北郷一刀の子供達   作:surugana

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さあてはじまってしまいました、一刀君の子供たちの物語

見切り発車ですが、最初は王道的な感じでお送りします

2020/8/26 一部描写を修正しました


仁の継承者は種族を超えて

北郷一刀を父と出来たことを、僕は誇りに思う

 

優しくて、意志が強くて、皆の事を常に考えて、母を全員、子供達を全員平等に愛し、諦めることが無い、ちょっと弱くて、そして強い男性(ひと)

 

北郷桃香を母と呼べることを、僕は奇跡に思う

 

笑顔を絶やさず、困った人を見過ごさず、最初に決めた事は頑として貫き、悲しい時、辛い時にも自分以外を優先する、放っておけない女性(ひと)

 

そんな二人の血を受け継いだ僕は、平均以上には優しいし、平均以上に努力をすることが好きで、平均以上には頭が回る、と思う

だけど、父の様に機転も効かないし、母程の慈愛はきっと持っていない

 

父と母に比べれば……そう、きっと僕は暗愚なんだろう

でも、僕には僕なりに、他人に誇れるような何かがきっとある……はず

 

父や母の様にはなれないけれど、僕は僕として、誇れるような生き方をしていきたいと思う

 

今までも、これからも

 

だから、母さん

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

高校入試に合格したからって、ほかの子もいるのに抱き着くのはやめて欲しいかな

 

 

 

 

 

 

 

 

北郷頼人

駒王学園高等部2年生。年齢16歳。北郷一刀と北郷桃香の間に生まれた少年で、北郷家の一員だ

彼はお人好しである。同級生、後輩、先輩、果ては教師や学園の関係者飽き足らず、市中で困った人を見かけた時はすぐに声をかけ、悩みを共に解決しようとする

当然交友関係は広く、友人も多い

また、母親譲りの土耳古石(ターコイズ)色の大きい瞳や、整った容姿から、同級生の木場裕斗や匙元士郎と並んで駒王三王子の一角として女子人気も高いのだが、本人に自覚は一切ない。これまた父親譲りである

 

 

通学路途中で目が合ったクラスメイトや、友人たちとあいさつを交わしながら登校していると、背中に衝撃が走る

 

「らーいとくんっ!おはよっ!」

 

「おはよう、玲奈さん。駄目だよ?危ないことしちゃ」

 

肩越しに両腕で抱きつかれ、ふわりと優しい匂いに包まれる。そして背中には柔らかい何かの感触も

頬が熱を帯びるのが理解できるが、ここで取り乱すわけにはいかない。少しでも隙を見つければそこに一気呵成に攻め入ってくるのだ、この難敵は

 

伊礼玲奈、数年前にちょっとした一件から頼人と知り合い、それ以来何かにつけ彼を追いかけ、頼人自身も世話になっている少女だ

年齢は『一応』17歳で、クラスは違うが同級生である

腰まで延びる烏羽色の髪、紫水晶(アメジスト)色の縦長の瞳は、そのいたずらっ子の様な表情と合わせて、全体は清純でありながらもどこか蠱惑的な雰囲気を彼女に持たせ、ミステリアスに彩っている

 

「頼人くんならこれくらいどうってことないでしょ?しっかり抱きとめてくれるって信じてたもの、私!」

 

「いやそうじゃなくてさ…周りの目がさ…つかやめてその雪蓮母さんみたいな言い方…」

 

美男美女が絶賛登校時間中の通学路で密着していれば、嫌が応にも人の目は集まるものである

顔を赤くして目をそらすもの、まんじりとして見つめ続けるもの、くすくすと笑う者と反応は多種多様

道の反対では同級生の兵藤、元浜、松田の2年生変態トリオ

が呪詛の視線を放っているのが見えた

 

「ふふっ、わかったわよー。頼人ニウムはしっかり補給できたし、先に行くね?じゃあね!」

 

「はいはい……っかしーなぁ…玲奈さんって最初会った時あんなだったっけ……?」

 

ウィンクしながら足早に去っていく玲奈、さながら台風である。いや、先ほどの連想の通り、その奔放さは孫呉の小覇王で、今では犯罪者を叩きのめすことを趣味兼仕事にしている母親の一人の方が近しいだろうか

苦笑交じりにため息一つ、思い出される最初の玲奈との出会いは、それはもうシリアスな場面であったはずなのだが……

 

 

「……んっ?」

 

学園の敷地内に入り通用口を目指していると、視線を感じ立ち止まる

周囲を見回してみれば、体育館の向こう側に見える木造の旧校舎がその視線の大元らしい

開け放たれた窓に見える紅と黒。見覚えのあるメンツが二人いた

 

リアス・グレモリー

 

姫島朱乃

 

駒王学園の男性人気を二分し、二大お姉様と呼ばれている三年生の女子2名

視線の主は紅の髪を風になびかせているリアス嬢のようだ。遠目ながら値踏みするような、興味深いものを見つけたような視線

互いに目が合ったことが分かり、リアスはにっこりと笑って手を振り、頼人もしっかりと深く頭を下げて会釈を返す

 

「……ふむ?」

 

