじく、好きで受ける者も滅多にいないのだが……。
「でぇぇりゃあぁぁぁああああああ!!」
汚水が流れる音を掻き消し、下水道全体に響くほどの気合い一閃が響き渡り、ついでぐちゃりと肉の潰れる音が響く。
「GYURI!?」
直後に上がった悲鳴は人間のものではない。
丸々と太った
「っ!こんのぉ!!」
そんな自身の体長程もありそうな鼠を、下水道の瘴気を切り裂く蹴りの一撃で伸した銀髪の武闘家は、まだ生きていると見るや飛びかかり、その顔面を踏み潰した。
「~~~!?!?」
肉を貫き、骨を砕き、脳髄を潰す感覚に慣れない武闘家は背筋を震わせて、「ひゅっ」と喉の奥から妙な声を漏らすが、背後で二つ続けて巨大鼠の断末魔が響けばすぐに意識を切り替え、くるりと振り向く。
「これで五つ。ノルマにはもう少し必要だな」
松明を左手に、
「そ、そうですね」
うんうんと頷いて同意を示すなか、彼は黙々と討伐の証たる巨大鼠の耳を削ぎ落とし、そのまま毛皮と骨に至るまでばらばらに解体してしまう。
な、慣れてるなぁと困惑半分、相手が鼠とははいえ背中を任せてくれるという嬉しさ半分で、武闘家はぎこちなく笑みを浮かべ、直後にむせた。
一応彼の助言通り、口許を布で覆ってはいるものの、それだけで気分が悪くなる腐臭を防ぎきれる訳もなく、妙に慣れている斥候はともかくとして、彼女は時折けほけほと咳をしているのだ。
それを指摘しないのは彼の優しさなのか、あるいは諦められて放置されているのか……。
「とにかく、あと五匹も倒せば十分ですかね?」
「とりあえずは、それでいい筈だ」
耳を削ぎ終えた斥候は立ち上がり、武闘家が踏み潰した巨大鼠に近付き、側に落ちていた耳を回収した。彼女が殺したからか解体はせず、こちらは放置だ。
そもそもとして、斥候と武闘家の二人が一党の三人と別れて下水道に潜っている理由があるのだが、単純な理由が一つである。
「ごめんなさい、付き合わせてしまって……」
「気にするな。金は必要だ」
単純に武闘家が軽い金欠を起こしただけのこと。
何でも朝起きた時には財布はあったそうなのだが、街に繰り出してしばらくした頃にはなくなっていたのだという。
今日は休みにしようと決めていた一閃面々はそれぞれのやりたい事をして過ごす中、どうにかしようと駆け込んだギルドにいた斥候──休みに何をすべきかわからなかったからだ──を連れ出す形で、こうして下水道にいるのだ。
「本当に、どこで落としたのかなぁ……」
「落としたものは仕方がない。次からは気を付けろ」
肩を落とした武闘家を励ましながら、「次があれば、だが」と肩を竦めた。
「こ、怖いことを言わないでください!」
と、彼の言葉に自分の身体を抱きながら返す武闘家の表情は真剣そのものだ。
相手が鼠と聞けばそれまでかもしれないが、その鼠は只人の子供よりも大きいのだ。腕をかじられれば痛いでは済まないし、そのまま押し倒された挙げ句、数で押されればどうなるか。
「この人だって、こんなところで死んじゃうなんて思っていなかった筈です……」
それは二人の足元に転がる、まだ肉がこびりつき、ある程度の形を保った人骨が教えてくれる。
襤褸布に包まれたそれの手元には僅かに血がついた短剣が握られてはいるものの、顔はもう識別できない。
食い千切られたのか眼窩にはあるべきものがなく、頬は裂かれ、喉も食い千切られている。致命傷はそれだろうか。
「……背後から押し倒されて、そのまま首を噛みきられたか。まあ、損傷が酷すぎて実際にはわからないが」
