ちょっとお馬さんを育てたりもう一つの小説のネタいじってたりでうんうん唸ってて大分時間が過ぎてしまいました
もしそれでもお読みいただけるなら望外の喜びでございます!
さて今回の一刀君の子供は誰との愛の結晶でしょうか、はじまりはじまりー
和王朝設立当時、帝国最大の脅威とされていたのは五胡を筆頭とした北西の高原地帯から侵入してくる騎馬異民族であった
生まれたころより馬と接し、鐙や鞍と言った馬具もなく人馬一体となった彼等に対し、中原の戦場の主体は歩兵同士による白兵戦
皇帝北郷一刀はその圧倒的な突進力を危惧し、いち早い騎馬戦力の増強を軍事上の最大課題とした
その命題に対し最大の活躍をしたのは、やはり馬と共に生きていた西涼地方出身の武将達だ
神速の騎将張遼こと霞
道士との戦いで散り散りになっていた馬家の生き残りと共に西涼連合を再編し、その筆頭となった馬超こと翠率いる馬家の4姉妹
和帝国の精鋭騎馬部隊は彼女達を中心に再編成され、遊牧民族の騎兵とも互角に渡り合い、数多くの武勇を建てたとされている
ところで、後世和帝国の騎馬戦力拡充施策において、上記された将に加え、もう一人将の名が貢献した人物として挙げられることが多くなる
公孫瓚伯珪。元幽州太守にして、和帝国では現在の警視総監に当たる国内治安維持のトップに立っていた皇帝北郷一刀の妻の一人、真名を白蓮
かつて幽州太守時代には、烏垣を筆頭とした北方異民族の襲来を幾度となく返り討ちにし、白い馬で揃えられた精鋭騎馬部隊「白馬義従」を自ら率いて戦う姿は後に彼女に勝利した袁紹こと麗羽、曹操こと華琳も警戒していたとされる
ネームバリューでは馬家姉妹や張遼将軍には劣るとも、彼女も立派な騎馬戦術のエキスパートだったのだ
彼女は自ら騎馬隊増強の補助に名乗り上げ、蜀地方に集結しつつあった親族や旧臣と共に、主に翠や霞が手を回せない指導のフォローや、彼女らがあまり経験できていない南方や蜀地方などでの有効な機動戦術を指南し、裏から的確に土台単位で軍の補強を実施
一刀は彼女を高く評価したという
……そんな人物を母に持つこともあってか、俺北郷鳳清は人の夢を支えるトレーナー職につきたいと思っていた
武術の道でスポーツ医学に詳しい凪母さん、栄養学に詳しい朱里母さんとうちにはとにかく偉大な先達がたくさんいるので、その人たちの知恵と技術を継承し、自身も兄や弟たちと同じくそれなりに戦えるようにと鍛錬を欠かさずいたらですね……
まあ来てしまったわけですよ、俺にも。外史への旅立ちの時ってやつが
いや別に北郷家の恒例行事ってわけでもないんですけどね?多分
記憶は大学の友達と遊びに川崎へ向かうため電車に乗った所で途切れ、目が覚めた時には目の前に青空。公園のベンチに座って寝ている状態でありました、と
しばらく心地いい風に身を任せ空を仰いで呆然としてたけど、なんとか体を動かすだけの気力を取り戻して歩きだす
ぐったりしてたってどうにもならないし、ワンチャン同じ世界のどこかかもしれないとこの時は思ったんですよ。一応周りの景色そこまで異世界っぽくもないわけですし
まあ実家も両親もきょうだいも友達もだーれも電話通じなかったんですけどね
一時間ほど歩くうちにわかりました、ここ日本じゃねえ。んでもってやっぱ異世界だわ
回り中国語と英語ばっか、中国語は繁体字が多いし、高層ビルの高さからして香港かマカオ?のどこかっぽい
何で中国語分かるかって?いや仮にもハーフですし母親全員バリッバリに中国人ですし
それに何か知らないけどめっちゃ可愛い馬みたいな耳と尻尾生えた女の人があっちこっちを普通に歩いてる
コスプレ?いや安っぽい人工繊維で再現できる質感じゃないよあれ。がっつり手入れされた本物の馬の耳と尾だよ
そんな人が街中を平然と歩いて暮らしてるわけだ。しかも時々ものすごい速さで段ボールとか持って走ってる。運送屋さん?
こんな光景絶対正史世界じゃ見れないよね、外史か異世界かくてーい、はあ
最悪な事態の最悪さがパワーアップしただけじゃねーかちくせう
ぽやぽや何度も思考をループさせていたら見覚えがある場所に出た
海を望む海浜公園、いやー潮風が気持ちいいね。そして顔を見上げれば天を衝くでかーいビルに奥に観覧車
あー中環海浜活動空間だわあれ。つーことはここ香港か。中学の頃に雪蓮母さんに南京の孫家に遊び行く序に連れられて以来だわなつかしー
…ってそれどこじゃねえよ俺完全に不法入国者じゃん!パスポート家の金庫の中だよ!