一瞬の邂逅、頼人の脳裏にはいくつかの疑問

彼女らとはそこまで親しいわけでもなく、会話を交わしたこともあまりない。それでいて先ほどの笑顔

どんな相手でも分け隔てないだけと言われればそれまでだが、疑問は疑問である

もう一つ、今旧校舎は必要のない教材などの物置となっており、彼女たちの様な人間がいるには似つかわしくない場所である。何やら奇妙な気配も放課後になると感じることもあり、人がいるべき場所ではない

だからと何だと言われれば、こちらも同じくそれまでなのだが

 

と、後ろからのクラスメイトの声にその疑問は一瞬で霧散してしまう頼人であった

憎らしいくらいに晴れやかな蒼穹が広がっている。今日も何事もない平和な一日でありますように、そう頼人は願った

 

 

 

放課後、授業でわからないところがあると言うクラスメイト達と簡単な復習会を開催し、そのまま駅前で遊ばないかと言う誘いを受けたが、スマホに入ったメッセージを見て頼人はそれをやんわりと断り、帰宅することにした

 

「で?間違いなくグリゴリは関与してないんだよね?今回のゴタゴタ」

 

「当たり前でしょ。三すくみ状態で宗教的な中立地帯の日本まで巻き込んで開戦準備なんてこと、バレたらそれこそアルマゲドンですもの」

 

「だよね」

 

住んでいるのは学園にほど近い1Kの学生向けアパートだ。今ぐらいから自立に慣れておいた方が後々気が楽と言う父親のアドバイスもあり、入学してから一年お世話になっているマイホームである

 

「しかしまあ…良く日本に入ってこれるよね。結構強い結界貼ってるはずなんだけどな、出雲の人達も」

 

「この町がそれだけ着火点として魅力的って事よ。高天原勢力の庇護下にある日本で唯一国外神話勢力、それも七十二柱の一族の姫君二人が、一時的とは借り上げて管理している一帯。そこでどちらかの命が奪われる…なんてあってみたらどうなるか?」

 

制服を脱ぐと、そのままクローゼットの奥にある二重扉を開け、そこから別の衣服を取り出す

 

「……日本神話勢力すら巻き込んでの霊的世界大戦か……ぞっとしないね」

 

白を基調に、緑と金のアクセントが入った上着、暗い赤色のボトムス。どちらも一見すればやや派手な意匠の学生服だが、実際は対弾、対刃仕様の特殊繊維で出来、更に対魔術処理の超微細な防御術式を封じられた于禁印、一級品の戦闘服である

 

「それだけじゃないわ。日本には仏教だって根強く入り込んでいるし、そこ経由で大陸とのつながりも太い。下手をすれば崑崙山から仙人たちすら降りてくるかも」

 

襟元まできっちりとボタンを閉め、最後に頼人は同じく扉の奥に立てかけてある、細長い布でくるまれたそれを掴み、紐をほどいて取り出していく

 

「仙人……ね」

 

<<朋友はやはり神仙の類は嫌いなようだな>>

 

現れたのは、碧色の鞘に納められた二振りの剣だ。鍔は龍の形を模し、金色に縁どられている。片方ずつを手に取り、鞘から引き抜き、脳内に響いた声に応えながら、刃の状態を確認する

 

「僕自身が何かされたわけじゃないんだけど、ね」

 

<<外史での因縁か。まあ好めるものでもあるまいよ>>

 

刀身には欠けの一つもなく、磨き抜かれた表面には頼人自身が反射している

 

「私はいまだに信じられないなあ……頼人君のお父さんたちのお話」

 

「堕天使がそれ言うかなあ……(ハオ)

 

どちらも問題ないと判断し、その両方を再び布で包むと、頼人は家を飛び出していった

 

 

 

「今家を出たよ。ナビはお願いね、レナさん」

 

人気のない裏道に来た頼人は、周囲に人の気配がない事を改めて確認すると、その場から大きく跳躍し、住宅街の屋根の上を軽やかに飛びぬけていく

目的地はスマートフォンの向こうから、戦いのパートナーによって説明され、脳内の駒王町の地図と照らし合わせ、並行しながらも進む脚は止めない

 

目指す場所は郊外の廃工場。このままなら5分もしないで到着できる

 

「早く終わらせないと」

 

口調は軽やかに、だがその表情は鋭く、戦う覚悟を帯びた戦士の顔つきになっていた

 

<<はて、宿題の一つでも出されたか?>>

 

「いや?レナさんが早寝できるようにね。夜更かしは乙女の敵だ」

 

<<……やはり其方は親父殿の息子だよ。朋友>>

 

「?」

 

 

 

一瞬の出来事であった

駒王町の管理を任されている、ソロモン72柱がグレモリー家の娘であるリアスは、自らの仲間たち、朱乃、木場祐斗、塔城白音、 塔城黒歌と共に駒王町に潜入したはぐれ悪魔バイサーの討伐の任に就いていた