斥候は冷静に死体を検分しながら言うと、その隣に片膝をつき、首にかけられた認識票を引きちぎった。
松明で照らして文字を確認し、とりあえず男性──少年と言うべきか──であることを確認した。
冒険者になり、短剣だけ買って飛び出してきたのか、あるいは仲間を見つけられずに自棄を起こしたのか、それも定かではない。
「せめてその魂に平穏があらんことを。安らかに、眠れ」
認識票を胸の前でぎゅっと握りしめ、祈るような姿勢になりながら冥福を祈ると、それを懐に確かにしまい、ゆっくりと立ち上がり、松明で闇を奥を照らした。
隣で彼を真似るように手を組んで祈っていた武闘家は、誘われるようにそちらに目を向ければ、松明の光を反射してぎらぎらと輝く鼠の眼光が三対程。
仲間の悲鳴に誘われたのか、あるいは彼女の声に惹かれたのか、血の臭いに導かれてか、寄ってきたのだろう。
念のためタカの眼を発動し、松明でも照らしきれない範囲も確認する。
「敵影なし。やれるか」
「大丈夫です!やっと臭いにもなれてきました!」
鼠ごときに負けてなるものか。足元に転がる誰かの敵討ちだと、様々な理由で己を鼓舞した武闘家が構えると、斥候はふっと小さく笑んだ。
「ようやくか。もう終わりそうだが」
「そういうのは言わないでくださいっ!」
やる気になった途端にそれをへし折りに来る謎のスタイルを取る斥候に困り顔になりながら、武闘家はやる気を維持したまま彼に怒鳴った。
その声は下水道に響き渡り、迫る三匹以外にも、奥から鼠の鳴き声がいくつか聞こえてくる。
「……呼び寄せてどうする」
「ご、ごめんなさいっ……!」
じと目で睨んできた斥候に反射的に謝ると、先頭を走っていた巨大鼠が「GYU!!」と鳴きながら飛びかかってくる。
「シッ!」
その瞬間、斥候が前に飛び出し、すれ違い様に右腕が閃いた。
剣で巨大鼠の首を掻き切り、噴き出した鮮血が彼の衣装を赤く汚す。
運悪く巻き沿いを喰らった武闘家は、頬に張り付いた生ぬるい液体の感覚に身体を跳ねさせるが、そんな隙をついて巨大鼠が飛びかかる。
愚直に正面から踊りかかってきた巨大鼠の姿にハッとした武闘家は素早く意識を切り替えると、ぬめる足場を踏みしめて強引に踏ん張ると、右拳を引いた。
「イィィィヤッ!!」
怪鳥音と共に放たれた正拳突きで巨大鼠の鼻先を打ち据えて撃墜し、背中から倒れて痛みに悶えるその腹に踵落としを叩き込む。
ぱきっと骨の砕ける乾いたを響かせ、踵に感じる肉を潰し、骨を砕き、内蔵を破壊した嫌な感覚に耐えるように歯を食い縛り、倒れた鼠を蹴り飛ばした。
壁に叩きつけられた巨大鼠の身体からは砕けた骨が飛び出し、見るも無惨な死体が出来上がった。
その横で鼠の頭を踏みつけながら剣で脳天を貫いた斥候は、素早く剣を引き抜きながら視線を鋭くする。
「あと四つ。油断するな」
「わかってます!」
打てば響く返事をした武闘家は拳を構え、本能のままに挑んでくる巨大鼠を迎撃する。
完全武装した冒険者が、真正面なら油断もなく挑んでくるのだ。巨大に育ったとはいえ、たかが鼠に負ける道理はなし。
下水道には巨大鼠の断末魔が響き渡り、人の悲鳴があがることはなかった。
「これで三十。いくつか余計に集まったが、多少上乗せしてくれるかもしれん」
目の前に広がる巨大鼠の骸の残骸を一瞥しながら、斥候はホッと息を吐いた。
あのあと何故か巨大鼠が殺到し、冒険者二人に対して十数匹の巨大鼠との大混戦となったのだ。
