友人や他の方から頂いたお題を元に書いた短編小説4弾です。

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僕とお姉さんの秘密

「ふうっ……暑いな〜」

 

猛暑の夏。

熱が僕の体を刺激して、汗をかかせる。

そんな僕、石野 拓海(いしの たくみ)は学校から家へと帰ってきた。

家と言っても実家ではなく、下宿先の天野荘という所に住んでいる。

そして、そこには素敵な人も居て……。

 

「たっくん、おかえりなさい」

 

僕を呼ぶ元気な女性の声が聞こえる。

 

「ただいま!鈴羽さん!」

 

天野 鈴羽(あまの すずは)さん。歳は……言わないでおこう。

この荘の管理人さんで、家事や掃除なんかの身の回りの事をこなす凄い人だ。おまけにスタイルもよくて……

 

「今日もお疲れ様っ」

 

鈴羽さんがいきなり僕にハグをする。

柔らかいものが僕の顔に当たって思わず赤面してしまう。

 

鈴羽さんはその……なん言ったらいいのかな……

お、おっぱいが大きい。

上手くは表せないけど「どたぷーん」って感じなのかな。

 

「鈴羽さん……く、苦しいです……離して……ください」

 

「あら、ごめんなさい。癖で……」

 

鈴羽さんは微笑ましく僕を体から離した。

 

「中でおやつにしましょ。九条さんからスイカを貰ったのよ」

 

「スイカいいですね!暑いから涼めそうです!」

 

「たっくんに気に入って貰えそうで良かったわ」

 

鈴羽さんの嬉しそうな声を聞くと僕も嬉しくなってしまう。

天野荘の中に入った僕と鈴羽さんはスイカを食べる事にした。

 

 

 

数分後。

スイカを食べ終わって涼んでいると足音が聞こえてきた。

 

「ただいまー!」

 

若い男の人の声が天野荘に響き渡る。

 

「あら、光くん達帰ってきたようね」

 

「光さんおかえりなさい!」

 

「拓海!帰ってきたぜぇ!」

 

「全く……お前が猫を追いかけなかったらもう少し早く帰れていたんだが」

 

「まぁまぁいいじゃないですか翔さん」

 

「大地の言う通りだな、それに翔も猫を可愛がろうとしてただろ?」

 

「あ、あれは……捕まえて早くお前を返そうとだな……」

 

このお兄さん達は近くのアイドル事務所に所属する若手アイドルのみなさんだ。

(ヒカル)さんと(ショウ)さんは同期、大地(だいち)さんはその後輩何だとか。

皆さん新人ではあるものの、人を惹きつける力がある事から新世代(ニュージェネレーション)アイドルと呼ばれているらしい。

彼らがどうしてこの荘にすんでいるかというと

光さんの知り合いが鈴羽さんと交流を持っているらしく部屋を融通してくれたのだそうだ。

皆さん僕の事を気にかけてくれるいい人達で、年の離れたお兄さんって感じだ。

 

「鈴羽さん、これ社長から貰ったから食べませんか?」

 

そういって大地さんは風呂敷に包んでいた木箱を取り出す。

木箱を開けるとそこには数分前に見たことがあるものがあった。

 

「……あらっ、これスイカだわ。実は今日九条さんからもスイカ頂いたのよ」

 

「おっ、スイカ食べ放題じゃねぇか!早速食べようぜ!」

 

「お前は直ぐに突っ走るからな…見てて不安になるぞ……」

 

「そういいながら気にかけるの翔さんらしいですね」

 

「なっ……別に心配とかそういう訳じゃないから!」

 

「翔さん、それツンデレって言うんですよ」

 

「アハハハハハ!」

 

笑い声が天野荘の中で響き渡った。

 

 

 

夕暮れから時は経ち、夜になる。

僕はとある一大決心をした。それは……。

 

「たっくん〜お風呂行ってきますね」

 

「わ、分かりましたっ」

 

「たっくん。くれぐれも下の部屋には行っちゃダメよー?」

 

下の部屋とはこの荘で鈴羽さんが入ってはいけないと言っている部屋だ。

光さん達は通称『禁断の部屋』と呼んでいる。

そこに何があるのかは鈴羽さんだけが知っている。よほど入ってはいけないのか鈴羽さんは毎回僕達に忠告してくる。

 

「い、行きませんってば!」

 

「なら大丈夫ね〜」

 

そういいながら鈴羽さんはお風呂場へと向かっていった。

 

……ごめんなさい。鈴羽さん、ウソつきました。

僕、好奇心には勝てませんでした。

鈴羽さんがいつも行かないでって言っている部屋の前に来ちゃいました。

入りたくなったのにはこないだの光さん達の話を聞いてしまったからだ……。

 

「下の部屋に入らないでって言われると入りたくなるよな〜。コチョウ倶楽部の押すなよ!押すなよ!みたいな感じでさ」

 

「あっ!分かりますね!」

 

「だろ〜?」

 

その言葉を聞いてから禁断の部屋についてどうしても知りたくなってしまった。

どうやって入ろうかなと思いながら、とりあえずドアノブに手をかける。

 

「あ、あれ……軽い?」

 

ドアには鍵がかかってなかった。

ここで入るのをやめようという気はなくて、好奇心の赴くままに扉を開けた。

中は真っ暗で何も見えない。とりあえず壁を触りながら、電気のスイッチを探す。

 

「あった……!」

 

そしてスイッチを入れた瞬間。

明かりがついて暗かったものの正体が分かった。

そしてそれを見た瞬間、僕は声を上げざる得なかった。

 

「な、なんだこれ!?」

 

