乙女ゲームに登場する文学少女である伯爵令嬢に転生していた..... 作:Brahma
「パーティは今晩ですし、今からカンパしても間に合いません。もしカンパしてくださっても皆さんもご実家に「そんなお金なににつかうの?」ってきかれたら説明が難しいと思います。ジンジャーさんのご実家の面目や事情もありますので、僕の婚約者のカタリナが後輩がパーティに出られるよう何とかしようと考えた結論なのです、どうかここは僕に免じてどうか目をつぶってください。」
ジオルド様が頭をさげる。
「わたしとしたことが....とりみだしてすみません。」
メアリ様がそうそっしゃってわたしも冷静になって謝罪した。
なんとか騒ぎはおちついた。わたしとしたことが恥ずかしい。
しかし今晩は待ちに待ったお城でカタリナ様、メアリ様、マリアさんとのパジャマでのお泊り会だ。はやる気持ちが抑えきれない。
さてお城でジオルド様とアラン様の卒業記念パーティだ。
カタリナ様、メアリ様が一番似合うと言ってくれたかわいいドレスを着ていく。
メアリ様がカタリナ様のところへ来て何やら話し込んでいる。
「お兄様、行きましょう。」
お兄様を引っ張るようにして二人の輪に加わる。
「わたしもお気に入りのロマンス小説を持参してきましたわ。」
「ソフィア!」
「ごきげんようです。カタリナ様、メアリ様」
わたしはお二人に淑女の礼をする。
「わたし、今日のお泊り会がもう何日も前から楽しみで....。」
「お城の客室に留めていただくんだからあまりはしゃぎすぎるな、ソフィア」
お兄様にやんわりとたしなめられる。
「そういえばニコル様も泊まるんですよね」
「ああ、ソフィアだけを外泊させるのはいろいろ心配だからな。」
「妹思いですわね。そういえばうちのキースも泊まることになりました。」
「そういうことは皆でお泊りってことですね。お城に昨年度の生徒会メンバー勢ぞろいですね。」
わたしは、ほおがゆるんでしまう。
カタリナ様は男子会をすればといいだし、キース様がなにを言ってるのと嫌そうな顔をしている。
お兄様は
「男同士で語り明かすか....」
お兄様は何やら楽しそうだ。
わたしは、王子と敵国の王子の物語とかロマンス小説の題名が脳裏を駆け巡る。どんなお話をするんだろう....
「男性だけで朝まで語り明かす...新しいロマンス小説のようなことが実際に起こるのですね。」とわたしは妄想してほおが染まってしまう。
そこへジンジャーとフレイがマリアさんを連れてやってくる。
マリアさんはなにやら疲れた様子だ。
「男性たちに囲まれて困っていたマリア先輩を保護してお連れしました。」
「エスコート役がいないので男性たちがわれこそはとマリア先輩に迫って、優しいマリア先輩は断り切れない様子でしたので...。」
お兄様が思案顔になりマリアさんに謝る。
「なるほど....そういう事態は予測できたな。こちらでエスコート役を見繕っておくべきだった。すまないマリア」
マリアさんは首を横に振る。
「エスコートの要らない会ということで軽く考えたわたしがいけなかったんです。誰かにお願いすべきだったんですが....。よく知らない方に声をかけられたのでかたっぱしからお断りすることになってしまいました。」
「ジンジャーさんがお召しになっているドレスはカタリナ様のものだったんですね。わたしも着たかったんです。」
マリアさんがそうおっしゃると
「わたしもです。」
メアリ様もおっしゃる。
マリアさんがドレスのプレゼントをもらい、そのサイズがぴったりだったと聞いてカタリナ様の表情が変わる。なにやら番犬のように周囲ににらみを利かせ始めた。
公爵令嬢でいらっしゃるのになぜか平民のマリアさんの番犬のようだ。
「義姉さん、義姉さんてば.....こっちの話聞いていないし....。」
キース様がぼやく。
そうしているうちにカタリナ様は後ろのテーブルにぶつかって、
あっというまにソースチューリンのソースがべっとりカタリナ様のドレスについてしまった。キース様は大きなため息をつかれた。
「汚れ取りの方にふきとっていただいたほうがいいのでは?」
「そうするわ。ソフィア、ありがとう。キース、マリアの護衛をたのむわよ。ちゃらいのが近づいてきたら追い払って。」
「義姉さん、それはいいけど、寄り道したりしないで、汚れとったらすぐもどってきて。」
「わかったってば。」
カタリナ様は会場の外へ出られた。
かなり時間がたってダンスの時間になった。カタリナ様はジオルド様とそのつぎはキース様と踊っている。
そのつぎにはお兄様が「空いているなら俺と踊ってくれないか」と誘った。
お兄様、がんばれと思ってしまう。
カタリナはいつもの通りよく食べている。サラダに肉。王子たちの卒業パーティだから出る料理も豪華だ。目移りしているんだろう。アランがカタリナの食べっぷりに爆笑している。今度はアランに肉を食べさせ、アランがもがもがいっている。
ゲームやアンソロにもなかった場面で新鮮だ。そもそもカタリナは悪役だからこんな場面ないのだから...
アラン様にカタリナ様がお肉を食べさせている。それを見咎めたのかメアリ様が
「カ、カタリナ様、わたしにもそれをしてください。」
なぜか息をきらしているご様子だ。カタリナ様は料理をとってこようとする。
「そうではなくて、アラン様にしたようにわたしにも、その....フォークで食べさせて下さるのを....」
メアリ様をロマンス小説仲間にしたことはよかったと思っているが、唯一後悔しているのはこういう場面だ。わたしも食べさせていただきたい。
「ずるいですわ。メアリ様、わたしにも。」
「あれ??ソフィア、ニコル様はいっしょじゃないの?」
「お兄様はさきほどお父様くらいのお年の紳士にお声をかけられ、テラスのほうへいきましたわ。」
カタリナ様はなにやら心配されている。わからなくはないがお兄様はもてすぎるせいでかわす術もかなりお持ちだ。
「商談か何かだと思います。お兄様はいろいろと慣れていらっしゃいますからだいじょうぶですわ。」
メアリ様がアラン様と話している。使用人が待っているということだった。
「メアリやソフィアはあいさつやダンスはいいの?」
「もう必要な相手とは終わりました。」
「わたしもです。」
「じゃあ二人もいっしょに食事しない?ちょっとづつシェアして。」
「「よろしいですわ」」
そこへ疲れたご様子のマリアさんがやってくる。
「?マリアさん?」
「カタリナ様、メアリ様、ソフィア様」
「お疲れの様子ですわね。」
「はい、疲れました。」
「こっちで食べない?」
「はい。」
マリアさんは、解放感で笑顔になる。
わたしたちは楽しく食べ物をわけあって食べていたが、その間にもマリアさんへ向けられる視線があって、カタリナ様はそれをみとがめて番犬状態になる。
しばらくしてお兄様が戻ってきた。