表情に多少の疲労を滲ませながら汗をぬぐい、口許を覆う布を退かした。
甘ったるいような腐臭は長時間吸いたくはないが、如何せん息苦しくて堪らない。多少の臭いは我慢する。
「うぅ……臭い……汚い……べたべたする……」
そんな彼の隣にへたりこ込んでいるのは、巨大鼠の返り血で銀色の髪をはじめ全身を黒く汚し、すすり泣いている武闘家だ。
戦闘の途中で口許の布がずれてしまい、後半からは強烈な臭いに泣きべそをかきながら応戦していたように見える。
「大丈夫か……?」
「大丈夫じゃないですぅぅ……」
彼女の惨状に目を向けた斥候が手拭いを差し出しながら問うと、武闘家は顔に張り付いた返り血をその手拭いで拭いながら返し、「後で返します……」と告げて背嚢に押し込んだ。
「まあ、ノルマは終わった。早く出よう」
いつも元気な彼女の疲弊した様子に、流石に困り顔となった斥候はそう告げると、雑嚢から替えの松明を取りだし、鈍器代わりに酷使された松明の炎を移す。
これなら
「立てるか」
「大丈夫です……」
引き上げようと彼女に声をかけると、疲労からか酷く弱々しい声で返された。
やれやれと首を振った斥候は「ほら」と告げながら手を差し出した。
武闘家が「ありがとうございます」と笑み頭を下げて、彼の手を掴もうとした矢先だ。
──がさり……。
「「……?」」
あまり聞き馴染みのない音が聞こえ、動きを止めた。
その音は斥候にも聞こえていたのだろう、彼は闇の奥を鋭く睨んでおり、松明をそちらに向けた。
──がさ。がさ。
同時に彼の目が有らん限りに見開かれ、武闘家は恐る恐る彼の視線を追い、振り返った。
──がさがさがさがさ!!!
そこには、松明に照らされて黒光りする甲蟲の姿があった。
てらてらと油を塗りたくったかのようなそれが、床と壁、天井を覆い尽くさんまでの数で、こちらを喰らわんと顎を全開に広げて迫ってきている。
武闘家は下半身に生ぬるい感覚を覚えながら「ひっ!」と小さく悲鳴を漏らした瞬間、強烈な力でもって身体を引き起こされ、手を引かれるがままに走り出す。
自分の手を掴んでくれた安堵と、地図も見ずに迷路のような下水道を突っ切る彼の度胸、そして思わず失禁してしまった情けなさに涙を流しながら、転ばないように必死になって足を回す。
転べば最後、背後から迫る巨大な甲蟲──
ドラゴンだのに挑んで負けるなら、まだ冒険者としての矜持が保たれるだろう。だが、あんな蟲畜生に喰われたのなら、きっと嗤われてしまう。
冒険者とはいえ夢がある。せめて己がやりたい事をして死にたいのだ──。
辺境の街を流れる小川の脇。いつからかそこにあり、いつの間にか放置された廃屋の前に、日差しから逃れるように目深くフードを被った斥候の姿があった。
風雨に曝されて腐りかけた玄関の脇に寄りかかり、空を流れていく雲を眺めてボケッと気を抜いているのだ。
まあ本人としては気を抜いているつもりでも、並の人が気を抜くそれとは段違いに意識は研ぎ澄まされており、下手に近づくだけで戦闘体勢に入るのが目に見えている。
「うぅ、お待たせしました……」
そうして、文字通り対して意味のない休憩をしていた彼に、僅かに開いた玄関の隙間から声がかけられた。
顔を耳まで真っ赤にした武闘家が、気持ち悪いのか、落ち着かないのか、もじもじと太ももを擦り付けて内股になりながら出てきたのだ。
「気にするな。まあ、気持ちはわからなくもない」
