乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた.....   作:Brahma

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第12話 カタリナ誘拐

「そうなるとジェフリー王子かイアン王子ということになるが...どうも本人たちとは考えにくいな。」お兄様のおっしゃるようにジェフリー様は本気で王になるつもりがあるとは思えないという評判で、相当な弟大好きと聞いている。宰相家だからこその情報だ。そういう状況でイアン様本人ががつがつ王位を狙う工作をするとは考えにくい。

「とりまきとか支持者でしょうか....。」

「どちらかに王位を継いでもらって権勢を得たいと思う人物ということだろうな。」

「そうなると....怪しい人物や施設を片っ端から洗うしかないってことですわね。」

メアリ様の笑みがどんどん黒くなっているとかんじるのはわたしだけだろうか....

「メアリ、落ち着け」

アラン様が制止しようとするが、メアリ様は立ち上がって出ていこうとする。するとその前の扉が開いた。

入ってきたのはラファェル様だ。

「?メアリ様、どこへいらっしゃるのですか?」

「カタリナ様をさがしにいくつもりですわ」

「あてはあるんですか?」

「怪しげな人や場所を片端から洗うつもりです。」

ラファエル様はため息をつかれ

「それはさすがに無謀でしょう」

「でも、こうしている間にカタリナ様に危険が迫っているのですよ。どうしろとおっしゃるのですか。」

貴族令嬢の鏡、社交界の華ともうたわれるメアリ様が感情的になられ目に涙を浮かべている。強気にみせていて実は不安だったのだろう。

「大丈夫ですよ。カタリナ様に危害が及ぶことはありません。」

「どういうことですか?」

「カタリナ様には最強の護衛がついています。ここには盗聴用の魔法道具が仕掛けられていないから話しますが、魔法省では直接の犯人を現時点では把握していませんが、すでに犯人の足元を捕まえ始めているということです。だから危害が及ぶことはありませんのでもう少しお待ちください。カタリナ様は必ず助け出します。」

 

わたし佐々木敦子は思い出す。ジオルドルート達成後の外伝ストーリーでよく似た話がある。マリアが誘拐され、闇の魔力で操られるのはイアン王子の婚約者セリーナ・バーグだが、セリーナに闇魔法をかけた執事風の好青年である闇の魔力保持者を裏から操っているのは貴族だ。誰なのか正確に思い出せない。しかし選択肢を選んでいくと大切な光の魔力保持者を守るために魔法省が動いて解決していく話になっていた気がする。まもなく魔法省のガサ入れがその貴族のところに入るはずだ。

 

カタリナ様の誘拐事件は、魔法省の捜査が進み、デイビッド・メイスンというジェフリー派の貴族に対して行われた。魔法省は魔法に絡んだ犯罪が行われた場合は,通常の警察の捜査では魔法が使われるために捜査が混乱させられたり、相手は貴族であることが多く、誇り高い彼らは捜査員、警察官に逮捕される屈辱に耐えられず、魔法を使って抵抗し、殺害する危険性があるという事情から警察権を付与されている。したがって容疑者を逮捕する場合は、サイレンスを唱えて抵抗を抑えるため、複数の捜査員が逮捕に携わる。

今回の誘拐事件は,デイビッド・メイスン主犯がほぼ確定だということで、魔法省のラーナ・スミス様がやってきた。

「これで安全が確保されたからカタリナのところへ行くぞ。皆準備はできたか?」

そしてデイビッド・メイスンがカタリナ様を幽閉していた部屋の前まできた。

ドアが開かれると、執事のような姿をした青年とカタリナ様がいた。

カタリナ様は不思議そうな顔をしてラーナ様を

「もしかしてラナ?」

と尋ねていた。

「確かに先ほどまでそう名乗っていたが、魔法省魔法道具研究室部署長のラーナ・スミスだ。ラファエルの上司にあたる。以後よろしく頼む。」

「さてルーファス・ブロードとやら、こうなった以上は覚悟出来ているんだろうな。ただお前にはやむない事情があったこともわかっている。ただし、けじめはつけなければならない。」

ラーナ様の部下たちはサイレンスの呪文を唱え始めた。

「わかりました。あなた方にすべてを話しましょう。」

執事風の青年がそう答えると、ラーナ様は、サイレンスを詠唱し始めた部下たちを制止する。

「魔法を使って抵抗しないのだな。いい心がけだ。手間が省ける。さて、カタリナ・クラエス誘拐の実行犯として逮捕する。これから魔法省へ来てもらおう。」

ラーナ様は部下たちに命じる。

「連れていけ。」

ルーファス・ブロードという執事風の青年は魔法省に連行されていった。

 

さて、誘拐事件が解決してから、わたしやマリアさん、メアリ様、キース様、アラン様は、カタリナ様が危ないことをしたり、ヘンな場所にいかないよう見張っていくことにした。カタリナ様が生徒会の仕事は大丈夫なのかお聞きになるが皆「もうかたづけましたから。」「もうかたづけましたわ。」「カタリナ様、ご心配いりません。」という感じでお返事している。実際もうこの時期になると1年生に引き継がなければいけないし、何から何までやらない方がいいというのもある。例外的に誘拐事件以来姿を見せていなかったのはジオルド様だ。

ある日の夕方、カタリナ様がいなくなった。きっと畑だろうということになった。

するとジオルド様がカタリナ様の肩をだいて顔を近づけている。

最初に声をかけたのはキース様だ。

「これ以上義姉さんに近づかないでいただけますか?」

「どいてください。キース様、私が魔法で...。」

「ち、ちょっとまて、メアリ何するつもりだ!」

「メアリ様、ここはわたしが....。」

わたしが叫んだところ、マリアさんが

「ソ、ソフィア様まで....そんなものを投げつけたら危険です。せめてけがが私の魔法で治せる程度になるようにしてください。」

マリアさん、投げることと、けがさせること自体は阻止しないんだ....

カタリナ様を皆でジオルド様からひきはがしたとき、わたしの脳裏に

「ジオルド王子攻略おめでとう。」

という声が響いてきた気がした。同じ声がカタリナ様にも聞こえているような不思議な感覚だった。

 

わたし佐々木敦子は内野さんを祝福する。やっとジオルドを攻略したね。おめでとうと私自身であるソフィアとカタリナの脳裏にささやいた。

 

さて魔法学園の授業も残り少なくなってきたある早朝、学舎へ向かう王族・貴族寮の廊下で、メアリ様とジオルド様が含みのある笑みを浮かべながら話しているところへ出くわした。

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