禁断の部屋。そこには光さんと翔さんのデュエットCDや新世代アイドルのDVD。

更にはペンライトや法被まであった。

部屋を埋め尽くすほどの新世代アイドルのグッズ。これはどういう事だろ…

 

「……たっくん。見ちゃったわね」

 

「ひゃん!?」

 

鈴羽さん!?お風呂に入ってるはずじゃ……

 

「私、ちょっと忘れ物しちゃったの。そしたらこの部屋の電気がついてたから、泥棒かと思って来たのよ。そしたらたっくんがいてびっくりしちゃったわ」

 

ど、どうしよ。

部屋に入ってしまった事がすぐにバレちゃうなんて。早すぎるよ…

 

「どうして入ったの?」

 

「そ、その……僕、どうしても気になってっ……ご、ゴメンなさい!」

 

僕は言葉を詰まらせながらも、鈴羽さんに嫌われたくない一心で謝る。そんな僕を見た鈴羽さんは少し呆れながらも言葉を返した。

 

「もう……いけない子ね。大人の言うことはちゃんと聞かなくちゃだめよ?」

 

「は、はい。それで鈴羽さん……こ、これは……?」

 

「……バレちゃったからしょうがないわね。私、……ドルの……ンなの」

 

「へっ……?」

 

「だから……新世代アイドルのファンなのっ!」

 

顔を赤らめながら、鈴羽さんは声を必死に上げた。鈴羽さんが光さん達のファン……?

 

「まさか光さん目的でこの荘を……?」

 

「違うわよ!全くの偶然!最初はアイドルとか全然分からなかったから、普通の人と変わりなかったわ。けど、ライブに招待されてからハマっちゃったの……」

 

「そ、そうなんですか」

 

「特にね光くんと翔くんのデュエット曲『銀河勝利』なんて物凄くカッコイイのよ!もちろん大地君のデビュー曲 『団結X(エックス)』も好き!新人アイドルでアニメの主題歌に選ばれるくらい凄いし、あとはあとは……」

 

「す、鈴羽さん……」

 

「はっ……!あー……もう!絶対バレないようにこの部屋に置いておいたのに入っちゃうなんて……」

 

語りの熱さとそれを言い終えた恥ずかしさからか鈴羽さんは顔が真っ赤になっていた。

 

「たっくん、ここで見たことは光くん達には秘密ね」

 

「わ、分かってますって!絶対言いませんから!」

 

僕が声を張り上げた、その時。

 

「光さん!禁断の部屋に電気が付いてますよ!」

 

「遂に秘密が分かるのか!翔!大地!行こうぜぇ!」

 

「ば、馬鹿!行くなって言われてるだろ!」

 

「ここで行かないと男の度胸が廃るってもんだぜ翔!」

 

「光!待て!」

 

光さん達の声だ!声と足音が大きくなっていく事からこの部屋に近づいて来ることが分かった。どうしよう!何か手は……

 

「たっくん!急いで部屋から出るわよ!」

 

「鈴羽さんっ……!でもっ!」

 

「とにかく出て!出てから私に話を合わせるのよ!」

 

鈴羽さんに手を引かれ、慌てながら僕達は部屋を出る。そして、すぐ後に光さんたちが現れた。

 

「あれ?鈴羽さんに拓海?」

 

「どうしたの光くん?」

 

「いや、禁断の部屋に灯りが付いてたから見に来たんですよ」

 

「あー!あれね!この部屋の電気壊れちゃってるからついてたのよ!そしたら!たっくん興味本位で入ろうとしたから今、私が止めに来たってわけなの!」

 

必死に答える鈴羽さん。

そして彼女の視線は僕に向けられていた。

ここは鈴羽さんの話に合わせるしかない……!

 

「そ、そうなんですよ!鈴羽さん僕が入るの止めてくれたんですよっ!危ないものが入ってるらしくて!」

 

「おー!そうか!危なかったな拓海!」

 

「2人とも怪我はなかったか?」

 

「大丈夫です!」

 

「良かった。拓海、気をつけるんだぞ。お前まで(コイツ)のようになられちゃ困るからな」

 

「なんだよ翔〜。じゃあ俺たち部屋に戻ります!」

 

「あの部屋って危険物が入ってるから入っちゃダメだったんですね」

 

「ともかく謎が分かって良かったじゃないか」

 

「まぁな。鈴羽さんと拓海にも怪我なくてよか……」

 

3人の声が遠ざかってゆく。

こうして何事もなく光さん達は戻っていった。

 

「ふぅ……危なかった……」

 

「元をいえばたっくんが入るからよ……」

 

「本当にごめんなさいっ!」

 

「素直に謝るのはいいことよ。じゃあたっくん。このことは内緒ね」

 

鈴羽さんが呟き、温かい唇が僕の頬に当たる。

 

「これでお口チャックしてくれるかしら?」

 

目の前で起こった事とイタズラな笑顔に僕の頭は真っ白になった。

 

「……もう、ぼーっとしちゃダメよ?私達も戻るわよ」

 

「……は、はいっ!」

 

真っ白になっていた僕の意識は鈴羽さんの声で戻された。

こうして僕達はまた日常の生活に戻る。

 

僕には今日、2つの秘密が出来た。

鈴羽さんはアイドルが好きということ。

そして鈴羽さんにキスをされた事だ。

 

この秘密はずっと心の中にしまっておこうと決めた。

 




友人から貰ったお題『お姉さん』で書きました。
書いててもっとおねショタ小説書きたくなりました。
またどっかで書きたい。
今回パロディネタを盛り込めたので個人的にも満足です。

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