彼女に一応のフォローの入れた斥候は、「俺も危なかった」と少々真剣な面持ちになりながら肩を竦めた。
「報酬を受け取り次第、帰るぞ。はっきり言って疲れた」
「そうですね、早く帰りましょう……」
斥候は大きめのため息を漏らして呟いた彼の言葉に、武闘家もまたため息を吐いて頷いた。
そして二人は並んで歩き出し、冒険者ギルドを目指す。
ほとんどなかった人通りが少しずつ増えていき、やがてあちこちから活気に満ちた声が聞こえ始める。
「あー、帰ってこれました……」
「街の外には出ていないがな」
腕を大きく広げてわざとらしく身体を伸ばす彼女を見つめながら、斥候は再び肩を竦めた。
まるで大仕事を終えた帰りのように見えるが、二人はずっと街の地下にいたのだ。囲いの外に出たかと問われれば答えは否だ。
「……」
そうして思い切り気を抜いている彼女の隣で斥候はフードの下で突然目を細めると、じっと正面から近づいてくる男を睨んだ。
にやにやと下賎な笑みを浮かべながら、不自然なまでに辺りを見渡しており、何かを狙っているのは明白だ。
さらに言えば、その足取りは人混みの中でもしっかりとしており、歩き慣れている節さえ見える。
瞬きと共にタカの眼を発動し、改めて凝視した。
金色の輝きを放つそれは、何かしら重要な事に関わっている証拠。
──ああ、そうか……。
同時に納得した斥候はわざとらしく気を抜いたふりをすると、武闘家に顔を向けて口を開いた。
「とりあえず、今日だけでもだいぶ稼げた」
「……?そうですね?」
わざとらしくご機嫌な笑みを張り付け、わざとらしく声を張り上げ、わざとらしく懐を叩きながら告げた彼に、武闘家は可愛らしく首を傾げた。
彼がこんな役者じみたことをするのはこれが始めてだ。まあ、彼の事を何から何まで知るほど長い付き合いでもないが。
同時に斥候は張り付けた笑みをそのままに、先程の男に目を向けた。
辺りを見渡していた視線がこちらに定まり、笑みを深めながら人混みに混ざってこちらに近づいてくる。
同時に斥候も歩き出し、その背中を追って武闘家も歩き出した。
男との距離が詰まっていき、さらに一歩、二歩と縮まり、斥候と男の肩がぶつかった。
──瞬間、男の体が浮き上がり、背中から石畳に叩きつけられた。
「が!?」
「ひぇ!?」
男の悲鳴と武闘家の悲鳴が同時に漏れて、回りを歩いていた人たちの視線が一気に集中する。
斥候は男の片腕を掴むと、そのまま捻りながら身体を転がし、肩を極めながらうつ伏せに転がした。
「いでででででででっ!な、なんなんだよ、この野郎!!」
「──俺の財布に何か用か。ついでに、その脇に転がってる財布群は誰のものだ」
ぎちぎちと嫌な音をたてながら腕を捻られる男は、足を振り回しながら悲鳴をあげるが、斥候は絶対零度の冷たさを込められた声で告げた。
彼の言葉を合図に、石畳の上に転がる複数個の財布に覚えがある人たちが懐を探り、「それ俺のじゃねぇか!」「わ、私の財布!?」などの声が上がり始める。
「……あ!わ、私の財布!」
そして武闘家もまた覚えがあったようで、何かの紋様が刺繍された財布を手に取り、胸に抱きながらホッと息を吐いた。
それを合図に他の人たちも財布を回収し、怒気がこもった視線が男に集中していく。
「う……っ」と居心地悪そうに身動ぎする男を他所に、斥候は淡々とした口調で告げた。
「大人しくお縄につくか、それとも死ぬか。選べ」
「へっ、殺れるもんなら──」
彼の脅しを言葉だけと受け取った男が鼻で嗤うが、斥候は腰から短剣を抜いて男の肩に突き刺した。