日本円はそれなりに持ってるけど香港ドルなんて持ってねえぞ!?
あーくそっ、考えれば考えるほどドツボだ……最悪言葉は通じるし、貂蝉おじさんが見つけてくれるまでなんとか肉体労働で日銭稼げるとは思うけど、違法な仕事は嫌だよなあ……普通に生きたいよ普通に
もう何度ついたかわからないため息をもう一つ。いかんいかん、気持ちが折れた人間からサバイバルは落ちていくんだ。顔だけでも前向けないと
気を取り直す。顔を上げる。視線の先には一人の女性
腰まで延びた黒い髪。馬の耳と尻尾。風にたなびく髪を抑えている
その背中に向かっていく男。パーカーにスウェット、ポケットから取り出された手
そこにはスタンガン
スタンガン!?
男が腰を落とす
小さく呼吸。古い息を全て吐き出し
両腕でスタンガンを腰だめに構える
一秒以下で吸い切ることで全身の筋肉を活性化
一歩、二歩と大きく踏み出し、加速
走り出しながら、更に肉体の運動能力を気を張り巡らせて強化して
一気に女性の背中に向かって
一瞬で男の背中に飛び掛かって
「何してんだお前っ!?」
「ぐあっ!」
飛びつくと同時に相手のスタンガンを握っている腕を、間接に負荷がかかる方向に捻り上げ叩き落し、再び掴まれることがないように蹴り飛ばす
勢いのままに地面を転がり、速度を利用して男をうつ伏せで地面に押し付け、腕を背中に回して関節をロックする
「がああっ!」
「女性相手に不埒な真似しやがって!君!早く警察に通報!」
藻掻く悪漢を押さえつける。糞っ、結構パワーあるじゃねえか神妙にしやがれ
あいにく香港の緊急通報先なんて覚えてないので、俺が男に突っ込んだ音で驚いて振り向いた、危うく被害者になりえた女性に警察への通報を促す
「……」
「え、えっと……俺の中国語変じゃないよね?通じてるよね?今君襲われそうになったんだ。だから警察呼んでくれないかな?」
ぎょっとした顔から落ち着いているのだろうが、女性の反応は芳しくない
太陽の光を受けて青く反射する綺麗な黒髪、前髪の真ん中あたりから白いメッシュが入っているセンスは独特だが、シャープな顔立ちに良くあって冷ややかな印象を受ける
……なんだろう、なんだか見覚えあるぞ、この子の雰囲気
「……あの」
「ねえ貴方。公孫瓚って人、白蓮って人、知ってる?」
鈴が鳴るような綺麗な声。青い瞳を大きく開いて、膝に手を乗せ俺をのぞき込んでくる
……何で、俺の、母の、名を?
「お、俺の母さん、だけど……」
「やっぱり!目つきは父様似だけど、顔立ちや髪の色は思い出の白蓮そっくりですもの!んーそう、息子なのね。まさかこんなところで縁が再び結びつくなんて、的蘆も
快航も喜ぶわ」
「えっと、ど、どちら様……?」
「え?あぁ、そうね、わかるはずもないか。私の名は絶影、華琳母様の愛馬として中原を駆け抜けた絶影よ!」
……ウマ、何?つか、絶影って……華琳母さんがあの外史で生涯の愛馬にしていたって言う、絶影、さん……?
「ええ、そうよ。他にも的蘆も快航も麒麟も、白竜達もいるわ。ついてこない?貴方の話、聞いてみたいの」
そう言って手を差し伸べてくる自称絶影さん。ああ、この笑顔で思い出した
最初に感じたデジャヴの正体。この人の笑顔、華琳母さんにそっくりなんだ
こんな出会いを経て、気が付いたら俺は今、この外史の府中にあるトレセン学園でウマ娘達のトレーナーをさせてもらっています
父さんの愛馬だった黄爪飛電、母さんの愛馬だった白雲もこちらでは元気にウマ娘として走ってますよ。今度そちらに戻れたら連れて行こうと思います
俺?俺はそれなりに普通に平和です。まあしなきゃいけない事って言うのはできていますけど、彼女たちの普通の日常を守る戦いなわけですから、逃げるわけにはいきませんよね。それではこれで、必ず帰ります。鳳清より
「ほらー!ペース落ちてきてるぞー!あと1300m1本だ!俺も一緒に走るから頑張れー!」
「な、なんでトレーナー私達より早く走れるんですかあ!」
「これくらいウチじゃ普通なんだ!ほらファイトファイト―!」
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