バイサーの殲滅自体は、いつも通りの簡単な内容だった

クイーン、ナイト、ビショップ、ルーク。それぞれの特性に合わせた戦法で相手を追い詰め、最後はリアス自身が滅びの魔法で引導を渡す。傘下に入ったばかりの兵藤は見学に徹し、各々の能力と思わず見れた裏の顔に驚愕やらドン引きやらをしていて今回は出番なし

跡形もなく消滅したバイサー。戦術も作戦も完ぺきであった、リアス自身に非はない

ただしそれは、予想不可能な個所から、予想不可能な相手からの攻撃がなければ、であるが

 

「っ!?リアスッ!!」

 

やや後方に陣取っていた朱乃が最初にそれに気づいた。バイサーにとどめを刺し、息を吐いて脱力したリアスに、工場の物陰から高速で接近する存在があった

 

「グレモリーが娘ぇ!その首級をいただくぞお!!」

 

烏の如き黒い両翼、バイクスーツ姿の男――堕天使が、両腕に生み出した光の槍をリアス目掛けて投擲したのだ

 

「ぁっ……!」

 

対応するには戦闘経験がほぼない浅い兵藤はもちろんの事、、木場も白音も遠すぎた。唯一反応できた黒歌だけは、気を練る動作に入れていたが、それでも遅い

リアス自身も回避が絶対に不可能だと言う事が理解できる間合いだった

軌道が目掛けているのは心臓。多少動いたところで二発目の槍までは回避できない

 

(こんなところで…こんなやつに……っ!!)

 

向かってくる確実な死に、せめて最後まで目は反らすまいと覚悟を決めた、その時だ

 

「でえええええええいっ!!!」

 

堕天使の後ろの壁が爆音とともにはじけ飛び、緑色の電光、としか表現できない何かがそのまま堕天使にぶつかり

その身体を超高速でスピンさせた

 

「……はへゃ?」

 

状況が理解できず、間抜けな断末魔を上げた堕天使の男は、そのまま超高温の雷撃の本流によって天高く吹き飛ばされ、重力に従って落下し意識を失う

その光は弧を描くような軌道でリアスの面前に飛び込み、そこから頼人が現れて、リアスに向かっていた光の槍を交差させた両腕の剣で切り砕いた

 

「っ!?」

 

理解が追い付かず、硬直するリアス

着地と同時の斬撃の残心から、呼吸を整えつつ目の前の男、頼人は立ち上がると、剣を振り払って鞘に戻し

ゆっくりとリアスの方へ振り返る

 

「あ、貴方……北郷、頼人、くん……?」

 

「はい、無事でよかったです。グレモリー先輩」

 

はにかんだような笑顔、土耳古石《ターコイズ》色の大きい瞳に吸い込まれそうになる自分を、リアスは自覚した

そして、何となくではあるが、胸の奥に熱が芽生えたことも、自覚してしまった

 

 

「……あーあ、やっぱ増えるよね、ライバル……頼人君がいるかぎり、そう簡単に戦争なんて起こさせませんからね。コカビエル様」

 

見つめあう剣士と姫君。おとぎ話の始まりにしては剣呑な風景を、屋上から黒い翼を揺らして、一人の女性が見つめ、ため息を一つはいた

そこには諸々な将来に起きるであろう問題を混ぜ込み、この騒動の元凶相手に八つ当たりしてやると言う気持ちも籠っている

 

 

 

 

 

 

「クハハハハッ!そうか…翼を持った蒼き龍!貴様、宿す神器は応龍か!面白い、やはり戦争は面白いなあ!」

 

「……時流も読めない三流相手に喋る口はないよ。戦争狂!」

 

 

 

 

 

「極東の学校に世界に影響を与える龍が三匹。やはり龍は龍と惹かれ合い、殺し合う定めか」

 

「こいつが…白龍皇…っ」

 

「戦う気はない…って言っても、聞く耳持たないか。母さんや父さんなら、もう少し上手に事を進めるんだろうな」

 

 

 

 

 

 

「らーいっとちゃーん!!!」

 

「母さん!流石に僕高校生!高校生だから!!」

 

「はじめまして、だね?頼人の母の、北郷桃香です!何時も息子がお世話になってまーす」

 

「……私、胸にはそれなりに自信があったんだけどなあ…」

 

「私もですわ、リアス……」

 

「うおおおおっ!?す、すっげえなぁ北郷!お前のお母さん!!」

 

 

 

 

 

「なるほど、君が異世界の劉備玄徳の息子か……はじめまして、俺の名はそ」

 

「お前の名前なんてどうでもいいよ……親と子の互いを想い合う心を利用した悪逆の名前なんて。覚える価値もない」

 

「ふっ。憤義に怒れば烈火のごとく、か…かつての劉備のごとくだなっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

どうだったかしらん?ご主人様と桃香ちゃんの子供、頼人君のお話が、ここから始まっていくのよん

頼人君はねぃ…自己評価が低いのよねえ…本人は両親に及ばないって思っているみたいだけれども

優しいって意味では、あの二人にだって負けてないと私は思うんだけど、皆さんはどう思うかしらん?

 

 

じゃあ、今回はここまでよん

新しい外史の扉が開いた時に、またお会いしましょうねん♪

 

 

 

 

 




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