「ぎ!?」
「死ぬのがお好みか」
斥候は冷たく男を見下ろしながら告げると、ついに彼が本気だとわかったのか、男は負けを認めるように声を張り上げた。
「わ、わかった!番兵でも何でも呼んでくれ!抵抗はしない、逃げねぇから!」
「最初からそう言え」
斥候は相変わらず淡々とした口調で告げると、短剣を引き抜いた。
「ぎっ!」と悲鳴をあげる男を他所に、斥候は変わらず腕を極め続け、番兵の到着を待ち続ける。
「あ、あの……?」
武闘家は不動で腕を極める斥候の肩を叩くと、彼は振り向きもせずに「どうした」と問うた。
「いえ、どうしてわかったんですか?」
「……視ただけだ」
「ほぇ?」
「ただ、視ただけだ」
彼女の問いかけに斥候は一言で返すと、騒ぎを聞き付けた警羅の番兵たちが駆けつけ、斥候から件の男を受け取る形で連行していった。
罵詈雑言を吐きながら連れていかれる男の背を見送った斥候は肩を回すと、ごきごきと首を鳴らした。
「帰るぞ。報酬がまだだ」
「あ、はい。そうですね」
そしてどことなく口調を柔らかくしながら呟き、武闘家がそれに応じて頷き、もう目の前にまで迫っていた冒険者ギルドに駆け込んだ。
そのまま足早に受付に直行し、「依頼が終わった」と告げて袋を受付の上に置いた。
「お疲れ様でした。外が騒がしかったのは、いったい?」
そんな二人を笑顔で迎え入れた受付嬢が問うと、斥候は「すりが捕まっただけだ」と返して袋を押した。
早く確認してくれ。早く報酬をくれと、彼の目が語りかけてくる。
受付嬢は「かしこまりました」と言いながら袋を開き──、
「ひぁ!?」
身体を跳ねさせながら悲鳴をあげた。
ギルドに響く甲高い声は冒険者や同僚たちの視線を一気に集め、余多の視線に晒された受付嬢は赤面しながら顔を俯けた。
袋一杯に詰められた鼠の耳を見て、悲鳴をあげない人などいるだろうか。詰め込んだ本人はともかく、初見なら悲鳴をあげる筈だ。
だから恥じることではないと自分に言い聞かせ、とりあえず落ち着いた受付嬢は再び笑顔を取り戻し、袋を閉めて抱えあげた。
「で、では報酬をお持ちしますので、少々お待ち下さい」
受付嬢は抱き上げたそれの気持ち悪さに全身に鳥肌をたてながら、足早に奥へと消えていった。
二人残された斥候と武闘家は顔を見合わせ、同時に肩を竦めた。
自分たちが何をしでかしたのかは、やらかした本人にはあまり自覚がないのだ。
これが鼠狩り歴代最高記録として、ひっそりと帳簿に残される事に、この時の二人は気付いてもいなかったのだ──。
双子の月に照らされる草原。
適当に草を苅って即席の夜営場所にしたその場所に、ローグハンターと銀髪武闘家の姿があった。
ローグハンターはタカの眼を発動しながら辺りを警戒し、銀髪武闘家は即席のテントの中で眠る──ふりをして隙間から覗く彼の背中を眺めていた。
これから両親に会いに行く為か、ここ最近は昔の夢ばかりを見てしまい、寝付きが良くないのだ。
そして今見た夢は、とても懐かしい、彼と初めて二人で行った冒険──今思えば冒険なのだろうか──の記憶。
この頃はまだ頼れるけど、ちょっと怖い人かな程度にしか思っていなかった。
けれど、
彼と、そして自分の運命を決めたき出来事があったのは、確かあの頃だった筈だ。
SLAYER'S CREED 追憶
Episode2
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